仮面ライダー龍騎 Bloo-dy Answer   作:ホシボシ

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第5話

 

「むぅうん!」

 

「!」

 

龍騎は衝撃を感じて地面に倒れた。

目に入ったのは踵だ。すぐに転がり、振り下ろされた一撃を回避してみせる。

 

「インペラー! ということは……お坊さんですか!」

 

「斎苑と申します。少々、卑怯かなとは思いましたが、貴方が疲労するのを待っていました」

 

二本のドリルがついた盾、ガゼルスタッブを突き出した。

 

「なにせ一度は判決を決めたお人。であれば今回も勝利者候補というわけですから!」

 

「くッ!」

 

龍騎は体を屈めることでそれを回避。

ドリルはトイレの壁に深く突き刺さり、インペラーはすぐに引き抜こうとするが、少し手こずってしまう。

その間に龍騎は女子トイレを飛び出して廊下に出た。

 

「!?」

 

すると気づく。携帯ショップから坊主がひょっこりと姿を見せた。

どういうことだろうか? 龍騎が戸惑っていると、後ろから追いかけてきたインペラーの声が聞こえた。

 

李勝(りしょう)です」

 

坊主が頭を下げた。

続いて、一つ隣にあるアニメショップからも坊主が出てきた。

 

「あちらは和睦(わぼく)

 

坊主が頭を下げる。

さらに向かいにあるガチャガチャコーナーから坊主が。

 

東海(とうかい)

 

アパレルショップからも坊主がひょっこりと。

 

「あれは天仙(てんせん)。すべて拙僧の仲間です。ユダが我々のスタイルを承認してくれました」

 

「スタイル……?」

 

「ええ。お見せしましょう」『アドベント』

 

坊主たちの体が光った。するとどうだ、その体がミラーモンスターに変身したではないか。

李勝はギガゼール。和睦はネガゼール。東海はマガゼール。天仙はオメガゼール。

いずれもインペラーの契約モンスターであるガゼルモンスターたちだ。

 

「お行きなさい!」

 

インペラーの一声を合図に、ガゼルモンスターとなった坊主たちが龍騎に飛び掛かっていく。

まずはギガゼールの一撃を後ろに下がって回避するが、移動先には既にマガゼールがおり、爪が龍騎の背を切る。

火花が散って龍騎がよろけた。そこへオメガゼールの膝が直撃する。

倒れた龍騎をすぐにネガゼールが捕まえて引き起こした。

そうしている間に、二体のガゼルが飛んできて飛び蹴りが龍騎の胸に突き刺さる。

 

「うわぁあ!」

 

龍騎は吹っ飛び、100円ショップに陳列されている大量の食器を巻き込みながら倒れた。

 

「我らが貴方を狙うのは勝利者であるから。勝ち続ける者はやがてあまりにも大きすぎる存在へと変わってしまうかもしれない」

 

「なんの話ですかッ!?」

 

龍騎は食器の破片を振り払い、立ち上がるとすぐに壁を目指して走る。

高速で襲い掛かってくるガゼルたちは厄介だが、壁を背にすればある程度、攻撃ルートを特定することができる。

現に今、左右から二人、正面から二人来るのが見えた。

龍騎はデッキからカードを素早く二枚抜き取り、まずは一枚目をバイザーへセットした。

 

『ガードベント』

 

ドラグシールドが両肩に装備され、ちょうど左右から来た二人の蹴りを受け止める。

さらに続けてもう一枚のガードベントをバイザーへセットし、発動した。

ピーチュから獲得したシェルディフェンスが装備され、正面から槍を構えて突進してきたオメガゼールの一撃を受け止める。

 

「こんの!」

 

「おっと!」

 

龍騎はシェルディフェンスを投げてオメガゼールを狙う。

素早く体を反らされ、回避されたが、その後ろから来ていたマガゼールにヒットして動きが止まった。

龍騎は左右のネガゼールとギガゼールが再び襲ってくる前に、二つのドラグシールドを構えて突進。

前にいたガゼルを二体弾き飛ばすと、向こうにいるインペラーを狙う。

 

「人は神と仏を求めてる。だが上位存在は人の目には見えません。残念ながら」

 

しかしインペラーは飛び上がり、それをいとも簡単にシールドバッシュを避けるとカウンターに龍騎の背中を蹴った。

龍騎は前のめりになってバランスを崩し、正面から床に倒れてしまう。

 

「なれば人は、人に神を見てしまう。その条件を貴方は揃えようとしている」

 

インペラーが走る。倒れた龍騎へ踵落としが迫るが、龍騎は盾から手を放し、床を転がって回避する。

 

「しかし俗にまみれた雑誌記者では器ではなく。危険視しているのです!」

 

