【未完】遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~   作:嘘つき熊さん

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前回のあらすじ:一撃必殺!

今回は対抗デュエルの休憩日、デュエル無しのストーリー回となります。


第百六十話 幕間:休憩日1

 学園対抗デュエル3日目を終えた翌日、明日に対抗デュエル4日目を控えた今日は休憩日となっている。

 本校生徒以外の姉妹校所属の生徒たちは門限付きとはいえ日本に来て初めての自由時間となり、皆が各々の時間を過ごしている。

 本島で街に繰り出して遊びに興じるものが殆どだが、本日は本校が解放されていることもあってか本校探検のような行為を行う生徒も少数ながら存在した。

 

 各校の生徒や教師たちが入り乱れると言うこともあり、良からぬことを考える輩にとって本日ほど動きやすい日は無いだろうと思った俺は、カードの精霊たちにも協力して貰いつつ、散歩と称して島内の調査を行っていた。

 

 午前中はデュエルアカデミア校舎を重点的に調査した結果、昨日勝利を収めて明日に試合がないノース校の生徒らしき少年たちを多く見かけた。

 

「サンダー!オレは初代デュエルキングのデッキが飾ってある部屋に行きたいぞ!」

「オレは校舎内にあると言うデュエルリングが見たいぜ!」

「サンダー!そろそろ昼飯にしよう!最近できたって言う公共食堂ってのに案内してくれよ!」

 

「ええい、やかましいぞ貴様等!オレ様は聖徳太子じゃないんだ!いっぺんに話すんじゃない!」

「「「すまん」」」

 

「ふん、分かればいいのだ。ここからならデュエルリングが近い。まずはリングを見てから食堂で昼食を取り、午後からデュエルキングのデッキを見る。良いな!?」

「「「おぉー!サンダー!」」」

 

『あらーん。兄貴ったらモテモテねぇ~』

『シャァァァ!』

 

 アカデミア本校舎の中には、先日万丈目に勝利した橘一角や他のノース校の生徒を対象に校舎案内する万丈目の姿も見られた。

 万丈目とノース校生徒の間に確執は存在せず、先日のデュエルやその勝敗に関するわだかまりなどは無さそうであり、良き友人関係を気付いているように見えた。

 万丈目たちの近くでその様子を見ていた精霊のおじゃまイエローや光と闇の竜も嬉しそうな様子だった。

 

