【未完】遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~   作:嘘つき熊さん

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この章のラストストーリーです。

設定紹介を挟んだ後、次回からはいよいよ遊戯王GXタッグフォース原作のストーリーへと突入します。



第八十九話 幕間:原作開始直前

中学三年生の冬真っただ中の12月中旬の休日、俺はセレナと舞網市に来ていた。何でも昔から使っていたデュエルディスクが壊れそうなので、新しいデュエルディスクを買いたいからその買い物に付き合って欲しかったそうだ。これがJRDGで彼女と約束した件である。

 

「やはり買うならば以前と同タイプの新型にすべきか」

 

「それでいいと思うぞ。あのタイプは優秀だしな」

 

セレナやバレットが使用していたデュエルディスクは、起動するとリアルソリットビジョンで剣型のカード設置部分が出現するタイプで、アニメアークファイブで融合次元のデュエリストが使用していた物と同じタイプだ。流石に次元移動機能や相手デュエリストをカード化する機能は付いていない。

 

あのオベリスクフォースが使用していたタイプにそっくりなので、この世界の世間一般的にはあまり評判は良くないが、彼女がずっと使い続けてきたタイプでもあるので愛着もあるだろう。

 

「クロトは買わないのか?確かお前のデュエルディスクも相当古いだろう?」

 

「あぁ、そうだな。もうそろそろ10年くらい使っていることになるかな。確かに俺も新しいデュエルディスクを買ってもいいかな」

 

「じ、じゃあお前も私と同じタイプのデュエルディスクを買えばいいんじゃないかな?」

 

「うん?確かにこのタイプは優秀だしな。良し、そうしようか」

 

「そうだな!それがいいと思うぞ!」

 

俺はセレナと同型で色違いのデュエルディスクを購入し、店員に配送サービスで孤児院に送ってもらうことにした。もう少ししたらデュエルアカデミアに入学する予定の俺には近々学園で使用するデュエルディスクが支給されるだろうが、それとは別に私物として持っていてもいいかと思ったわけだ。

 

その後、配送サービスの手続きに少し時間がかかるそうなので、待ち時間にセレナと世間話をしていた。

 

「そう言えば、そろそろクロトはデュエルアカデミアの入学試験を受けるんだろう?」

 

「そうだな。筆記試験に関しては俺は全国模試4位だから恐らく問題ないし、実技試験も相手がコナミとかセレナクラスの相手じゃなければなんとでもなるだろう」

 

「そうか。ならデュエルアカデミアに合格した後に、今まで使用していたデュエルアカデミアの過去問の資料を私が貰ってもいいか?」

 

「構わないけど、何に使うんだ?」

 

「何って、私も来年度はデュエルアカデミアを受験するつもりだから、テスト勉強に使用するに決まっているだろう」

 

ここまで話して、俺は今まで勘違いしていたことに気付いた。

 

「あれ?セレナの進学希望先ってデュエルアカデミアなのか?ユーゴ達と一緒に進学校の特待生枠を狙いに行くものとばかり思っていたんだが…」

 

「違うぞ。私は来年は必ずデュエルアカデミアを受験して合格するつもりだ」

 

「何で?はっきり言って、JRDGで優勝を決めたセレナにとって今のデュエルアカデミアはレベル低いぞ?その後の進学や就職を考えるならユーゴ達の選択が無難だぞ」

 

俺は転生の女神様のせいで、デュエルアカデミア入学しない→死。デュエルアカデミア卒業失敗→死。と言う人生の縛りプレイを余儀なくされているから仕方なく行くんだぞ?

