【未完】遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~ 作:嘘つき熊さん
今回はクリスマスシナリオです。
第百五十二話 とある日のクリスマス
クリスマス。
それは12月25日に行われるイエス・キリストの降誕祭だ。
前世にあったと言う新約聖書では、ユダヤのベツレヘムの馬小屋で聖母マリアのもとにキリストが生を受けたその日を特定しては居なかったそうだ。
そのため、降誕祭とは「キリストの誕生日」ではなく、「キリストが生まれてきたことをお祝いする日」とのことらしい。
北ヨーロッパに住んでいたゲルマン民族は冬至のお祭り「ユール」の一環として、寒さに強い樫の木を永遠の象徴として崇めていたらしい。
この信仰を諦めさせるためにキリスト教の宣教師が樫の木を切り倒し、代わりにモミの木を広めたのではないか、と言うのが前世におけるクリスマスツリーの由来だそうだ。
前世におけるサンタクロースとクリスマスプレゼントの由来は、キリスト教の聖人である奇蹟者ニコラウスの伝説が元となったそうだ。
とても慈悲深い人物であったニコラウス氏が貧しい家に金貨を投げ入れた際にその金貨が暖炉にかかっていた靴下にそのまま入ったと言うのが元ネタらしい。
クリスマスに七面鳥を食べるのは、アメリカ大陸の開拓民たちが食べ物に困り飢えに苦しんでいた時、先住民のインディアンたちに七面鳥の施しを受けたことが由来っぽい。
その際に七面鳥が感謝のシンボルとなり、転じてキリスト降誕への感謝を表すためにクリスマスのごちそうになった、という説があるそうだ。
それが日本人と来たらもう…ね?
クリスマスとは…決して恋人たちがイチャイチャしたりする日などではないのだ…!
そんな要素、何処にも無かっただろう…!どうしてそうなってしまったんだ!
俺は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の赤帽子を除かなければならぬと決意した。
俺にはこの世界の歴史背景が解らぬ。
俺はごく一般的な神様転生チート野郎である。日々デッキをシャッフル&ドローし、デュエルして暮らして来た。
けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
「誰がクリぼっちだこの野郎!」
彼女持ちの腹黒い友人からの心無いメールに対し、俺はそう憤った。
この世界に転生した当時は、前世とこの世界ではテレビに出て来る芸能人とか全然違う上に、歴史の偉人や事件も所々違うのがなかなか慣れなかった。お蔭で歴史のテストだけはいつも悩まされた物だ。
だが、クリスマスと言う前世でも存在したそのイベントはこの世界でもほぼ同じような催し物として存在している。
前世と同じくこの世界でもクリスマスをカップルのイベントと勘違いしたアホどもが町中には溢れかえっており、恋人のいない十代から二十代の若者たちは非常に生きづらい季節だ。そして今の俺にも恋人はいない…。
だが待って欲しい。俺は決してモテないから独り身なわけではないのだ。
何故なら俺は彼女がいないのではなく、デュエルアカデミアを卒業するまでは自身の生存を一番にするため、恋人を作らないと決めているからだ。
もう一度言うが、俺は決してモテないからクリぼっちと言うではないのだ!そこんとこ、勘違いしないでよね!
~~~
さて、俺はクリスマスの日には毎年必ずと言っていいほど地元のデュエル大会へと参加している。その大会の賞金を元手に孤児院へクリスマスケーキと七面鳥を買って帰るためだ。
多くの子供が集まる孤児院と言うことで俺の住む孤児院は食堂だけはかなり広く、毎年クリスマスパーティを実施している。
近所の子供たちも参加したりするそのパーティにて、参加者の子供たちの度肝を抜くようなケーキを用意してその驚愕の表情を見て愉悦に浸るのが俺の楽しみの一つでもあるのだ。子供は反応が素直で見てて楽しいよね。
ふぅ、そろそろデュエル大会会場のリング上にて俺と対峙している大会決勝戦の相手に視線を戻してみようか。
「良し、クロト。デュエルだ!」
青髪のポニーテールを黄色いリボンでまとめており、上半身には黒のインナーに赤いジャケットを羽織り、下半身は足首まで覆うジーンズと言うオシャレと言う言葉を忘れてしまった女の子の様だ。
セレナじゃん。何してんの?
