【未完】遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~ 作:嘘つき熊さん
今までご愛読いただきましてありがとうございました。
最終話 エピローグ
「ふぅっ、こんなものか」
卒業パーティを終えてラーイエロー寮の自室に戻り、部屋の後片付けを終えた俺はふと独り言を零してしまった。
今の俺には精霊のカードも所持していないし、精霊たちから借りていた力も残っていない。もし仮にカードの精霊たちがこの場に居ても俺が彼らを認知することは無いだろう。
寂しさを感じないと言えば嘘になるが、元々転生チートに頼っていただけのモブキャラな俺には過ぎた力だった。惜しいとは思うけどね。
「十代とコナミはもうレッド寮を出て旅立った頃だろうか?」
いや、これから初代デュエルキング時代の武藤遊戯とデュエルするタイミングかな?
原作より遥かに強化された十代のネオスデッキと、恐らくそれにつられて強化されそうな武藤遊戯のハイランダーデッキとのデュエル、ちょっと見たかったなぁ~。
そしてその後にしばらくしたらパラドックス戦か。彼の人生はこの後も波乱万丈だな。
「色々あったけれど、ようやく卒業か」
俺は窓枠に腕を乗せて体重をかけた状態で夜空に浮かぶ月を眺める。
その光景を目にして感傷的な気持ちになりながら、これまでのことを思い返していた。
「思えばこれまで色々なことがあった…」
この世界に新たな生を受け、デュエルアカデミア入学前から1年生時代までは様々な暗躍を行って原作介入しまくったものだ。
原作と一番違いが出たのはセブンスターズ編だったな。セブンスターズと戦ったのは主に教師陣だったし、影丸理事長とは3vs1でフルボッコだった。
俺の介入によって吹雪さんや藤原先輩の様に原作アニメより心の傷が浅く済んだ人たちも居れば、俺の介入のせいで鮫島校長の様にむしろ被害に遭ってしまった人たちもいた。
タッグフォース大会なんてのもあったな。
タッグフォース大会はゲームと違って影丸が出てこなかったくらいの違いで、参加デュエリストのレベルは高いもののそれ以外は普通のデュエル大会だったな。
その後に行われた原作には存在しない全姉妹校での学園対抗デュエルでのコブラの暗躍が一番驚いたな。
まさかコブラが十代と行動を共にしていた方のユベルをデュエルで倒した後、オベリスクフォース製のデュエルディスクでカード化して誘拐するとは思わなかった。
ま、この出来事自体はあとから知ったんだけどね。当時はいきなり居なくなったユベルを十代たちと一緒に探し回ったなぁ。
他にも俺個人の問題として何度か退学になりかけたこともあったが…あれらはまぁ完全に俺の自業自得だったから誰にも文句は言えないな。
「それを反省して2年目からはなるべく大人しくしていたけど…まさかああなるとはなぁ」
2年目の光の結社編に関しては、俺は本当に何もしていない。
俺の周囲であった大きな変化と言えば、亮さんが卒業したのとセレナが入学してきたくらいだったな。
2年目の序盤ではユベルを失って落ち込んでいた十代だったが、コナミや翔、そして新たに友人となったティラノ剣山のお陰で生来の明るさを取り戻していった。
亮さんは最初からヘルカイザー亮の名前でプロ入りし、エドの【D-HERO】に敗れはしたものの闇堕ちすることなくプロ生活を続けていた。
万丈目も斎王とのデュエルに勝利はしたものの、何故かその次の日には万丈目ホワイトサンダーになっていた。今となっては詳細は不明だが、試合に勝って勝負に負けたと言う奴なのかも知れない。
ホワイトサンダーの勢いは凄まじく、原作アニメ通りに明日香や三沢をホワイト化してブルー寮を白く染め上げていっていたな。
「あぁ、そうそう。鮫島校長が戻って来たのもこの辺りの時期だったな」
この世界の歴史の修正力だかなんだか知らないが、2年目になるとセブンスターズ編終了前後で表舞台から退場したはずの鮫島が何故か校長職に復職していた。
よくもまぁ、あれだけのことをしておいて半年ちょっとで復職できたものだ。この世界の法律ってどうなってんだろうね。
海外からナポレオン教頭も帰って来たことでクロノス校長はまた実技最高責任者のクロノス先生へと戻っていた。
本人は落ち込んでいたが、クロノス先生はあのポジションの方が個人的にしっくりくるので問題なし。
「修学旅行は普通に楽しかったな」