 

「何故ってそれはお前が…いや、別に何でもいいだろう!私の勝手じゃないか!」

 

何故かいきなりセレナが顔を真っ赤にして怒りだした。えぇ…なんで?思春期の女の子の扱いは難しいな。でもセレナもデュエルアカデミアに来るつもりなのか。この娘の成績は俺と変わらないくらいだから筆記はまず通るだろうし、この娘が実技で落ちるとも思えない。

 

つまり、原作2年目の光の結社編開始時点でセレナがデュエルアカデミアに居ることになるな。これはマズイ。この娘は間違いなく光の結社のアホどものターゲットになるだろうし、その後の異世界編やダークネス編にも巻き込まれてしまうだろう。この娘にはあんなつまらない抗争に巻き込まれて欲しくないんだけど、意志は固そうだな。

 

俺が常時一緒に行動してあげられればいいだろうが、保護者でもない俺が年頃の少女にずっと付きまとうとか流石に本人も嫌がるだろうしアウトだろう。なら、彼女がオカルト案件に巻き込まれても多少何とかなるように、彼女自身にオカルト方面でも強くなって貰うしかないか。

 

~~~

 

中学三年生の冬真っただ中の12月下旬、クリスマスも終わって中学校最後の冬休みの昼頃、俺はいつものように精霊界にやって来ていた。ただ、今回はいつもと違うこともある。それは…。

 

「うん…クロト?ここは、何処だ?」

 

「おっ、目が覚めたかセレナ」

 

森の中で眠っていたセレナが起きたようなので声を掛けておく。

 

「おはよう。そして、ようこそ精霊界へ」

 

「精霊界…?」

 

「そう。ここは精霊界にある村の近くにある森の中だ。オカルトアイテムの入浴剤『精霊の湯』を使って精霊界に来る場合は毎回この場所に出るんだよ」

 

俺がそう説明すると、セレナは頭を左右に振りながら辺りを見回している。

 

「段々と思い出してきた。確かクロトから貰った入浴剤を私の屋敷の浴場で使って、そのお湯に2人で入ったんだったな。あれ?服を着ているぞ?」

 

「入浴剤を使う前に説明したと思うが、精霊界に移動するときは何故か自分が普段よく着る服を着ている状態になるんだよ。セレナが風呂に入る前に来ていたスクール水着は、人間界に戻ったらまた着ているから安心するといい」

 

「そ、そこは思い出さなくていい!」

 

クリスマスにセレナに渡した入浴剤『精霊の湯』の使い方を実践で教える為、冬休みを利用してセレナの屋敷の浴槽を借りて一緒に入浴剤を入れたお風呂に入ることにしたのだ。ちなみに彼女に渡したのは以前シスターから貰ったオリジナルの方だ。俺はオリジナルを元に師匠たちと一緒に作った複製品を所持しているので彼女にあげちゃっても今後に支障はない。

 

自分の家の風呂に入るのに、何を勘違いしたのかスクール水着を着てきたセレナに入浴剤『精霊の湯』の使用方法と注意事項を説明し、一緒に浴槽に浸かって精霊界までやって来たのだ。

 

「バニー♪」

 

「クロトーやっほー」

 

「おーっす」

 

そこまで説明したところで、木の陰からバニーラとキーメイスがやって来た。どうやら俺達が精霊界にやって来たのに気が付いて迎えに来てくれたらしい。

 

「バニーラ?それにそっちはキーメイスか。この子たちがカードの精霊なのか?」

 

「その通り。じゃあ迎えも来たことだし、まずは村に行って皆にセレナの紹介でもするか」

 

「バニー♪」

 

「OK~」

 

物珍しそうにあたりをキョロキョロするセレナとその後ろを歩いているキーメイス、彼女の周囲をウロウロしているバニーラを連れて数分歩き、キーメイスたちの村へとやって来た。事前にセレナを連れてくることを教えていた為、村の精霊たちが広場に集まっている。

 

「おぉ…カードの精霊がこんなに…」

 

「この村だと大体30体くらいかな」

 

村の精霊たちは俺以外の人間が珍しいらしく、あっという間にセレナを取り囲んでしまった。

 

「おぉー、クロト以外のニンゲンだー!」

 

「やっほー」

 

「こんにちわー!」

 

「ハロー!」

 

「ニーハオ!」

 

「グーテンモーゲン!」

 

「ボンジュール!」

 

「く、クロト!なんとかしてくれ!」

 

「はいはい。君たち、彼女が怯えているから取り囲むのは止めなさい」

 

「「「「「はーい」」」」」

 

これ以上は話が進まないので、セレナと村の精霊たちにそれぞれ自己紹介してもらい、精霊たちは自分の住処へと戻って貰った。

 

「なるほど。クロトはここを拠点にして鍛錬を積んできたわけか」

 

「そうだ。世の中には科学では解明できないオカルトチックな不思議な力があることは舞網市やハートランドシティの件で知っているとは思う。俺はそのオカルトに対抗するためにこの世界で力を蓄えることにしたんだ」

 

「そして今後は私たちもそういった事件に巻き込まれる可能性があるから、自衛のための力を身に着ける必要がある。だったか。リンたちも来れればよかったのにな」

 

「ユーゴとリンは今やリア充だからな…。今頃は映画館とかでイチャイチャしているんじゃないか?」

 

詳しい経緯は不明だが、学園祭やクリスマスを経てユーゴとリンは恋人同士になったらしい。これが他の連中なら「リア充〇ね」と毒を吐くところだが、一緒に住んでいる家族なら素直に祝福できると言う物だ。

 

「あの子たちについてはいずれ時間がある時にでも教えればいいさ。さて、カイバーマンへの挨拶は後ほど行くとして、セレナには俺がこの世界で知っている情報を伝えておこう」

 

「あぁ、頼む」

 

そして、俺が具体的にどんなことをやって来たか、この世界にはどのような勢力があってどのような危険があるか、目を閉じて帰りたいと強く念じれば元の世界の場所に戻れることなどを伝えた。

 

その後、俺の使える魔術の一つである身体能力強化をセレナに教えた。俺が習得に3か月くらいかかったそれをセレナが30分ほどで習得した時に、才能の違いを見せつけられて凹んだのは内緒だ。

 

ユーゴやリンはともかく、光の結社編やユベル編に巻き込まれそうなセレナには、最低でも精霊を見る力と破滅の光の洗脳を跳ね除ける力くらいは習得してもらいたい。俺がデュエルアカデミアに行ってしまう前になるべくサポートをしておこうと思う。数年ぶりの家庭教師業の再開だな。

 

