仮面ライダー龍騎 Bloo-dy Answer   作:ホシボシ

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おまけは私(ホシボシ)の他の作品の要素が関わってくるのに加えて、これからやろうと思っている(やれるかどうかもわからない)作品の要素が入ってくるんで、基本的に本当に意味不明だと思いますが、許しておくれやす……(´;ω;`)

さらに今回はこのおまけがごっつり本編と関係ある構成にしちゃったんで、そこも許しておくれやし……(´;ω;`)



おまけ(前編)

 

「ぴゅるぴゅるぴゅるぴゅる」

 

ナカモト青年がぴゅるぴゅる言いながら歩いていた。

 

「ぴゅーるぴゅるぴるぶるぅぴゅっぴゅっ」

 

ぴゅるぴる言いながら歩いていた。それなりに大きな声で。

 

「ちんちーん。ちんちんちんちんちん」

 

男性器のことである。

 

「まんまんまんまんまんまーん」

 

女性器のことである。

彼はふざけているわけじゃない。ただ、ちょっと──

 

「ぴゅるぴゅるぴゅる」

 

疲れているだけだ。

 

 

ことのはじまりは、彼が書いた『仮面ライダーアフターグロウ』という二次創作から始まる。

孤児院で育ったルキアという少年がライダーの力に目覚め、孤児院の仲間たちとともに困難に立ち向かっていくというストーリーだった。

ナオというヒロインとの純愛。

後に二号として覚醒するアルスという親友との友情。

大事にしているテーマは友情、努力、勝利。

激アツな展開がうりの、王道青春ストーリーである。

 

コツコツと更新を続け、お気に入りやPVも順調に伸びてきた頃、彼のSNSにダイレクトメッセージが届いた。

漫画雑誌の担当編集からなのだが、偶然この作品を見かけたようで、なんとこれをオリジナル作品にリメイクして世に出したいというのだ。

 

というのもイラストは得意なのだがストーリーを作るのが上手くいかない漫画家の次回作に悩んでおり、原作担当を探していたらしい。

大手一次創作サイトから探してもいいが、それでは面白みにかけると二次創作サイトを巡回していたところ、ナカモト青年の作品が目についたのである。

はじめはこんなうまい話がと思ったが、実際に編集部まで案内されてそれが詐欺ではないことを知る。

しかも有名な出版社だから、知名度も約束されている。漫画家の絵も見たが、たしかに上手い。これならばと自信がつく。

 

だが、ナカモト青年はその誘いに悩んだ。

連載を開始するにあたって、現在更新中の作品は削除しなければならないというのだ。

だがナカモト青年は自分のキャラクターを愛していた。彼らがもっと大きな舞台で、よりたくさんの人に勇気を与えられるならば。

なによりも絵となって動き回る彼らを想像し、ナカモト青年はその話を飲んだのである。

 

それからは担当編集と入念な打ち合わせに臨んだ。

仮面ライダー要素をオリジナルに変換するのはそれほど難しくはなかった。

漫画家からのキャラデザを見た時は、想像通りで歓喜した。

なによりも自身が商業作家になるというのは、鼻が高い。

 

希望にあふれた連載スタート。

結果、第一話のアンケートが悪いですという初報を頂いた。

ナカモト青年は思っていたスタートとは違うと思ったが、まだスタートだ。

これからこの作品はどんどん面白くなっていく。それはかつての読者たちが証明してくれている。

 

「二週目のアンケートもよくないですね。やはり、仮面ライダーだから人気があったというところなんでしょうか」

 

「はぁ」

 

編集部での会話である。

たしかにエゴサーチをしてみると、中身は他の少年誌にいくらでもあると、厳しい意見もちらほら目にする。

 

「でもまだ二話ですよ」

 

「でも、二話でわかるんですよ」

 

「えぇ」

 

「よし、ちょっとテコ入れをしましょう。早いほうが展開も組み立てやすいですし」

 

「……まあ、はあ」

 

餅は餅屋という。

所詮は二次創作家なので、本職の人間に任せたほうがいいという想いがあった。

 

「アルマにナオをレイプさせましょう」

 

「ぴゅう!」

 

びっくりしすぎて声が出た。

 

「あっあっ、あっ!」

 

「え?」

 

「あ──ッ、アルスゥ! です……ッッ!」

 

「あ、そうでしたね。失敬失敬、あはは」

 

