【未完】遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~   作:嘘つき熊さん

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前回のあらすじ:復活のサンダー!

今回はデュエル無しの日常編です。


第百九話 幕間:白河クロトと茂木もけ夫

ノース校との対抗戦&カミューラからの宣戦布告の翌日の昼過ぎ、先ほどまで俺は休日を返上してデュエルアカデミアの教師陣や倫理委員会との会議に参加していた。

 

会議の内容は以前とほぼ変わらなかった。セブンスターズもまだ現れてはいないようだ。

 

その後、やっと会議が終了したのでハノイスタイルを解除し、俺は購買部で購入したドローパンを食べていたのだが、ふとした瞬間から足元からの視線を感じた。

 

『もけもけ~』

 

「もけもけ?」

 

足元を見てみると、カードの精霊もけもけがふわふわ浮きながらこちらを見上げていて、俺のズボンの裾をくいっと引っ張ってくる。

 

『何処かに付いて来てほしいみたいだね~』

 

『ワイトもそう思いますぞ』

 

『バニー!』

 

「なるほど」

 

もけもけに気付いたキーメイスたちが俺にもけもけの意思を伝えてくれる。

 

俺は自身のカードの精霊となってくれた者たちの意思くらいしかよく分からないんで、この辺りの翻訳をしてもらえるのは助かるな。

 

光と闇の竜?あんな敵意と殺意が剥き出しなら俺をどうしたいかくらいは分かる。昔、タイラントドラゴンに追いかけ回された時と似ていたからな。

 

『もけもけ~』

 

「あっ」

 

俺がそんなことを考えている間にもけもけは移動を始めた。俺は残りのドローパンをついでに買っていた牛乳で胃に流し込みながらもけもけを追いかけつつも、その行く先に誰が待っているのかを考え、何となく想像できた。

 

「やぁ~」

 

「貴方は…茂木もけ夫先輩ですね」

 

「うん、そうだよ~」

 

昇り階段を上がっていってアカデミアの屋上に出ると、そこで寝転んでいたオベリスクブルーの生徒がこちらに気付いて挨拶をしてきた。

 

「お天気がいいからね~ここだとお日様がポカポカ。雲がプカプカ。なぁーんにもしたくなくなるよねぇ~。君もどうだい?」

 

アニメ原作の様にボロボロの制服ではなく、ちゃんと洗濯された新品のようなオベリスクブルーの制服の上着を枕代わりにしている彼の姿を見て、彼のプロフィールを思い出す。

 

 

茂木もけ夫。

 

アニメGXでは三年前までは学園が誇るナンバーワンデュエリストでクロノスが奥の手とまで呼ぶほどの実力だったが、カードの精霊もけもけと出会ったことで彼のデュエルが変化してしまった。

 

彼と対戦したデュエリスト全てが何故かやる気をなくし、学園を辞めて島を去っていったのだ。

 

茂木もけ夫の力に気付いた学園側は、学園と在籍するデュエリストの為に彼を他の寮から離れた場所に茂木もけ夫専用の寮(外側からカードキーを使わないと出入口が開かない)を作り、彼をその寮に監禁した。

 

だが、クロノスから遊城十代の話を聞き、十代と行動を共にしているであろうカードの精霊をデュエルから解放するために十代にデュエルを挑み、敗北して十代と和解?した。

 

十代が2年生になって開催されたジェネクス大会でも再登場し、対戦相手のプロデュエリストのやる気を削いで行動不能にするなどの活躍も見せていた。

 

 

そう言えば彼のことは確か、ダークネス世界へ挑む前にモクバ副社長に聞いていたな。

 

色々あって忘れていたけれど、彼の腕に見覚えのあるブレスレット(と言うか俺が作ってモクバ副社長に渡した)を付けていることから、彼ともけもけの厄介な能力は抑えられているようだ。

 

「それで、先輩。もけもけに俺をここに呼ぶように頼んでいたみたいですが、俺に何か用ですか?」

 

「あぁ、うん。君も遊城十代君と同じでカードの精霊が見えるみたいだからね~。ちょっと話してみたいと思ったんだよ~」

 

「なるほど」

 

茂木はなにやら俺と話がしたいらしい。今日はこれ以上やることもないし、別に話すだけならいいかと思い、彼が話し出すのを待った。

 

 

それにしても、既に遊城十代と面識があるのか。そう言えばこの前コナミから『十代が屋上で誰かとデュエルしていたらしい』とかなんとか言っていたっけ。それが彼だったんだろうな。

 

もしかして、カードの精霊が見える俺ともデュエルをしたいということか?そして俺にもカードの精霊をデュエルから解放しろとか言ってくるのだろうか?

