【未完】遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~ 作:嘘つき熊さん
今回はモブ戦です。
残暑が厳しかった9月が終わって今は10月初旬。
地元ではそろそろハロウィンの準備をしている季節だろうが、ここデュエルアカデミアでは毎年恒例のとあるイベントが注目を浴びていた。
「今年もやっぱり3年生の小日向さんが優勝なんだろうな」
「いやいや、今年の1年生は粒ぞろいだからな。分からないぞ~」
「天上院明日香、藤原雪乃を始めとして、個性豊かな女の子が目白押しだ!」
「2年生は誰か居ないのか?」
「2年生は影が薄いから…」
午前の授業が終わると教室のあちらこちらでミス・デュエルアカデミアコンテストの話題が話されている。
9月初旬からアカデミア公式HPで投票が開始されていて、午後の授業が終わる頃には最終ノミネートに選ばれた生徒が発表されるらしい。
「ミス・デュエルアカデミアコンテスト?なんだそりゃ?」
「えっ!?兄貴知らないの!?」
「アカデミアの公式HPで2学期が始まった頃から投票を受け付けているんだナァ」
「へぇ~。そんなのあるんだ。オレも知らなかったな」
翔や隼人は随分前から知っていたようだが、十代やコナミは普段パソコンを触らないから知らなかったみたいだな。
月一テストの数日後、月末に行われる最終ノミネートでの最終投票は全生徒の義務らしいので、その頃には十代やコナミも誰かに投票することだろう。
「タニヤっちが候補に居ないんじゃ、誰に入れても別にいいかな」
「三沢!この馬鹿者が!票を入れるなら天上院君に入れるに決まっているだろう!」
「ぐぇ!?首が締まる!?ま、万丈目!襟から手を離せ!」
漫画版GXでのみ行われていたこのイベントだが、どうやらこの世界では毎年行われているらしい。
漫画版では明日香にぞっこんだった三沢だが、この世界ではタニヤっち一筋なのであまり興味はないようだな。
逆に万丈目はアニメ仕様のギャグキャラ路線なので興味津々の様だ。
ちなみにミスター・デュエルアカデミアコンテストも存在している。
こちらはデュエルアカデミアの3天才こと吹雪さん、亮さん、藤原先輩の3人に加え、万丈目、三沢を入れた5人以外は殆ど票が入らないのであまり話題になっていない。
コナミ?アイツはアカデミアで攻略した人間がまだ少ないからね。…俺?聞くなよ。
「ボクのドリアードに投票できないだと…?」
「オレは全員に1票ずつ投票するぜ!」
「うっひょ~!可愛い女の子なら誰でもOKだぜ~!誰でもいいから付き合ってくれー!」
「ミスコン?ボクは誰でもいいかなぁ」
ラーイエロー寮の連中はアホな変人ばかりなので、彼らの票の3割ほどは無効票になっていた。
何となくもったいなかったので、彼らに了解を貰い、良かれと思って俺の票も含めて全員分をレインに投票し直しておいた。
普段から目立ちたくないとか言っていたし、あまり目立つ行動を取っていなかったが、恐らくこれで最終ノミネートまで残るだろう。
今からあの無表情が困惑に変わる瞬間が待ち遠しい。滅茶苦茶目立つ壇上でレインがどんな表情をするのか内心ニヤニヤしながら楽しませてもらうとしよう。
~~~
午後の授業が終わって一人でラーイエロー寮に帰る際、道端で見知らぬ生徒に声を掛けられた。
「おい白河。手持ちのGXメダルを全部賭けてデュエルしようぜ?俺は手持ちの20枚全て賭けるぜ!」
オシリスレッドの制服のボタンを全開にしてガムを口の中でクチャクチャ鳴らしている。
そんな一言で言えば時代遅れのチンピラ風味の男がガニ股歩きでこちらに近寄って来た。
いや、マジで誰だコイツ?タッグフォースのモブキャラではないよな?