「絶対だめ! 絶対だめですよ!」

 

「でもお色気シーンはなんだかんだ読者の気を引きますよ。男性読者がほとんどですし。それに彼らはなんだかんだレイプとなるとSNSではしゃいでくれる。『緊急悲報、新連載のヒロインレイプされるww』なんてまとめられたら御の字ですね」

 

「だめだめぇ!」

 

「いいと思いますけどね。かつては仲良しだった三人が性が原因にこじれていく。主人公とアルスを対立関係にさせつつひっぱっていく。ダークファンタジーみがあるとは思いませんか?」

 

たしかにこの雑誌の連載は性的描写のある作品も多いが──

しかし『そんなんじゃない』のだ。このアフターグロウは。

 

「友情と愛情は大事にしてるポイントなんですよ!」

 

「ああそれでいうとね、ヒロインはナオ一人だったじゃないですか? もっと出しましょうよ。魅力的なヒロインたちをたくさん出しましょう。主人公が彼女らを助けて、好きになってもらう。そういう――」

 

その後もやり取りを続けたが、もはやこれはアフターグロウではないという結論に至ったのは言うまでもない。

 

「この話はなかったことにしてください」

 

ナカモト青年は勇気を振り絞り、そう宣言した。

 

「申し訳ありませんがそれはできません。契約書にもありましたよね?」

 

「実は削除してなくて、非公開にしてあったんです。僕は連載を再開する。そちらは違う原作を見つけるか、作画担当の方がストーリーを考える。それでいいじゃないですか」

 

「アフターグロウ後半の要素は使いたいんですよ」

 

つらつらと、大人の話が続く。

 

「更新はできないということですか」

 

「はい、申し訳ありませんね、へへへ」

 

「僕はおります」

 

「私は続けようと思います」

 

「SNSに書きます」

 

「やめたほうがいいです」

 

書いた。

リツイートやリポストにあたるリライト数は──

 

7!

 

アフターグロウ、打ち切りが決定!

 

ナオは無事にレイプ!

 

アルスは実はダークジェネラル(担当編集が考えたオリキャラ)に乗っ取られており、既に死亡していた!!

 

孤児院の妹分のハルカもレイプ!

 

オリキャラもレイプ!

 

レイプ!

 

っしゃあ!!

 

「ぴゅるぴゅるぴゅるぴゅるぴゅるぴゅる」

 

今、ナカモト青年は内部事情をSNSに書き込んだ件を説明してほしいと担当編集に呼び出されているところである。

この前ファンと名乗る男のアカウントにあったファンアートを見た。

ナオにたくさん包丁が刺さっている絵だった。ナオが好きらしく、たくさんナオを殺す絵を描きたいと書いてあった。

踏切で立ち止まった。

カンカンという警告音が、ぴゅるぴゅるをかき消す。

無音になると、ナカモト青年の中でアフターグロウが思い出される。

どこで間違ったのか。

どこからが過ちだったのか。

もはやそんなことはどうでもいい。今までの読者への申し訳なさと、なによりも愛したキャラクターを守れなかった無力感がナカモト青年の足を前に出した。

ごめんなさい。そう思いながら、やってきた電車に轢かれようと線路に出た。

 

【ロォケェット/オン】

 

そんな、音声が、聞こえた。

 

 

 

 

「なになに、どうしたの? なにがあったの?」

 

よくわからないが、このレッドチェックのジャケットにニッカポッカで金髪のガラが悪そうなヤンキーが助けてくれたのだろうか?

よくわからない。ナカモト青年は何があったのかを包み隠さず話したあとに泣いて蹲った。

 

「うーん……」

 

如月は、しばし何かを考えた後──

 

「いいね!」

 

両手でサムズアップをして笑う。

 

「キャラクターを愛し戦おうとした気持ち、そのガッツ、とってもいいね!」

 

ノイズが走る。

 

「キャラとの友情を感じるね!」

 

出版社に悲鳴がこだましていた。

オーロラから突如として金色の兵隊、カッシーンたちが出現していき、暴れまわる。

編集の男の首を掴み、恫喝した。

変えよ。

書き換えよ、と。

 

「よかったじゃん。また書いていいってさ」

 

サムライバガミールが、編集の宣言とサインを映し出している。

アフターグロウの権利がナカモト青年に戻ったわけだが──

 

「一つだけ条件があんだけど」

 

