【未完】遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~   作:嘘つき熊さん

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前回のあらすじ:人は俺をナンバーズハンターと呼ぶ。←呼びません。

今回はデュエル無し。日常編となります。


第百二十話 幕間:アムナエルの行方

<響みどり視点>

 

今学期最後の月一テストが終わり、1学期の終業式まであと3日と迫っていた今日この頃。私達デュエルアカデミア教師陣と倫理委員会のメンバーは今学期最後の会議を行っていた。

 

「生徒の筆記・実技試験を個別に詳細な数値化を行った結果、実に生徒の約半数近くが入れ替わる結果となりました」

 

「これほどの生徒が入れ替わることなど前代未聞ナノーネ」

 

「ハッキリ言って、今までの寮入れ替えに関する裁定が曖昧だったことが原因でしょう」

 

「そうですね。教員側の一部がオベリスクブルーの生徒だけを優遇したり、オシリスレッドの生徒を不当に扱ったり、ラーイエローの生徒に昇格のチャンスを殆ど与えなかったのが原因でしょうね」

 

「それに関しては返す言葉もないノーネ」

 

「校則違反による停学者、退学者に関しても今年度は今までに比べて非常に多いです」

 

「倫理委員会がしっかりと機能している証拠でもありますから、こちらに関しては特に問題は無いでしょう。今までが管理がザルで酷すぎただけと言う話なだけですからね」

 

「成績不振による退学者はまだ居ませんが、2学期から始まる選択授業によって更に生徒間の実力差は広がると予測されます」

 

「本人が努力を怠った結果であればやむなしですが、我々も彼ら全員になるべく平等に勉強できる機会が得られるよう、その環境を提供できるように精進せねばなりませんね!」

 

「また、セブンスターズの件で思い知りましたが、我々教師陣もまだまだ未熟と言わざるを得ません」

 

「未来のデュエルエリートを教える側としては、学外の人物たちに容易に敗北するようでは生徒たちに示しがつかないでしょう!」

 

「今後は生徒たちのカリキュラムの改善だけでなく、我々自身のレベルアップも考慮していく必要があります」

 

「今年度の新入生は特にデュエルが強く破天荒な人物が多いですからな…生徒たち全員の目の前で教師陣が一方的に敗北するようなことがないようにしませんとな」

 

クロノス臨時校長を始め、教師たち全員が今までのアカデミアの教育体制を反省し、今後はそれらを活かして改善していこうと言う締めで終わった。

 

「数件ですが、昇格を辞退する例もいくつかありましたね」

 

「辞退?」

 

「一体、なぜ?」

 

「寮の入れ替え対象者には事前に面接を行い、入れ替え対象者となった理由を説明しているのですが…その時に挙がった辞退理由の一例を取り上げて見ましょう」

 

『燃える炎!熱い血潮!熱血の赤のオシリスレッドを気に入っている!離れる気なんてサラサラないぜ!』

 

『このレッド寮には十代たちも居るし、この付近が一番カードを拾いやすいんだ』

 

大徳寺先生が不在の為、オシリスレッドの生徒の面接は私が行ったのだけれど、十代君とコナミ君に関しては普段から言っていたことなのでおおむね予想通りだったわね。

 

『ラーイエロー寮から離れたら樺山カレーが食べられなくなるじゃないですか!童実野町の店舗では食べられないメニューがここにはたくさんあるんですよ!!新作もどんどん出るし、季節限定メニューなんてのもあるそうじゃないですか!この最高の環境から移動しろって言うんですか!!』

 

『ラーイエローに所属しつつ偉そうなブルーの連中を、ボクのドリアードの圧倒的な力を見せつけて完膚なきまでに叩きのめし!その絶望した表情を見て愉悦に浸りたいからです!』

 

『ははは。強くなるなら試行錯誤したデッキで白河やオシリスレッドの赤羽に挑むのが手っ取り早いんですよ。彼らがブルー寮に移らないなら、オレがブルー寮に移る理由は特にないですね』

 

「「「「「…」」」」」

 

ラーイエローの生徒に関しては寮長の樺山先生が行ったようで、今の発言は白河君にその友人二人のようね。白河君の発言が読み上げられた時には樺山先生はニッコリしていた。

 

確かに彼らはオベリスクブルーの生徒の大半にアッサリ勝ててしまうから、オベリスクブルーの生徒であることに魅力を感じなくなっているのでしょう。

 