「なんだビビったのか?ラーイエロー最強とか言われてたくせに情けねぇな!所詮はレアカード頼みの雑魚野郎だったってことか?」
あー、思い出した。見覚えあったわ。
俺の目の前で滅茶苦茶イキっているコイツ、この前の月一テストでオベリスクブルー男子をボコボコにしてたオシリスレッド男子だわ。
物理とデュエルの両方でボコった地元のチンピラ連中も、ボコる前はこんな態度だったな。
いやはや、ちょっと懐かしいな。名乗らない限り、コイツの名前は赤チンピラとしておこう。
ちなみにチンピラとはヤ〇ザ世界の用語らしいな。
最低の意味を表す「チンケ」と、下っ端の意味である「ヒラ」との複合語で、文字通りの「下っ端ヤクザ」を意味したりもするらしい。
「デュエルするのは構わないが、俺は10枚しかメダル持ってないぞ?足りない分は花〇院の魂とかで良いのか?」
「良いわけないだろ!ちっ、しゃーねぇ。10枚で良いぞ!」
赤チンピラは不機嫌そうにデュエルディスクを構える。
それにならい、俺もデュエルディスクを構える。
「オベリスクブルーを倒したオレがラーイエローの雑魚に負けるかよ!行くぜオラァ!」
「対戦よろしくおねがいします」
挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。
「「デュエル!」」
◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。
vs
◆赤チンピラ LP:4000、手札:5枚。
さて、この前の月一テストの様子から察するにこのチンピラのデッキは【インヴェルズ】。
アドバンス召喚に特化したデッキだ。効果を発動されるとそこそこ厄介なんだよな。
「先攻はてめえにくれてやるぜ!」
「いいのか?」
マジでいいの?
「オレの力を誇示する為に、お前がオレに負けた言い訳をできる状況を作りたくないんだよ」
「じゃ、遠慮なく先攻を貰おうかな」
このデッキ相手に先攻譲ってくれるとか…。
何だ!赤チンピラっていい奴じゃん!
「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」
クロト 手札:5→6枚。
「俺は手札から魔法カード【二重召喚】発動。これで俺はこのターン通常召喚を2回まで行う事ができるぞ」
クロト 手札:6→5枚。
【二重召喚】
通常魔法
(1):このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。
「俺は手札から【ランカの蟲惑魔】を召喚。そして効果発動!デッキから【トリオンの蟲惑魔】を手札に加える」
クロト 手札:5→4→5枚。
【ランカの蟲惑魔】
効果モンスター
星4/地属性/昆虫族/攻1500/守1300
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「蟲惑魔」モンスター1体を手札に加える。
(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。
(3):1ターンに1度、自分フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのセットされたカードを持ち主の手札に戻す。その後、自分の手札から魔法・罠カード1枚をセットできる。この効果は相手ターンでも発動できる。
<白河クロトのフィールド>
ランカの蟲惑魔 ★4 ATK1500
「更に俺は手札から【トリオンの蟲惑魔】を召喚。そして効果発動!デッキから【煉獄の落とし穴】を手札に加える」
クロト 手札:5→4→5枚。
【トリオンの蟲惑魔】
効果モンスター
星4/地属性/昆虫族/攻1600/守1200
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚を手札に加える。
(2):このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動する。その相手のカードを破壊する。
(3):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。
<白河クロトのフィールド>
ランカの蟲惑魔 ★4 ATK1500
トリオンの蟲惑魔 ★4 ATK1600
「俺はレベル4【トリオンの蟲惑魔】と【ランカの蟲惑魔】の2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【フレシアの蟲惑魔】!」
<白河クロトのフィールド>
フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:2
【フレシアの蟲惑魔】
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/地属性/植物族/攻 300/守2500
レベル4モンスター×2
(1):X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「フレシアの蟲惑魔」以外の自分フィールドの「蟲惑魔」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、相手の効果の対象にならない。
(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って発動できる。
この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。この効果は相手ターンでも発動できる。
「俺はカードを2枚セットしてターンエンド」