「ほぇ?」

 

「ヒロインちゃん、可哀そうだけど乱暴はされたままで。親友が悪者に乗っ取られた展開だけは変えていいけど、あとはそのまんまで頼むわ」

 

「ぴゅ……る……」

 

「あれー? どうすんの? やめんの? 書くの」

 

「……ぴゅ……」

 

「閉じちゃうの? 世界」

 

「い、いや……! おれ、やります……ッ! 修正します。してみせます!」

 

「いいねー、再会したら絶対読むわ。はじめてのファンになっちゃうよぉ」

 

「ありがとござまぴゅ――ッ!」

 

「気にすんなって。ダチだろ!」

 

ガシッと握手。組み替えてもう一度握手。

拳と拳をコツンと軽く合わせ、上から下に叩き、下から上に拳を叩いた。

ナカモト青年は強く頷き、走り去っていった。

 

「やべ、遅刻する。」

 

如月はオーロラシステムを稼働させ、ホールへと移動する。

ライダークレストが頭上に並んでいる椅子がある。

如月は急いでフォーゼの場所に座った。

 

「遅刻だぞ。如月」

 

赤い服を着て、虎柄の玉座に座っていたのは『常盤』だった。

 

「んだよ、センコーみたいなこと言っちゃってさ。まだたった三分じゃん。来てないヤツもたくさんいるし」

 

「三分、も、だ」

 

「……いいね! 時間をかっちり守れる人間! 立派だねー!」

 

「乱れることが不快なんだ」

 

「いいねぇ! でもさー、そんなんだから負けちゃったんじゃないのー?」

 

如月GENTAROの言葉に、常盤SOUGOは舌打ちを零す。

 

「俺の考えは変わってない。デコボコで石ころだらけの道は、舗装されなければならない」

 

仕方なく、玉座を降りた。

 

「物語は美しく、一本の歪みない線で引かれたようなものが正しい。たとえるなら、そう──同じ数字が並んでいるような」

 

そう言って、常盤SOUGO改め『乾TAKUMI』は、555のクレストが輝く玉座に座った。

常盤ソウゴを変え玉と称した彼もまた、王の代役だったのだ。

かつてはショッカーにもなりすまし、幹部級まで上り詰めたこともある。

 

「いいね! こだわりがある人間! アタシは好きだよ!」

 

「そういう集まりですからね、我々は」

 

アギトの玉座に座っていた津上SHOUICHIは、神父の格好をした男だった。

 

「ありゃま」

 

ゴーストの玉座に座っていたのは、天空寺TAKERU。

ベートーベンと言えばわかりやすいだろうか? クラシック界の巨匠であり、なぜかサングラスをかけている。

彼は汚いものを摘まむように、両手の人差し指と親指だけで本のページを捲っていた。

性的な内容がメインのディープなオムニバス。

第一章では『NTR』と題された内容で、薬の影響で愛し合う男女がバラバラに引き去られる描写が鮮明に描かれている。

 

「ありゃりゃ」

 

第二章は人体改造と題され、本来挿入できない部分にいろいろねじ込まれている。

 

「もうなにこれぇー」

 

三章では頭蓋に穴――

 

「最悪ね、女性をなんだと思ってんの?」

 

青いライダースジャケットを着た剣崎KAZUMAが鼻を鳴らした。

ドレスを着飾った桐生SENTOも頷いている。

 

「ひどすぎます! こんな残酷な世界……! あっていいはずがありません!」

 

彼女はとても優しい人間だった。故に、願う。

 

「やっぱり物語は優しくないと! 『残酷な描写なんて必要ありません! 戦闘も喧嘩も必要なくて、大切なのはラブ&ピース』ですよ!」

 

キバの玉座に座っていた紅WATARUが頷く。赤と黒を基調にした衣装の傍には、真っ赤な液体が入ったワイングラスがある。

 

「吾輩も同感だね。愛なき創作に価値などない

 

「いいね! 愛! ラブ! でもさー」

 

如月はニヤリと笑う。

 

「寝取られなんてジャンルが人気な時点でさぁ愛はそもそも不確かだと思うけどねー。むしろその不確かなところが面白いんじゃないの? そんなもんをメインに添えること自体が間違いだと思うけどねぇ。その点、友情は裏切らないよー? 友情が壊れて快感を覚えるヤツなんてマイノリティに決まってっからねー!」

 

劇中に出てくる男女のことを夫婦なんて呼称したりする作品は痛々しくて見てられないと如月は一蹴する。ラブコメなんてものを毎週楽しみに待っている連中なんてのは、みんなつまらない人間だとも思っている。

 

「やっぱり友情が一番でしょー!