「リンも楓もデートらしくてな。なんなら学校の他の友人もデートだってさ。だから暇だったんだ!」
そう言う彼女の顔には悲壮感のような物は感じられず、むしろデュエルが出来る喜びに満ち溢れているように見える。
頭のポニーテールが犬の尻尾の様に揺れている様がなんとも微笑ましい。
そうか、やはりアイツらもデートか。ちっ、リア充め。学生は学業が本分だろ?それをお前…なんて羨まけしからん!
コナミ?地元の連中数名とデートだってよ。朝、昼、夕、夜で別々の相手とデートするらしいぞ。
何処のエロゲーだよ。弾け飛べばいいのに。
『ただいまより、デュエル大会決勝戦を開始いたします』
デュエルリング端にはサンタクロースのコスプレをした司会進行のおっさんがマイクを握っており、そのおっさんから決勝戦開始のアナウンスが会場へと響き渡った。
「「対戦、よろしくお願いします」」
挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。
「「デュエル!」」
◆白河クロト LP:4000 手札:5枚。
vs
◆セレナ LP:4000 手札:5枚。
「先攻は俺が貰う!俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」
クロト 手札:5→6枚。
おっ、珍しく先攻を握れたな。そして初期手札は…くくくっ、勝ったな。
「悪いなセレナ!お前のターン、無ぇから!」
「!?」
「俺は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【脳開発研究所】を手札に加える!」
クロト 手札:6→5→6枚。
【テラ・フォーミング】
通常魔法
(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。
「そして俺は手札から今デッキから加えたフィールド魔法【脳開発研究所】を発動する!」
クロト 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。
【脳開発研究所】
フィールド魔法
(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは通常召喚に加えて1度だけ、自身のメインフェイズにサイキック族モンスター1体を召喚できる。この方法でサイキック族モンスターが召喚される度にこのカードにサイコカウンターを1つ置く。
(2):自分フィールドのサイキック族モンスターが効果を発動するためにLPを払う場合、代わりにこのカードにサイコカウンターを1つ置く事ができる。
(3):このカードがフィールドから離れた時に自分はこのカードに置かれていたサイコカウンターの数×1000ダメージを受ける。
「俺は手札から【メンタルマスター】を召喚!」
クロト 手札:5→4枚。
<クロトのフィールド>
メンタルマスター ★1 ATK100 ※チューナー
【メンタルマスター】
チューナー(効果モンスター)
星1/光属性/サイキック族/攻 100/守 200
800ライフポイントを払い、「メンタルマスター」以外の自分フィールド上のサイキック族モンスター1体をリリースして発動できる。
デッキからレベル4以下のサイキック族モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。
「更に俺は【脳開発研究所】の効果により手札から【ガスタの静寂 カーム】を召喚する!」
クロト 手札:4→3枚。
サイコカウンター:0→1個。
<クロトのフィールド>
メンタルマスター ★1 ATK100 ※チューナー
ガスタの静寂 カーム ★4 ATK1700
【ガスタの静寂 カーム】
効果モンスター
星4/風属性/サイキック族/攻1700/守1100
1ターンに1度、自分の墓地の「ガスタ」と名のついたモンスター2体をデッキに戻して発動できる。デッキからカードを1枚ドローする。
「ここで俺は【メンタルマスター】の効果発動!フィールドの【ガスタの静寂 カーム】をリリースし、デッキから新たな【ガスタの静寂 カーム】を特殊召喚する!」
サイコカウンター:1→2個。
<クロトのフィールド>
メンタルマスター ★1 ATK100 ※チューナー
ガスタの静寂 カーム ★4 DEF1100
墓地のカーム;0→1枚。
「本来【メンタルマスター】の効果を使用する際には発動コストとして800LPを支払う必要があるが…」
「代わりにフィールド魔法【脳開発研究所】にサイコカウンターを1つ置く事ができる、だろ?」
「正解だ!そして【メンタルマスター】の効果には、何~故~かターン1制限がないのだ」
だから前世では禁止カードから返ってこれないんだよなぁ。さっさとエラッタしてしまえばいいのに。
「よってもう一度【メンタルマスター】の効果発動!フィールドの【ガスタの静寂 カーム】をリリースし、デッキから三体目の【ガスタの静寂 カーム】を特殊召喚する!」
サイコカウンター:2→3個。
墓地のカーム;1→2枚。
「そして、自分の墓地の【ガスタの静寂 カーム】2体をデッキに戻してフィールドの【ガスタの静寂 カーム】の効果発動!デッキから1ドロー!」
クロト 手札:3→4枚。
墓地のカーム;2→0枚。
「俺は【メンタルマスター】の効果発動!フィールドの【ガスタの静寂 カーム】をリリースし、デッキから新たな【ガスタの静寂 カーム】を特殊召喚する!」
サイコカウンター:3→4個。
墓地のカーム;0→1枚。
「なるほど。【ガスタの静寂 カーム】の効果はターン1制限があるが、一度フィールドから離してしまえばもう一度使えるのか」
「くくくっ、気付いたようだな?だがもう遅い!お前は既に、このメンタルマスターループにハマったのだ!」
後は延々とメンタルマスターとカームのループで無限ドローしてエクゾディアを揃えるだけだ!
