【アズールレーン】修羅場発生器   作:そうすけ

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平和な修羅場です。


プリンスオブウェールズVSホーネット編

「金髪かあ……」

 

そんな事を呟いたのは理由がある。単純な話、スマホの動画を見てて綺麗だと思ったからだ。色もそうなんだけど、人として輝きが増す気がして。僕は生まれてから髪を染めたことがないので、そういった事に憧れを持っていた。ロイヤルの人達を見て金髪に見惚れてしまうくらいだ。まぁ、元々美人が金髪にしているだけなのかもしれないけど。

 

そんな訳で現在、不知火さんの売店でブリーチ剤を手に取って眺めている僕は、不知火さんに万引きの疑いをもたれ掛けている。

 

「……指揮官は不良になるつもりで?」

 

「違うよ!? 金髪になったところでグレないよ!?」

 

ひと昔前のイメージだと、髪を染める=不良になる。そんな印象だったけど、僕はそうは思わないし、人によっては印象も変わると思う。今は染めない方がヤバい奴と聞いたことがある。

 

「300万ダイヤを払えば見逃してあげますよ?」

 

「それ普通に買った方がいいよね!? 分かった! 買います!」

 

「……まいど、ありがとうございます」

 

勢いに乗って買ってしまった。まぁ見られたKAN-SENなんて不知火さんくらいで──────、

 

 

 

 

「不知火。予約した【指揮官ドラマCD-慰め濃厚ラブちゅっちゅ編】を取りに来たんだが──────」

 

 

 

 

 

見られたくない人同士が集まった瞬間、時が止まった。

 

 

 

 

 

 

「……指揮官、その手に持っている物の説明をしてもらおうか。何があった!」

 

「ウェールズさん!? 僕もその予約した不憫なCDが気になるんだけど!? 僕そんな収録した覚えないよ!?」

 

「そんなCDは無い───!」

 

ウェールズさんがお金をレジに置いた瞬間に、予約しておいたであろう不穏なCDをぶん取ると、握り締めて粉々になった。覚悟を決めたウェールズさんの表情はとても勇ましく、噛み締めた唇から滞りなく血が垂れていた。

 

「指揮官から失望されるくらいなら、これくらい安い物よ……では指揮官、話してくれるよね?」

 

大人しく理由を話すことにした。

 

 

 

 

 

 

「そういうことね。私はどんな指揮官でも認識が変わる事は無いが、そこまで言うなら手伝ってあげよう」

 

イメージは変わらない事に嬉しいのかどうかは分からないけど、ウェールズさんが言うのならばそういう事なのだろう。

 

「今の指揮官の髪色も良いと思うけど。そんなに金髪が良いの?」

 

「ありがとう。まあ憧れだから、飽きたら元に戻すと思う」

 

「脱色して戻すってそんなにすぐには出来ないけど……じゃあメッシュみたいに部分的に染める?」

 

「確かハウさんとかもメッシュだよね」

 

「そうね。それなら手伝ってあげるから、美容ルームに来て」

 

「美容ルーム?」

 

「そういう施設があるの。簡単に言えば、自由に使える美容院みたいなものね。KAN-SEN達も姉妹同士、染めて上げるの手伝ってるのよ」

 

へぇ。髪を染めたりするKAN-SENには便利な施設だ。僕には縁がなかったから全然知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「エンプラ姉ちゃんやめなよ……指揮官が怖がるだけだよ……」

 

「いいや! 指揮官は金髪が好きだと脳内に情報を受けたんだ! 最初は印象が変わってビックリするだけだろうが、そのうち慣れる!」

 

「ドン引くだけだと思うけどなぁ……ん?」

 

美容ルームに着くとそこそこ人がいた。やはり定期的に染めないと色が落ちるのだろうか。

 

「あの席が空いている。そこに座って」

 

僕は回転椅子に座り、首から下にシートを巻いたりしてウェールズさんの準備を待っていると、隣の席から手を振るジェスチャーを受けた。

 

「ハロ〜指揮官くん♡ こんな所で会えるなんてラッキーだわ。指揮官くんは何色に染めるのかなぁ?」

 

