ですので、【動揺】の該当する箇所のミスを訂正したことを、報告します。
僕の強くなる理由はいつだって1つだった
大切な人達を守りたい
大切な人達の英雄になりたい
そのためなら僕は、この身が削れようと剣を振るう
勝利の鐘の音が鳴り響く、その時まで
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祭り。それは古今東西で行われてきた大々的な催し。
ある物は神を崇めるため
ある物は為政者の権威を誇示するため
ある物は死者を弔うため
多種多様な形式を持つ『祭り』の1つが、この
人々は往来へ繰り出し、普段よりも多くの出店で食べ、飲み、遊んでいる。
そこから少し離れたとあるファミリアのホームでは、何やら一悶着起きていた。
「お母さんも一緒に行こうよ!絶対楽しいから!」
「だから何度も言ったろう!?いくらお前の頼みと言えど、祭りなどは真っ平御免被る!」
「なんでなんでなんでなんでなんで!」
「何度も言わせるな!汚らわしい、耳障りな音が四方八方から聞こえてくるからだ!!」
「やだよ、みんなで行きたいよ!」
「ああもう、うるさい!」
灰色の髪をした絶世の美女が纏う黒いドレスに縋り付く白兎。その白兎の頭に鋭い手刀が振り下ろされた。
「ふぎっ!?い、いったぁい…」
「お前ももう14だろう。そんなみっともない事をしてくれるな」
物凄い勢いで扉をバタンッ!と閉められる。あからさまな拒絶に、先の痛みも重なってベルは泣き出してしまう。
「ぐすっ…ヒック…」
「ベル、行きますよ。来年も、春夏秋冬お祭りはあるんですから」
「でも…」
「それともなーに?私達とは不満だった?」
アリーゼが
「いっ、いや!そういうわけじゃ」
「なら良し!行きましょ。リオン、アストレア様♪」
そう言うとアリーゼはベルをいつもの体勢……小さい子が人形を持つような形で持ち上げる。
「お、お姉ちゃん?!恥ずかしいよぉ…」
「あら、いつの間にお姉ちゃんになったの?」
人差し指を頬に当てて首を傾げるアストレア。ベルがアリーゼとリオンとの地獄の特訓をしている時、ヘスティアの所へ掃除に1泊2日、その後神会に行き、さらにそこから数日留守にしていたのでその間の変化は知る由もない。にしても、その仕草はあざとさMAXである。
「武器買った時に呼ばせたら定着したんですよ」
ベルも抱かれながらコクコクと頷いている。
「あらあら。アルフィアはどんな反応してた?」
「凄く…なんとも言えない顔をしてました」
「あはは……」
雑談をしながらも、祭りの会場へ向けて歩を進める。
歩くこと数分、出店が立ち並ぶ入口に辿り着いた。
「わあ…!」
さっきまで沈み気味だったベルのテンションがみるみるうちに回復していく。
「凄い!お姉ちゃん、リオンさん、アストレア様!あっちにもお店、こっちにもお店!すっごく賑やかです!」
これでもかとはしゃぐベル。まるで都会に来た田舎者である。
「お姉ちゃん、あれ食べてきて良い?」
「お、私もそれ食べて見たかったのよ!行きましょ!」
「うんっ!」
「昼頃には
「「はーい!」」
あっという間に2人の背は小さくなっていった。
「なんでしょう、この凄い姉弟感」
「仲良しなのは良いことだわ。リューも楽しみましょ?ほら、じゃがまるくんお祭り限定verが有るわよ!」
「アストレア様も随分楽しそうですね…」
思いの外爛々と目を輝かせて屋台へ突撃して行く主神相手に少しため息を着きながらも、リオンは微笑んで彼女を追って行った。
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それぞれ二手に別れて思う存分楽しんだ後、やや遅れてアリーゼとベルは集合場所である
故に、ここは
そんな場所で今行われている催しは、モンスターと人間の壮絶な戦いだ。しかし、ダンジョンとは違って圧倒的強者の側に立つ人間がモンスターを生かさず殺さず屈服させようとしている。
「凄いです!モンスターも仲間にできちゃうんですね!」
「でしょでしょ!モンスターに少しで、も知能があれ、ば
「凄いです!アーディさんのやつも見たかったな〜!」
「ふふっ♪ありが、とね、ベル。でも今はハシャーナの、かっこいいとこ、を、ちゃんと見てよっか!」
「はいっ!」
先程からベルと楽しげに会話しているのはガネーシャ・ファミリアのLv3団員、アーディ・ヴァルマ。ローブの奥の鈍色の髪は首の付け根辺りまで伸ばしているセミロング。透き通るような白い肌に起伏のある艶やかな肢体はスポーティな服装でより際立ったものになっている。
だが、右腕右足はは完全な義手義足であり、よく見ると右目も義眼である事が分かる。幼さを残した明るい笑顔が魅力だが、右側にある口元が裂けたように見える大きな裂傷が非常に痛々しい。
「ベル、本当にすぐ仲良くなったわね…」
「仲が良くなることは良い事だ。だが…」
「あらあら。アリーゼもリオンも、アーディちゃんに嫉妬?」
「「してません(してない)!!!!!!」」
席に座った時、ちょうどベルの隣に座ったのがアーディだった。
アリーゼらが席を離れている間に、ローブを深く被って憂鬱そうに俯くアーディに
「そう言えば、アーディさんは普段何をしてるんですか?ガネーシャファミリアの見回りの中では見ませんでしたし」
すると、アーディはバツの悪そうな顔になって、話をそらす。
「あはは…あ、ベルくん、もうすぐで、テイム完了だ、よ!ここからが
釣られてベルがそちらへ視線を向けると、今まさにグリフォンのテイムが完了するところであった。完全に地に落ちたグリフォンをハシャーナなる冒険者が優しく撫でたり、身振り手振りで敵ではないと視覚に訴えかけたりしている。
すると、数分後…
「凄い!人を乗せて飛びましたよ!」
「成功だ、ね!やったあ!」
互いの手を合わせてキャッキャと喜ぶ2人。
と、その時だった。
微かに聞こえる恐怖と動揺の声。脳や骨身に渡るまで染み込んだモンスターの慟哭。第1級冒険者のアリーゼ、リオンの2人だけは、その響きに気づいてしまった。
「聞こえたよね」
アリーゼの問いかけに、コクリと頷くリオン。
「私が行くわ。リオンはここで待機、みんなを守って」
アリーゼは
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「ベルっ!待ちなさい!」
アリーゼが顔色を変えて急に飛び出したのを見るやいなや、ベルはリオンの制止も聞かずに飛び出していった。追うことは簡単だが、主神であるアストレアを置いてはおけない。
完全な板挟み状態に陥ったリオンの背後から、怯えを含んだ声が聞こえた。
「ねえリオン…あの子の事、私に任せ、てもらって、良い?」
途切れ途切れの掠れ声。リオンは胸の鼓動が早まるのを感じた。本当に行かせても良いのだろうか。
間違いなく、外で起きているのは
しかし、アーディの瞳の奥に宿る意思は固いようだった。だから、リオンも意を決する。
「……ベルを一刻も早く、連れ戻してください。よろしくお願いします」
「うん。任されたよ」
次回、覚醒