 

「恋愛も友情も、上辺じゃ意味ないって、お祖父ちゃんが言ってたよ」

 

スーツを着た女性、天道SOUJIがほほ笑む。

 

「悲しいよね、最近はなろう系っていうのかな。ハーレムとかチートとか、そういうのよくないと思うよ。やっぱり努力して強くなってたった一人を愛する。それが全てでしょ? 転生とかも転生先の人間はどうなるの? 人生を奪われたようなものじゃないか」

 

「まあまあ、いいじゃないですか。楽しんでいる人は多いですよ。どんな作品があってもいい。それは赦されるべきです」

 

津上は優しげに説くが、直後厳しい目を虚空に向ける。

 

二次創作で金を儲けようとしている下劣な輩でなければ、ね。0から1を生み出す苦しみを踏みにじる最低な行為です」

 

「二次創作は今この世においては一つの宣伝媒体だ。協力してやってるんだから報酬くらい受け取っても構わないだろ」

 

乾が口をはさむ。

 

「むしろ、趣味と称して低クオリティなものを垂れ流されることのほうが苦痛だ。伏線放置、てこ入れ、降板、石ころだらけの醜い世界は、虫唾が走る

 

「同感だね! やっぱりそのためにもアイディアの共有は必要だ!」

 

城戸SHINJIは個性という言葉が嫌いだ。

なぜならばそれはたいていの場合が、言い訳に使われるからである。

素晴らしいものは素晴らしいから素晴らしいのであって、それは統計を取ればすぐにわかりそうなものなのだ。

みんなが素晴らしいものを模倣すれば、素晴らしいもので溢れる。

 

あるヒット作品が生まれれば、みんなそれをこっそりと模倣しようとする。

そうじゃない、はじめから参考にしましたといえばいいし、参考にしてくれといえばいい。

二次創作だってそうだ。素晴らしい意見があればどんどん取り入れればいい。

どんどん反映させればいい。物語は個で作るのではない。集団で協力して生まれるものだ。

学生たちが殺し合ってくれたからこそ、ライダーたちが殺し合えたのだから。

 

○○は●●のパクりだなんて発言は許さない。その素晴らしいアイディアはゲットだぜ!! そんな気持ちでみんながいればいい!」

 

「そうですよねぇ、二次創作だとリスペクトがどうとかうるさい人がいますけど、人気があったり面白かったら誰がなにをしてもいいですもんねぇ。カメンズ見ました? いまだにライダーの定義がどうこう言っている連中を見るとめまいがしてきちゃいますよぉ」

 

老害や原理主義者はコンテンツ繁栄のために排除しないと。

クラシックロリータに身を包んだ女性、野上RYOTAROはニコニコとほほ笑んでいる。

だが一方でシクシクと悲しそうに泣いている女性がいた。

真っ黒なドレスに身を包み、トークハットの黒いベールの奥には涙が見えた。

 

「まあ、どうなされたんですか?」

 

桐生が心配そうに問いかけると、火野EIJIは声を震わせ、ハンカチを強く握りしめる。

 

「喪に服しているのよ……! 2022年3月12日に刻まれた哀しみが胸を抉っているの……」

 

「いいね! まだ泣いてるの? もう四十九日は終わったのに情が深くていい!」

 

「悲しみも、死も、未来永劫よ。酷いわ、続編さえ作られることがなければだれも悲しまなかったのに。許せないわ。終わった物語の続きを紡ごうとするなんて

 

「うるさーいッッ!」

 

怒号が響く。

これは泣きじゃくる火野に言った言葉ではない。

異様な人間がそこにいた。右半身が女性で左半身が男性である。

一人の人間だとは思うが、人格が分離しているのか、半身同士が言い争いをしているのである。

左半身である左SHOTAROが「現役総理大臣」を批判し、右半身であるPHILIPが反論したことで始まったようだ。

 

「いいか! ○○○○ッ! ○○○○! ○○が○○○○だから! ※与党を口汚く批判しています」

 

