仮面ライダー龍騎 Bloo-dy Answer   作:ホシボシ

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第6話

なにがどうなっているのか。ヒントはレンカが送った画像だ。

マグナバイザーを構えた仮面ライダーゾルダ。

ベルデはそれを固有能力で模倣し、自分の体に張り付けた。

これがみんなで考えたプランCである。透明になって飛び道具でチクチクと削っていこうという作戦だ。

ドンドンドンドンドン! ゾルダに変わったベルデが銃を連射していく。

 

「あば! あぱ! へ、へこみを見――ぱう! ぺぇ! ぽもっぷ!」

 

ドンドンドンドンドン!

 

「らう! ぺちっ! みゃう! ぱりこれ! へりおす!」

 

ドンドンドンドンドン!

 

「あにゃ! ぷにゃ! ぺんにゃ! ぱろっち! みつかん!」

 

ドンドンドンドンドン!

 

「にくま! あんまっ! かれま! ぴざま! ラーメン! って、なんでラーメン!? ちょいちょいちょーい! そこは角煮まんでもよろしいやーんッ!」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「……あ、あの、つまらなかったですか? 筋肉にくまんギャグなんです。あ、いやきんにくまんギャグのほうが──」

 

ドンドンドンドンドンドン!

 

「ぎゃああああああああああ!」

 

このままじゃ蜂の巣にされると、ファムは走り出した。

手数は多いが、パワーは絶対にファムのほうが上のはず。

右ストレート一撃でも入れることができれば一気に形成は逆転するだろう。

そのためにはなんとしても攻撃を当てるしかない。

 

「はぁあ!」

 

からぶり。透明だから。

 

「ぜえい!」

 

回し蹴り。

からぶり。透明だもの。

 

「どりゃっせいッッ!」

 

手刀。

からぶり。透明ですし。

 

「げえええええええええ!」

 

ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!

 

「わあああああああああああ!」

 

ラリアットが炸裂。

だが、からぶり。透明だもん。

ドンドンドンドンドン!

 

「いッッ! つうぅ! おあッ! んほぉうッッ!」

 

ドンドンドン!

 

「ちょッ、ま──ッ!」

 

ドンドンドン!

 

「待ってって!」

 

ドンドンドン!

 

「待ってや!」

 

ドンドンドンドンドン!

 

「ま」

 

ドンドンドンドンドン

 

「………」

 

ドンドンドンドンドン

 

「……ぇ」

 

ドン! ドドン! ドドドドドン! ド! ドドド! ドド!

 

 

 

 

ひ ど す ぎ る が え ッ ッ ッ ! ! ! ! !

 

 

 

 

「?……がえ……?」

 

「あああああああああああ! 痛いッ! もうこうなっては仕方ない!」

 

アドベントの音声が聞こえた。

ファムの頭上に飛来してくるブランウィング。

大きな翼をはばたかせると、大量に白い羽が噴射される。

するとどうだ。なにもなかった場所に羽が張り付いていき、一つのシルエットを完成させたではないか。

 

「そこかあああああああああ!」

 

「きゃああああ! や、やばッ! バレた! 位置バレちゃった!」

 

ファムがクラウチングスタートで全速力で走ってくる。

 

「ひぃい! どうしよぉお」

 

『任せて!』

 

ミズキの声が聞こえた。

スマホを出せ、そう言われたので、その通りにベルデはスマホをファムに向ける。

 

『女の子! 殴るんですか!』

 

「ほえ!?」

 

ファム、急ブレーキ。

スマホはビデオ通話状態になっており、ミズキたち三人がファムを睨んでいた。

 

『炎上しますよ!』

 

ピリカが叫ぶ。

 

『ただでさえ腹筋太郎とキャラ被ってるのに。おしまいかもよ』

 

レンカがジットリとファムを睨みつける。

 

「え? えぁ……? ず、ずるくなぁい?」

 

『女の子をっていうか、そもそも男の子でも同じです! そんなに頑張って鍛えて使い道は人を殴ることですか!?』

 

「え……? いやだって……!? ずるくなぁぁい?」

 

『ずるくない! いいわけしないで! 目を閉じて胸に手を当てて考えてみて!』

 

そう言われては仕方ないので、ファムは目を閉じて俯き、胸に手を当てた。

 

『イツカちゃん……!』

 

小声で名を呼ばれた。

ベルデがスマホを見ると、ミズキが舌を出してウインクしながらサムズアップをしている。

 

「よ、ようし!」『ファイナルベント』

 

「え? 今、なんかファイナルベントって聞こえ──」

 

『気のせいです! まだ目を瞑ってて! 炎上しますよ!』

 

「はぁい……」

 