隣で髪を染めている最中のセントルイスさんに声を掛けられた。髪を下ろしたセントルイスさんも美人だなぁ。

 

「金色だよ」

 

「へぇ〜金色に……えっ───」

 

真顔で驚かれた。そりゃそうだよね。何事かと思うよ。

 

「あんた、誰かに唆されたんじゃないの? 重桜のあの人たちみたいに」

 

セントルイスさんの髪染めの手伝いをしているホノルルさんが会話に入る。

 

「僕の好奇心だよ」

 

「そう……」

 

「ホントに……? 何かされたら私達に言うのよ?」

 

「あはは」

 

割と色々起きているんだけどね……。

 

「───さて、美女たちとの雑談は終わった? さぞかし楽しそうで」

 

準備を終えたウェールズさんが戻ってきて、僕の頭を小突く。

 

「ウェールズさんも美人だってば」

 

「まったく……ではどうする? 染めるのは毛先だけで良いのよね?」

 

「うん。それでお願いします───」

 

髪を染めて貰いながらウェールズさんと雑談をする。

 

「指揮官は何色の髪の人が好き?」

 

「う〜ん、色に関して好みは無いけれど……好きな人の色だったら何でも、かな」

 

「指揮官の立場としての答えは100点ね。じゃあ、異性としては?」

 

「……金色、水色、赤色、灰色のどれかのメッシュカラーが入ってたら嬉しいかも」

 

「なるほど……じゃあ私も染めなければな」

 

「へっ!? それは……」

 

「なんだ? 好きな人の好みに合わせるのはおかしい?」

 

「そうかもだけど……」

 

「歯切れが悪いな。私には似合わないか?」

 

ウェールズさんの声のトーンが一段階下がった気がした。僕が言いたいのはそういう事ではなくて……。

 

「あら〜? 指揮官だにゃ〜? ついにデビューでもしたのー?」

 

「ほ、ホーネットさん?」

 

「そうだよー! エンプラ姉ちゃんが寝ぼけた事を言っててさー。金髪にしたいとか言ってるんだよ? どう思う?」

 

エンタープライズさんが金髪!? 本格的にどうしたのだろう……? この母港に不満でもあるのだろうか。

 

「やめろホーネット! 言いふらすんじゃ……指揮官!? どうしてここに!?」

 

エンタープライズさんは、首に巻いていたクロスを取っ払って、髪を染めている僕に動揺した。

 

「エンプラ姉ちゃんさー、この顔じゃ金髪似合わないよねー。金髪なら私の方が良いよね?」

 

エンタープライズさんが似合わない訳じゃないけど、あまりに銀髪が似合いすぎてどうこう言えた事ではないんだけども。

 

「まぁ……ホーネットさんの金髪は似合ってるかな?」

 

「ありがとうー! 指揮官だーいすき!」

 

「なっ!?」

 

「……」

 

ホーネットさんは施術中の僕の手を取り、にぎにぎと指を絡めた。それを見ていたエンタープライズさんは驚愕し、鏡越しに見えるウェールズさんの顔がますます険しくなった。ちょくちょくホーネットさんと話している最中も、椅子をガシガシ蹴られていたんだけどね。

 

「……悪いけど指揮官は毛染めの最中だから、どこか行ってくれる? 指揮官が首を振るから染めづらいんだけど?」

 

「あ、ごめ「それ、私関係ある? 指揮官が首を振らないように言えば済むだけじゃん」」

 

「素直に姉の髪染めてあげれば?」

 

「嫌なヤツ……」

 

ホーネットさんがエンタープライズさんを連れて険悪な雰囲気を残したまま、その場は終わった。

 

「……ふぅ。さて一応は染め終わったわ。あとは少し時間を置いてからシャワーで流すわよ」

 

「ありがとう、ウェールズさん」

 

「飲み物を持ってくるけど、指揮官は何が良い?」

 

「じゃあ、水が良いな」

 

「変わってるわね……私はコーヒー淹れてくるからまってて……甘い口車に乗るのも程々にね……?」

 

僕……そんなにデレデレしていたかな。

 

「モテる子は辛いわね、指揮官くん♡」

 