「キミは何もわかっていない! ●●●の際! ●●●●が●●●により! ●●●! ※野党を口汚く批判しています」

 

ヒートアップする両者だが、珍しいことではないようだ。

彼らは常々、『作品には政治要素を持ち込むべきである』と口にしているのだが、その考えの細部は大きく異なるようである。

いまだにブラックサンを持ち出して喧嘩をしているのだ。

 

「政治なんてどうでもいいでしょう。誰がどこを応援しようが、どんなメッセージを込めようが、その先にあるのは人間よ」

 

剣崎はトランプを取り出し、パラパラと手で弄ぶ。

 

「配られたカードは平等じゃないといけない。女だからとか、男だからとか、人種とか、自由のために戦うのが仮面ライダーでしょ? 最近のフェミズムやポリティカル・コレクトネス批判には虫唾が走るわ。それらを軽視する作品もね。女性ライダーを言い訳みたいに出して全く活躍させない世界には飽き飽きよ」

 

その主張を、小暮耕之助――HIBIKIは黙って聞いていた。

腕を組んでいる彼の背後には『健全一貫』という書がある。

創作は人の手本でなければならない。関わる人間に少しでも歪みが見られそうならば、その世界はもはや大衆の目に晒すべきではないと。

 

「………」

 

如月は当たりを見回した。

あれから時間もたったが、空席は空席のままだ。

当然か。この集会は絶対参加ではない。それに彼女らも一枚岩ではないのだし。

さらにいくつか封印されている玉座もある。クイズ、キカイ、さらには二つとな異なる封印をされているギンガの玉座。

 

「!」

 

オーロラカーテンシステムの発動。

ディケイドの玉座に、いつの間にかディケイドが座っていた。

 

「いいね! 裁判には負けたけど、よく戦ってたじゃんか」

 

そこで、ディケイドの変身が解除された。

姿を現したのは結城ジョウジ――結城丈二。改め、門矢TSUKASAだった。

門矢はサングラスを整える。

掲げるのは虚無主義、二次創作の否定。

だからこそ、赴いたということなのだろうか?

門矢が見つめる先、円卓中央には次元観測装置『ネオハーメルン』が存在している。

そこにある『世界数』が増えていくのを見て、門矢はため息をついた。

 

「辰巳シンジが二番目に使ったデッキ」

 

視線を受けて、葛葉KOTAは頷く。

屈強そうな男である。聞けば四人の男が争い、勝ったものが一定期間玉座に座ることを赦されているらしい。

常々口にするのは『アニメやゲームよりも特撮の地位を上にする』という野心だった。

 

「間違ない。ギーツエネルギーだ」

 

「………」

 

その時、新たな玉座が現れた。

その中の一つ、ゼロワンの玉座が金色に光り輝く。

オーロラが現れ、そこから鍛え上げられた肉体の男が現れた。

特徴的なのはその衣装である。裸のままに黒いテープを巻きつけたような。

これはダークライナーと言って、特殊な装甲である。

男は人間ではない。

 

「名は?」

 

門矢が問う。

 

『飛電ALT』

 

「主張は?」

 

AIを使った創作否定派を、抹殺することだ

 

ディケイドのファイナルフォームライドが令和のエネルギーに対応していなかったからこそ通用しなかったが、葛葉たちが道を開通させてくれたおかげで短時間でのアップデートが可能となり、二度目の使用時にはファイナルフォームライドが適応されたというわけだった。

だが一方でそれは物語がさらに広がり続けることを意味しており、そのことを知って門矢は疲弊する。

さらに、同じく嘆いているものが一人。

 

「諸君」

 

一同が視線を向けた先に、一人の男が玉座に座っていた。

時に一つ、思い出してほしいことがある。

クウガ第一話にて、ン・ダグバ・ゼバを撮影した映像がある。

調査団を全滅させた際にシルエットが映し出されるが、その際に見えた特徴的な髪形は、のちにアルティメットフォームと戦ったダグバと同一とは思えない。

あのときは中間形態、つまり不完全な状態だったとされているが──

本当に別人だったとしたら、どうだろうか?

