不良と皇帝陛下   作:アイリエッタ・ゼロス

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守るべきもの/氷の魔物

 次の日

 

「....ん」

 窓からの朝日で私の目は覚めた。私は身体を起こそうとしたのだが、何故か私の身体は

 重く動きにくかった。何故かと思い、重くなった原因を見ると、私は帝君の胸元に

 抱きしめられていたからだ。

 

「(いつの間に....)」

 帝君の手は私の頭と腰にあり、優しく私を抱きしめてくれていた。

 

「....帝君の匂い」

 私は帝君の背中に手を回して帝君の胸元に顔を埋めた。

 

「(落ち着く....)」

 私はそんな事を考えながら帝君の心音を聞いていた。その心音に落ち着いたのか、私は

 再び眠りに就いてしまった。

 

 ~~~~

 帝side

 

「....」

「すぅ....」

「(どうしてこの状態に....)」

 目が覚めると、何故か雫は俺の胸元に顔を埋めていた。

 

「(....綺麗だな)」

 そう思いながら、俺は雫の頭を撫でた。

 

「守るからな。お前だけは、絶対に....」

 そう言って、俺は雫をやさしく抱きしめた。

 

 ~~~~

 

「さて、今日はどうする?」

 あれから一時間が経ち、俺と雫はギルドに来ていた。

 

「そうねぇ....じゃあこれとか....」

 そう言って雫が依頼書を取ろうとした時、突然入り口の扉が大きな音を立てて開かれた。

 振り向くと、そこにはガラッドとよくいるおっさんが倒れており、右腕が全て氷漬けに

 されていた。

 

「おいおっさん! 大丈夫か!」

 俺は急いで駆け寄り、おっさんの身体を壁にもたれさせた。

 

「....ボウズか。あぁ、ギリギリ何とかな....」

「どうしたんだよその腕....」

「ライセンに見た事のない変な魔物が二体いたんだよ....そいつらを奇襲して倒そうと

 したんだが全く歯が立たなくてな....殺されはしなかったんだがこのざまだ....」

「そうだったのか....」

 そう話している間に、周りの冒険者たちも集まり、中にはギルドの医療班もいた。そして、

 おっさんはそのままギルドの医療班に運ばれていった。

 

「....」

『(あの氷....まさか....)』

 俺が運ばれていくおっさんを見ていた時、突然頭の中でベリアルがそう呟いた。

 

「(何か知ってるのか?)」

『(まぁな。もしも奴ならちょうどいい。そいつがいる所に向かえミカド)』

「(わかった。だが、お前が命令するなんて珍しいな....)」

 そう頭の中で言いながら、俺は雫の元に戻った。

 

「雫、ライセンに向かうぞ。ベリアルから命令だ」

「わかったわ」

 そう言って、俺と雫はギルドを出てライセンに向かった。

 

 ~ライセン大峡谷~

 

「そういえば、何処にその魔物がいるか聞いたの?」

「あ....」

 ライセン大峡谷に着いてから、俺は雫にそう言われた。

 

「何やってるのよ....」

「返す言葉もないわ....」

 雫は呆れた表情をしており、俺は頭を抱えた。

 

「めんどくさいが魔力感知で探すか....」

『その必要はねぇ。もうどこにいるか見つけた』

 俺の言葉にかぶせるように、ベリアルのメダルはそう言って俺と雫の前に浮きあがった。

 

「「嘘(だろ)....」」

『んなわけあるか。とっととついてこい』

 そう言うと、ベリアルのメダルはどこかに向かって飛び始めた。

 

「取り敢えず追うか....」

「そうね」

 

 ~~~~

 

 ベリアルを追いかけて数分、着いたのは障害物の多い道だった。

 

『お前ら、あそこだ』

 そう言ったベリアルの視線の先には銀色の怪物と、赤と銀色が混ざった怪物がいた。

 

「あれがおっさんを倒した奴か....」

「(強いな....今まで戦った奴等とは比じゃないぐらいに....)」

「気配で分かるけど、強いわね....」

 隣で見ていた雫も二体を見てそう呟いていた。

 

「さて、じゃあどうする....」

 そう言って次の一手を考えようとした時、俺と雫はその場から飛び退いた。俺と雫がいた

 場所には巨大な氷柱が落ちていた。

 

『お~、今のを避けるか。なかなか勘が鋭い奴等じゃねぇか』

 そう言ったのは、銀色の怪物だった。そして、銀色の怪物と赤と銀色の怪物はこちらに

 歩いてきた。

 

『これなら少しは楽しめそうじゃねぇか。デスローグ、俺は男の方と遊ぶぜ?』

『グォォォ』

 二体の怪物はそう言うと、俺と雫に向かって攻撃を仕掛けようとしてきた。

 

「(おいベリアル。どうすりゃいいんだよ)」

『(死なないように倒せ。できるよな? 俺の力を持ってるお前なら)』

「(めんどくせぇな!)」

「雫! そっちは任せるぞ!」

 そう言って、俺はベリアライザーで銀色の怪物の攻撃を受け止めた。

 

『良い反応してるじゃねぇか!』

「やかましいわ! 悪いがとっととぶっ飛ばさせてもらうぞ!」

 そう言って俺は銀色の怪物から離れてベリアライザーにカードと一枚のメダルをセットした。

 

Mikado Access Granted.

 

ALIEN EMPEROR!

 

「武装!」

 そう叫びトリガーを引くと、俺の手には黒い剣が握られていた。

 

『おいおいおい....その剣ってまさか....!』

「悪いが一気に行かせてもらう!」

 俺は剣を構えると、一瞬で怪物の背後に回り剣を振り下ろした。振り下ろした剣は怪物を

 真っ二つに斬り裂いたのだが、斬り裂いた怪物は氷で作られた偽物だった。そして、氷で

 作った偽物の背後に移動していた怪物は俺に冷凍ビーム的な物を放ってきた。

 

「(ダミー作るのが速いな....)」

『お、お前なぁ! んな危ない剣振り回してんじゃねぇよ! てかなんだ! お前何者だ!』

 俺がそんなことを考えていると、怪物はどこか困惑した様子でそう叫んできた。

 

「俺か? 俺は、そうだな....闇の皇帝の継承者とでも言っておこうか」

『闇の、皇帝だと!?』

 そう呟いた瞬間、怪物は武器を下ろすと俺に走って近づいてき肩を掴んできた。

 

『お前! 陛下の継承者って本当なのか!』

「あ、あぁ....」

『陛下は! 陛下は今どこに!』

『うるさいぞグロッケン! そんなにデカい声で叫ぶな!』

 すると、ホルダーにいたベリアルが飛び出してきて銀色の怪物にそう叫んだ。

 

『へ、陛下ぁぁぁ!』

『だから叫ぶなって言っただろうが!』

 そうベリアルが叫んだ瞬間、銀色の怪物には紫色の雷が落ちた。

 

『あばばばば!?』

 紫色の雷が当たった怪物は断末魔を上げながらその場で倒れた。

 

『おいデスローグ! お前も戦うのをやめてこっちに来い!』

 ベリアルは雫と戦っていた怪物にもそう叫んだ。すると、雫と戦っていた怪物も腕を下ろし

 雫から距離を取った。

 

『おいミカド。コイツ起こせ』

「あ、あぁ....」

 俺はベリアルにそう言われてグロッケンと呼ばれた怪物を起こしてこの場から移動した。

 

 

 

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