不良と皇帝陛下   作:アイリエッタ・ゼロス

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対立と謎の声

「月無....それはどういう意味だ!」

 俺の言葉に、案の定アホは突っかかってきた。それを聞き、俺はアホに近づきながら

 こう言った。

 

「そのままの意味に決まってるだろ。テメェ等、戦争に参加するって事は人殺しを

 するってわかって言ってんのか」

「「「っ!?」」」

 そう言った瞬間、アホに賛成したバカどもは驚愕の表情を浮かべた。

 

「つ、月無! 皆を怖がらせる様なことを言うな!」

「何が怖がらせるだ。俺はただ事実を言っただけだ。....そもそも、何でこの世界を救う

 必要がある。戦争を始めたのはこの世界の人間達だ。この世界と関係の無い俺達が

 命を賭けてまで救う必要は無いだろうが」

「そんな事はない! 俺達はこの世界の神に選ばれたんだ! それに俺達には力がある! 

 その力はこの世界の人達を救う為に使うべきだろ!」

「力を貰って特別と思ってるのか。....笑わせんなよ偽善者」

 そう言ってアホを睨みつけると、アホの顔色は一気に青白くなった。

 

「お、おい月無....!」

「テメェは黙ってろ脳筋。アホに賛同するしか脳がない奴に用は無い」

 俺は肩を掴もうとしてきた脳筋の手を弾いてアホの胸ぐらを掴んだ。

 

「ぐっ....!?」

「そもそも、力なんて使いこなせるのか? ただのガキだった人間が、急に手に入れた力を

 本当に使えるのかよ」

「っ、当たり前だ! 皆がいればそんなものは簡単に乗り越えられる!」

「そんなもの、か....力に飲まれる奴が言いそうなセリフだ」

「何だと....!」

「力ってのは使い様なんだよ。使い手がど素人なら周りの人間を傷つける」

「そうなったら、俺が止める! それよりも、そんな事が起きない様に俺が皆を守る!」

「....テメェ」

 その言葉を聞いた瞬間、俺はアホの顔面を殴った。アホは飛んでいき、テーブルに激突した。

 

「がはっ....!」

「先に言っておいてやる。....お前が誰かを守る事なんてできない。自分の周りにいる人間一人、

 守る事ができない奴にはな」

 そう言って、俺は後ろに座っている八重樫を見た。俺の視線に気づいたのか、八重樫は

 目を閉じた。すると、さっきまでこの様子を見ていたジジイがこう言ってきた。

 

「まぁまぁ。急な展開で気が立っているのも理解できます。一先ずお開きにして、ゆっくりと

 休まれては如何でしょうか?」

「....チッ」

 俺は舌打ちをしてさっきまでいた席に戻ろうとした。すると、突然頭の中に謎の声が

 聞こえてきた。

 

『フフフ....良い闇を持っているな、人間』

「っ!?」

 俺は突然の声に周りを見た。だが、声を発している様な人間は見えず、他の人間にもこの声は

 聞こえていなそうだった。

 

『俺の声はお前にしか聞こえていない。周りを見たところで俺の姿は見えんぞ』

「(....お前は誰だ?)」

『俺か? 俺の名前はベリアル。闇の皇帝だ』

「(闇の皇帝だと....?)」

『あぁ。俺はお前にある提案がしたい。お前はこれから王宮に向かうだろう。王宮に着いたら

 俺の言葉に従ってある場所に来い』

「(....俺に何かメリットはあるのか)」

『勿論だ。お前次第で、元の世界に帰れるかもなぁ』

「(っ!?)」

 その言葉を聞いた瞬間、俺は一瞬思考が停止した。

 

『どうする? 俺の言葉を信じてみるか?』

「(....わかった)」

『そうか。ならば王宮に着き次第、一人である場所に来てもらうぞ』

 そう言うと、男の声は聞こえなくなった。すると....

 

「帝君」

 俺はいつのまにか目の前にいた八重樫に声をかけられた。

 

「っ! ....八重樫か」

「今から王宮に向かうそうよ。だから後について来てだって」

「(あの男の言った通りか....)あぁ、分かった」

 そう言って、俺は八重樫の後をついていった。

 

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