~~~

 

中学三年生の冬真っただ中の1月初旬、ユーゴ達が初詣に向かった後、俺は孤児院に併設されている教会でシスターセシリアと話をしていた。なんでも真面目な話があるということだが、転生の女神様と瓜二つなシスターの真面目なな話と言われると少し身構えてしまう。どんな話があるのやら。

 

「それでシスター、話って?」

 

「以前クロトには話したと思いますが、私には神のお告げを聞く能力があります」

 

確かに小学校卒業時くらいのタイミングで聞いたことがあった気がする。前世で聞いたなら「新手の宗教活動かな?」などと思ってしまいそうだが、この世界においてはどんなオカルト現象であろうとも「有り得るんじゃないか?」と思ってしまうな。

 

「そして昨日、また新たにお告げがありました。今日この日、誰もいなくなった教会でクロトと二人でいるように、と」

 

「今まさにそんな状態だけど…って、シスター?なんだかシスターの体が発光しているように見えるんだけど…」

 

シスターと話している最中に突然シスターの体が発光し始めた。うおっ!眩しっ!

 

 

余りの光の強さに瞼を閉じた俺は、目の前に居るだろうシスターに何者かが乗り移ったような気配を感じた。

 

やがて光が収まってきた頃に目を開けると、そこにはいつもの教会ではなく辺り一面が白い世界が広がっていた。とても見覚えのある光景だ。具体的にはこの世界に転生する直前に転生の女神様と出会った場所に酷似している。

 

そして、俺の正面に立っていたはずのシスターの容姿も変化していた。いつものような修道服ではなく、絹の様に白い肌を高級感漂う白いローブを着て覆い、背中には白銀の翼を生やした長い金髪と青い瞳を持つ絶世の美女。まさに前世の最後に見た転生の女神その人であった。

 

「お久し振りですね、朝霧涼夜。いえ、今は白河クロトと呼ぶべきですね」

 

「お久し振りです、女神様。本日はどのようなご用件で?」

 

目の前の絶世の美女に気後れしながらもなるべく顔に出さずに挨拶を返す。こうして会うのは2度目だが、以前は感じることが無かったその圧倒的な存在感を前に足が竦む。今まで戦った連中などとは比較にもならない。これが本物の神様というわけだ。