クロト 手札:5→3枚。伏せカード:0→2枚。
◆白河クロト LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。
<白河クロトのフィールド>
フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:2
vs
◆赤チンピラ LP:4000、手札:5枚。
「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」
赤チンピラ 手札:5→6枚。
「俺は手札から魔法カード【闇の誘惑】発動!デッキから2枚ドロー!そして手札から【インヴェルズ・マディス】を除外するぜ!」
赤チンピラ 手札:6→5→7→6枚。
【闇の誘惑】
通常魔法
(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。
「ここで俺もお前と同じ魔法を使わせてもらうぜ!手札から【二重召喚】発動!」
赤チンピラ 手札:6→5枚。
「次にオレは手札から【インヴェルズの魔細胞】を自身の効果で特殊召喚するぜ!」
赤チンピラ 手札:5→4枚。
<赤チンピラのフィールド>
インヴェルズの魔細胞 ★1 DEF0
【インヴェルズの魔細胞】
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
このカードは「インヴェルズ」と名のついたモンスターのアドバンス召喚以外のためにはリリースできず、シンクロ素材にもできない。
「そしてオレは手札から【インヴェルズの斥候】を通常召喚だぜ!」
赤チンピラ 手札:4→3枚。
<赤チンピラのフィールド>
インヴェルズの魔細胞 ★1 DEF0
インヴェルズの斥候 ★1 ATK200
【インヴェルズの斥候】
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 200/守 0
自分フィールド上に魔法・罠カードが存在しない場合、
自分のメインフェイズ1の開始時にのみ発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。
このカードは「インヴェルズ」と名のついたモンスターのアドバンス召喚以外のためにはリリースできず、シンクロ素材にもできない。
「これで召喚権を残したまま2体のリリース要員が揃ったぜ!」
「【フレシアの蟲惑魔】の効果発動。ORUを1つ取り除き、デッキから【狡猾な落とし穴】を墓地に送ってその効果を適用する」
「えっ?」
フレシアの蟲惑魔 ORU:2→1
【狡猾な落とし穴】
通常罠
(1):自分の墓地に罠カードが存在しない場合、フィールドのモンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。
「【インヴェルズの魔細胞】と【インヴェルズの斥候】を破壊する」
「えっ?」
<赤チンピラのフィールド>
モンスター無し
「…くそっ!オレは手札から【インヴェルズの先鋭】を通常召喚!」
赤チンピラ 手札:3→2枚。
<赤チンピラのフィールド>
インヴェルズの先鋭 ★4 ATK1850
【インヴェルズの先鋭】
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1850/守 0
自分フィールド上のこのカードが墓地へ送られた時、フィールド上の儀式・融合・シンクロモンスター1体を選択して破壊する。
「伏せカードの【奈落の落とし穴】を発動。【インヴェルズの先鋭】を破壊して除外する」
クロト 伏せカード:2→1枚。
<赤チンピラのフィールド>
モンスター無し
「…カードを1枚セットしてターンエンド」
赤チンピラ 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。
「エンドフェイズに伏せカードの【砂塵の大竜巻】を発動。そちらの伏せカードを破壊する」
クロト 伏せカード:1→0枚。
赤チンピラ 伏せカード:1→0枚。
【砂塵の大竜巻】
通常罠
(1):相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。その後、手札から魔法・罠カード1枚をセットできる。
「その後、手札からカードを1枚セットする」
クロト 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。
破壊したカードは…【リビングデッドの呼び声】か。
「…あぁぁぁぁぁぁっ!ふざけんな!ふざけんなぁぁぁ!!」
◆白河クロト LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚。
<白河クロトのフィールド>
フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1
vs
◆赤チンピラ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。
<赤チンピラのフィールド>
モンスター無し
恐らく向こうの残りの手札は最上級インヴェルズモンスター。【インヴェルズ・ガザス】か【インヴェルズ・ホーン】だろうな。
伏せカードもないし、このターンで終わりかな。
「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」
クロト 手札:2→3枚。
「俺は手札から【ティオの蟲惑魔】を召喚。そして効果発動。墓地から【トリオンの蟲惑魔】を特殊召喚する」
クロト 手札:3→2枚。
【ティオの蟲惑魔】
効果モンスター
星4/地属性/植物族/攻1700/守1100