インペラーは体を捻り、勢いに任せてドリルを突き出してくるが、これも龍騎は床を転がって回避した。

だがいつまでもそうしているわけにもいかない。

龍騎は転がりながらもデッキに手をかけてカードを抜いていた。

 

「貴方の言っていることが理解できない!」『アドベント』

 

インペラーが急ブレーキをかけた。

床の一部が鏡になると、そこからボルキャンサ―が飛び出してくる。

突き出されたハサミはバク宙で回避し、逆に龍騎は前宙でボルキャンサーのもとへ飛んだ。

転がりながらもしっかりと吹き抜け部分まで移動していたようだ。ボルキャンサーのトスで打ち上げられると、一気に天井まで到達。

そのまま天井を破壊して屋上に着地する。

 

しかし追跡はすぐだった。

ガゼルモンスターやインペラーの跳躍力があればトスがなくても二階三階と飛び移り、そこから龍騎があけた穴を抜けてあっという間に屋上にやって来た。

 

「なぜ『教』が繁栄したのかわかりますか?」

 

「?」

 

インペラーは龍騎に破片を見せた。

100円ショップにあったコーヒーカップの一部だ。拾ってきたらしい。

 

「神や仏に圧倒的な力があったからです」

 

インペラーはそれを握りつぶし、粉へと変える。

 

「ありがたい教えだけでは人は導けない。絶対的な存在があってこそですよ」

 

「なにが言いたいんですか」

 

「拙僧らが、その存在となるのです。そのためにライダー裁判には勝たなければならない」

 

法というのもある種、その絶対的なものの一つだとインペラーは口にした。

これより彼らは力を示し続け、やがては巨大なコミュニティを形成していく。

 

「我々の仲間であれば減刑するというシステムを作るのです。さすれば人々は、この無秩序なライダー裁判を恐れ、拙僧らの導きを求めるでしょう。そこで彼らは我らの教えを授かり、それが平和に繋がるのです」

 

「失礼ですが、悪質なカルトの考え方にも通じるものがあると思いますけど」

 

「フフフ、たしかに。このやり方であれば闇も集まるでしょうね。ですがすべては上に立つものの器量。俗物であればこそ間違いが起きるが、私はそうではない。悟りを開き煩悩を捨て去りしものこそが上に立つにふさわしいのです」

 

「人間はみんな俗物ですよ。永遠に。歴史が証明している」

 

「絶対という歴史を変えてこそ絶対になれるのです」

 

穴から大量のメガゼールが飛び出してくる。

坊主たちが変身している以外にもインペラーのミラーモンスターは存在しているのだ。

龍騎はあとずさり、インペラーたちは少しずつ前に出る。

 

「隠れる場所や壁を蹴られるところが少ない屋上ならば我々の動きをとらえやすいと思ったのでしょうが……数で攻めやすくなる」

 

インペラーはファイナルベントのカードを抜くため、デッキに手をかけた。

 

「終わりにしましょう龍騎。今回は、我々が勝ちます」

 

ブゥンと音がして、デッキからカードが引き抜かれた。

 

 

 

 

裁判所に、『観測室』というものがある。

そこにはいくつものモニタが置かれ、ミラーワールドの様子を映し出していた。

ユダが各ライダーたちの動きを追い、そこには仮面ライダーに選ばれたものの関係者が入室して状況を確認できる。

 

「お弁当たべよー!」

 

ミズキはウキウキとプラスチックの蓋を開ける。

鮭とツナ醤油か、鮭と昆布、鮭と梅の三セットから選ぶことができ、おまけにからあげが一個ついている。

先ほどたまたま居合わせた冗談社の社長に「こんなもん食ってんのかお前ら」などと言われてしまったが、このオリーブという店のおにぎりセットは関係者しか食べられないとして有名だ。

 

「おいひぃ」

 

「ミズキちゃん、私の唐揚げ食べる?」

 

「えッ、いいのピリカちゃん!? からあげだよ!?」

 

「う、うん。なんだか緊張して食欲なくて」

 

「じゃ遠慮なくもらうねー! いただきまーす! おいしーッ! 最高! 神! ピリカちゃん大好きーッ!」

 

「う、うえへへへ」

 

ピリカがニタニタと笑う横で、レンカがため息をついた。

 

「ちょっと、大丈夫? もう始まってるみたいだよ」

 

そう言って指し示すモニタの中で、イツカが指を鳴らしながらデッキをVバックルにセットした。

 

「はぁ、緊張するなぁ」

 

仮面ライダーベルデはミラーワールドに降り立つ。

広めの公園だ。ダンスの練習で何度か来たことがある。

すると見えた白い羽。仮面ライダーファムが前から歩いてきた。

 

「よろしくお願いします」

 

「あ、はい。お手柔らかに……」

 

「それではまずはこちらをご覧ください」『ソードベント』

 