 昨日の敵は今日の友、と言うことだろうか?いや、元々彼らは以前から交流があったらしいのでそこまで不思議な光景でもないのだろう。

 

~~~

 

「2月中旬、デュエルアカデミア創設から初となる学園対抗デュエルの3日目を終え、我々はつかの間の休息を得ていた」

 

 昼食を取るためにラーイエロー寮に戻る際、校舎前でイースト校所属のアモン・ガラムとすれ違った。

 アモンはモノローグ調な語りを入れつつビデオカメラを構えて本校舎やその周囲を撮影しているようだった。

 

「やぁ、こんにちわ」

「こんにちわ」

 

「確か本校代表の白河君だったよね。ボクはイースト校代表のアモン・ガラム。よろしくね?」

「よろしく」

 

 互いの存在に気付いた俺と彼は簡単な挨拶と会釈を交わし、彼はその場にとどまって撮影を再開して俺はその場を離れるように歩きだす。

 すれ違い様に一瞬だけ殺気のこもった鋭い視線を感じたものの、今は俺に対してなんらかのアクションを起こす気はないようだ。

 

 ガラム財閥は以前イリアステルの幹部であるパラドックスを回収して内部データをサルベージし、その結果として最低でも数十年先で登場するはずのディアブロをこの時代に生み出している。

 恐らくパラドックスのデータから未来に関する情報も得ているはずだ。もしかすると、その中にはアモン・ガラム自身の未来の結末も記されていたかも知れない。

 そして、アニメGX第三期でガラム財閥の暗部としても活躍していた彼ならばその情報に触れていてもおかしくない。

 

 ガラム財閥が未来の情報を得ていた場合、真っ先に警戒したのはイリアステルだろう。歴史に介入できる世界規模の組織とか厄介の言葉では生ぬるい。

 次に警戒したのは恐らくだが、破滅の光だろう。光の結社を含め、彼らが地球人類に与える影響は計り知れないからな。

 数十年後に登場するかもしれないダークシグナーや冥界の王も警戒していただろうけれど、そんな先の話よりもまずは直近の問題に目を向けていただろうから上記2つよりは優先順位は下がるはずだ。

 そして最も近いうちに競り合うことになるユベル勢力も忘れてはいないだろう。特にアモンはコイツらのせいで色々と人生が捻じ曲がることになるわけだしな。

 ディアブロを大量生産しようとしていたのはきっと、これらのの勢力を警戒して対抗しようとしたのではないかと推測される。

 

 戦国時代かな?群雄割拠すぎんよぉ~。

 

 そして数年前、未来の情報を得ていた彼らにとっては驚くべきことが起こったと思われる。

 一つ目はハートランドシティでのオベリスクフォース事件。

 二つ目は舞網市で起こった覇王龍事件。

 そして最後は、この世界におけるカードプールの変化だ。

 

 イリアステルの知識で得た未来情報はアニメGXおよびアニメ5D'sの世界軸の話である。

 アニメGXの延長線上と思われるあの世界軸ではアニメZEXALやアニメアークファイブで登場するハートランドシティや舞網市は存在しないだろう。もちろん、それらに登場する勢力もまたしかりだ。

 エクシーズ召喚やペンデュラム召喚の登場など、未来の情報を得ていたつもりだった彼らにとってはまさに寝耳に水と言った状況ではなかろうか。

 

 去年の夏、様々な対策を講じていたはずのガラム財閥がイリアステルに敗れて落ちぶれていったのには、もしかしたらこう言った背景が存在するのかもしれないな。

 ハノイの騎士?確かにアレも元の世界には存在しないだろうけど、去年の夏にイリアステルと共闘して見せたことからイリアステルの関係者と思われて一緒くたに考えているんじゃないかな。

 流石にイリアステルや破滅の光ほどには警戒されていないはずだ。

 

「そうだ、白河君。少しいいかな?」

 

 そんなことを考えながらアモン・ガラムの横を通り過ぎてそのままこの場を立ち去ろうとする俺に対し、その彼が俺に声を掛けてきた。

 聞こえなかった振りをしてそのまま歩き去ってしまおうかと考えたのだが、彼の次の言葉を聞くと足を止めざるを得なかった。

 

「君は赤羽コナミの幼馴染なんだってね?」

 

 その言葉を聞いた後、振り返ってアモン・ガラムの顔を見る。その顔は人当たりの良い穏やかな表情をしているものの、目が全く笑っていない。

 

 ハッキリ言おう。怖い。おしっこチビりそう。

 

 精霊界で幾度も死線を潜り抜けたつもりで度胸が付いたと思っていたのだが、どうやら幼少期から覚悟完了していた彼のそれには及ばなかったようだ。

 

「どんな話でもいいし、ほんの少しで構わないんだ。彼の話を聞かせて貰えないかな?」

 

 俺も昔は『コナミはアニメ5D'sには存在しないのでパラドックスの内部データには存在せず、イリアステルにもその情報は知られていない』と思っていた。

 ただ、イリアステルは過去に何度も世界改変を行ってきたはずなので、もしかするとコナミが存在するパターンに遭遇したことがあったのかも知れないと思い直していた。

 

 異世界チート転生者の俺をもってしても理不尽かつ超常的過ぎると感じるコナミの存在は、さぞイリアステルやその知識の一部を得たガラム財閥の頭を抱えさせたことだろう。

 先ほどのアモンの反応を見るに、未来を知ったガラム財閥やアモン自身が最大級の警戒をしつつも手が出せないと判断したのがコナミであり、その幼馴染と言う都合の良さそうな存在である俺に声を掛けて情報を得ようとしたのかもしれない。

 

 どうやら俺のことについては詳しく知らないようで、恐らくだが『幼い頃からコナミに影響されて本来の歴史から大きく変化した少年』程度の扱いなのだろう。

 こちらとしても面倒な勢力にこれ以上狙われるのは嫌なので、願ったり叶ったりである。

 

「すまないが急いでいる。聞きたければ本人に聞いてみるといいと思うぞ」

「…そうか、時間を取らせてしまって悪かったね」

 

 俺は、ドモらないように声が震えない様に気を付けながら、当たり障りのない言葉を選んで彼の要求をやんわりと断った。

 その言葉を受けて地面に視線を落として落ち込んだような様子のアモンの表情は、俺からは見えない。と言うか見たくない。さっさとこの場から離れて寮に帰りたい。

 

 俺は逃げ出すように、だがしかし早歩きにならない様にしてその場を立ち去った。

 

 しかしね?コナミの情報なんて俺が話せるわけないじゃん。

 情報を出すこと自体も色々と不味いからやらないけれど、その前になんて答えるんだよ?

 

 

 様々な重要人物に間違えられる容姿をした赤い帽子を被った人たらし野郎で?

 

 ドローパンが好きなカードの精霊っぽい存在で?

 

 勇者オブライエンの代わりに覇王十代と戦って彼を助けたり、逆に十代たちと敵対してアカデミアを滅ぼしたり?

 

 デュエルさえできれば何でもいいデュエルお化けで?

 

 シグナーのロリっ娘を助けたり、逆にその助けたロリや他のシグナーたち全員を闇のデュエルで消滅させたり?

 

 余にも恐ろしいDーホイールで空を飛んだり?

 

 デュエルマッスィーンだったり、いきなり公共の面前で女子の肉まんを鷲掴みしたり?

 

 異空間に飲み込まれた人を助けたり、シャトルで過去に移動したり?

 

 ハートランドシティの上空から突然出現したり、バリアン七皇の八人目だったりする奴だって答えるのか?

 

 

 そんな答えを返したら俺の頭が疑われるじゃねーか。誰だってそうする。俺もそうする。

 一切全く一つも嘘偽りを言ってなくても、心の中ではかなり口が悪いアモンにボロクソに言われそうじゃん!

 

 舐めんな!俺が一番アイツをよく分かってねーんだよ!!(逆ギレ風味)

 