 

「創作をする上で最も悲しいことが何か、わかるかね?」

 

あの時と同じシルエットが、クウガのクレスト輝く玉座に座っていた。

 

「物語が自分の意思で紡げないことだ」

 

五代YUSUKEは大いなる憂いを覚えていた。

 

「スランプだよ。世界という一つのゲゲルのシナリオが描けず、私は絶望している」

 

深いため息をつく。

 

「そのなかにあっても物語は紡がれ続けている。実に苦痛だ……!」

 

彼は、何も思い浮かばない

 

「ライドカメンズの発表は見たかね」

 

「かっこいい殿方がたくさんいらっしゃいましたね。ドキドキしてしまいます」

 

桐生は胸を押さえ、頬を桜色に染める。

 

「鳳桜・カグヤ・クォーツの登場が加速を早めたのだ。レジェンドの名をものにすることは、相応の意味を持つことだ」

 

「レジェンド……ライダー」

 

「その通り。我ら"クォーツァー"は、情報を更新する必要がある」

 

歴史の管理者、それが彼らの正体である。

五代の背後にはモニタがあり、そこには仮面ライダー1号と、同じく2号が映し出されている。

しかしオーグメントやプラーナなど、聞きなれない単語があるのも事実だった。

それに1号をよく知っている如月はすぐに気づいた。

1号に見えて、それは1号ではない。

ホッパーワンとも違う個体であった。

 

「カメンライダーと呼ばれた書がある。記録では、ホッパーワンは本郷タケシと表記された。それは文字において、本郷猛との差別化を図らなければならぬためであり、リ・イマジネーションのルールを適応させたわけだが……また、新たなる本郷が生まれてしまった」

 

時代が進み、かつては一つの世界でのみ生きるしかなかった仮面ライダーが壁を越え、幾度となく戦った。

多くのレジェンドが観測され、そして今、そのレジェンドという名も独立を果たした。

 

「新たなる概念を作る必要がある。そのために諸君らを呼んだのだ」

 

「新たな……? それは一体?」

 

「"オリジンライダー"」

 

それはレジェンドライダーとは似て非なる存在。

より大きく、より圧倒的な唯一無二の存在のことを指すのだという。

五代の説明を聞いて、如月は唸った。

 

「いいね! つまりこういうこと?」

 

如月弦太朗というのは、レジェンドライダーの一人だ。

そのなかでニチアサと呼ばれる時間帯で放送された。名を冠する番組――

つまり『仮面ライダーフォーゼ』において登場した如月弦太朗は、オリジンライダーと呼称する。

 

「メガマックスとか、平成ジェネレーションズに出てきたのは、オリジンじゃなくて普通のレジェンドライダーってわけね」

 

「その通り、ゴールデンサークルが示してくれた真実、如月弦太朗は一人ではないからな」

 

黄金の円環・ゴールデンサークル。

鍵を束ねる輪のように。単語カードを束ねておくリングのように。

そこにある円環。パラダイスロストと本編に出てくる巧は別であると。

とするならば、乾巧は少なくともこの時点で『二人』いる。

そのなかでより大きな存在こそ、オリジンの名を持つ、本編の巧なのだ。

 

「仮面ライダーは大きくなり過ぎた。これからも数多のオリジンが生まれ、いくつものレジェンドが生まれ、さらには二次創作に派生し、暴走していくだろう。多くの喜びが生まれ、多くの憎しみが生まれる。我らは我らの創作を。己が理想を胸に、管理する必要がある」

 

もはやパラレルワールドという言葉では収まりきらない。

 

「マルチバース。その誕生を、祝い、呪おう」

 

五代が言い終わると、門矢が手をかざす。

オーロラカーテンが現れ、クォーツァーたちの前に台座が現れる。

そこには、一つずつ、白いディケイドライバーとカードのセットがあった。

門矢が作ったのだ。量産することは難しくない。

 

「いいね! 古いほうはもういいの?」

 

「ああ。令和のエネルギーも入っている」

 

如月は新しいディケイドライバ―を腰へ持っていく。

ベルトがセットされると、自動的にバックルを展開、付属していたライドブッカーが自動で開き、中からカードが浮き上がってそのまま装填される。

 

「わお、いいね! 自動でらくちんじゃーん」『カメンライド』

 

如月は腕を振るい、構えを取った。

 

「変身!」『フォーゼ!』

 

変身が完了したフォーゼは、すぐに古いほうのディケイドライバーを投げた。

再び自動でカードがセットされていく。

 

『アタックライド』『チェーンソーモジュール!』【チェェェンソォォー/オン】

 

回し蹴りと共に、ディケイドライバ―が破壊される。

変身が解除され、如月はニヤリと笑った。

 