 

確か遊城十代とのデュエルでは、彼と十代がデュエルしていても十代がやる気を無くさない理由が分からず、十代のカードの精霊であるハネクリボー自身がデュエルをしたがっていることを知った。

 

その後、十代のフィールドに移動したもけもけがやる気を出していることに驚いて…それからどうなったんだっけ?

 

デュエルが終わって十代と少し話した後にそのまま茂木が寝ちゃったんだよな。あれ?何も解決してなくない?

 

ヤバい。当時は何も考えずにボケーっとアニメを視聴していただけなので、彼らがどう決着したのかイマイチ覚えていないぞ。

 

今、茂木もけ夫が俺に対してどういうことを考えているか、全く分からない。

 

 

「それで、何の話です?」

 

とにかく、まずは話をしてみようと思い、さっきからなかなか話し始めない彼に話の続きを促したのだが…。

 

「zzz」

 

「いや、寝てるんかい!」

 

寝てた。

 

~~~

 

それから1時間後、俺がぐっすり眠る茂木を起こそうとするともけもけが邪魔をしてくるし、そのまま放置して帰ろうとしてももけもけが邪魔して来るので、彼が起きるのを待っていた。

 

七月の炎天下の中で寝てるとか、熱射病になるんじゃないかと心配するかもしれないが、茂木に渡してある俺のブレスレットには過度な熱や冷気から装着者を守る機能が付いてある。特に問題はない。

 

俺自身も魔術による保護をしてあるので、室内とほぼ変わらない快適さを保っている。これが火山の火口近くともなると流石にそうも行かなくなってくるが、真夏の学園の屋上くらいの暑さなら特に問題はない。

 

 

待ち時間の間、暇なのでアクエリアが持って来たトランプでポーカーに興じていた。

 

『どうじゃ!スリーカードじゃぞ!』

 

『甘いですな!ストレートでゴザル!』

 

『ざぁ~んねん!私はフルハウスなのよねぇ~!』

 

「むぅ、ノーペアだ」

 

最近チェスにハマっている斬首の美女、最近チェスによく付き合わされる伝説の剣豪MASAKI、そして俺こと白河クロトが挑戦者で、ディーラーはアクエリアがやっている。

 

『クロト、お主弱いのぅ。30戦全敗とか、流石にわらわでも引くぞ?』

 

『これでクロトは15連続ノーペアでゴザルなぁ』

 

『ぷぷっwザァ~コ♪』

 

「こ、こいつら…!」

 

はいクソー!二度とやらんわこんなクソゲー!

 

~~~

 

それから更に1時間後、七月の炎天下の中をまだまだぐっすり眠る茂木は起きる様子がない。

 

起こそうとするともけもけが邪魔するので、とりあえず俺の来ていたラーイエローの上着を茂木に被せておいた。もちろんただの嫌がらせである。さっさと起きろ。

 

 

待っている間、暇そうにしていたもけもけ、エルフの剣士、ホーリー・エルフを加えて神経衰弱をやっていたが…。

 

『もけ!もけ!』

 

「またペアが揃った!?」

 

『凄いな。これで20セット目だ』

 

『なんという豪運なのでしょう』

 

なぁにこれぇ?

 

『ちょっと~!私たちの番が回ってくる前にカードが無くなっちゃうんですけど~』

 

『このゲームはめくったカードを覚えていくゲームだったはずじゃが…』

 

『初手で運だけでここまでめくられるとどうしようもないでゴザルなぁ』

 

毎回の如く初手もけもけがカードの大半を回収してしまう為、勝負にならない。アクエリアたちもお手上げの様だ。

 

オイオイこれじゃ…Meたちの負けじゃないか!いやいや、これでどうやって戦えばいいんだ!!ふざけるな凌牙ぁ!

