AKB49 〜浦川みのりRe:Start〜 作:YAYOI@小説書き始めました
戸賀崎さんからの熱いアドバイスを受けた俺は、AKB48のシアターを後にして、家路を辿っていた。
「しかし、戸賀崎さんがあんなにも熱弁するような人だとは...正直予想外で好感度めちゃめちゃ上がるわ...」
戸賀崎さんは子供がいるって言うことは知っているが、それにしても堅物で強面な戸賀崎さんがあそこまで親身になって話をしてくれるとは思いもしなかった。
「しかし、本当にどうしようか...もしやるとなった場合、妹の雅希にも話さなきゃならんもんな...」
雅希とは、俺の妹であり、嫌な妹でもあるが一緒にいると楽しい妹でもある。
そんな雅希は、家に届いていたスクープ写真を見てしまい、俺が浦川みのりだと言う事を知ってしまった。
その写真を持ち、シアターに行き、浦川みのりが”浦山実“だと言う事実をメンバー及びAKB関係者全員が知ったのである。
雅希は今は寮生活を送っており、一緒には住んでいない。
だからこそ、電話でしか言えないと言う恐怖が常に付き纏うのだ。
電話となってしまうと、伝えたいことがうまく伝えられなかったり、中途半端な伝わり方をしてしまうから、できる限りは直接伝えたいのだが、今は生憎電話ができる時間でも無さそうだし、また後日とする事とした。
「さてと、今日は家に帰っていつも通りに過ごすかー...でも、あんな話を聞いた後だし普通には出来ないし、事実どうしようか悩んでるからなー...」
事実、俺自身はAKBとと言う場所には居てはいけない存在だ。
だが、戻れるならまた戻りたい。
ファンだって待ってる、行かないと...と思うほど、1年前に皆に迷惑をかけてしまった事を思い出してしまい踏みとどまってしまうのだ。
「まー、とりあえず今は家に帰って、飯の準備かなー?」
今真剣に考えて、あまり今詰めてしまうと仕方がないと思ったため、俺はまずは家に帰ってご飯を作る事だけを考えて家路を目指した。
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家路を歩き、家に着いた俺は、いつものように夜ご飯(今日は豪勢にステーキ)を食べ、いつものようにお風呂を沸かし風呂へ入り、いつも通り自分のベッドへと入る。
「でも、今日は色々あったな...仕事中に有栖と秋Pがくるのはいつものこととして、まさかAKBのシアターに連れて行かれて、たかみな先輩と吉永に会ってあんな話を聞かされるとは思いもしなかったな...」
職場に秋Pと有栖が来るのはいつものことなのだが、その先の展開が異常に突然すぎて、今日の夜だけの事だったのだが、自分には何日にも感じてしまうくらいに濃い一夜だった。
「しかし、本当にどうしようか...ファンの期待に応えないわけにはいけないし、でも吉永とかたかみな先輩とかの意見も無視はできないし...うーん...」
俺は天井を見つめながら考えていた。
ファンの期待に応えるべきなのか?それとも、メンバーの意見をしっかりと汲み取って、意見を考慮するか。
その時の感情、そして考えている事は完全に一般男子”浦山実“ではなく、AKB48元メンバー”浦川みのり“となっていた。
事実、俺は本当にメンバーに戻れるなら戻りたいのだ。
だが、そんなことをして仕舞えば、多方面に迷惑をかけてしまうかもしれない。
幸い明日は1日休みなので、1日ゆっくりして、それでいて答えを出そうと決めた。
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ピンポーン...ピンポーン...