 

「今日はセシリアに手伝ってもらい、貴方に賞賛の言葉を送ろうと思いましてね」

 

「賞賛、ですか」

 

「えぇ。よくぞこの十年間を生き延びましたね」

 

「と言いますと?」

 

「この世界とは違いますが、ここと同じような世界に貴方と同じような条件で転生者は送り込んだ事例は過去に何件もあったのですよ。ですが、この原作が始まる10年間を生き延びたのは貴方が初めてです」

 

「そうなんですか」

 

俺と同じような転生者が過去に何人も居たんだな。この世界とは違う世界みたいだし、会うことが無かったのは当然なんだろうが、どんな生活をしたのか少し気になるな。

 

「貴方以外の転生者は皆が与えられた力に溺れ、自己研鑽を怠った結果、次々と死んでいきました。そんな彼らの姿を見ていて…とてもつまらなかったです」

 

おや?雲行きが怪しくなってきたぞ?

 

「その点、貴方は与えられた転生特典に満足せずに努力を重ね、見事今日まで生き残ることに成功しています。この世界の難易度を上げ過ぎたのではないかと思ってヒヤヒヤしていましたが、その心配も無用だったわけですね」

 

おやおや?

 

「貴方が取り乱したり、酷い目に遭ったり、死に掛けになったりする様は、まさに愉悦!見ていて非常に楽しませてもらっています。巨大なサーモンに追いかけられて喚き散らして逃げ回る様は抱腹絶倒物でした。今後もよろしくお願いしますね♪」

 

転生の女神様ことクソ女はとてもいい笑顔でこちらに微笑みかける。その姿は正に美術館で飾られているような絵画のようだ。その口元が三日月の様に酷く歪んで居なければの話だが。

 

 

こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッー!!こんな悪には出会ったことがねえほどなァー!環境で悪人になっただと?違うねッ!!こいつは生まれついての悪だッ!

 

この女、見た目は清楚な美女だが中身はマジモンのクソ女じゃねーか!!転生者は全員こいつの遊び道具ってかぁ!?ふざけんな!!お前が〇ね!!

 

 

「マジかぁ」

 

「えぇ。期待していますよ?白河クロト。それでは私はこれで失礼します。これからの貴方のデュエルアカデミアの3年間には期待していますくれぐれも私を失望させないようにお願いしますね?」

 

クソ女(転生の女神)はそう言い残すと体中を発光させ、その光が収まる頃にはいつもの教会に戻り、クソ女が居たところにはシスターセリシアが立っていた。

 

 

「クロト、女神様にはお会いできましたか?」

 

「えぇ、まぁ」

 

どうやら見た目は瓜二つだがシスターと女神は別の存在らしく、シスターは先ほどの俺とクソ女とのやり取りについては知らないようだ。知っていたならこんな反応は出来ないだろう。

 

だがこれで長年の疑問が少し解決したな。シスターセシリアは普段は良識ある大人だが、時々俺に対してだけ非常に意地悪な性格を見せる時があった。恐らくだがその時だけクソ女こと転生の女神に体を乗っ取られていたのだろう。

 

あのクソ女の思惑通りに動くのは癪だが、俺は何としても生き延びたい。あと3か月ほどで始まるデュエルアカデミアの3年間、なんとしても生き延びてやるからな!




原作突入前のオリ主の最後の日常回でした。

そして、特に知る必要のなかった転生の女神の中身の紹介です。オリ主には女神への反骨精神をバネにしてなんとか原作ストーリーを生き延びて欲しいものです。

次回の更新は2/28(日) AM12:00予定です。
※第八十九話までの設定集となります。読まなくても本筋には一切関係がありません。

本編の更新はは/3(水) AM6:00予定です。


白銀神雅魅様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。

斎王琢磨の運命力は?

  • 原作遵守。強化万丈目に瞬殺される。
  • 原作微強化。強化万丈目を苦戦させる。
  • 原作大強化。強化万丈目を瞬殺する。
  • 原作超強化。ずっと私のターン!
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