~~~

 

 ラーイエロー寮に戻って昼食を取った後、食後の運動とばかりにぶらぶらと島をうろついているとオシリスレッド寮の前に人だかりが出来ていた。

 

「あら、クロトじゃない」

「明日香か。なんなんだこの人だかりは?」

 

 その様子を窺っていると、オシリスレッド寮から少し離れた場所にいた明日香がこちらの存在に気付いて声を掛けてきた。彼女の近くには友人のジュンコとももえの二人もいるようだ。

 

「アレよ、アレ」

 

 こちらの問いに答えるようにジュンコが指を差す方に視線を向けると、人だかりの中心にはサウス校のジェームス・クロコダイル・クックと相棒のカレンが居た。

 

「イケメンでいらっしゃいますわ~。あら、白河さん。居たんですの?」

 

 ももえに関しては視線がジムに釘づけであり、俺の存在にすら気付いていなかったようだ。

 

「あれは確かサウス校の…なにやっているんだ?」

「あそこに彼のペットのワニが居るじゃない?そのワニに遊城君たちが餌を上げ始めたのよ」

 

 確かに人だかりの中心をよく見て見ると、十代にヨハンの姿が見える。

 翔や隼人の姿も見えるが、流石にカレンにビビっているのか他の野次馬オシリスレッドの生徒たちと同様に少し距離を取っているようだ。

 そう言えばコナミは一緒じゃないみたいだ。珍しいな。デートでも行っているんだろうか?