「っつぁぁぁ...何だよこんな朝早くに...誰だっつーの...。」
俺は、家のインターホンがなる音で目を覚ました。
休みの日なんだから昼まで寝させてくれよ...まだ朝なんだから...そう思いつつ、重い体を起こし、玄関先へと向かう。
「はーい、こんな朝早くからどちら様ですかー...って、えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」
「実くん、みんなを連れてきちゃいました♡」
「お、おはよう、実くん...ごめんね、急に来ちゃって...」
「みのりん、朝早くにごめんね〜、有栖ちゃんが一緒に行こう行こうってうるさくてー」
玄関のドアを開けると、そこには私服を着た有栖、たかみな先輩、吉永の姿があった。
「おい...この二人を誘ったのは有栖だな...?」
「やだなー実くん、私がやったってわかってくれたんですかぁー?嬉しいな♡ゴツッ痛ったぁぁぁぁい!!実くんいつもよりも力強くないですか!?」
「当たり前だろ!!!みんな忙しいんだからさぁ!あと俺もうAKB関係じゃないから写真とか撮られたらどうすんだよ!!」
「大丈夫ですよ!今日は私たち3人はお休みですし、スクープが起きないように配慮してますから♡」
有栖はいつものように返答した。
この会話も、何だか懐かしいような、そんな気がする。
「とりあえず、みんな部屋入れ。こんなとこで話してたら色々とまずいだろ。」
流石にAKB48の主力メンバー3人が、見知らぬ一般男性の家の前に3人一緒にいるのはまずいだろう。
俺は、3人を部屋に引き入れた。
「実くんの部屋、寮の時と全然変わってませんねー...何だかワクワク感がないです〜」
「よく言うぜ、突然訪問してきたくせによ」
「えへへ〜有栖は一番実くんの部屋を知ってますからねー!なんせ将来を誓い合った仲ゴツッだから痛いですよ実くん!!!!」
「だーかーら!有栖が口を挟むと話がぐちゃぐちゃになるから一回黙っててくれ!!!!」
有栖が関与すると、話があらぬ方向へと舵を切られてしまうからな。
有栖には少し黙ってもらうことにした。
「ふぁーい」
不貞腐れた顔をした有栖が、渋々返事をした。
「有栖はなんの抵抗もなく部屋に入るんだね...やっぱり寮で一緒に生活してたって言うのは大きいのかな?」
「そ、そうかもしれないですね...私も実くんの部屋に入るのは初めてなので...」
二人とも、なぜすぐ上がらないのだろうか。
男の一人暮らしの玄関に長いこと居座られると、AKB48のオーラが失われてしまう。
まぁ、俺の家に入った時点ですでにオーラ消えてるけどね。
「吉永、たかみな先輩も上がってくださいよ、そんなとこにいたらAKBのオーラが消えちゃうっす。」
「う、うん、こんなとこで喋ってるのもあれだよね!寛子、上がるよ!」
「は、はい!」
俺は、吉永が俺の部屋に上がるのを躊躇っているような気がした。
いや、躊躇っていると言うか、照れていると言うか...?
いやいや、AKB48の吉永寛子だぞ、今までも数々のイケメン俳優や芸能人と共演したはずだ。
だから、こんな一般男子、しかも同級生である俺に恋心を抱くわけがないだろう。
そう思った。
たかみな先輩は、吉永を先導しているが、先輩自身も少し照れのようなものが見受けられた。
これも吉永と同じような理由で、恋心ではないものだと勝手に思っている。
「吉永も、たかみな先輩も無理して普通を装わなくてもいいっすよ、二人ともめちゃくちゃ照れてるのバレてますし」
「な、、っ!みのりん、私が照れてるとでも!?」
たかみな先輩の額からは汗が滲み出ており、目も泳いでた。どうやらたかみな先輩は照れ隠しが苦手のようだった。
「ええ、それはもうめちゃめちゃ照れてるのがわかりますよ」
「そう、かな...?」
何故照れてるのかはわからなかったが、それはいずれ知ることになるのだが...
