八重樫side
「あ、おはよう八重樫さん」
「おはよう南雲君」
朝、私が自主練で剣を振りに行こうとした時、偶然南雲君と会った。
「八重樫さんは自主練?」
「えぇ。南雲君は図書館へ?」
「そうだよ。....それよりも八重樫さん。昨日の帝君が言ってた事、何か分かった?」
南雲君は、帝君が去り際に言った事を聞いてきた。
「いえ、何も分からないわ」
「そっか....」
そう話していた時、突然地面が揺れた。
「っ!?」
「急に地震!?」
私と南雲君は近くの柱に捕まった。すると、窓の外を見た南雲君が驚愕の表情を浮かべた。
「や、八重樫さん! アレ!」
南雲君は窓の外を指差した。私はその先を見ると、何か巨大なモンスターが
城に近づいているのが目に見えた。
「な、何よアレ....」
その大きさは私達がいる城と変わらないぐらいの大きさだった。
「も、もしかして、アレが帝君の言っていた面白いもの....?」
「それは分からないわ....」
そう話していた時、この城を覆っている結界の一つが破壊された。
「け、結界を破壊した!?」
「っ、マズイわね....南雲君! 貴方は周辺にいる人達の避難誘導を!」
「八重樫さんはどうするの!」
「あの巨大なモンスターの足止めにいく」
「い、いくらなんでも無茶だ!」
南雲君は私を止めようとしてきたが....
「そんな事は分かってるわよ! だけど、このままだと全員死にかねないわ。
それに、今ここでアイツに一番近いのは私よ。だから、少しでも足止めして
時間を稼ぐ。その間に、きっとメルドさん達が来てくれるはずよ」
「っ....分かったよ。避難誘導が終わったら、僕も僕にできる事をやってみる」
「えぇ。お願いするわ。それじゃあ、また後で」
そう言って私は地面を蹴り、巨大なモンスターに向かっていった。
〜〜〜〜
帝side
『上手くいったな』
「あぁ。まさか死体にも使えるとは思わなかったがな」
俺は今、ゴモラが暴れているのがよく見える所で浮いていた。
昨日の夜、俺は街で絡んできたゴロツキを一人殺した。その男から、この世界の金を
根こそぎ奪い、俺は黒いフード付きのローブを買いそれを纏ってゴモラの様子を見ていた。
『これで、お前とイチャついていた女は殺す覚悟が決まるのかねぇ....』
「別にイチャついてないんだが....てか、お前の本当の目的はそれか」
『ククク....あの女がいた方が面白そうだからなぁ』
「....お前、嫌な奴だな」はぁ
そう話している間に、八重樫がゴモラのもとに着き戦闘を始めだした。
「速いなアイツ」
『あぁ。それに、ゴモラの動きをよく見て動けている。それなりに戦闘の腕はあるな。
これなら、あの女一人で倒せそうだが....邪魔はいつでも来るものだな』
ベリアルはそう言うと、城の方を見た。そこには、甲冑を装備した騎士と、バカなクラスの
連中がゴモラに向かって走っていた。
『さて、どうする?』
「決まってるだろ。せっかくのショーの邪魔をさせるわけにはいかないからな。あそこで何人か
足止めする」
そう言って、俺は連中の進む道に向かって降りていった。
〜〜〜〜
メルドside
「っ、お前達止まれ!」
俺は突然現れた巨大なモンスターに光輝達と向かっていた。だが、突然上空から強烈な
威圧を感じたため全員を止めた。そして、俺が上空を見ると、黒いローブを着た謎の存在が
俺たちの前に立ち塞がった。
「申し訳ありませんが、ここから先は通行止めです」
声を聞くに、若い女の声だった。
「何者だお前は? あの巨大なモンスターと、何か関係があるのか?」
俺は剣に手をかけてそう聞いた。他の騎士や光輝達も、それぞれの武器に手をかけていた。
「何者かという質問は無視させていただきます。ですが、あの巨大な怪獣と関係があるかという
質問には答えさせていただきます。あの怪獣は、私の僕の様なものです」
女は随分と丁寧な口調でそう言ってきた。
「そうか....ならば聞こう。お前の目的はなんだ」
「そうですねぇ....あえて言うならば、貴方達の力がどれ程のものかを確認しにきたとでも
申しておきましょうか。特に、そこの勇者パーティーとして召喚された皆様の、ね」
「....その言い方からするに、お前は魔人族か?」
「さぁ? それは皆様の判断に任せるとしましょう」
女は俺達を挑発する様にそう言ってきた。
「それよりも、こうして呑気に話していても良いのでしょうか? 話している間にも、怪獣は
どんどんと暴れていきますよ?」
「魔人族め....! 何て非道な事を! お前はこんな事をして心が痛まないのか!」
すると、光輝が女に向かってそう怒鳴った。
「えぇ。だって、興味がありませんから」
「なっ....」
女は感情を込めずにそう言った。
「さて、くだらないお話しはこの辺りで終わりにしましょう。....さぁ、勇者パーティーの
皆様に騎士団の皆様。ショーが終わるまで、私と遊んでくださいませ?」
そう言った瞬間、女から殺気が感じられた。
「この世界の罪の無い人達をよくも....絶対に許さない! メルドさん! 急いで彼女を倒して
あの怪物を倒しましょう!」
「あぁ! お前達、陣形を組んでここを急いで抜けるぞ!」
「「「はい!」」」
「よし! 光輝に龍太郎に雫は....って、雫は何処に行った?」
俺は辺りを見渡したのだが、雫の姿は何処にも見当たらなかった。
「雫....名前からして少女の様ですね。その少女の容姿は分かりませんが、黒髪ロングの
少女が先程、黒髪の少年と怪獣と戦っていましたね....」
「何っ!?」
俺は女の言葉を聞いて動揺が隠せなかった。
「さっき話していた間に、怪獣に潰されたかもしれませんね?」
「お、お前ぇぇぇ!」
すると、激昂した光輝が女に向かって突進していった。
「おっと....危ないですね」
「お前だけは、絶対に許さない!」
「それはあなたのお好きにどうぞ。それよりも、皆様方も早く攻撃しなくて良いのですか?
このまま怪獣を無視してどうなっても知りませんよ?」
女は光輝の攻撃を躱しながらそう言ってきた。
「っ、お前達! 急いであの女を仕留めるぞ! 魔法を使える者は前衛のサポートだ! 前衛は
連携をとってあの女を仕留めるぞ!」
俺はそれぞれに命令を出して女に向かっていった。