直後、ファムの足裏が地面から離れた。

ベルデに捕まれ、舞い上がり、激しく宙を回転する。

 

「あ」

 

足りないのは、腕力。

ベルデの腕からファムがすっぽぬけて、飛んでいってしまいましたとさ。

 

「「「あれミスることあるんだ」」」

 

見事にミズキ、ピリカ、レンカの声がシンクロする。

ファムは手足をバタつかせながら落下。顔面から地面に墜落した。

 

「アウチッッ! もうなに!? なにごと!?」

 

立ち上がったファムへ、ベルデがペコペコとしながら近づいていく。

 

「あ、あの……! ごめんなさーい……! えへへ、あたしベルデ使うの初めてで……デスバニッシュってあたしがちゃんと掴んでなきゃダメだったんですねぇー、あはは……ってあたりまえかぁ、あはー……なんかバイオグリーザ―くんが勝手にやってくれるものとばかり勘違いしてましたぁー……あははー」

 

「え? なに? なんで? なにこれ、どういう状況!? パニック! おっ、えぇ?」

 

「ちなみにもう一回くらってもらうことって可能だったり……します? あぁぁ、でもどうしよぉ、ファイナルベントのクールタイムは入っちゃってる! あぁぁどうしよぉ……!」

 

『あ、でもさっきね』

 

そこでピリカが声を上げる。ちょっと前に控室でスキンヘッドに声をかけられたという。

 

「ふ、フアンです」

 

スキンヘッドはそう言った。

 

「不安? あぁ、ファンですかぁ!」

 

「ええ、まあ。まあファンというか応援者というか……」

 

スキンヘッドはピリカの大きな胸につい目がいきそうになるのをグッと堪えた。

 

「と、とにかく応援してます……へへ」

 

「わぁ、ありがとうございます。今日はうちのイツカちゃんが頑張りますからぁ、手加減してくださいねぇー」

 

「はひぃ! あそうだ! これ! 差し上げます! もしものときに使ってください!!」

 

「え! いいんですかぁ? これって貴重なものだったと……」

 

「まあリーダーからちょっと拝借して……」

 

「えぇ!?」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫です大丈夫です! 代わりに財布にあった他のカード入れておいたんで! とにかくうちのリーダーには内緒でお願いします。応援してますから! 頑張って!」

 

「わあ。ありがとうございまぁす」

 

「え、えへへ、お礼言われちゃった。えへへ……!」

 

ということで、もらった『カード』をイツカのデッキに入れておいたのだ。

 

 

 

 

「!?」

 

カードが認識されず、エラーとして排出された。

 

「な、なぜ!?」

 

一番大切なカードなのに。

インペラーは急いで地に落ちたファイナルベントのカードを確認する。

いや、違う。アドベントカードですらない!

インペラーのデッキに入っていたのは──大手回転ずしチェーン店・シュシローのスタンプカードだったのだ!!

 

「シ ュ  シ  ロ  ー  ! ? ! ? ! ? ! ? ! ?」

 

龍騎は大軍を前に――前進する。

 

「な ん で ぇ ー ?」

 

インペラーの困惑の声に釣られて、他の坊主たちがインペラーの方を見たのを見逃さなかったのだ。

 

「フ ァ イ ナ ル ベ ン ト な く ね?」

 

だが、龍騎はある!

 

『ファイナルベント』

 

飛び上がる龍騎。その先にはボルキャンサー。

トスを受けてさらに跳ね上がった龍騎は、体を丸めて高速回転を行う。

 

「すみません 拙僧のファイナルベント知りませんか!?」

 

マガゼールに直撃。バウンド。

 

「ぎゃぁ」

 

ネガゼールにヒット。バウンド。

 

「ぐああ!」

 

ギガゼールにヒット。バウンド。

 

「ぐひぃ!」

 

オメガゼールにヒット。バウンド。

 

「のぉ!」

 

そしてインペラーに――

 

「拙僧のファイナルベントどこどぉこ!?」

 

かろうじて、インペラーはシザースアタックを蹴り弾くが──

上空に舞い上がった龍騎は、クールタイムが終わったソードベントを発動する。

背後にはドラグレッダー。炎を受けて、龍騎は剣を突き出しながら飛んでいく。

 

「ファイナルベントどこぉおおおおおおおおおおお!?」

 

ドラゴン爆炎突きがインペラーに直撃。爆発が起きて、周囲にいたガゼルモンスターたちがまとめて炎に包まれた。

 

「おわあああああああああああああああああ!」

 

ちなみにその頃、ファムが大量のガゼルモンスターにズタボロにされたあげく、ベルデの膝蹴りで吹き飛んでいた。

 

 

 

 

「すみません斎苑様……! 我──ッ、性欲に勝てませずッッ!」

 

