あの後、観光名所のような所を回って私と帝君はギルドに戻ってきていた。
「おかえり....って、随分色々買って来たねぇ」
「まぁな。雫、晩飯何にする?」
帝君は天井に吊るされているメニュー表を見てそう言った。
「帝君、あの料理って何なの?」
「アレか....アレは確かアクアパッツァみたいな料理だったな」
「そうなのね....じゃあ私はアレにするわ」
「そうか。じゃあ俺はアレにするのか....すんません!」
帝君は店員の人を呼ぶと注文をして受付の女の人がいるテーブルの前の椅子に座った。私も
帝君の隣の椅子に座った。
「で、デートはどうだったんだい?」
「....俺は楽しかったが、雫はどうだった?」
「もちろん、すごく楽しかったに決まってるじゃない」
「....そうか。なら良かった」
帝君はそう言いながら笑みを浮かべていた。
「何だい。良いカップルじゃないか。私達の心配はいらなさそうだね」
「あぁ。おばちゃんもありがとな。色々な意味で本当に世話になった」
「良いんだよ。若い子らには幸せになってほしいからね」
「おばちゃん....」
帝君は女の人と話していると、料理が運ばれてきた。
「あ、食事の後お嬢ちゃんと話させてもらっても良いかい?」
「俺は別に良いが....良いか雫?」
「え、えぇ....」
「そうかい。じゃあ後で受付裏に来ておくれ」
そう言うと、女の人は受付の方に戻っていった。
「何だったんだろうな?」
「さぁ....?」
そんな事を話しながら、私と帝君は晩ご飯を食べた。
~~~~
「じゃあ、少し行ってくるわね」
「おう」
「よっしゃ! ボウズは俺達と飲むぞ! 今日は宴だ!」
「俺は飲めねぇっての....」
すると、帝君は冒険者の男の人達に広いテーブルの方に連れて行かれた。私はそれを見届けて
受付裏に向かった。受付裏に入るといくつかの個室があり、そのうちの一つの扉の前に
女の人がいた。
「来たね。こっちだよ」
女の人は個室の扉を開けて私に中に入るように言った。私は個室に入ると、椅子に座るように
促された。
「悪いね。急に呼んじゃって」
「いえ....その、私に話しっていうのは何ですか?」
「ちょっと渡したい物がってね。人前で渡すとちょいと面倒になりかねない物だからね」
そう言うと、女の人は机の上に一枚の商品券の様な紙を置いた。
「これは....?」
「フューレンにあるランジェリーショップで使える商品券さ。私が若い時にあるイベントで
貰った物なんだけど使う機会が無くてね。せっかくだからお嬢ちゃんにあげるよ。きっと
必要になってくるだろう? 勝負下着」
「っ!? しょ、勝負下着って....」///
「恋人とのそういう事をする初めての夜は大事なのは女の私がよくわかるからね。
私としては、お嬢ちゃんとあの子には幸せになってもらいたいんだよ」
「....どうして私達にそこまで」
「....さぁね。異世界から来たお嬢ちゃん達にどうしてそこまで肩入れしてるのか、
自分でもよくわからないんだよ。でも、強いて言うなら少しでも良い思い出を作って
もらいたいっていう年寄りのエゴだよ」
「っ!? 私達が異世界人って気づいていたんですか....」
私は女の人が私達を異世界人だという事に気づいていた事実に驚いた。
「まぁね。これでも長いこと生きているんだ。異世界人がギルドに来ることはあったからね。
何となくわかるようになってるんだよ。安心しな。その事を言うつもりはないよ」
「....ありがとうございます」
「良いんだよ。それで、これ受け取ってくれるかい?」
「....じゃあ、ありがたく受け取らせていただきますね」
そう言って、私は商品券を受け取った。
「そうかい。なら良かったよ」
「このご恩は、別の形で返させていただきます」
「そうかい。なら楽しみにしているよ。....さ、そろそろ戻ってやんな。あの子も
寂しがってるはずだよ」
「はい。失礼します」
私はそう言って頭を下げて個室から出て帝君がいる所に戻った。戻ると帝君は何か飲み物を
飲みながら周りの男の人達と話していた。
「帝君」
「雫。話しは終わったのか?」
「えぇ」
「そうか。んじゃ、そろそろ帰ろうか。ガラッド、これで俺の分も払っといてくれ。余りは
酒代にでもしてくれ」
帝君は十数枚の一万ルタを置いてそう言った。
「サンキュ! おっしお前ら! 今日は飲むぞ!」
「じゃあ雫、帰ろうか」
「えぇ」
帝君は私の手を握ると、ギルドの外に出て宿の方に歩き出した。
~~~~
「なぁ雫」
「何?」
「その....今日は一緒のベッドで寝るか?」
「えっ....?」
宿に戻ってお風呂に入りのんびりとしていると、突然帝君は私にそう言ってきた。
「今日の朝、一緒に寝ないかって聞いただろ。雫が良かったらで良いんだが....」
「良いに決まってるじゃない。じゃあ今日は、一緒のベッドで寝ましょうね?」
「っ! あぁ....」
そんな事を話して数時間後、そろそろ眠りに就こうと思った。
「じゃあ、お邪魔します....」
「そんなに遠慮がちにしなくても大丈夫よ」
「と言われてもだな....女子と一緒のベッドで寝るなんて初めてなんだよ....」
「そんな事を言ったら私だって男の人と一緒に寝るなんて親以外にないわ」
「親は別だろ....」
帝君はそう言いながら、私と少し距離を空けて私とは反対側の方を向いていた。
「ねぇ....どうしてそっちを向くのよ」
「普通に恥ずいからだよ....」
「....」
私は少し帝君に不満に思うところがあり、後ろから帝君に抱き着いた。
「おまっ....!?」
「(凄い....背中越しからでも帝君の心音が聞こえる....)」
「....本当に緊張してくれてるのね」
「....当たり前だろ。好きな女なんだから」
「そっか....今日はこのままでも良い?」
「....あぁ。....明日は、もう少し頑張るな」
「....うん。楽しみにしてる」
そう言って、そのまま私は眠りに就いた。