 

「ほ~ら、カレン。ウィンナーだぞ~」

「カレン!こっちはハムを持って来たぜ!」

 

「ガウッ!」

 

「うわっ!?今、兄貴の腕ごと噛みついてなかったっスか!?」

「十代もそうだけど、ヨハンも負けず劣らずで、二人とも怖いもの知らず過ぎなんだナァ」

 

「Wow!カレンがオレ以外から食事を受け取るなんて、本当に驚いたな!」

 

 十代たちが楽しそうにカレンと戯れる姿を見て、アニメで似たような展開があったことを思い出した。

 

 確か、あの時に十代と一緒に居たのはヨハンじゃなくてティラノ剣山だった気がするが、アニメ第三期で十代とジムの仲良くなったきっかけとなったシーンとして回想が流れた時にこんな展開があった気がする。

 

「それで、何で君らは彼らを遠巻きで見てるんだ?」

 

「それは…その、私も触ってみたいなって思ってね?」

「だから、止めた方がいいですって明日香さん!?」

「ワニに噛まれたら痛いじゃすみませんよ!?」

 

 明日香個人はカレンに興味があるものの、友人二人に止められているわけか。

 ごく一般的な感性を持つ人間なら、友人がワニに近寄ろうとしているなら普通は止めるよな。

 

 むしろ明日香が変わっていると思う。好奇心旺盛過ぎでしょ。

 

「あの子は野生のワニと違って賢そうだし、ジェームズに断りを入れたら触らせてくれるんじゃないか?」

「クロトもやっぱりそう思うわよね?うん、決めた。私、ちょっと頼んで来るわ!」

 

「あっ、明日香さん!?」

「あぁ、もう!白河、アンタ余計なこと言わないでよね!」

 

 明日香はカレンに触っていいかをジムに確認に向かい、それを追ってジュンコとももえもオシリスレッド寮へと向かっていった。 

 

 どうやらここは安全の様だし、俺も次のポイントに向かおうかな。

 

~~~

 

 オシリスレッド寮を通り過ぎて船着場へと通じる橋を通ろうとすると、橋の真ん中くらいにコナミの姿を発見した。

 一緒に居るのはオベリスクブルー女子の夏乃ひなた、そしてウエスト校のリックだ。

 

「赤羽コナミさんですよね?ボクとデュエルしてもらえませんか?」

「いいよ」

「えっ、コナミくん?もう、君は本当にしょうがないなぁ」

 

 リックのデュエルのお誘いに何の迷いもなくOKを出すコナミ。流石は十代を遥かに上回るデュエル脳だ。

 

 ただ、コナミと一緒に居た夏乃は不憫すぎる。あれって絶対デート中だっただろ。アッサリ許しちゃっているけど、本当にいいのか?

 君は多分きっとこの世界でもっとも女にだらしない男を相手にしているぞ。ちゃんと怒った方が良いぞ。

 

「おっ、クロトじゃん。やっほー」

「あっ、白河君。こんにちわ」

 

「おう」

 

 すれ違いざまにこちらに気付いたらしいコナミと夏乃が声を掛けてきたのでこちらも返しておく。

 

「貴方は確か、白河クロトさんですよね?貴方もボクとデュエルして貰えませんか?」

「悪いが急いでいるから断らせて貰おうよ」

 

 同じくすれ違いざまにリックがこちらに声を掛けてきた。

 人懐っこい笑顔を浮かべた童顔の美少年の姿に少しだけ警戒心が薄れそうになるが、こちらの内心を悟られないようにうまく断れたと思う。

 

「そうですが。残念ですね」

 

 彼はそう答えると、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた後でコナミ達の後を追っていった。

 

 本来は死亡しているはずのコブラの息子と言うことで警戒しすぎなのかも知れない。もしかしたら本当にただデュエルが好きな少年だったのかも知れない。

 そうだとしたら、悪いことをしたかもな。

 

 ただ、どうもあのリックに関しては油断してはいけないと俺の中の第六感が語り掛けてきている気がするんだよな…。

 

~~~

 

 夕日が差し込む船着場までやってくると、桟橋の灯台付近に亮さん、吹雪さん、藤原先輩のいつもの三人に加えてウエスト校のオブライエンの姿があった。

 

「そうか。何も知らないのか…」

 

「あぁ、力になれなくて済まないな」

「でもボクも本当に見覚えが無いんだよね」

「ボクに関してはそもそもアメリカ校留学に入ってないから答えようがないかな」

 

 オブライエンは三人に対して何やらカードを見せていて、何かを聞いているようだ。彼が手に持っているあのカードはまさか、プラネットシリーズのカードか?

