AKB49 〜浦川みのりRe:Start〜 作:YAYOI@小説書き始めました
彼女お借りしますの作者さんである宮島 礼吏さんの作品「AKB49〜恋愛禁止条例〜」と言うAKBを題材にした作品の二次創作小説を書くことにしました。
原作を久しぶりに読み直したら不意に書きたくなってしまった..
原作を読んでから見ていただくとさらに面白いものになる(予定)です!
では1話です。
第1話 神推しと呼ばれた伝説のアイドル、復活!?
AKB48には、神様に推されたメンバー、通称“神推し”と呼ばれた伝説のメンバーがいた。
そのアイドルの名は“浦川みのり”。
彼女が起こしたAKB旋風は計り知れないものであり、その後のAKBに絶大なる影響を与えた。
そんな浦川みのりには、隠し通さなければならない秘密があった。
その正体は誰も知らない。
但し、浦川みのり卒業公演に来たファンを除いては...
▼▼▼▼▼
「すみません、浦山さんレジお願いします!!」
「了解、今行く!!」
浦山と呼ばれたスタッフは、一目散にレジへと向かう。
「大変お待たせ致しました!」
一目散にレジへと向かった浦山は、レジ渋滞を素早く処理していく。
「ありがとうございました〜!またお越しくださいませ!」
「いやー、さすがは浦山さんだよねー...手際が良くて頼れるリーダーって感じ!」
「ははは、そこまでいいものじゃないですよ〜、僕がリーダーなんて...」
「お世辞じゃないですってー!あ、浦山さん休憩時間ですよね?休憩行っちゃってください!」
「あ、もうそんな時間かー...行ってくる!」
同僚に休憩を促された浦山は、スタッフルームへと戻り、暫しの休憩を取ることとした。
▼▼▼▼
「はー、休憩入ったー!疲れた...でも、前にやってたことに比べたら全然へっちゃらだな〜」
休憩室に入るや否や、大学入試模試集をそそくさと開く。
訳があり、大学へ進学することができなかったのだ。
「あー、浦山さん、また勉強ですかー?休憩中だって言うのに、よく飽きないですよね〜」
同僚の女性“桜ノ宮茜”がそう問いかける。
「茜ちゃん、そりゃそうでしょー。事情あって大学行けなかったんだし、行きたくて当然!」
「えー?私も好きで大学に行きましたけど、思い描いていたキャンパスライフとは程遠くて、入学早々やめようか悩んだぐらいなのに...浦山さんなら顔が美形ですしアイドルにでもなれるんじゃないですか?」
「アイドルかぁ...アイドルねぇ...うーん。。。。」
「まぁでも、俺が今考えてるのは大学への進学だけ!それ以外のことは何も考えないことにしてるし、大学へ行くという意思が変わることは絶対にない!!」
「あ、言いましたねっ?言質取りましたよ!?」
「言質取られるならこんな堂々と言うんじゃなかったよチクショー!!!!」
堂々と大学行く宣言をした自分を少し悔やんだ浦山だった。
「茜ちゃんほら!!もう出勤時間!着替えて行ってきな!!!」
「あっ!?もうそんな時間!?