「あ、あの、五代様、ちょっとよろしいでしょうか……?」

 

遠慮がちに、天空寺が手をあげる。

 

「こ、このディープでアンダーでエロティックでバイオレンスな悪書はいったい……?」

 

「諸君らを呼んだ理由の一つでもある。時に、数多の世界がどうやって生まれるかは知っているかね?」

 

「たしか──神なる世界……世界を生み出す世界があるというのが調べでは……」

 

「そう。だが時にイレギュラーが起こる。多くのレジェンドライダーが生まれた一つのきっかけがあった」

 

「と、言いますと?」

 

「一つの創作があったとされている。類似作品がそれだ。他にも出そう」

 

五代が手をあげると、モニタにいくつかの世界が表示される。

それを見て桐生は白目をむいて気絶し、剣崎は真っ青になって顔を歪ませる。

少女たちがむごたらしく殺害される様が映し出されていた。

 

「あんれまぁ」

 

天空寺もあんぐりと口を開けて固まった。天道はクスクスと笑った。

 

「リョナというジャンルだね、お祖父ちゃんから教えてもらったよ」

 

「すげぇジジイだな。大丈夫かそいつ。でもいいね! 知識があるってのは!」

 

「一冊の本があった。それをある少年がたまたま……見たとされている」

 

少女が惨殺されながら強姦され、異能力によって蘇生され、また惨殺され、強姦され、蘇生され──といった内容だ。

少年はその創作を見て、願った。

 

彼女を助けたい

 

しかし彼には力がない。だがそのとき、奇跡が起こった。

仮面ライダーがそこにいたのだ。

 

「レジェンドライダーが現れ、少女を助けた」

 

その同人誌は、仮面ライダーとはなにも関係がなかったという。

 

「しかし壁を越え、世界は繋がり、ライダーは機械仕掛けの神となって現れたのだ」

 

「可能なのですか?」

 

「マルチバースに不可能などない。ましてや少年の力をそのまま受け取るならば、アマダムが持っていたライダーリングに酷似している。いや、もしかするとあのリングの起源だった説すらあろう。いずれにせよ少年はレジェンドライダーを生み出した」

 

そこからさらに枝分かれしていくレジェンドの力。散らばれば散らばるほど、その果てに、歪に進化していく。

 

「レジェンドアイテムも、まさにその一つ」

 

「では、ゴーストが持つ、レジェンドライダーゴーストアイコンも……」

 

「そう。そして、その少年が呼んだライダーがなんだったのか……わからない。その創作の詳細もだ」

 

「……!」

 

「我らはこれを"オリジンの書"と名付けた」

 

今一度、五代は繰り返す。

 

「オリジンの書を手に入れるのだ。一体何が書かれているのか。どのライダーが記載されていたのか、知る必要がある。でなければなおまた、レジェンドライダーが生まれ続けてしまう」

 

そこで声がする。

 

「ありとあらゆる争いが繰り広げられてきた」

 

常盤SOUGOの声だ。

 

「政治や性癖、哀れのように思えても、人間の中にある確固たる答えがぶつかり合った時、真の譲渡はなく、折衷案も曖昧でしかない。中立など真にはありえないんだ。個々や少数ならばまだしも」

 

であれば一つにするのがわかりやすい。それが統治のやり方だ。

五代もゆっくりと頷く。

 

「管理者として、オリジンの書を諸君らに見つけてほしい」

 

長い旅路となるだろう。各々、管理作業をしながらでも構わないと、五代は言う。

すると一人の男が勢いよく立ち上がった。

 

「俺に行かせてくれ」

 

針金つきのスカーフを巻いた。ビジュアル系バンドのような男だった。

 

「許せない創作があるんだ」

 

男の視線の先には魔法少女が映っていた。

 

「俺は、ヒーローになる!」

 

五代は頷いた。

 

「改めて口にしよう。我々はクォーツァー、管理者だ。世界がよりよくなるように」

 

クォーツァーたちは頷いた。

 

「また会おう」

 

「「「「「「「ごきげんよう」」」」」」

 

仮面ライダー

 

 

一同の声が、重なった。

 

 







ワイはカップリングとか作品とか、もちろん好みとか苦手とかあるけれども、みんながどんなもんが好きでもいいと思いますでな
みんなも気にせず楽しんでってや(´・ω・)
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