 

「まさか、【The blazing MARS】のカードか?」

「何っ!?お前はこのカードを知っているのか!?」

 

 オブライエンの手から見えたカードの名前をつい呟いてしまったら、それを聞いたオブライエンが詰め寄って来た。

 男に詰め寄られても何も嬉しくないので、やんわりと距離を取っておくことにする。

 

「クロトか。こんなところにどうした?」

「やっほークロト君」

「こんにちわだね」

 

 こちらに気付いた亮さんたちが俺に声を掛けて来るが、目の前のオブライエンの様子が尋常ではないので会釈だけを返すに留めた。

 

「お前は確か本校代表生徒の白河だったな!教えてくれ!このカードは一体何なんだ!?」

「落ち着け。話が見えない。話せることは話すつもりだから、今までのことを順序良く教えてくれ」

 

 アニメGXを知る限り、クールな性格のオブライエンがこれほど動揺することはほぼ無かった。覇王戦とミスターT戦くらいだろう。

 

「去年の末頃にオレのダディが何者かに襲われ、その時の怪我が原因でプロデュエリストの引退を余儀なくされたんだ」

「お前の父親であるプロデュエリスト『炎のオブライエン』のことだな。確か謎のデュエリストに強襲されたとかなんとかってニュースで言っていたな」

 

 クリスマス直後くらいにテレビで報道していた事件で、いきなり現れた犯人が被害者にリアルダメージが発生するデュエルを仕掛けて再起不能にするというものらしい。

 他にも被害に遭っているプロデュエリストが居るそうなのだが、犯人は見つかっていないらしい。

 

「知っているなら話は早い。遅れながらもその犯行現場に到着したオレはダディと協力してなんとか犯人の捕獲を試みたのだが、まんまと逃げられてしまってな」

 

 ニュースでは犯人はネオグールズではないかと推測されていたが、このフィジカル強めのオブライエン親子が取り逃すほどの相手なのだろうか?

 

「まるで瞬間移動したように消えてしまったよ。そしてその犯人がダディから奪おうとしていたカードがこの【The blazing MARS】だ」

 

 プラネットシリーズの使い手がプロデュエリストの中に居たんだ。今初めて知ったぞ。

 しかし、瞬間移動ねぇ…。イリアステルとかなら謎理論の空間跳躍が可能だけれど、わざわざ彼らがアニメ軸の本来の歴史に一切関係のないプラネットシリーズを狙うとも思えないしなぁ。

 

「そのカードはデュエルアカデミアのアメリカ校校長のマッケンジーさんが今から約10年前にカードデザイナーのフェニックス氏に依頼したものの一つでプラネットシリーズと言う物だ」

「プラネットシリーズ…」

 

「完成間近にとある人物によって奪われて行方知れずとなっていたカードのはずだけど、お前の父親はどうやってそのカードを手に入れたんだ?」

「このカードは俺達が昔から世話になっているプロフェッサーコブラから父が頂いたものだ」

 

 やっぱりコブラか。アニメ第一部の影丸とセブンスターズ、第二部の光の結社、第三部のコブラ&ユベルかガラム財閥辺りが候補だったけど、オブライエン絡みとなるとコブラだろうしな。

 プラネットシリーズと言うことでアメリカ校のマッケンジー校長辺りも怪しいかも知れなかったが、あちらの現状は大体把握している。自身の学校の生徒にならともかく、知り合いですらないオブライエン父に渡す理由がない。

 

「プロフェッサーコブラと言うと確か…」

「確かウエスト校の引率としてやって来ていた人だね」

「特別顧問と呼ばれていたから、ウエスト校の校長がその腕を見込んで雇ったのかな」

 

 他校の生徒の亮さんたちにもプロフェッサーコブラは既に知られているのか。まぁ、カードゲームの学校であの顔と髪型は目立つよな。

 

「オレはダディに怪我をさせたその犯人を追っている。奴には落とし前を付けさせなければならない!」

「そのために、そいつが狙っていたそのカードのことを調べていたわけか」

「そういうことだ」

 