急いで準備してきます!!!」
出勤時間になったことを茜に伝えると、気づいていなかったらしく驚いた表情を見せ、そそくさと準備をしに行った。
▼▼▼▼
「勉強してるのいいけど、無音じゃちょっと寂しいし、ラジオでもつけるかー。」
外から接客の声は聞こえるものの、それでは何と無く物足りない。
浦山はイヤホンをつけ、ラジオの電源を入れる。
「「たかみなまゆゆのたまゆラジオ!!!!!!」」
ラジオをつけた瞬間、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「まゆゆ先輩とたかみな先輩のラジオかー...って、あぶねあぶね、癖で先輩って出ちまった」
なぜ二人の事を先輩と呼んでいるのかは、気づいてる人もいると思うし気づいていない人もいると思う。
伝説のアイドルの名前は“浦川みのり”。
コンビニで働く俺の名前は“浦山実”。
名前が似ていると思った人もいるだろう。
もう気づいている人もいると思うが、俺、浦山実が女装をした姿が“浦川みのり”なのだ。
じゃあどうして、そんな俺がこうして普通にコンビニのバイトをしているのか。
本来であれば警察に御用になっても不思議ではないような大事件のはずだ。
▼▼▼▼▼
それは、俺、”浦川みのり“のAKB48卒業公演を間近に控えた日の事だ。
事実を端的に言うと、”浦山実“が女装した姿が浦川みのりだと言う事を週刊宝春にすっぱ抜かれた。
電話と共に女装した写真がポストに投函されていた。
脅しと言ってもいいだろう。
卒業公演当日に自分の正体がバレるのを恐れ、卒業公演直前に逃げ出してしまったのだ。
だが、メンバーの皆はそれを受け入れた上で卒業公演をさせてくれた。
メンバー全員に感謝しかない、あの時の俺は本当に恵まれていたんだなと感じる。
なぜ宝春にすっぱ抜かれたにもかかわらず、俺がこうして生活していけているのか。
それは、世界的に有名なハリウッド女優のミス・アフロディーテと、世界的ハリウッド男優であるラウル・ゴールドマン二人の粋な計らいにより、宝春の記事を取り消してくれた。
そんな世界的に有名な人と繋がりがあったかと言うと、俺はAKB時代に一度ハリウッドへ渡米している。
そこでの繋がりがミス・アフロディーテとラウル・ゴールドマンの二人だった。
ラウル・ゴールドマンには自分が男だと言うことを自ら明かした。
だが、正体を知ってAKB48を辞めた今でも電話をするほどの仲である。
ミス・アフロディーテとは、自身が大浴場でお風呂に入っている時、彼女もまたお風呂へ入ってき、その時に浴槽のお湯を全て抜かれ、自身の裸を見られている。
彼女はおそらく俺のことを”男“だと知っての行動だったのだろう、そう思う。
そして俺は卒業公演の当日、AKB48シアターに直接足を運んでくれていたファンの方だけに向けて、自分が”浦山実“であり、女装をしていたということを公表した。
この決断は自分自身が決めたことであり、それにより自分がどうなっても構わない覚悟でいた。
当然ファンたちの反応は当たり前のように怒りの感情を露わにしており、皆口を揃えて
「俺は男に恋してたっていうのか!!貢いだ金返せ!!!」
と言う罵詈雑言ばかりがシアター内に飛び交っていた。
そんな中、自分を顧みず、身を挺して僕らのことを必死に守ってくれたのが、”浦川みのり“として僕のことを研究生時代から応援し続けてくれた高校の先生である「奥平学」先生だった。
先生の熱弁により、シアターで正体を聞いたファン達は、その後一切外部で浦川みのりの正体を明かすことはなかった。
▼▼▼▼▼
そんな理由があり、俺はこのように”浦山実“としてコンビニでアルバイトをすることができている。
「やべっ、今日もう休憩終わりじゃん...勉強するはずだったのに、ラジオ聴き入っちゃったよ...。
でも、AKBも俺がいた時とは比べ物にならないくらい大きくなってるし、すごいよなー...でも、俺が今目指しているのは大学だ。あまり他のことも考えられねぇか...」
「AKB48の時代は華があったしめちゃめちゃ楽しかったって言うのは事実かもしれないけど、あんんなことは男である俺にはありえないことだからねー...」
感慨深くなりつつも、今はAKBとは全く無縁で、大学進学を目指すんだ。