リスペクトの精神のかけらも感じないのが悩みの種であるけれど、今年のラーイエローの1年生徒は皆似たようなものなのだ。

 

実際、先日の筆記・実技試験の上位の殆どはラーイエローの生徒とオベリスクブルー女子生徒ばかりだ。オベリスクブルー男子生徒は丸藤君たち三人を含めても十名程度しかいない。

 

「セブンスターズの件はどうなったのでしょう?」

 

「我々が撃破を確認できているのは6名。ダークネス、カミューラ、アビドス、タイタン、ザルーグ、タニヤ。残り1名に関しては、現在ハノイの騎士と倫理委員会にて捜索中です」

 

「先日、潜水艦でやってきて遊城君とデュエルしていたアナシスと言う男性は本当に関係ないのでしょうか?「真のアカデミア」を建設したいなどと言って、何処から聞きつけたのか三幻魔のカードを要求していましたが…」

 

「彼は海運業を牛耳る世界屈指の大富豪だ。身元も割れているしそもそも『闇のデュエル』ではなく『海のデュエル』と勘違いしていたらしい。簡単に説明すると残念そうに帰って行ったので、恐らくセブンスターズとは無関係だろう」

 

「ハノイの騎士いわく最後の1人は大徳寺先生ではないかと言う話ですが…」

 

「確かに彼はセブンスターズ襲撃の日を境に行方不明となっていますが、流石に早計でしょう」

 

「もちろんその可能性も否定はできないので、その可能性も考慮して捜索しているところです」

 

「鮫島校長が目を覚ましてくれれば一番簡単に分かりそうなものですが…」

 

「セブンスターズ襲撃の日以来、ずっとうなされるように眠っていますからね」

 

「幸い、身体の機能に異常は見られませんが、夏季休暇が始まるまでに目覚めなければ本土の病院へと移送する予定になっています」

 

鮫島校長がセブンスターズに洗脳され、ダークネス鮫島と名乗って学園を襲撃しようとしてハノイの騎士に討たれたことはここに居る全員が知っているが、生徒にはまだ発表されていない情報だ。

 

もし二学期までに目を覚まさない場合は、二学期の始業式に体調不良を理由にして校長を退任されることになっている。次の校長についてはまだ知らされていないが、恐らくナポレオン教頭かクロノス臨時校長が繰り上がりするのではないかと推測している。

 

結局、そのまま会議は終了となり、私を除いた先生たちは部屋を退出していく。

 

私は部屋を退出する際にチラッと部屋の隅に視線を送ると、そこにはカードの精霊【ワイト】の姿があった。この1学期の序盤から毎日のように見かけた白河君のカードの精霊の1体だ。きっと後でいつものように彼に今日あった会議の内容を伝えに行くのでしょうね。

 

白河君は知らないのだろうが、私は弟の響紅葉と同じカードの精霊が見える人間だ。彼が毎回のように職員会議に自身の精霊を送り込んで情報収集していることも知っている。

 

授業中にバニーラと遊んでいたり、4月後半からこの島がワイトを溢れさせていたり、会議中にクロノス臨時校長の前でキーメイスがヒゲダンスしているのも見せられている。

 

私と同じくカードの精霊が見えているであろうハノイの騎士も笑いを堪えるのに必死だったようだ。それは私も同様で、面白いと思う反面かなり迷惑をこうむっていると思うわ。

 

私はそろそろ白河君に文句の一つも言っていい頃合いだと思っている。今度会ったらそれとなく注意しておこうかしら?