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こうして、今俺「浦山実」の部屋にはAKB48トップである「有栖莉空」、「吉永寛子」、「高橋みなみ」の3人がいる。
普通に考えればおかしなことだ。
ただのAKB48「吉永寛子」の一ファンである男の部屋に、AKBの最先端を突っ走るトップ3人が一同に集っているのだ。
それも俺が「浦川みのり」として活動していた他ならない。
冷静になって振り返ると、他のAKBファンからすれば卒倒するレベルの一大事であることは間違いない。
そんな俺の部屋には、冬場であるからして、一台のコタツが鎮座している。
そのコタツは4方向から入れるコタツであるため、その4方向にそれぞれメンバーがいるということになる。
当然コタツは一人用で購入したため、4人同時を想定しておらず、もうちょっとで足が触れ合ってしまいそうな、そんな小ささだ。
「「「...................」」」
「あ、あのー、お三方???なぜそこまで黙っておられるのですか???」
俺の部屋に上がりコタツへ入るや否や、3人とも口を紡ぎ誰も喋ろうとしない。
その空気に耐えかねた俺は言葉を発した。
「だ、だって落ち着かないじゃん...?私、男の人の部屋に上がったことないんだからさ...あ、別にみのりんのことをそういう風に見てはないよ!でも、緊張はするよね...」
どうやらたかみな先輩は、男の人の部屋に上がったことがないようだった。
昔に上がってるものだとてっきり思っていたのだが...照れているのもそれが原因なのだろう...。
「私も、男の人の部屋に上がったことはあるけど、浦山くんの部屋に上がったのは初めてだから...」
いやちょっと待て!
吉永は男の部屋に上がった事はあるけど、俺の部屋に上がって照れるって事は、やっぱり1年前のあの表情は嘘じゃなかったって言うのか...?
いけないいけない、俺は今は吉永の一ファンであり、吉永はAKB48のメンバーだし、俺に恋愛感情はないはず。
とりあえずこんな気持ちを吉永に伝えたところで自意識過剰と思われるだけだ。
その気持ちは心の奥底に留めておくとしよう。
「あー、たかみな先輩も吉永先輩も、それって実くんにLOVEしちゃってるんじゃないですかぁ〜?」
「なっ!?有栖ちゃん何言っちゃってんの!?そんなわけないじゃん!ね!?寛子ちゃん!」
「そ、そうだよ有栖ちゃん!そんな、私とたかみな先輩が実くんに恋してるなんて!!!」
俺が心の内に留めておいた言葉をそっくりそのまま有栖が二人に伝えてしまったのだ。
二人は突然びっくりしたのか慌てふためいていた。
だが、俺には二人の慌てふためいている姿が、びっくりしているのではなく、恋をしている女子の顔をしているように見えたのだ。
だが、その感情も今は押し殺しておくしかない。
「おいこら!!!有栖!!!」
「えー!だって実くんにLOVEしちゃってるの隠してても無駄だと思っtゴツッッ痛ぁぁぁい!!!実くん今日私の事何回殴るんですか!?警察呼びますよ!!」
「アホ言え!お前が一言多いからだろ!いい加減慎め!!!!」
「えーだってみんな喋らないから莉空が喋ったのにー」
「そこでそれを言うアホがいるか!!!アリスは一回黙ってろ!!!」
「ふぁーーーい」
有栖は渋々返事をした所で、俺は口を開く。
「ごめんな二人とも、有栖、ずっと昔からああ言う奴だからさ...許してやってくれ」
「それは勿論有栖ちゃんの事は許すけどねー...」
「有栖ちゃんって、ひょっとしたら浦山くんの事好きなんじゃないかな...?」
「まっさかー?と言いたい所だけど昔から有栖そう言う感じの対応してきた事あったから、わかんないね」
「そ、そうなんだ...」
「まぁ、有栖が黙った所で、こんな朝早くに俺の家に来た理由を教えてほしいんだが...」
「うん、その事なんだけどね...」
何故俺の家に朝早くに来たのかが、一番わからない。
その事を切り出すと、吉永が口を開くのだった...。