 

~~~

 

更に1時間後、日が傾いてきた。

 

 

「さぁ、ボクの番だよ~。白河君の手札からカードを引くね~」

 

『もけもけ~』

 

今やっているのはババ抜きだ。最後の2人となったのが俺と茂木で、俺の手札5枚から茂木がカードを引こうとしている。

 

「むむむ」

 

『バニー!』

 

『リューン!』

 

俺の横ではバニーラとプチリュウが俺を応援している。負けられない戦いがここにある!

 

そう、一番右!一番右のジョーカーを引け!良し!掴んだな!そのまま引き抜け!…何故カードから手を離した!?まるで意味が分からんぞ!?

 

『クロト、分かりやす過ぎでしょ。もうザコ過ぎて言葉も出ないわ…』

 

『あれで昔はポーカーフェイスとかなんとか言ってたね~』

 

『ワイトも流石にフォローできませんぞ!』

 

外野のアクエリア、メカレオン、ワイトがガヤを入れてくるがスルーだ。今は真剣勝負をしているからな!

 

『チェックでゴザル』

 

『ま、待った!待ったなのじゃ!』

 

『ダメ~。待ったは三回までだよ~』

 

早々に上がった伝説の剣豪MASAKIと斬首の美女はチェスを始めていた。キーメイスが審判をやっているようだ。

 

「これだね~。あっ、ペアが揃った。ボクはこれで上がりだよ~」

 

『もけもけ~!』

 

「なん…だと…」

 

『バニィ…』

 

『リュ~ン…』

 

少しよそ見をしていたら、茂木が俺の手札からカードを引き、ペアが揃って上がってしまった。

 

絶対に許さねぇ!ドン・サウザンドォォォ!

 

~~~

 

更に更に1時間後、先ほどまでトランプに興じていて気が付かなかったがが、辺りはすっかり日は沈んで夜のとばりが訪れていた。

 

「今日は楽しかったよ~。じゃあ白河君、またね~」

 

『もけもけ~』

 

「ええ、また」

 

『バニー!』

 

茂木ともけもけは散々遊んで満足したのか、えっちらおっちら歩きながらアカデミア屋上から去っていった、

 

「…はっ!?」

 

結局、茂木から何も話を聞いていない!?ただ一緒に遊んだだけじゃん!?

 

ラーイエロー寮への帰り道で俺はようやくそのことに気が付いた。一体、彼は何がしたかったのだろう。俺には彼と言う人間が全く理解できなかった。

 

~~~

 

寮が見え始めて来た頃、別の道からやって現れた遊城十代一行と遭遇した。

 

「あれ?白河?」

 

「おっ?クロトじゃん。ちぃーっす」

 

「そんな時間に何してるんすか?」

 

「もうそろそろ晩御飯の時間なんだナァ」

 

「早めに寮に戻った方がいいと思うニャ~」

 

「にゃ~」

 

「ちょうど今から寮に帰るところですよ」

 

遊城十代、コナミ、丸藤翔、前田隼人、そして腕に猫のファラオを抱いているオシリスレッドの寮長である大徳寺の4人は、火山付近にある墓守の遺跡へ課外授業に行っていたようだ。

 

「さっきまでは天上院や吹雪さんも居たんだけどな」

 

「そのおかげで明日香や吹雪ともデュエル出来たな!」

 

「天上院兄妹も一緒に居たのか。彼らはブルー寮だからさっきの分かれ道で別れたわけね。それで、遺跡は何か面白いことでもあったのか?」

 

十代とコナミが他の遺跡探索メンバーを教えてくれたが、それよりも俺は遺跡での出来事に興味があった。あの遺物は回収してあるから、墓守の世界には行っていないはずだが…。

 

「色んな古い建物があって結構面白かったっスよ!」

 

「ピラミッド型のお墓もいい風情があったんだナァ」

 

「へぇ~」

 

「先生はお昼をファラオに全部食べられてしまったので、ずっと空腹だったんだニャ~」

 

「にゃ~」

 

「それは災難でしたね」

 

翔と隼人、大徳寺の話を聞く限り、ごく一般的な遺跡探索だったようだ。墓守のサラさん、吹雪との出会いフラグをことごとく折ってしまってスマンな。

 

その後、軽く遺跡での探索の話を聞いた後、彼らと別れた。

 

彼らに命の危険がなくて何よりだったな。

 

 

 

 

「ところで兄貴、その首にかけている金色のペンダント?はなんスか?」

 

「あぁ、これか?これはさっき遺跡で拾ったんだよ。いいだろ~」

 

「ペンダントと言うより、なんだか何処かの鍵みたいな形をしているんだナァ」

 

「十代君、多分それは貴重なものだから大切に扱って無くさないように身に着けておくといいと思うにゃ~」

 

「あれ?なんだろう?あの十代が身に着けている首飾りっぽい奴、クロトから何か聞いていたような気が…忘れた。多分、気のせいかな」

 