 

~~~

 

<クロト視点>

 

大徳寺が不在の為、クロノス臨時校長が代理で行っていた錬金術の授業が終わった後、俺はオシリスレッド寮へやって来ていた。

 

セブンスターズ最後の1人だと思われる大徳寺の情報を得るためにコナミとコンタクトを取ろうとしたのだが、そこでなかなか面白い光景を目にすることとなった。

 

「フニャア~」

 

「…にゃ~」

 

そこにあったのは、オシリスレッド寮の階段下で大徳寺の飼い猫であるファラオに対し、しゃがみこんで猫語(笑)で話しかけるレイン恵の姿であった。

 

「フニャ?」

 

「…にゃ~」

 

そう言えば猫好きなんだっけ。経営していたカードショップの裏手辺りで野良猫にミルクを上げてたりするのだろうか。

 

パシャッ!

 

「ニャッ!?」

 

「あっ」

 

思わず自身のスマホで写真を取ってしまった俺の行動を咎める者は居ないだろう。お蔭で良い画像が取れたしな。

 

だが、シャッター音に驚いたファラオはその場から逃げだしてしまい、目の前でこちらに背を向けたまま体育座りを始めた銀髪美少女からは凄い不機嫌そうなオーラを感じる。怖い。

 

「あー、済まなかったな」

 

「……………」

 

言葉では謝ったが、反省はしていても後悔はしていない。

 

その言葉を聞いたレインは、顔だけ振り返ってこちらに向けて来るが…。

 

「無表情の無言で睨んでくるな。怖いぞ」

 

「…私は、今、怒っている」

 

それはとてもよく分かる。そこそこ長い付き合いだからな。

 

「今度、樺山カレーを奢るから許してくれ」

 

「…仕方ない。許す」

 

長い付き合いなので、解決方法もばっちり予習済みだ。

 

「チョロい」

 

「…何か言った?」

 

おっと、声に出てしまったか。

 

「気のせいだ」

 

「…そう」

 

それ以上は俺との会話に興味がないのか、レインはその場を立ち去った。逃げたファラオを探しに行ったのかも知れない。

 

四六時中、俺の監視をしているわけじゃないんだな。当たり前か。

 

そんなことを考えながら、俺は目的の部屋の前までやって来て、その部屋の扉をノックする。

 

『誰だ~?十代か~?』

 

「俺だよ。俺、俺」

 

コナミはこの三人部屋を何故か一人で独占している。それを不思議に思う者はいても誰一人としてそれ以上追求しないのは流石は公式チートと言ったところだろうか。

 

『おっ、クロトか。やっと来たのか。鍵は開いてるから入って来なよ』

 

「OK~」

 

部屋主の了承を得たので扉を開けて部屋の中に入ると、三段ベットが部屋の大半を占領するワンルーム部屋の中には、室内でも赤い帽子を被った黒いTシャツの少年コナミが居た。

 

「よっ」

 

「おっす」

 

実はコナミとは学園で会う以外に会うことがない。こうして休日に会ったのもGW以来になる。同じ孤児院で育った幼馴染とはいえ今は別の場所に住んでいるし、お互いに新しい人間関係があるからな。

 

今回も事前に会えるかどうか連絡を取ってから来ているので、俺に合わせて部屋で待っていてくれたらしい。

 

いつもは無茶苦茶な奴だが、コイツは時々こういうところがある。だから普段コイツの行動に振り回されることがあっても憎み切れないと言うか、怒る気になれない奴でもある。

 

さて、久し振りにコナミと世間話をした後、俺はこの部屋に来て一番気になっていたことを聞いてみた。

 

「そこのテレビの前に座ってゲームしてるの、カミューラの人形だよな?」

 

「そうだよ」

 

そう。俺がこの部屋に入ってからずっと、カミューラ人形は当たり前のように動いてテレビゲームに興じていた。ホラー映画かな?

 

「コイツ、動くぞ!?」

 

「動いているな」

 

「いやいや、何で動いてんの!?」

 

『何よ?動いちゃ悪い?』

 

キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!

 

「なんか、持って帰って来て棚に飾っていたら喋るようになったよ」

 

『動けるようになったのは昨日からだけどね』

 

「何でナチュラルに対応できてんだよ!普通、人間界では人形は動かないし喋らないんだよ!」

 

コナミ(公式チート野郎)とカミューラ(人外)みたいなのと話していると、自分(チート有り神様転生者)が普通の一般的な人間であることを実感させられる。

 

「クロトは細かいなぁ」

 

『器の小さい男はモテないわよ』

 

「うるせーよ!大きなお世話だ!」

 

閑話休題。

 

少々ハプニングはあったが、当初の狙い通りコナミとカミューラから必要な情報は入手できた。

 

「やっぱりセブンスターズの最後の1人は大徳寺か」

 

『驚かないのね』

 

「俺は以前、廃寮地下に隠されていた錬金術の研究室で大徳寺のミイラを発見しているからな。大徳寺ホムンクルスの今の潜伏居場所も同じく廃寮地下の研究室だろう?」

 