十代たちが斎王美寿知やその部下の帝デッキ使いと戦っていた頃、俺はそれに参加するわけでもなく普通に修学旅行を満喫していた。
修学旅行先の童実野町は殆ど地元と大して変わらないのだが、同じ班になったラーイエローの連中と一緒に色んな観光名所を回るのは素直に楽しかったな。
そして原作アニメ通り、鮫島校長の主導により世界中の強者を招いたジェネックス大会が開催されることになったわけだ。
ジェネックス大会の参加者は原作アニメのプロデュエリスト達に加え、本校以外のアカデミア生を加わったり、城之内や孔雀舞などの前作登場キャラも多く参加してりもしていた。
更に舞網市の遊勝塾やLDS、ハートランドシティのデュエルスクールの学生たちと言う、デュエルアカデミア以外の若者たちも多く参加していたっけ。
「十代とインゼクター羽蛾が戦ったり、ユートとクロノス先生が戦ったりと原作にはなかった好カードの対戦が組まれることになって見応えあったなぁ」
俺はと言うと、セレナと一緒にタイラー姉妹とタッグデュエルしたり、城之内にリベンジを成功させたりしたりして奮闘していたのだが、最終日に赤馬零次に負けてしまった。
あの時ばかりは素直に負けを認められるくらいには当時の赤馬零次は本当に強かった。次にやる時があれば負けるつもりは無いけどさ。
ジェネックス大会は原作通りに万丈目が優勝、レイちゃんが準優勝となっていた。原作と違うのは、レイちゃんはゲリラ参加ではなく正式に招待されて参加していたことくらいか。
その間に十代たちは破滅の光に飲まれた斎王と対峙していたらしい。斎王に操られたエドをコナミが倒し、十代が斎王を倒すことで見事に勝利を収めたそうだ。
斎王は十代に負ける前にエドを倒していたらしいが、【アルカナフォース】デッキでデスフェニを駆使する【D-HERO】デッキを良く倒せたものだ。俺には無理だな。
「レーザー衛星『ソーラ』の光が目視出来てしまった時には、やっぱり鍵を奪っておけばよかったと後悔したっけ」
原作どおりにティラノ剣山がネオスと共に宇宙空間でレーザー衛星を破壊していたが、俺と一緒にその一部始終を見ていたセレナは口をポカンと空けて言葉を失っていたな。
俺も原作知識が無ければ同じようなことになっていただろう。
「3年目は完全に裏方だったな、俺」
原作通りに鮫島校長に呼ばれたコブラがやって来てデスデュエルを始め、多くの人達がデュエルエナジーを奪われて倒れて言ったっけ。
十代たちがコブラの元に乗り込んで行った際には、俺はツァンたちと一緒に保険医の鮎川先生に協力して倒れた学生たちを本土の病院へと移送していた。
復活したユベルの力でアカデミア本校舎周辺が異世界転移してしまう前に、あの過酷な異世界生活に巻き込まれる人間を減らしておこうと考えたわけだ。
一応その目論見は成功したらしく、砂漠の異世界での食糧問題などはかなり緩和されたようだ。俺が事前に他の寮から食料を持ち込んでいたのも大きかっただろう。
飢えで正常な判断が取れなくなる学生はかなり減ったので、デュエルゾンビとなる生徒も少数だったため、原作通りヨハンと亮さんのお陰で元の世界に戻ってくることが出来た。
俺が異世界転移前にレイちゃんを避難させてしまったせいで砂漠の異世界で起こる十代とのイベントが発生しなくなり、彼とのフラグがポッキリ折れてしまったようだが、この世界のレイちゃんは亮さん一筋なので問題は無いだろう。
余談だが、コブラと佐藤先生はちゃんと生存している。どちらも落下時にコナミが助けたらしい。流石コナ。
「異世界と言えば…やっぱり俺も異世界にヨハンを探しに行くのを付いて行くべきだったかな」
元々俺は十代とユベルの問題に口を挟むつもりは無かったから結果論と言えなくもないけど、俺が付いて行かなかった十代たち一行のヨハン探索異世界ツアーは原作を遥かに超えて大変だったようだ。
まず、コブラの暗躍でカード化されたユベルがデュエルエナジーで復活したユベルに吸収されたおかげで、原作よりもユベルが強大な力を有していた。
そのせいで十代と暗黒界の戦いに深く介入できるようになったようで、原作では助かっていた翔まで生贄に捧げられて完全体となった【超融合】の力によって【暗黒界の混沌王 カラレス】が復活したらしい。
最終的に十代とコナミによって倒されたらしいが、多くの精霊たちが犠牲になってしまったようだ。
俺としても【超融合】関連で起こる悲劇を何とかしたいと思って色々と精霊界で試していたが、結局彼らが犠牲になることを防ぐ手段は見つからなかった。