ウェールズさんが一時的に席を外したタイミングを見計らって、セントルイスさんがこそっと野次を入れてきた。

  

「やめてよ、セントルイスさん……」

 

「そうよ、デレデレしちゃって……胸が大きければ誰でも良いの?」

 

「その範囲だとホノルルも入ってるじゃない。良かったわね」

 

「か、からかわないで!」

 

「あはは……」

 

ウェールズさんとホーネットさんってあんなに仲悪かったっけ……? どこかのお話ではユニオンとロイヤルが共闘して重桜およびセイレーンと闘った気がするんだけど。

 

もしかして修羅場発生器って永続に起動……?

 

「はい、エンプラ姉ちゃん終わったよ」

 

「これが……私……?」

 

「ぷぷぷ……エンプラじゃなくて金プラだよね……っぷぷ」

 

「ほぉ……上手く仕上がったな。指揮官! どうだ! 惚れて結婚したくなったか!?」

 

「え? 何か言った……!? エンタープライズさんが金髪に!?」

 

着色が馴染むまで椅子に座りながら暇つぶしをしていると、エンタープライズさんが金髪になっていた。

 

「やっぱ滑稽だよね〜。そんなことよりさ〜、私も毛先染めてみたんだけど?」

 

ホーネットさんは姉を押し退けると、ツインテールの毛先を見せてきた。あ、赤く染まっていい感じのグラデーションになってる。

 

「おっ、いつの間に」

 

「エンプラ姉ちゃんの染め終わった後に、自分で染めたの。もしかして惚れたかにゃ〜?」

 

「自分で? 凄い器用だね」

 

「もっと褒めて褒めて〜! 何なら指揮官好みに染めてくれていいよ?」

 

軽い会話のはずなのに何だか重みがあるのは気のせいかな。美容師でも無い限りは無闇に女の人の髪は触らないよ。

 

「女の人の髪に触るのは恐れ多いよ〜」

 

「へぇ……数時間前、【誰かさん】の頭を撫でてるのに? 私のは撫でてくれないの? ねえ?」

 

ホーネットさんは僕の前に立ち、誰かさんを強調して僕の顔を覗き込む。ハイライトが消えてるのが重さのある原因だったか。すると、僕の閉じた両足に跨り、耳元で囁く。

 

「撫でてくれたら、私、何でもするよ? 姉二人と違って重くないから」

 

「え……別にそれは───」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事してるから【誰かさん】に先越されるんじゃないの?」

 

 

 

 

 

「チッ……」

 

コーヒーの準備ができたウェールズさんが戻ってきた。ホーネットさんを退かすように僕に水を渡す。

 

「まったく……指揮官は甘いから碌な蜂が寄ってこないわ。【また】私の事を撫でても良いんだぞ?」

 

「スキンシップが過ぎるんじゃ……?」

 

「何を今更。それにあなたはモナークにハグした後、頬を舐めたそうじゃないか」

 

からかうように笑うウェールズさんは、かいつまんだ事実で僕を驚かせる。

 

「それかなり端折ってるよ!? モナークさんにハグしたのは道端でよろけたからで、あんまんを食べていたモナークさんの頬にあんこが付いていたから指ですくい取っただけだからね!?」

 

僕の必死な弁解にウェールズさんはくすくすと笑う。

 

「わかっているわ。指揮官は無謀なスキンシップはしないものね。【重い誰かさん】も見習った方が良いんじゃない?」

 

「なにそれ。私の事を言ってるの?」

 

ウェールズさんとの雑談で頭から離れていたけど、ホーネットさんが近くにいた事を忘れていた。ケンカを売り返すウェールズさんとの間には砲撃戦が繰り出されているようだった。ちなみにエンタープライズさんは鏡の前で自撮りやら髪を結ぶなどのイメチェンの練習をしていた。個性的だなぁ。

 

「【重い誰かさん】って言っただけだけど? どこかの蜂さんはすぐ甘い口車に乗るのね。ひょっとして自覚あるの?」

 

「ねえ指揮官。この人、私の悪口言ってくるよ〜。───抱いてよ」

 

「え……?」

 

ホーネットさんは再び、僕の両足の上に跨り、水を持っていない方の手を指を絡める。そのまま柔らかい胸をクッションにするようにハグされた。最後の言ったのは、ハグって意味だよね……?