『恐らくそうね。アイツの体はもう長くないわ。最後に会った時には体から不自然に魔力が漏れ出ていたし、もって今月末までの命でしょうね』

 

そうなると、アムナエルの襲撃はかなり近そうだな。念の為、十代と仲が良い明日香や吹雪さん、あとは三沢や亮さんにもセブンスターズのことを警戒するように伝えておくか。

 

万丈目?アイツ等が大して親しくもない俺の忠告を聞くわけないじゃん?

 

十代本人に翔に隼人?俺はあいつらとも大して親しくないから連絡先すら分からん!

 

「そう言えば遊城は?さっき部屋の前を通りかかった時には留守っぽかったけど…出かけているのか?」

 

「うん?あぁ、何でも大徳寺先生を探すとか言って、万丈目たちと一緒に大徳寺先生の部屋を物色していたな」

 

「あぁ、そうか。彼らはまだ大徳寺がセブンスターズ最後の1人だと知らないんだよな。行方不明になっているのは、闇のデュエルで犠牲になったか、セブンスターズに囚われて助けを求めていると思っているわけか」

 

なるほど。今日は十代たちが大徳寺の行方の手掛かりを求めて大徳寺の部屋を調査して、錬金術の記号が描かれた地図を見つける日だったか。それなら、そのままアニメ通りに進行した場合には、今日の夜にでもアムナエルが襲来するのかな?

 

「コナミ、お前は行かないのか?」

 

「いや、クロトとの用事も終わったし、もうそろそろ合流するつもりだよ」

 

仮にコナミが十代たちに合流して大徳寺の正体を十代たちに教えたとしても、大徳寺と関りの深い彼らは自分の目で確かめなければ信じないだろうな。

 

「それならこれ以上、俺がここに居るのも邪魔だな。帰るわ」

 

「うん、分かった。またな」

 

『また来なさい。私の声を聞けるのは、精霊の声を聞こえるものだけみたいだし、私としてもいい暇潰しになるわ』

 

そこまで話した後、俺はオシリスレッドの寮を出てラーイエローの寮へ戻るために歩き始めた。

 

コナミがカミューラ人形を回収していたのは知っていたが、まさか動いて喋るとは思わなかったな。そう言えば、クロノス先生も「ナノーネ」だけだが喋っていたっけ。

 

カミューラに関しては思うところがないわけではないが、人形になっている彼女を見るとこれ以上特に何かを追求する気にはなれなかった。俺個人が彼女に何らかの恨みがあるとか、そう言うことは無いからなぁ。

 

オシリスレッド寮から出て少し歩いてから後ろを振り返ると、デュエルディスクを付けた十代と万丈目、翔と隼人に合流したコナミがレッド寮の前で話し込んでいた。恐らくこれから森の中へ大徳寺を探しに行くのだろう。

 

この後、十代たちは信じたくない真実を突き付けられることになり、過酷な闇のデュエルを強いられることになるだろう。

 

だがセブンスターズ編はまだ序章。その先の過酷な未来を乗り切るためにも今回の件は独力で何とかクリアして欲しい。

 

「アニメでも何とかなったわけだし、コナミも居る。それに彼は原作主人公だ。なんとかするだろうさ」

 

俺は彼らが森に入っていくのを確認した後、歩くのを再開した。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

しばらく歩くと夕暮れ時が近づいてきた。今頃、十代やコナミたちはあの広大な森の中を大徳寺を探して歩きまわっているのだろうか。

 

ふと海を見ると、この島の浜辺に近付くいくつかのボートが見えた。そして、それに呼応するかのように森の中から浜辺へ向けて何かが移動しているような感覚を覚えた。

 

なんだ?この感じ、姿は隠しているようだが森から海へ移動しているのはイリアステルのゴーストたちか?

 

彼らのステルスはレインほどの性能ではない為、俺でもギリギリ感知できる。それにしてもその数が異常だ。これほどの数のゴーストが島内に居たことも驚きだが…。

 

彼らが急いで対応しないといけない存在が近づいているということか?

 

ここに来て十代とアムナエルのデュエルを邪魔されるわけにはいかない。俺もゴーストに並走して浜辺へと走り始めるのであった…。




響先生は、会議のたびにポーカーフェイスを試されていた…!

アナシス戦は丸々カット。重要キャラクターでもありませんし、【伝説の都 アトランティス】デッキはいくらでもあるのでわざわざ描写する必要性がありませんからね。

次期校長に関してはまだ未定なので、恐らくセブンスターズ編が終わったらアンケートを取ることになると思います。アンケート通りの結果になるかは断言できませんが、協力して頂ければ幸いです。

次回はほぼオリ主視点の予定なので、デュエル展開がほぼ同じとなるであろう十代vsアムナエル戦はダイジェストになると思います。

次回の更新は5/12(水) AM6:00予定です。

コダマ様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。

斎王琢磨の運命力は?

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