~~~

 

<カミューラ視点>

 

同時刻、セブンスターズのアジトではアカデミアに潜伏中のアムナエルを除いた全てのセブンスターズが集結しており、影丸によるセブンスターズ行動開始の合図を待っていた。

 

「時、ここに満ちた。お前たちの力が我に約束し、運命のカードを運ぶ。先陣を切る者は誰か?」

 

相変わらずモニター越しに私たちを俯瞰して偉そうで仰々しい物言いをしながらこちらへ問いかけて来る。

 

「私が行こう」

 

ここで真っ先に名乗りを上げたのが、先日セブンスターズに加入したばかりの黒き仮面を付けた黒衣の男。

 

「ダークネス」

 

影丸より名前を呼ばれたその男は一歩前に出たかと思うと、何故かデュエルディスクを装着して展開した。

 

その後、出発の準備を行うと言い残し、ダークネスはその場を立ち去り、影丸のモニターも沈黙した。

 

「ダークネス、あの男がセブンスターズになるなんて、予測できないものね」

 

「同意だな。余もまさかあの男がこちら側に付くことになるとは思いもしなかったぞ」

 

「ふふっ、本当にね」

 

私の独り言に、隣に居たアビドス3世が反応する。

 

私たちはダークネスの仮面の下の素顔を知っている。そしてその素性も…。本来であればセブンスターズに加入することなどあり得ない男だ。

 

影丸の持つ闇のアイテムの力か、それともあの仮面の力か。元々の人格は鳴りを潜めているようだ。

 

私は本来のあの男の実力も良く知っている。セブンスターズに加入すると聞いた時は真っ先のその実力について言及した。

 

だが、先日墓守の遺跡からペンダントを入手してきた実力が認められて正式にセブンスターズに加入することとなった。

 

少し強くなったくらいではたかが知れている。今のあの男でもあの教師2人や、あの2人の少年には及ぶまい。

 

「でも、利用することは出来そうね」

 

ダークネスが墓守の遺跡から帰還した後、あの少年も墓守の遺跡へ訪れてペンダントを入手していることは把握している。これを利用しない手はない。

 

「影丸からの合図は出たわ。アビドス、タニヤ、タイタン、ザルーグ。作戦を決行するわよ?」

 

「うむ。本当の意味での余の実力を試すいい機会だ。悔いの無い戦いをしようぞ」

 

「三沢っち!待っていてね~♪貴方のお嫁さんがあなたを迎えに行くからね~♪」

 

「クロノスを倒すのは私だぞ、カミューラ!他の連中に先に奴を倒されては借金の取り立てが出来ぬからなぁ!」

 

「鍵は全て我らが頂戴する!」

 

「「「「「それが、黒蠍盗掘団!」」」」」

 

さぁ、狩りの時間ね。




既に十代と出会っていた茂木もて夫は、ただ単にオリ主の人となりを見てみたかっただけなので、精霊たちと遊ぶ彼の姿を見て、オリ主を精霊を利用する人間ではなく精霊と共生する人間として認識して満足して帰ったようです。

オリ主には彼の意図は一切分からなかったので、ずっと振り回されただけでした。

オリ主たちが遊んでいる間に十代たちは墓守の遺跡を訪れていましたが、事前にオリ主が墓守の世界へ転送する装置を回収してしまっていたので、普通の遺跡探索となってしまいました。大徳寺先生は内心ビックリしています。

大徳寺と一緒に移籍に向かった十代が拾った謎の首飾り。一体、何精門の鍵なんだ…。

そして動き出すセブンスターズ。次回以降は話がシリアス寄りになります。

次回の更新は、4/17(土) AM7:00予定です。

( ゜Д゜)様、戦車様、c+java様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。

斎王琢磨の運命力は?

  • 原作遵守。強化万丈目に瞬殺される。
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