 

「無防備な相手にするのは強姦と変わらないわよ。そんな節操無しに身体を求めないで。指揮官がかわいそうよ」

 

「自分だって指揮官を人目に付きにくい建物裏に呼び出しているじゃん。何してんの? 外でヤろうとするなんて変態じゃん」

 

「……」

 

ホーネットさんの言うことは事実でもある。ウェールズさん本人は好きな人に対するイメージトレーニングだと言っていたけど、時々危ない領域に入りそうな事もある。その時はデュークオブヨークさんやモナークさんが引き剥がしてくれるけど。

 

辺りを見渡すと、シンと静まってこちらに注目を浴びてしまっていた。

 

「あのさ、ここだとアレだから一旦お預けにしない? 僕もここの美容ルームは大事に使いたいからさ」

 

「……そうね」 「指揮官が言うなら……」

 

二人とも理解はしてくれたけど、納得はしていない。はて、どうしたものか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ指揮官……」

 

「これはどういうこと?」

 

 

 

「わはは! 現時点で姉妹が集まれるとは私は嬉しいぞ!」

 

「うるさい。肩を組むでない!」

 

「未知なる出来事だが、無垢な蛇に呼ばれるのならば私は喜んで向かおう」

 

「何だか皆さん総出で……」

 

「指揮官に呼ばれたから、金髪を撫でてくれるかと思ったがヨークタウン姉さんまで連れて、どうしたんだ」

 

「あ、ヨークタウン型のあなた達もクッキー食べる?」

 

「いただきます」

 

「姉さん!?」

 

「エンタープライズも遠慮しなくていいぞ! ハウのクッキーは最高だ! 体が軽くなるぞ!」

 

「それ大丈夫なヤツか!?」

 

 

 

 

残念なことに、僕の頭では解決策が浮かばなかったので、双方のネームシップであるキングジョージ5世さん、ヨークタウンさんに状況を説明して、助けてもらうことにした。その際、姉妹艦の人たちにも同行してもらった。

 

「まぁ、いわゆる保護者面談かな」

 

「保護者?」

 

「面談……?」

 

お互い腕と足を組むウェールズさんとホーネットさんは睨み合っている。

 

「てかジョージまで何でいるのよ! これじゃ不良の娘相手にくる保護者じゃない!」

 

「まあウェールズ。事情は指揮官から聞いている。そうだろ、ヨークタウン?」

 

「ええ……まさかこんな形で指揮官様に頼られるとは思っていなかったけども……ホーネット? 指揮官様の毛染めの最中に邪魔したんですって?」

 

お母さんが優しく不良娘に語りかけるように、ヨークタウンさんはホーネットさんに話しかける。

 

「指揮官は私の事を邪魔だと思っていたんだ……やっぱり私と仲良くしてくれるのは姉たちの七光りだからなんだ……」

 

「おい、ホーネット。指揮官に向かって何だ、その言い方は!」

 

「ふ〜んだっ!」

 

ホーネットさんがドス黒くなっている所にエンタープライズは咎めた。

 

「まるで反抗期に入った娘と会話する両親だな……」

 

「モナークよ。私もそう思う」

 

モナークさんの例えが的確すぎた。

 

「わはは! ウェールズの小さい頃もそんな感じだったことを思い出すぞ!」

 

「おい!」

 

この状況で笑えるジョージさんって中々豪胆だよね……。

 

「指揮官様から聞いたけど、そちらの妹さんは指揮官様を路地裏に連れ込んで、良くない事をしてるって聞いたけど……あぁ……私の最後の希望の光の指揮官様が居なくなってしまうの……?」

 

あれれ〜? ヨークタウンさんの目のハイライトが消えちゃったよ〜? 誰と修羅場してるのかなぁ?