ファムは長刀状の武器、ウイングスラッシャーを出現させると、それを両手で掴んで──

 

「うぉっ! おおおおおおおおおおおおお!」

 

「えっ、え? な、なに? え? なに?」

 

「ああああああああああああああああああ」

 

「え? やだっ、え? こわ……ッ! え!?」

 

「ストロォオオオオオオオオオオオングッッ!」

 

バキーンッ! と、音がしてウイングスラッシャーがへし折れた。

 

「きゃああ! え? え!? えぇッ!?」

 

「ふぅ……! それでは続いて、こちらをご覧くださいませ」『ガードベント』

 

ファムはウイングシールドを両手でつかむと、なにやら気張り始めた。

 

「ふぬぅぅぅぅううううぅうぅぅぅぅぅッッ!」

 

「えッ、こんどはなに? え? こ、こわッ! 怖い怖いッ!」

 

「うにゅぅぅぅぅぅうううううううううう!」

 

「や、やだやだ、え? なに!?」

 

「あん……ッ! んっ! ふぅ、んっ!」

 

「どゆこと!? なんでちょっとエッチな声――」

 

「ストロォオオオオオオオオォォォオオングッ!!」

 

「きゃああ!」

 

フライパンを曲げるように、ぐにゃりとシールドが折れ曲がった。

 

「あ、電話だ!」

 

ミズキは通話ボタンを押して、スピーカーにしてテーブルに置く。

 

『ね、ねえみんな! あれどういうこと! あ! 見て! ほら見て! 今度はマント破り始めた! わけわかんないよぉお……っ!』

 

「んー? ほんとに不思議だねー。それにストローングよりパワーッのほうがよくない? ぱわーっっ!」

 

「腹筋崩壊太郎さんとキャラ被りを気にしてるのかしら。一般人なんだから被ってもいいのに……意外とオリジナリティを気にしてる人なのかなぁ? 不思議よねぇ」

 

「「ねー!」」

 

おにぎりをモグつきながら顔を見合わせるミズキとピリカ。

一方でレンカは資料から参加者の情報を読み取る。

 

「ファムに変身しているのはアパッチ白居って人。相当なマッチョ野郎みたいだから、それが原因じゃないの?」

 

『そのとおりなのです』

 

画面の向こう、ファムが認める。

 

「ライダーシステムは変身者の体形を変質させるという噂でしたから――」

 

小さな子供でも肥満体系でも、長身でも、変身すればみんな同じ体形になる。

 

「だから、どうなることかと思いましたが、見事に私の筋肉は衰えていないようですね」

 

ダブルバイセップスが炸裂する。ベルデは二歩後ろに下がった。

 

「判決は検事ら同じく、現実の裁判をもとにして決定いたしますよ。というか検事にお任せしても構いません。大切なのはこのバトルを己の身ひとつで勝ちあがることなのです。そうすれば私の筋肉がいかに偉大なのかを知らしめることができるでしょう?」

 

「ということは……」

 

「ええ、我が剛腕によって、へしゃり折れ曲がってください」

 

ベルデ、逃走。

 

「むりむりむりむりむり!」

 

『どうしたのイツカちゃん!』

 

「いや無理だって本当! 聞いたことない単語も出てきたし、絶対に無理ッッ!」

 

『大丈夫! 死ぬような攻撃でも変身者が死ぬことはないよ!』

 

「でも痛いは痛いじゃん! あたしッ、へしゃり折れ曲がりたくないし!!」

 

『落ち着いてイツカ! ストップ!』

 

レンカの声が聞こえて、ベルデは足を止める。

 

『こういう時のために、みんなで事前シミュレーションしたでしょ』

 

「あ……そ、そっか。プランCってこと?」

 

『そゆこと。写真送るから、すぐにコピーして』

 

「了解! ありがとレンカ!」『クリアーベント』

 

ファムは唸る。

筋肉の力を証明するため、ライダーの情報はあえて仕入れないでいたが、まさか透明になれる力を持ったものがいたとは驚いた。

 

「まあ、カメレオンですからね」

 

『コピーベンド』

 

「ッ、お次はなんですかな?」

 

反応はない。

ファムは顎を触り、考える。

 

「たしかに厄介ですがここは公園、地面は土です。下手に動けば土がへこんだり、草木が揺れて居場所は特定できま──いちィっ!」

 

いちい。

いたい。

痛い。

ファムの装甲から火花が上がった。

衝撃も、ある。

 

「え?」

 

「………」

 

「ぱう! んぽぉ! もぉう!」

 

装甲から火花が散っていく。

 

「あれ? な、なんで──んみゃ! ぬに! ぺれおんッ!」

 

ドンドンドンと音がして、直後ファムの体から火花が上がっていく。

痛いし、衝撃が強い。

ファムは後退していき、呼吸を荒げた。

 

 

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