「【メンタルマスター】の効果発動!フィールドの【ガスタの静寂 カーム】をリリースし、デッキから三体目の【ガスタの静寂 カーム】を特殊召喚する!」
サイコカウンター:4→5個。
墓地のカーム;1→2枚。
「そして、自分の墓地の【ガスタの静寂 カーム】2体をデッキに戻してフィールドの【ガスタの静寂 カーム】の効果発動!デッキから1ドロー!」
クロト 手札:4→5枚。
墓地のカーム;2→0枚。
「じゃあここで手札の【ドロール&ロックバード】を墓地に送って効果発動」
セレナ 手札:5→4枚。
「えっ?」
「その効果により、このターン、お互いにデッキからカードを手札に加える事はできない」
【ドロール&ロックバード】
効果モンスター
星1/風属性/魔法使い族/攻 0/守 0
(1):相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
このターン、お互いにデッキからカードを手札に加える事はできない。この効果は相手ターンでも発動できる。
えっ?
「ふふっ、どうした?お前のターンだぞ?」
「むぐぅ…俺はカードを2枚セットしてターンエンド」
クロト 手札:5→3枚。伏せカード:0→2枚
◆白河クロト LP:4000 手札:3枚。伏せカード:2枚
<クロトのフィールド>
メンタルマスター ★1 ATK100
ガスタの静寂 カーム ★4 DEF1100
サイコカウンター:5個。
vs
◆セレナ LP:4000 手札:4枚。
<セレナのフィールド>
モンスター無し
「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」
セレナ 手札:4→5枚。
まさかあんなメタカードを握っているとは…油断したな。
「お前のターン、無えから!…だっけ?」
「ぐぬぬ…だが、流石に2枚目の手札誘発は握っていないだろう!このターンさえ凌げばいいわけだ!俺の勝ちは揺るがないな!」
俺の伏せカードは【禁じられた一滴】、【レッド・リブート】。手札には万能妨害のうららちゃんもある。
さっきの【ドロール&ロックバード】には驚いたが、アイツの【ムーンライト】デッキの中身は大体把握済みだ。
この盤面で負けることはほぼ無いだろう!勝ったな、ガハハッ!
「それはどうかな?」
「!?」
「私は手札を1枚捨てて手札から【ツインツイスター】を発動!」
セレナ 手札:5→4→3枚。
「あっ」
【ツインツイスター】
速攻魔法
(1):手札を1枚捨て、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
「私はフィールドの伏せカード1枚と…【脳開発研究所】を破壊する!」
「あぁぁぁぁぁっ!」
クロト フィールド魔法:1→0枚、伏せカード:2→1枚。
「クロト、【脳開発研究所】がフィールドから離れた時はどうなるんだっけ?」
「自分はこのカードに置かれていたサイコカウンターの数×1000ダメージを受ける…」
クロト LP:4000→0
~~~
デュエル大会が終わり、俺とセレナは地元の駅前へと帰ってきていた。
日は既に沈みかけ、太陽が地平線へと沈もうとしている時間帯になっているが、駅前はまだまだ人で溢れかえっている。
「くっそー、負けた~」
「わははっ、勝った勝った!」
隣を歩くセレナはさっきからずっとこの調子だ。さっきからずっとニヤニヤしている。
この敗北が彼女への初敗北と言うわけでもないが、ここまであっさりと負けたのは本当に久しぶりだ。
正直、俺のプレイングが甘すぎたことが一番の敗因だろう。少なくとも、セレナのような強いと分かっているデュエリストに対するプレイングではなかった。
「まぁまぁ。勝負に負けはつきものだろ?過ぎたことを気にするな!」
「ニヤニヤしながら言われても説得力無いんだよ!」
セレナは俺の肩を叩きながら励ましてくる。
その顔はにやけっぱなしなので全くこちらの励ましになっていないが、ここまで素直に喜ばれると流石に負けた悔しさも薄れて来る。
何よりその笑顔が可愛いのが…その、困る。こんなん毒気抜かれるっての。美少女ってズルいよな。
あまり顔を近づけるな!照れくさい!