「天仙……ッ! ばかものめ! 推したい気持ちと性欲は切り離せとあれほど!」

 

粒子化していくインペラーたちを前に、龍騎は一つだけ言いたいことがあると立ち止まる。

 

「あなた達は勘違いをしていると思います。これは、これからの歴史を決める戦いじゃない」

 

「っ、それは……どういう?」

 

「一つの罪の行方を決める戦いなんだ。それがライダー裁判でしょう?」

 

「……かも、しれませんな」

 

インペラーは、ガゼルモンスターたちは手を合わせた。

 

「天を上に」

 

「海を上に」

 

「空を下に」

 

「我は人」

 

「人は全」

 

「「「「「「南無」」」」」」

 

そこでインペラーたちは消え去った。

 

「疲れたな。カードも使ったし……一旦、体勢を立て直したい」

 

龍騎もミラーワールドを脱しようとした、まさにその時だった。

 

『ファイナルアタックライド』

 

「!?」

 

この電子音は──まさか

 

『ディディディケイド!』

 

屋上、爆発が起こり、龍騎は宙に放り出されていた。

 

「うわぁああああああ」

 

視界が二転三転し、気づけば駐車場。硬い地面に叩きつけられている。

先ほどと同じように視界はグラつくが、頭を振って無理やりにでも意識を覚醒させた。

そうしなければならない。本能が警告していたと──後になってわかる。

 

「士……ッ!?」

 

降り立ったのは、仮面ライダーだった。

仮面ライダーディケイド。いつしか、共に戦った仲間だった。

 

「………」

 

ディケイドは何も言わない。

ただ無言でライドブッカーを剣に変えて近づいてきた。

龍騎もはじめは折原アイのことを問おうとしたが、異様な雰囲気を感じて無意識に腕がカードデッキに伸びていた。

 

『ストライクベント』

 

ディケイドが走り出したのと、龍騎がシザースピンチを装備したのは同時のことだった。

武器と武器がぶつかる音、龍騎は火花の向こうに緑の複眼を視た。

ディケイドは何も言わず、ただ力を込めて前進してくる。

龍騎を押し出し、自動車に押し付けて前蹴り。

龍騎の腹を蹴ると、怯んだところにライドブッカーを刻み付けていった。

 

「ぐあぁ! な、なんのつもりだ! 士!」

 

「………」

 

間違いない。ディケイドには敵意がある。

龍騎は突き出された剣をハサミで捕まえると、もう一方の手で胴を殴りつけた。

 

「ッ?」

 

ディケイドは後退していくが、それはダメージを負って離れていったというより、自らの石で後ろに下がっていったようにも見えた。

だが龍騎の手にはハサミでつかんだままのライドブッカーがある。

ディケイドはカードを使うライダーだ。それはこのライドブッカーの中にあるはず。

 

油断していると、龍騎の体から火花が散っていく。

ディケイドの真横に灰色のオーロラが現れたかと思うと、そこに手を入れて別のライドブッカーを引き抜き、それを銃に変えて龍騎を撃った。

銃口は一つではない。オーロラの向こうにいくつものライドブッカーがあり、それぞれが銃口だけを『こちらの世界』にのぞかせて、発砲してくる。

 

「お前は! 士じゃないのか!?」

 

返事はなかった。

ライドブッカ―の一つから自動的にカードが飛び出して、宙を舞うと、そのまま展開させたディケイドライバーの中に吸い込まれるようにして装填される。

 

『カメンライド』『カブト!』『アタックライド』『クロックアップ!』

 

そこから先の記憶がない。

激しい痛みと衝撃が幾重にも体を包み、気づけば空にいた。

 

『ファイナルアタックライド!』『カカカカブト!』

 

気づけば、龍騎は──

辰巳シンジは地面に倒れていた。

 

「なんという――」

 

呟いたのは斎苑だ。

戦いに負けて現実世界に排出された彼は、仲間たちと帰路に憑こうとして、襲来するディケイドを見た。

気になってミラーワールドを観察していたが、あんなライダーは見たことがない。

 

陳腐な言葉だが、纏うオーラが只者ではない。

覇気が普通のライダーのそれではなく、なによりもマゼンタの装甲がうっすらと発光しているかのような感覚。

常に目を奪われた。この感じるものは畏怖なのかあるいは……?

 

そう、言葉にすらできない。

なによりも自身を倒した龍騎を──かつての勝利者である龍騎を!

いとも簡単に一瞬で倒した圧倒的な力!

まるでそれは──!

斎苑は一つの存在を思い浮かべた。

 

「闘争の神……阿修羅!!」

 

阿修羅は、書によってはこう呼ばれることがあるらしい。

 

「悪魔……!」

 

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