 オブライエンは怒りの表情を浮かべながら【The blazing MARS】のカードを自身のデッキに仕舞いこんだ。

 

「それならまずはコブラ教官から話を聞けばいいのではないか?」

「プロフェッサーコブラからは数年前のアメリカでの任務を終えた際に拾ったカードだと聞いている」

「その場所の調査は…」

「もちろん終えている。だがそこには既に有益な情報は無かった」

 

「数年前のアメリカと言うと、もしかしてアメリカ校付近で起こっていた破滅の光の事件のことだろうか?」

「その通りだ」

 

 なるほど。俺がアメリカに渡って事件を解決する半年前くらいから事件が起こっていたし、オブライエンが亮さんたちに話を聞いていたのがあの事件の関係者だからと言う理由でなら理解できる。

 

「必要な話は大体聞けた。お前たちの協力に感謝する」

「次はマッケンジー校長に話を聞きに行くのかい?」

「そうするつもりだ。ではな」

 

 そう言い残すと、オブライエンはその場を立ち去って行った。

 

 オブライエンの持っていたあのカードにはオカルトチックな力は感じられなかった。もしかしたら本当にコブラが偶然拾ったカードだったり…それは無いか。

 マーズのカードを狙う敵か。何者なんだろう?そしてマーズではなくプラネットシリーズその物を狙っているのだとすれば、ジュピターの現所有者のエドやジ・アースの紅葉さん、そして制作依頼者のマッケンジー校長も狙われたりするのだろうか?

 

~~~

 

 夜になり、島全体を探索し終えた俺はラーイエロー寮へと足を向けていた。

 

 学園対抗デュエルの休憩日は対抗デュエル4日目後と5日目を終えた後にももう1日ある。

 今日で根を詰め過ぎても仕方ないからな。

 

「アン・ドゥ・ドロー!アン・ドゥ・ドロー!」

 

 そんな中、道脇の森の奥から聞いたことのある声が聞こえてきたので、気になってそちらへ足を運んでみることにした。

 少し歩いた森の奥には、周囲を森で囲まれた小さな滝のような場所があり、そこでは三沢がデュエルディスクにセットしてあるデッキからカードを引いたり戻したりしていた。

 

 以前見たことがあるが、彼曰くドロー訓練らしい。

 

「アン・ドゥ・ドロー!アン・ドゥ・ドロー!」

 

 俺には何の意味があるかは分からないが、理論派の三沢がやっているのだから恐らく何かしらの意味はあるのだろう。

 彼は鬼気迫る表情で一心不乱にデッキからカードをドローしていた。

 

「認めさせてやる!オレは負けない!オレは強い!オレは!必ず勝つ!」

 

 思い上がりかも知れないが、昨日の俺との会話を気にしているのかもしれない。

 

 アニメ第二期では、三沢は自分が認められない怖さを突かれて光の結社に敗れている。それが心の弱さとだとも言われていた。

 だが、自己顕示欲や承認欲求などは人間誰しも大なり小なり存在するものだろう。

 その為に努力し、自身を磨いて成長させていくいく原動力となるのであれば、俺はそのことが特別悪いことだとは思わない。

 

「すまなかったな、三沢」

 

 俺は三沢の邪魔にならないよう、音を立てずにその場を後にした。

 

 もし仮に、明日お前がデュエルで敗北したとしても、俺はお前を尊敬するよ。

 お前には、俺には無い熱いものが確かにその胸に存在するのだから。




デュエルを期待して頂いて方には申し訳ありませんが、本作ではあまりキャラクター同士の交流を描いていなかったような気がしたので、今回は色々と盛り込んでみました。

今回だと万丈目とノース校生徒の交流、主人公とアモンの交流(交流?)、十代や明日香たちとジムやヨハンとの交流、亮たちとオブライエンの交流、三沢の葛藤などなどですね。

今後も時々はこういった日常回のようなものを入れてみたいと思っています。

次回の更新は3月中旬予定です。

戦車様、伊倉 一山様、HANEKAWA-san様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。

未完の本作の今後の扱いについて

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