我ながら原作知識&チート持ち転生者のくせに情けないね。
その後のことも結局、ほぼ原作通りに進んで行ったそうだ。
十代は翔たちのことが原因で闇堕ちして覇王となったが、ジムやオブライエンと行動を共にしたコナミたちの活躍によって救われた。
不幸中の幸いと言えば、原作と違って覇王十代が完成版の【超融合】を手に入れていたことで、本来は【超融合】を完成させるために命を落とすものが助かったことだろう。
他にもアモンがエクゾディアを復活させようとしてエドにボコられたり、普通のプロデュエル生活を行っていたおかげで健康的だった亮さんがヘルヨハンに挑まなかったりと原作アニメと差異はあったようだ。
最後には十代とユベルがデュエルして、原作通りに俺とお前で超融合!したようだ。
「いや、俺も異世界編では役に立たなかったけどこちらでは俺なりに頑張っていたよな」
十代たちが異世界で苦労している間、こちらの世界でも事件は起こっていた。
原作には存在しない、ネオ・グールズによるモーメント占領事件だ。
海馬コーポレーションから協力依頼を受けた俺はハノイの騎士の衣装を来て他の協力者たちと共に現場に急行した。
城之内や羽蛾たちがネオ・グールズの構成員たちを足止めしてくれている中、俺は舞網市のランサーズや童実野町に最近創設されたセキュリティと共にモーメント内部で囚われていた不動博士とその妻子を救出した。
その後、彼らの脱出をサポートしながらネオ・グールズの総帥となっていたディヴァインと戦闘になり、これを撃破。
そしてそのディヴァインを蔭から操っていたダークシグナーのルドガー・ゴドウィンも撃破した。ついでにその隣に控えていた影の薄いハゲも撃破した。
召喚される際に周囲の人間の魂を生贄に捧げられてしまう地縛神を召喚させないようにデュエルしたためか、デュエルに勝利してもルドガーたちは消滅せず、彼らはいずこかへと消え去ってしまった。
それ以来彼らのことは発見できていないので、彼らのことは原作通り未来の不動遊星に任せることにした。
その後、ゴドウィンによって暴走させられていたモーメントは原作通り爆発してしまったが、海馬コーポレーションや生存していた不動博士の協力もあり、町は半壊してしまったものの人的被害は奇跡的に0となった。
驚いたのは、この事件にはイリアステルが一切介入して来なかったことだ。
彼らはこの初代モーメントの暴走が歴史の大きなターニングポイントだと知らないはずはない。
もしかすると、このあまりにも混沌として原作とは大きく異なっている世界に対して何らかの希望を見出したのかもしれないが、それは俺の知るところではないので割愛だ。
「ここまで色んな人たちが原作より遥かに強くなっていたってのに、やっぱりダークネスは反則だったよなぁ」
ネオ・グールズの事件が収束して十代たちが異世界から戻った少し後、原作と同じようにダークネスの侵攻が始まった。
ダークネスの手下であるミスターTは最初はそこまで強くなかったのだが、やられるたびに相手のデッキを把握してそれを全個体に共有していくことで自身の強化と相手の弱点の分析を行うと言う、数に任せた人海戦術を用いて瞬く間に世界を侵食していったのだ。
初めは相手を圧倒していたデュエリスト達も連戦による疲労やデッキの弱点を突かれるなどにより、一人また一人と敗北していくこととなった。
俺の確認できた範囲だと、最後に残っていたのは俺を除くと十代、ヨハン、コナミ、吹雪さん、藤原先輩の5人だけだった。
最後は十代を除くメンバーで大量のミスターTを引き付ける囮となり、その隙に十代がユベルと協力して敵の親玉であるダークネスの位置を特定して撃破した。
「原作知識&チート持ち転生者なのに、それっぽいことあまりできなかったな」
事件を解決する手助けや被害を抑えることは出来ているものの、事件を未然に防ぐことは一度も出来ていない。ただ原作を引っ掻き回しただけのような気もする。
「もし、この世界に転生したのが俺じゃなくてもっと他の優秀な奴なら…いや、止めよう」
ただ、元々は原作に極力関わらずに女神の要求通りひっそりアカデミア卒業だけしてしまおうと考えていたわけだが、それでも助けられる人はある程度助けられたと思う。
俺の存在は、無駄ではなかったはずだ。そう信じたい。
過ぎてしまったことはしょうがない。ifの世界を創造しても何も変わらない。