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「蟲惑魔」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地の「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。セットしたカードは次の自分ターンのエンドフェイズに除外される。
(3):このカードは「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。
<白河クロトのフィールド>
フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1
ティオの蟲惑魔 ★4 ATK1700
トリオンの蟲惑魔 ★4 DEF1200
「俺はレベル4【ティオの蟲惑魔】と【トリオンの蟲惑魔】の2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【アロメルスの蟲惑魔】!」
<白河クロトのフィールド>
フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1
アロメルスの蟲惑魔 ☆4 ATK2200 ORU:2
【アロメルスの蟲惑魔】
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/地属性/昆虫族/攻2200/守 600
レベル4モンスター×2体以上
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない。
(2):このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。自分の墓地から昆虫族・植物族のレベル4モンスター1体を選んで特殊召喚する。
(3):自分のカードの効果で相手モンスターがフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合、このカードのX素材を1つ取り除き、そのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
「俺は【アロメルスの蟲惑魔】のORUを2つ取り除いて効果発動。墓地から【ティオの蟲惑魔】を特殊召喚する」
アロメルスの蟲惑魔 ☆4 ATK2200 ORU:2→0
<白河クロトのフィールド>
フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1
アロメルスの蟲惑魔 ☆4 ATK2200 ORU:0
ティオの蟲惑魔 ★4 ATK1700
「特殊召喚成功時、【ティオの蟲惑魔】の効果発動。墓地の【奈落の落とし穴】をセットする」
クロト 伏せカード:1→2枚。
「俺はランク4【アロメルスの蟲惑魔】1体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよランク5【旋壊のヴェスペネイト】!」
<白河クロトのフィールド>
フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1
旋壊のヴェスペネイト ☆5 ATK2500 ORU:1
ティオの蟲惑魔 ★4 ATK1700
【旋壊のヴェスペネイト】
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/地属性/機械族/攻2500/守2100
レベル5モンスター×2
「旋壊のヴェスペネイト」は1ターンに1度、自分フィールドのランク4のXモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
このカードはX召喚されたターンにはX素材にできない。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(2):X召喚したこのカードが相手によって破壊された場合、自分の墓地のレベル5以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
「バトルフェイズに移行する。【ティオの蟲惑魔】でダイレクトアタック」
ティオの蟲惑魔 ★4 ATK1700
「ぐはぁっ!」
赤チンピラ LP:4000→2300
「終わりだな。【旋壊のヴェスペネイト】でダイレクトアタック」
「ぬわぁぁぁぁっ!」
赤チンピラ LP:2300→0
「嘘だろ…?オレが…負けた?せっかくレアカードを手に入れたって言うのに…!」
「対戦、ありがとうございました」
~~~
「じゃ、このGXメダルは貰っていくな」
俺は放心している赤チンピラ君の胸元からGXメダルを10枚抜き取った。
これでようやく20枚か。先は長いな…。
ついでに地面に散らばっている赤チンピラ君のカードを拾い集めて自分のデュエルディスクにセットしてみる。
すると、ちゃんとデュエルディスクは反応しているのが分かった。ただ、やはり精霊の力も破滅の光の力も宿ってはいないようだった。
「なんだ。やっぱりコピーカードか」
「!?」
つい独り言を呟いてしまったが、その言葉が聞こえたのか赤チンピラ君がビクッ!っと反応した。
どうやら赤チンピラ君はこのカードがコピーカードであることを知っていて使用していたようだ。
「な、何故分かったんだ!海馬コーポレーションのデュエルディスクですら判別できないのに!」
俺としては別に敵がコピーカードを使用してこようが特に気にしない。
俺自身はもっとインチキ臭い手段でより凶悪なカードを無数に入手しているんでね。お前が言うなとか言われちゃうぜ。