 

「またか」

 

「そなたも懲りぬ」

 

「広場の前でやれば解決だ!」

 

「う、うるさい!」

 

「ね? クッキー美味しいでしょ?」

 

「ホントだ!? うますぎる! アズゥゥゥルレェェェェン!」

 

ハウさん以外は会話に入っているものの、ハウさんのクッキーを食べたエンタープライズさんの顔が一瞬、男性の顔になった気がした。一体、誰だろう……とても声量が凄い人に見えたけど……。

 

「どうやらお互い落ち度があるようだな」

 

「そうみたいね……それに指揮官様に邪魔をしたのはこちらが先みたいだし──────今回はこちらが引くわ。ホーネット、帰るよ?」

 

「えっ……やだ! やだ! 指揮官! ねぇ! 私、邪魔じゃないよね!? 重くないよね!? 姉の妹じゃなくて、ホーネットとして話してくれたんだよね!?」

 

「やめろ、ホーネット! あの事実を誰が聞いても、ホーネットがどう見ても邪魔していただろ!」

 

ヨークタウンさんがホーネットさんを掴んで帰ろうとすると、駄々をこねた子供のようにホーネットさんは僕の服を藁にもすがるように掴む。エンタープライズさんが引っ剥がそうとするけど、かなり強く握っているため、中々離れない。

 

「ホーネットさんが気さくなのは僕も知ってるよ。今度、時間がある時にたくさん話しよう」

 

「じゃ、じゃあ! ハグ! 約束のハグ! 絶対だよ! 約束破ったら…………襲うから」

 

「何ィ!? ホーネット、それは私でもされた事が殆どないんだぞ!? 指揮官、私にもしてくれないか?」

 

「やめなさい、二人とも!」

 

ヨークタウンさんが妹二人を片手ずつでぶん投げた。さすがKAN-SENのパワー。

 

「指揮官はモテモテね! クッキー食べる?」

 

ハウさんにクッキーを渡されると、ハウさんにハグされた。

 

「ハウ!? 指揮官は渡すものか! この最優が見逃さんぞ!」

 

「うむ! 雨降って地固まったな! さて、指揮官! 牛丼をご馳走してくれ! それくらいはいいだろう?」

 

「アドーニスこそ我が!」

 

「ほう! 二人とも牛丼が食べたいか! ならば皆んなで一緒に食べようではないか! ははは!」

 

「じゃあね、指揮官! あ、待ってジョージ! 私、豚丼がいいわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……嵐が去ったようね」

 

「姉妹を嵐と呼ぶのはどうかな……」

 

結果的に、ホーネットさん側が引く事で事態は収まった(?)。

 

それで何故か僕はウェールズさんの自室に、二人してベッドの上に座っている。僕が床に座ろうとしたら怒られたので、横に座った。

 

「……私、手は出さなかったわ」

 

「うん……」

 

「……」

 

ウェールズさんは沈黙する。あれ? 言葉間違えた? それにしてもウェールズさんの手のひらが所どころキズ付いている。我慢する程握りしめて……。

 

「あっ──────」

 

思い出した。ウェールズさん、自分の買ったCDを粉々にしたんだった。それで、そのタイトルが【慰めうんたら指揮官編?】だったっけな。

 

「ウェールズさんはどうして欲しい……?」

 

横目でウェールズさんを見る。どうだ?

 

「……いじわる」

 

長いまつ毛に隠れた綺麗な赤い瞳が僕を見る。四文字なのにこんなにもドキッとさせられるなんて。

 

「ウェールズさんは頑張りました。偉いよ」

 

「……っん───」

 

頭を撫でたらウェールズさんは気持ちよさそうに目を瞑った。犬っぽいところがモナークさん──────。

 

「痛!?」

 

「私はあんなに依存していない」

 

撫でていない方の手をつねられた。

 

「べ、別にモナークさんの事なんて考えてないし?」

 

「……まだ誰とも言っていないけど? 私といるのに別の女の事を考えるなんて……」

 

僕はベッドに押し倒された。ウェールズさんの表情はイキイキと、高揚状態でギラギラしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女の子の接し方を覚えるまで返さないわよ? ふふふ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとついでにCDに収録されているはずだった【慰めボイス】を沢山喋らされた。




今回はちょっとだけ修羅場感だせて良かったです。
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