玩龍喚士、あの素晴らしい世界にて。 作:生焼け魚
しかもその内6人が投稿初日に登録してくださったみたいで……正直びっくりしましたよ、えぇ()
今回は思ったより早く書き上がりました。この状態でずっと書けりゃいいんですけどね…
「…さて、これからどうするかな」
衝撃の事実が発覚してから10分ほど。ひとまず現状を受け入れた俺は、今後の方針について考えていた。
…適応するのが早すぎ?こんなよく分からない状況、無理矢理にでも自分を納得させなきゃやってられないわ。
うーむ、本当にどうしようか。…取り敢えずは森を抜けることを目標にして、可能だったら近くに街とかがないか探してみようかな?よし、それで行こう。少なくとも、何も無いよりかは幾分もマシだ。
考えを纏め、早速出発しようと思って立ち上がろうとした直前、あることに気付く。
「あ、このぬいぐるみ達どうしよ…」
俺が起きた時に何故か抱き締めていた1つと、周りに置いてある別の種類の4つも合わせた、計5つのぬいぐるみ。どこか見覚えがあるようなそれらを、どうやって持っていくかを考えてなかったのだ。
最初は置いてこうかとも思ったのだが、すぐにやめた。彼らが可哀想と思ったのもあるが…。それ以上に、このぬいぐるみ達はなにか『大切なもの』に思えるのだ。…あと抱いてるとどこか落ち着く。実際今も最初に持ってた子を抱き締めてるし。
しかし、持っていくにしてもどうしようか。気持ちはあっても、手段が無けりゃ何も出来ないしな…。
「う〜ん、何かないか?」
そうしてうんうん唸りながらぬいぐるみをいじること数分。
「ん、なんだこれ」
5つのぬいぐるみの内4つの…大体首の後ろ辺りだろうか。そこに紐で作られた輪っかが付いているのを見つけた。残りの1つである黒いぬいぐるみは頭頂部にあった。…てか、首どこだろこの子。なんか丸っこいピエロみたいな姿形だけども。
となると、あとはこれを引っ掛けられる何かがあれば良いかな。…森の中だから、蔦とか使えそうか?ついでに腰に巻けたりするくらい頑丈なら尚良いんだけども。
…という訳で、周りに使えそうなのがないか探してみることにする。
「どっかにないかなー、丁度いいやつ丁度いいやつっと」
そうして近くの蔦を引っ張ったりして探すこと━━数十分。
「…お、これなら大丈夫そうかな」
…予想以上に時間が掛かった。片っ端から探していたのだが、強めに引っ張っていたらすぐに切れてしまうものが多かったのだ。
まぁ見つけられはしたので、早速最初の子以外のぬいぐるみの紐に蔦を通し、腰に巻いて前で縛る。
「よいしょっと。…よし、これで良いか」
軽く体を動かしてみたが、結び目が外れることも無さそうだ。これで激しく動いたりしても大丈夫だろう。…そんな場面はそうそう無いとは思うが。
「さて、と。問題も解決したし、今度こそ出発しますか」
…しかし、ここら辺の蔦はロリっ娘程度の力でも切れるくらいに脆いんだろうか。結果的に見つかったから良いけどさ。
そんなことを考えつつも俺は立ち上がり、白のぬいぐるみを腕に抱えながら森の中に向かっていった。
▽△▽△▽△▽△
……前言撤回。激しく動く場面、思いっきりありました。
「グルオォォォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!」
「うにゃぁぁぁぁぁああああ待って待って待ってぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
今現在、かなりデカい熊に追われて全力で走ってる最中なのです。
てか待ってホントに待って。サラッと言ったけど普通に大ピンチだし、追い付かれたら絶対終わるぞコレ!なんか後ろ足に比べてやたらと前足発達してるっぽいし、アイツどう考えてもヤバい類の奴だろ…!?
今は何とか追い付かれずに済んでるけどっ…。ああもう、誰だよこんな状況そうそうならないとか言ったやつ!……俺だったよチクショウ!!
そんなことを考えながら、森の中を全力で駆け抜けていく。一回木々の隙間をジグザグに通ったりもしたのだが、ヤツは前足で木を切り倒し、そのまま突進してきた。…デカい身体だから、少しは時間稼ぎ出来るかと思ったんだけどな…!
◇◇◇◇◇◇◇
━━どれだけの時間が過ぎただろうか。俺は、未だに熊に追われ続けていた。
体感的には1時間ほどだろうか……いや。もしかしたらもっと短いかもしれないし、なんなら10分程度だったりするかもしれない。だが、ずっと走っていたせいか俺の体力も限界に近付いてきていた。
「はぁ、はぁっ……アイツ、しつこすぎだろっ…!!」
そんなことを呟きつつ、一層力を込めて地面を蹴る。距離を縮められこそしていないが、引き離すことも出来ていない。…このままでは、追い付かれるのも時間の問題だろう。
「はっ、はっ━━ふぎゃっ」
そして、とうとうその時が訪れる。疲労が溜まり続けたことで足が上手く動かなくなり、もつれてすっ転んでしまったのだ。
「っく、早く逃げないと……痛ッ」
急いで立ち上がろうとした途端、右足に痛みが走る。…どうやら、転んだ拍子に変に捻ってしまったみたいだ。
そして、後ろを見ると。
「グルゥ……」
俺を追い掛けていた熊が、すぐ目の前まで迫ってきていた。…これでは、立ち上がって逃げだすというのも不可能に等しいだろう。くそっ、ここまでなのか…?
ヤツがゆっくりと前足を持ち上げる。俺はこれから襲い来るであろう痛みに恐怖を覚え、腕に抱えたぬいぐるみを強く抱き締めて目を閉じた。
…しかし、いつまで経ってもその時は来ない。
何が起きたのかと思い、ゆっくりと目を開けてみると。
「なっ、何これ…!?」
俺が持っていた、白と黄色のぬいぐるみ。それが光を放っていたのだ。件の熊はさっきより後ろの方に下がっている。恐らくは前足を振り下ろす前にこの状況になり、突然の事態に警戒したのだろう。
光は段々と強くなり、俺とぬいぐるみを包み込む。…それは、どこか心が落ち着くような、暖かい光だった。
…そして光が晴れると。俺が抱えていたぬいぐるみが、よく似た別の何かへと変わっていた。
さっきまでとは違い、まるで命が宿ったかのような温もりを感じる。それを見た俺は、先程から引っ掛かっていた何かを思い出すと同時に、自然と言葉を紡いでいた。
「……リオ、ちゃん?」
それを聞き取ったのだろう、『リオちゃん』がこちらに振り向く。そして俺を見上げると、その顔に嬉しそうな表情を浮かべながら「キュォォン」と鳴き声を上げた。
蔦云々の所……最初はベルトとフックとかにしようとも思ったのですが、どうせならとこっちにしました。この方が状況に合ってて良いかなー、と。
あと鳴き声なのですが、パズドラZで聞いてもよく分からなかったので想像で書いてます。ご了承ください…