「あら?」
「よう、クロトにセレナ!」
駅前のケーキショップで予約していたクリスマスケーキ(大会賞金が入手できなかったので自腹だ…)を受け取ると、店を出た直後にユーゴとリンに出くわした。
緑と白を基調とした若者らしい服装をした2人は、本人たちが美少年と美少女なだけあってとてもお似合いのカップルと言った見た目だ。
この2人の仲にに関しては昔からよく知っているので今更嫉妬するほどでもない。
さっきこちらに気付いた際、さりげなく繋いていた手を離していたな。デートの邪魔をしてしまったか。悪いことをしてしまったな。
「あれ?2人で映画を見に行くんじゃなかったのか?」
「映画はとっくに見終わったぞ」
「今日はもう遊び尽くしたし買い物を終わったから、そろそろ帰るつもりなのよ」
セレナの問いにユーゴ達が答える。よく見れば2人の片手にはそれぞれ大きめの紙袋がぶら下がっており、その中には綺麗にラッピングされた箱が入っている。
「あぁ。これ?夜のクリスマスパーティでやるプレゼント交換の景品を買って来たのよ」
「中身はここでは教えられないぞ」
そういうことか。ちなみに俺は既に用意してあり、孤児院に置いて来てある。セレナも事前に準備していたらしく、後ほどバレットが届けに来るそうだ。
「それにしてもお前ら、クリスマスを二人きりで過ごそうとか思わないのか?」
「えっ、何でだ?」
「せっかくのクリスマスなんだし、賑やかな方がいいじゃないか」
俺の言葉を受けてユーゴ達は心底不思議そうな顔をしている。
嘘だろコイツ等、仮にもカップルなんだよな。純粋かよ…。
俺がおかしいのか?いや、コナミとか絶対に翌朝まで帰ってこないぞ。
「そう言えば、さっき楓たちにもあったわ。あの子たちももう少し後で来るらしいわね」
「オレのダチも数人来るって連絡があったな」
「俺も近所に住んでるアカデミアの知り合いに声を掛けておいた。一応、何人か来れるみたいだ」
「私の友人も何人か来るらしいぞ」
思ったよりも参加人数が増えそうだな。食堂以外にも場所が必要になるかも知れない。後でシスターに相談しておかないとな。
「クロト」
「うん?」
そんなことを考えながら孤児院への帰路を歩いていると、先を歩くユーゴ達の会話から離れたセレナが俺の横に並ぶように歩いて話しかけてきた。
「今年のクリスマスパーティも賑やかになりそうだな!」
「そうだな。楽しみだ」
前世の俺も天涯孤独な上に独り身ではあったが友人に恵まれていた為、決して不幸な人生ではなかったと思う。
だけど、今の俺はきっと前世よりも恵まれていると断言できる。
少し先の未来において世界規模での命の危険は有ったりするけどね?
GX時代は物騒なイベントが多すぎるんだよなぁ。
それでも、今では転生した世界がこの世界で良かったと素直にそう思える。
「あっ、雪が降って来た!」
「ホワイトクリスマスって奴だな」
セレナの声に反応して顔を上げると、空から白い雪がはらはらと降ってきていた。
「おぉっ、雪だ!」
「この辺りはあんまり雪が降らないのに珍しいわね」
前方を歩くユーゴ達も雪に気付いたらしく、セレナと一緒に空に手を向けて年相応の笑顔ではしゃいでいた。
その光景を見た俺は、『こんな平和な日常が長く続けばいいのにな…』なんてガラでもないことを想いながら、今世の友人たちと共に雪景色の中を歩いていた。
今回のクロトのデッキは【メンタルマスター】を使用したループコンボを使用したものになっています。
このカードが登場したのは2008年4月、アニメ5D'sの主人公である不動遊星が使用した【スターダスト・ドラゴン】などと共に登場しました。
その後、2011年9月に【脳開発研究所】【ガスタの静寂 カーム】との無限ループが問題視されたためか、禁止カードに指定されています。【フィッシュボーグ-ガンナー】と共にチューナー初の禁止カードみたいですね。
次回の更新は来年の1月下旬予定です。
戦車様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。
未完の本作の今後の扱いについて
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全削除でOK
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チラ裏に移動でOK
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どちらでもOK