不良と皇帝陛下   作:アイリエッタ・ゼロス

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幕間 覚悟と別れ

「はぁっ!」

『....ふむ。良い太刀筋になったな雫』

「ありがとうございます、師匠」

 私がザムシャーさんの弟子になり約二ヶ月が経とうとしていた。ザムシャーさんの修業は

 私が思っていた修行の何百倍も厳しく、この二ヶ月間で私の心は何百回と折れそうになった。

 だが、そのたびに帝君の思い出し何とかここまでやってこれた。そのお陰で、私とステータスと

 技能はとんでもない事になっていた。

 

『....これなら、最後の修業をつけても良いな』

「っ! 最後の修業ですか?」

『....あぁ』

 そう言った瞬間、私が修行の間に手に入れた技能の一つ、"先読"が発動し頭の中に私に向かって

 ザムシャーさんが斬撃を放つ未来が見えた。私は咄嗟に刀を抜刀して斬撃が来る方向に斬撃を

 放って斬撃を打ち消した。

 

「....一体、何の真似ですか」

『言っただろう。最後の修業だ雫。....この我を殺してみろ』

「っ!」

 私はザムシャーさんの言葉に言葉を失った。

 

『お前が足りないもの....それは人を殺す事に迷いを感じないという事だ。この事に迷いが

 あれば、お前はすぐに死ぬだろう。だから、我自身の存在をかけてお前に足りないものを

 埋めてやる』

 そう言いながら、ザムシャーさんは接近して刀を振り下ろしてきた。咄嗟に私は刀で

 受け止めたが、壁まで蹴り飛ばされてしまった。

 

「ぐっ....!」

『悪いが....我も殺す気で行くぞ』

 ザムシャーさんはそう言って一瞬で近づいてくると、連撃を放ってきた。

 

「(....やるしかない)」

 そう思い、私は連撃を躱して態勢を整え刀を構えた。

 

『....それで良い』

「....行きます!」

 そこからは刀と刀のぶつかり合いだった。私もザムシャーさんも一瞬の隙を狙いながら

 刀をぶつけ合っていた。そして、先に動いたのはザムシャーさんだった。

 

『星斬丸 閃』

「っ....」

 咄嗟に躱したのだが、私の頬からは少し血が流れた。

 

『星斬丸 乱』

「(この技....あの隙間を切り開ければ!)」

 私は飛んでくる無数の斬撃を見てそう思い、隙間を目掛けて走り出した。その途中、

 飛んできた斬撃は全て打ち消し、私は小さな隙間を作り出した。そして、その中を抜けて

 ザムシャーさんの懐に入り込み一撃お見舞いした。

 

『っ! ....やるな』

 そう言いながら、ザムシャーさんは刀を逆手に持ち直して構えをとった。

 

「(あの構えは....!)」

『これならどうだ....? 星斬丸 奥義惑星断!』

 そう叫びながら刀を振ると、地面を抉りながら巨大な斬撃が私に向かって放たれた。

 

「(避けることはできる....でも、それじゃあ何も変わらない。だったら....!)」

 私はそう思いながら刀を納刀して、居合の構えをとった。

 

「(私の....私だけの技で、あなたを倒す!)」

「剣技 彼岸花‐絶‐!」

 私はそう叫び、刀を抜き斬撃に向かって赤い斬撃を放った。赤い斬撃は惑星断を弾き飛ばし

 そのままザムシャーさんに直撃して吹き飛ばした。

 

『がはっ....!?』

「(っ....マズい....今の一撃で刀に負荷がかかり過ぎた....)」

 私は自分の持っている刀にひびが入っているのがわかった。そんな事を考えている間に、

 ザムシャーさんはふらつきながらも立ち上がった。

 

「っ....」

『ここまで強くなったか....見事だ』

 そう言いながら、ザムシャーさんは刀を構えた。

 

『雫。これが、我の最後の技だ。この技を打ち破り、我を超えてみせろ!』

「....はい!」

『行くぞ! 星斬丸秘奥義 銀河断!』

「剣技 彼岸花‐滅‐!」

 

 ~~~~

 

『....見事だ』

 勝ったのは私だった。そして、私の技はザムシャーさんの技を打ち破りザムシャーさんの

 鎧を破壊していた。

 

「ザムシャーさん....」

 ザムシャーさんの身体は、何かの光に包まれて身体が透けていた。

 

『良いか雫。今、お前の手の中にある感覚を忘れるな。その感覚を忘れれば、それはただの

 異常者だ』

「....はい」

『なら良い....少し手を出せ』

 そう言われ、私は手を出すとザムシャーさんは私に星斬丸という刀と一枚の青い着物を

 渡してきた。

 

「これは....」

『我からの餞別だ。....見失うなよ、お前自身が信じる道を』

「っ、はい!」

『....そろそろ限界か。ではな、雫。お前の旅路に、幸多からんことを』

 そう言って、ザムシャーさんは光の粒子となって消えた。

 

「....ありがとうございました、師匠」

 私はザムシャーさんがいた場所に一礼した。そして、私は星斬丸を腰に差し、小さいが

 ザムシャーさんの墓を建てて、変な気配を感じた方へ歩き出した。

 

「ここは....」

 着いた場所は、人が住めそうな隠れ家みたいな所だった。そこには、お風呂場やキッチン、

 大量の本が揃っていた。

 

「(人や魔法の気配もない....取り敢えず、一度お風呂に入って今後の動きを....)」

 そう思い、私は本棚から何冊かの本を取り出してお風呂場に向かった。

 

 ~十数分後~

 

「なるほどね....」

 お風呂に入りながら本を読んだ私は、着物に着替えてそう呟いた。本にはこの世界の

 真実が書かれていた。

 

「(一先ず、七大迷宮を攻略してエヒトってのを殺せば良さそうね)」

 そう思いながら本を閉じ、私はこの隠れ家の中を歩き回った。すると、魔法陣が光っている

 部屋を見つけた。

 

「(何かしら、この部屋....って、アレは!)」

 私は魔法陣に興味を示すより、別の物に興味が向かった。それは、帝君が持っていたメダルと

 似たような物だった。

 

「(これって、帝君が持ってた....)」

 落ちていたメダルは六枚で、それぞれ別々の絵が描かれていた。

 

「(きっと、帝君が必要よね)」

 そう思い、私はメダルを懐に入れて辺りを見渡した。

 

「(出れそうな所は無いか....なら....)」

 私は自力でここから出ようと思い、星斬丸を抜いて逆手に持った。

 

「お借りします....星斬丸 奥義惑星断!」

 私はそう叫んで、天井に向かって十字型の惑星断を放った。すると、惑星断は天井を貫き、

 地上に繋がる巨大な穴が形成された。

 

「さて、使えそうなものを持って出ましょうか」

 そう呟き、私は隠れ家から地図や小さな鉱石を袋に入れてここから脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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