創造神のレプリカはいずれ頂点へと至る 作:ぴにゃこら太
『シルヴァディ』って、知ってます?
始まりはなんてこともない出来事だった。夜中に大した用事もなく外に出て、ただひたすらに散歩をしていた。11月の秋から冬に変わりかけるこの季節の風は、夜ということもあり冬らしいとても寒いものだった。寝間着として着ていたパーカーしか着ているものはなかったので身を震わせながら、それでも足を進めた。
途中、自動販売機があったので近づき、温かいお茶を購入して手に持つ。じんわりと熱を伝える手の中の容器は次第にその熱を失っていくのだが、そうなる前に一気飲みを決行し、そして盛大にむせた。あたり一面に散らばるお茶が地面を濡らしながら急速に冷えていく。それをもったいないことしたな、と独りごちる。そうして口から白い息とともに出た言葉は風と一緒になって後方へと流れていき、そして寒いという感情が残った。
俺、佐々木はなんの変哲もないごく一般の大学生である。日々の講義やレポート課題に追われるどこにでもいそうな学生の彼はポケモンというゲームが趣味だった。小学生の頃初めてポケモンに触れ、一時期は離れもしたが独り暮らしをきっかけに暇つぶし目的にポケモンのゲームを買い、そしてポケモン熱が再燃した。
再燃する前は全く知らなかったコンテンツ、いわゆる『3値』の存在を知ると、ただひたすら強い個体を求めて夜遅くまで孵化、育成をしていた。そして出来上がったポケモンを、バトルに使うのか──とはいかず、コレクションし、自分だけの理想をつめたBOXを大量に生産していた。次第に『対戦で強い』ポケモンだけではなく、個人的に気に入ったポケモンもそのように育成してはコレクションし、自分だけの宝箱を愛でていた。
じゃあコレクター一筋なのか?と、問われると、違うという。たしかに育成して、育てたポケモンを眺めるというのは気持ちがいいが、それとは別にバトルを楽しむ心も持ち合わせていた。レート戦はあまり手を出していないが、フリー対戦や、ネットで繋がった人とのフレンド戦は全力で楽しんでいた。
そんな彼が使うポケモンは、レート戦でランキング上位に入るほどの使用率を誇るポケモン達は手持ちにあまり見られず、基本的に彼の趣味で構成されていた。その趣味はコロコロ変わるようで、一時は6体すべてはがねタイプで構成したことや、だいばくはつ主体のパーティなど組んでいた。
そのように、趣味がコロコロ変わる彼にも特に強いこだわりを持っているポケモンがいる。その名は『シルヴァディ』と言い、彼が手持ちを構成するとき、高確率でシルヴァディが入っているのだ。もちろん、先程のはがねタイプ6体構成にも入っているし、だいばくはつ主体のパーティでは彼曰く、メイン火力であると言われるほどその存在は大きい。いつかは6体揃えてシルヴァディパーティを作りたいとさえ考えているほどだ。
そんな
今回も、その自問自答で心の中を整理したため、今宵の散歩はここらでやめにして帰路に就く。いつの間にか風は弱まっており、この程度ならば考え事をしていて少し熱をもった頭を冷やすには丁度いいとさえ感じた。3回ほど深呼吸をし、肺に満たされる冷たい空気にやはり寒いな、と苦笑しながらけたたましく鳴るクラクションに反応が遅れ……
彼、佐々木は交通事故での死亡者として新聞の一面に載った。
シルヴァディ
第七世代サンムーンから登場
種族値がALL95と、某格闘漫画の登場人物であるバランスの良い山本選手を連想させる均整がとれたポケモン。ゲームではハチマキだいばくはつを繰り返していた。(繰り返させられていた。)
山本選手(山本稔)
その漫画の主人公が、彼はバランスが良いと褒め、主人公の親も山本選手の名前を覚えているほどの格闘家。何よりバランスが良い。