不良と皇帝陛下   作:アイリエッタ・ゼロス

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邂逅

「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん....“天道"」

 ジジイに連れられた場所に着きジジイがそう言うと、俺達が立っている台座が

 動き始めた。台座は下に見える王城に向かっていた。その様子をバカどもは

 楽しそうに騒いでいた。バカどもがそうしている間に、俺は少し離れた所でバカどもを

 見ている八重樫の隣に立った。

 

「....この状況、あまり良い状況とは言えないわよね」

 隣に立つと、八重樫がそう言ってきた。

 

「あぁ」

「....」

「不安か?」

「....当たり前でしょ。戦うなんて、やらなくて良いならやりたくないわよ」

 俺の言葉に、八重樫は弱々しい声でそう言った。

 

「そいつはその通りだ」

「....帝君は、普段と変わらないわね。怖くないの?」

「あぁ。人間なんて、死ぬ時はすぐに死ぬ。だから、いつ最後が来ても良い様に少しでも未練を

 残さずに生きる。それが俺の生き様だ」

「....強いわね、帝君は」

 八重樫は俺のことをスゴイ人間を見るような目でそう言ってきた。

 

「そういう生き方しかできねぇだけだ。別に強いわけじゃない」

「そう....何か私に出来る事あったら言って。出来るだけ力を貸すわ」

「....だったら、一つ頼みを聞いてくれ」

 そう言って、俺は八重樫の耳元で小さな声でこう言った。

 

「王宮に着き次第、俺は単独行動を取る。その間、南雲の事を気にかけてやってくれないか?」

「単独行動って....それ、本気で言ってるの?」

「あぁ。本気で言ってる」

 八重樫はしばらく考え込むと、確かめる様にこう聞いてきた。

 

「....本気、なのね?」

「あぁ」

「....はぁ、分かったわ。出来る限り気にかけておく。でも、一つだけ約束して」

 すると、八重樫は俺の前に立ち、真剣な表情でこう言ってきた。

 

「絶対に、生きて帰ってきて。それを守ってくれるなら、何も言うことはないわ」

「....あぁ。約束する」

 そう言った時、頭の中にあの男の声が聞こえてきた。

 

『イチャついてるとこ悪いが、そろそろ着くぞ』

「(....別にイチャついてねぇ。それで、俺は何処に行けばいい)」

『それはいちいち指示を出す。お前はその通りに動け』

「(....わかった)」

 そうしている間に、俺達が乗っていた台座は王城の中に着いた。

 

『今だ。後ろにあるバルコニーから下に飛び降りろ』

「(あぁ)」

「じゃあ八重樫、そっちは頼んだぞ」

 そう言って、俺は他の連中にバレないようにバルコニーから飛び降りた。降りた場所は、

 同じような形をしたバルコニーだった。

 

『そのまま部屋の扉を突っ切って右に曲がれ』

 俺は頭に聞こえてくる声に従いながら王城の中を走った。そして....

 

『そこの扉の横にある飾りの目を同時に押せ』

 俺が着いた場所は宝物庫の様な場所だった。

 

「(剣やら杖やら宝石やら....売ったら日本円で幾らぐらいだ?)」

 そんな事を考えていると、再び声が聞こえてきた。

 

『宝石見てないで奥に来い』

「(はいはい....)」

 そう言われ、俺は宝物庫の奥の方に向かった。すると、奥にあるテーブルの上に置かれている

 何かが黒く光った。

 

『今光った物を手に取れ』

 その言葉に従い、俺はテーブルにある謎の機械を手に取った。その機械は真っ黒で、何かを

 入れる事が出来そうなスリットが三つあった。そして、持ち手の部分にはトリガーがあった。

 

『そのトリガーを押して、現れたゲートをくぐれ。俺はその中にいる』

 俺はその声に従い、持ち手の部分にあるトリガーを押した。すると、目の前に黒い光を

 放っている謎のゲートが現れた。俺はそのゲートから放たれる強烈な闇を感じながらも、

 恐る恐るゲートの中に入った。

 

「ここは....」

 ゲートの中は真っ黒で、至る所から強烈な悪意や殺意を感じた。そして、前の方から謎の

 気配を感じた。

 

「(とりあえず、気配の方向に向かえば良いのか....?)」

 そう思いながら、俺は気配の方に向かって歩き出した。すると、目の前に玉座の様な物が

 現れた。その玉座からは、謎の鋭い爪が見えた。

 

「お前が....俺を呼んだのか」

 そう言うと、玉座に座っていた存在は立ち上がり、俺の前に立った。

 

『ほぉ....俺の指示なしにここまで来るか。やはりお前は面白い人間だ』

 俺の前に立った存在は人間とはかけ離れた姿をしており、全身真っ黒で、ところどころ赤い

 模様が入り、両手は鋭い爪で、オレンジ色の獰猛な目をしていた。

 

『人間、俺の名はベリアル。お前の名は?』

「....月無 帝だ」

『ミカドか....ならばミカド、俺の力を受け継ぐ気はないか?』

 そう言って、ベリアルは黒い笑みを浮かべながらそう言ってきた。

 

「力だと?」

『あぁ。俺の魂はもう少しで消滅する。その前に、俺の力を誰かに受け継がせたいと思った。

 だが、俺の力は闇だ。その力を使うには闇を内包している人間にしか使えない。だから、

 お前にこの提案をしている』

「....」

『俺の力を使いこなす事ができれば、元の世界に戻れるかもしれない。どうだ? お前に

 メリットはある話だろ?』

「....あぁ、確かにな。だからこそ、いくつか聞いても良いか?」

『何だ?』

「....お前、本当の目的はなんだ」

 俺はそう言って、ベリアルの目を睨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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