俺は休憩時間を終え、勤務へと戻る。
▼▼▼▼▼
休憩時間を終えた俺は、レジへと立ち、いつものように接客していた。
「いらっしゃいませー...って、なんだよ有栖か、今日は何買いにきたんだよ」
「うふふ〜、今日は実くんの愛を買いに来ました♡」
「そう言うのいいからいいから!さっさと買うもの出してくれ、AKBのメンバーと親しくしてたら周りにどう思われるかわかったもんじゃねーよ」
「えー、実くんのケチー!実くんが伝説のアイドルだったって事実バラしちゃいますよ〜?」
「おい、それだけはマジでやめろ!俺の立場無くなるから!」
「えへへ〜(о´∀`о)」
軽い態度を取り、俺をからかってくるこの少女、名前は有栖莉空。彼女も俺がAKB48にいたときに一心同体と言っても過言ではないレベルで一緒に行動していたアイドルの一人だ。
最も、俺が卒業した1年前はまだ研究生の段階ではあったが、徐々に実力が認められていき、現在はAKB48正規メンバーとして活躍している。
だからこそそんな有名人がこんな知り合いが誰もいないような普通のコンビニに、定期的に足を運ばれると少々俺の立場も怪しくなるし厄介なのだが...彼女が楽しそうにしているので別にいいかなーと言う気持ちになってしまう。
ちなみに彼女は定期的にこのコンビニに遊びに来てはAKB関連商品を購入していく。
いわば常連だ。
ちなみに莉空は一番最初に俺が男だということを知ったアイドルであり、それを誰にも言わずに隠し続けてくれた。
あの時は感謝している。
だが、今はもう一般人と有名アイドルの立場だ、あまり絡んでしまうとスキャンダルされてしまう。
「で、今日は何だ?また商品買いに来ただけか?それなら早く帰ってくれないと俺が怪しまれるし、莉空もスキャンダルなんて受けたくないだろ?」
いくら帽子とマスクで顔を隠しているとはいえ、漂うアイドルオーラは隠し通せないのだ。
実際莉空からはアイドルオーラが全開である。
「まぁ、商品を買いに来ただけですけどついでに実くんと喋りたいなーって。
あと、スキャンダルされて芸能界を引退することになっても実くんと一緒に暮らせる事ができたら莉空は幸せですよ♡」
「おいおい、アイドルが気安くスキャンダルOKとも聞き取れるようなことを言うなよ...アイドルって自覚持って!」
「男なのにAKBにいてた実くんにアイドルの自覚持ってと言われるとは思わなかったなー!」
「おい!それって嫌味か!!!俺だって受かるとなんて思ってなかったし!!吉永はAKBのトップアイドルになったけどそれでも俺の心はあいつの友達だしただの吉永ファンだ!」
「はいはい、吉永先輩に対する惚気話は聞きたくありませんよ〜、莉空との惚気話ならいくらでも聞いてあげますけどねー!」
「あのなぁ...」
俺はその言葉を聞き頭に手を当て項垂れた。
「とにかく後ろも詰まってきそうだし、会計済ませるぞ!」
「はぁ〜い」
だるそうな顔と声で返事をした有栖。
会計を済ませ、莉空がレジを離れる直前、突然こんなことを言ってきた。
「実くん、近いうちにまた“浦川みのり”になれるかもしれませんよー!!」
「おい、その名前を大声で叫ぶんじゃねえ!それとまたあの姿になったら隠し通してくれてるファンに顔見せできないだろうが!!」
「うふふ〜!」
有栖は含み笑いのような笑顔を浮かべ店を去っていった。
「(最後の言葉って何だろうな...めっちゃつっかかる...)」
最後の「また”浦川みのり“になれる」その言葉を聞いて、もうあんな悲しみは嫌だと言う感情半分、またあのありえないけども楽しみがまた戻ってくるのかと言う喜び半分というなんとも言えない不思議な感情に襲われたのである。
▼▼▼▼▼
有栖がコンビニを去ってから約3時間、すっかり外は陽が沈み、夜となっていた。
「もうこんな時間かー...今日も長いようで短いような1日だったなぁ...家帰ったら何のご飯作ろうかなー...あ、休憩時間で勉強できなかった分帰ってからしっかり勉強しねぇと...。」
家に帰った後どうするかの計画を立てながら、残り少ない勤務時間をレジを捌きながら過ごしていた。
そして、勤務時間が終了する10分前に、もう一人の”常連“が訪れた。
「いらっしゃいませ〜、って、今度は秋元先生ですか...また今日もじゃがりこですか?」