延々と後悔するくらいなら、反省して次に活かせるようにすればいいのだ。
「気持ちを切り替えよう!転生者として与えられた俺の役割は終わった!」
万丈目はプロデュエリストになった。
原作通りエドとの繋がりが出来たようで、最も注目を集める新人プロとなっている。
明日香はアカデミアからの推薦で海外留学を選んだ。
だが、彼女は原作よりも十代との絡みが少なかった為か、特に教師を目指していたりはしないらしい。
詳しく聞こうとしても教えてくれなかった。一応いずれ教えてくれるらしいので、それまではのんびり待っていようと思う。
翔も兄の亮さんの背中を追ってプロデュエリストとなった。
丸藤兄弟の作るプロリーグが見られないのは残念だが、プロを経験してから作る可能性もあるかも知れない。
亮さんは原作と違って健康的でプロとしての戦歴も好調である。
エドと共に世界ランク1位の座に座る響紅葉の打倒に燃えているらしい。
吹雪さんは藤原先輩と一緒に研究生としてアカデミアに残るらしい。
明日香にエンタメデュエリストとしてコンビでプロになろうと持ち掛けたそうだが振られてしまったそうだ。次のターゲットは藤原先輩らしい。合掌。
三沢はタニアと共に異世界に残ったらしい。
だが、十代と別れる前にこちらの世界と行き来できる手段を見つけると言っていたそうだ。彼ならその難題を乗り越えられてまたひょっこりと再会することもあるだろう。
雪乃はタッグフォースの原作通り女優となった。
この世界だと5D'sのミスティ・ローラの先輩になりそうだな。後日出演している映画のチケットをくれるそうなので、楽しみにしている。
ツァンは紬や他の友人たちと一緒に国立の大学へと進学した。
彼女の実力だとプロとしてもやっていけるだろうが、目立つことは好きではないらしく、何より友人との時間を大切にしたいそうだ。入学時のコミュ症が嘘のようだ。
レインは…よく分からない。
卒業パーティには参加していたが、パーティ終了後に彼女のことを覚えている人物は1人も居なかった。卒業アルバムの名前も消えていた。
イリアステル的には不動遊星の活躍する時代が一番気になるだろうから、次に会うことがあるとすれば俺がオッサンになった頃だろな。
十代はこれからもユベルと共に、ハネクリボーやネオスペーシアンを連れて破滅の光と戦い続けるのだろう。
アニメとは違ってコナミと言う同行者が居るから寂しくは無いだろう。
彼らが破滅の光と戦ってくれるお陰で俺達は生きていられるわけだ、
そしてコナミ。明るく元気で誰とでも仲良くなれる俺と正反対の男。
思えばアイツの幼馴染となったことで俺の人生は本来のものと大きく変わったのと思う。
毎日のようにデュエルしたり、色んなところを共に歩いたり、くだらないことを話し合ったりした。
本人には決して言わなかったが、彼と知り合えてからのこの人生は本当に楽しかった。
「良し!俺もこれからの人生、頑張ろう!まずはナンパして彼女を作らないとな!」
同じ世界に生きていればまた道を違えた彼らと再会することもあるかも知れない。
そんな時、俺は胸を張って彼らに何気ない言葉でこう問いかけられるような人間でいたい。
よう!久し振り!元気にしてた?
俺?俺は元気さ。そして今、幸せだよ。
ってさ。
戦車様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。
突然の終了宣言にてご迷惑をおかけしてしまいましたので、駆け足にはなりますが最終話を投稿すべきだろうと思い、今話を投稿いたしました。
本作は筆者が初めて執筆・投稿した二次創作Web小説となります。このような打ち切りエンドではなくもう少ししっかり描いてみたかったのですが、力及ばず申し訳ございませんでした。
本来ならGW明けの5月8日前後に全て削除しようと考えていたのですが、頂いたご意見の中に『チラ裏に移動させるだけでいいのでは?』と言う物がございましたので、そちらも検討中です。詳細が決まり次第、活動報告コメントに書こうかと思っています。
では、最後に改めまして、本日まで本作をご愛読いただきましてありがとうございました。もし機会がございましたら次の作品でお会いしましょう。
読者の皆様のご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。
未完の本作の今後の扱いについて
-
全削除でOK
-
チラ裏に移動でOK
-
どちらでもOK