「おい!聞いているのか!」
拾い集めたカードを赤チンピラ君に返す際、胸元の生徒手帳を抜き取って彼の名前の確認は完了している。
後はモクバ副社長に連絡して、デュエルアカデミアを経由しつつ彼の処分を決めて貰えばいい。
それ以上、わざわざ俺が赤チンピラ君に何かをする必要もする義務も無いだろう。
「ちょっ…ま、待て!いや、待ってくれ!」
俺は さっきからうるさい赤チンピラ君を無視して踵を返す。
キャンキャン喚いて呼び止めて来るが、無視だ無視。彼にはもう欠片ほどの興味も無いからね。心底どうでもいい。
俺にはこの後、俺の命に関わる作業が残っているんだ。
こんなのに構っている暇はない。
「お、オレはただ、オレたちレッドを見下すお前らイエローやブルーの連中を見返したかっただけなんだ!」
ふーん、そう。
「じ、実際にオレたちがレアカードを手に入れたらブルーの連中にも勝ったじゃないか!レアカードを持っているかどうかで扱いが変わるなんてあんまりだろ!」
そうなんだ~。そうですね~。
「レアカードを手に入れたかっただけなんだ!頼む!先生たちには黙っていてくれ!」
俺は延々と喚いている奴を放置してラーイエロー寮へ戻った。
~~~
イエロー寮に戻った俺は、急いで誰も居ない寮の厨房に向かい、黙々と大量のクッキーを作っては焼いていた。
オーブンで焼いている間、ようやく時間に余裕が出来たのでさっき考えていたことの続きでも考えるとしようか。
そもそも、この世界ではコピーカードを使用した場合ってどんな処分が下されるんだろうか。
15年前に潰れたグールズのアホどもは、レアカード強奪やそれを行うまでの経緯での傷害罪やら器物損害やらの罪で捕まっていたはずだ。
コピーカードを使用したくらいなら、デュエル大会への永久出場停止くらいだろうか。
デュエリストとしてはもう終わりだな。ただ、それ以外の人生なんて幾らでもあるだろう。
俺の知らないところで好きに生きて好きにに死ねばいいさ。命があるのって素晴らしいことなんだぜ。
『ねぇ~クロトくぅ~ん。クッキーまだ~?』
「まだだ」
クッキーの焼き具合を確認していると、背後から幼い少女のような声が聞こえてきた。
思考を中断して背後に視線をやると、俺の後ろには【アトラの蟲惑魔】が指をくわえながらこちらを見上げてきている。
その姿はまさに黒髪の美少女がこちらに哀願する様であり、見る者が見れば虜にされてしまうであろう。
クッソあざとい真似しやがって!だが、騙されんぞ、この疑似餌め!
お前らに食われかけたことを忘れてるとでも思ったか!?
騙されて欲しいならせめてお前の後ろにいる本体の巨大蜘蛛を俺の視界外へ仕舞え!
本体の方が!口元からだらだら涎を床に垂らしながら!クッキーじゃなくて俺の腕を赤い複眼で凝視して来てるから!メッチャクチャ怖いんだよ!!
『ねぇ~。まだ~?暇だし、君の右腕を引きちぎっておやつにして食べてていい?』
「駄目に決まってんだろ!」
先日、精霊界にて蟲惑魔の森に迷い込んだ際、食われる直前でおやつ用に持っていたクッキーを身代わりとして投げつけたところ、連中のお気に召した味だったらしい。
その後、定期的にクッキーを届けることを条件に俺は延命することが出来た。今焼いているクッキーは自分の分ではなく【フレシアの蟲惑魔】たちに献上する分である。
今現在、本体で俺の右腕を甘噛みしている【アトラの蟲惑魔】はいわゆる監視役だ。森から帰る際、無理やり精霊のカードを渡されてしまった。
【アトラの蟲惑魔】の精霊のカードを失くしたり、一度でもクッキーの献上をサボるとこの監視役は容赦なく俺の頭を噛み砕くだろう。
「って、なに人の腕に食らいついてんだよ!?痛っ!怖っ!?HA★NA★SE!!」
せめて疑似餌の方でやれや!それならまだ…いや許さんけど!
気がついたら数メートルの巨大蜘蛛が腕に食いついている様を見せられるこっちの気持ちになってみろ!
チビりかけたじゃねえか!チビったらどう責任取ってくれるってんだよ!!
『いやぁ~、ゴメンゴメン♪でもニンゲンの腕ってホント美味しいよね~。ねぇ、ちょっとだけ!ちょっとだけ齧っていい?』
「ふざけんな!椅子でも食ってろ!うぇぇ…腕がベトベトだ…」
テヘペロ♪なんて言いそうなあざとい表情の疑似餌から目を離し、俺は急いで本体蜘蛛の口から腕を引き抜いた。
そして腕に付着したべとべとのヨダレをタオルで拭きつつ、早くクッキーが焼きあがるのを待つのであった…。
オシリスレッド生徒のデッキは【インヴェルズ】です。特殊召喚しやすくアドバンス召喚をサポートしやすい下級モンスターと、アドバンス召喚することで効果を発揮する上級・最上級モンスター、アドバンス召喚したモンスターのサポートをする魔法罠と言った分かりやすい闇属性悪魔族が主体のテーマとなっています。今回は相手との相性が悪かっただけで、この時代ではかなり有用なデッキです。
クロトのデッキは【蟲惑魔】です。「落とし穴」「ホール」と名のついた罠カードを使用して相手の行動を妨害していく植物族と昆虫族が主体のテーマです。
次回の更新は10月中に行えるようにする予定です。
メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。
未完の本作の今後の扱いについて
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全削除でOK
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チラ裏に移動でOK
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どちらでもOK