「ああ...うちのじゃがりこ達は、皆優秀でね。」
そのもう一人の”常連“は、48グループの総合プロデューサーである“秋元康”氏であった。
俺がAKBを卒業する直前に、バレてるのに隠し通しているのも嫌だと言う理由から自ら男であることを明かした。
だが、秋元先生も男であることを公に公表せず、今までと同じようにAKBメンバーの“一員”として接してくれた事を今でも感謝している。
そして卒業した後になぜか知らないが、勤務しているコンビニに、毎週必ず訪れる“常連”になった。
しかも毎回買っていく商品も「サラダ味のじゃがりこ5つ」決まってこれしか購入していかない。
毎回同じセリフを喋るのが定番だ。
そのセリフは「うちのじゃがりこ達は、皆優秀でね。」と。
おそらくメンバーのことを比喩しているのだろう。
いつもコンビニに足を運んではじゃがりこ5つを購入し、このセリフを決まって発して、あとは会話もなく帰っていくのが恒例の流れだ。
だが、いつも何も発さない秋元先生が去り際にこんな言葉を発した。
「仕事が終わってからでいい、すぐそこの公園に来てくれ、話がある」
和やかな表情の先生の顔つきが、その言葉と同時に本気の顔つきに変わった。
俺もAKB時代を思い出してしまい、ついつい体が固くなってしまった。
「わ、わかりました」
口から出たのは肯定の言葉のみ。
久しぶりの緊張に押し負けてしまったのである。
「それじゃ」
その言葉だけ伝えて店を後にした。
有栖が言ってた「“浦川みのり“にまたなれる」と言う言葉と何か関係があるのだろうか...少し嫌な予感に感づいた浦山だった...。
▼▼▼▼▼
勤務時間が終了した俺は、着替えを行い店を後にしようとした。
「う、浦山さん!」
店を後にしようと自動ドアの前に立った時、俺を呼び止めた一人のスタッフがいた。
「ど、どうした?茜ちゃん」
俺を呼び止めたのは、昼休憩の時に話をした桜ノ宮茜。
「さ、さっきレジで話してた人って、秋元康さんですよね...?浦山さん、何で話してたんですか...?」
どうやら俺が秋元先生と話をしていたところを気づかれてしまっていたようだ。
「あー、あの人はいつもきてくれる秋元さんに似た常連さんだよー」
「そ、そうですか?私には本人に見えたんですが...」
「いやいや、冷静に考えたらわかるけど、こんなコンビニにあんな多忙な人が来るわけないじゃん」
「そ、そう考えればそうですね...!変な事を聞くために引き留めてすみませんでした!浦山さんお疲れ様です!」
「あ、ああ、お疲れ!明日もよろしく頼む」
少し怪しい節もあったがなんとか茜ちゃんは納得してくれたようだった。
だが、念には念を入れて警戒をしておこう。流石にバレるとまずいことになる。
そして俺は店を後にした。
▼▼▼▼▼
店を後にした俺は、すぐ近くにある公園に足を運んだ。
そこには、ブランコに座る秋元先生の姿があった。
「秋元先生、そこで何ブランコに座ってるんですか?」
そう質問するとブランコを少し漕ぎながらこう俺に返答した。
「ブランコに乗っていると、”怖い“、”危ない“と言う感情を持ちつつも、どこかに”楽しい“だったり”ずっとやっていたい“と言う感情も芽生えると思う。」
そう言うと、ブランコから手を離し体を持ち上げてこう俺に質問した。
「まさに今話した感情が、君が、”浦山実“が”浦川みのり“として体感した感情ではないか?」
秋元先生が語る言葉は僕の感情の確信に迫る言葉だった。
「秋元先生の言う通りです。僕はAKBの研究生として入った時、いつバレるかわからない恐怖が心全体を支配していました。
でも、舞台に立ったあの日から「ずっと輝いていたい」と言う感情が恐怖よりも勝りました。
ここで初めて「アイドルってこんなにも楽しいんだ...」と言う感情が芽生えました。」
「うん、そうだろうと思ったよ。」
自分の感情を話した後、秋元先生は自分とは逆の方を向き、こう発言した。
その発言に俺は耳を疑うこととなる。
「そんな君に朗報だ。僕が直々に君をAKB48メンバーとして改めて受け入れたいと思う。
AKB48のメンバー”浦川みのり“として。
そしてもう一つ、新たな試みだが、新たに”浦山実”として、端的に言うと“性別の垣根を超えたアイドル”になってほしい」
俺は唖然となり、そこに立ち尽くしたのであった。