GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
「散れぇ!!」
ギルの叫びと共に、全員がその場から散開する。
取り囲むようにそれぞれが散らばるが、神機兵は咆哮を上げると、
地面を大きく揺るがす衝撃波を放ってくる。
怯みながらも体勢を保ちつつ神機兵に向かっていく。
ギルは巨体の死角に入り込み、チャージグラインドで突き崩そうとするが、
「ちっ...!」
やはり表皮は鉄のように硬く、槍先がはじかれる。
前に交戦した時と、その脅威は変わってなどいなかった。
神機兵は暴れるように体を振り乱し地面を叩き割る。
間一髪ギルは離脱するが、すぐさま振り上げた右腕が迫る。
「せりゃあ!!!」
眼前に迫った拳はナナのハンマーの一撃で横にそれる。
「大丈夫!?」
「ああ、問題ねぇ!」
すぐさま立ち上がり神機を構えなおす。
シエルの放ったモルターが顔面を捉え、神機兵の視界をさえぎる。
その瞬間を狙って、ギルとナナは突撃を仕掛ける。
ナナが巨体を支えている腕をなぎ払うと、神機兵の体勢がわずかに崩れた。
ガクッとひざを突いたように前のめりになったところで、シエルがバレットで牽制を仕掛ける。
度重なる弾幕が更に神機兵を襲う。
「今です!」
弾幕が切れたのを見計らって、すでに背を駆け上っていたギルがブラッドアーツを放つ。
神機兵の目がギルの姿を捉えるが、その視界が真っ暗になる。
赤い光を纏った渾身の突きが、神機兵の目を貫き眼球を抉ったのだった。
宙を仰ぐようにして神機兵が耳障りな叫びを上げる。
着地したギルは、すぐさま二人に合図を送り再び神機兵に攻撃を仕掛ける。
強固な表皮に阻まれるにしろ、ダメージは蓄積されている。
沈黙を保つラケルに不安を覚えながらも、攻撃の手を休める理由などなかった。
ナナのハンマーの重い一撃が神機兵の体勢を崩し、
シエルのバレットの雨が牽制となり隙が生まれる。
そこにギルが特攻を仕掛け硬い表皮を突き崩していく。
機械化した部位ならば脆い箇所を突いて破壊することが出来た。
装甲を剥がす様に突きの連撃を食らわせていく。
ダメージを受けた神機兵の体のあちこちから煙があがる。
すでに何箇所か結合崩壊し始めてもいる。
「このまま押し切る!」
神機兵はついにその動きを止める。
これで終わりだ、そう思った瞬間だった。
『素晴らしいわ...!』
ドッという衝撃共に視界が暗転する。
何が起きたのか分からなかった。
神機兵に向かっていたはずのギルの体は、反対方向に吹き飛ばされていた。
ナナとシエルも同様だった。
状況を理解するよりも前に、地面に打ち付けられた痛みが全身を走る。
「ぐっ...!(何が起きた...?)」
顔を上げると、神機兵のいた場所に人型のアラガミが立っていた。
辺りには神機兵の装甲だったものが散らばっている。
あの人型は神気兵の中から出てきたのだと理解した。
その際のパージした衝撃でギルたちは吹き飛ばされたのだった。
シエルとナナも立ち上がり目を丸くしている。
しかし、神機はしっかり構え警戒は怠っていない。
『さすがは私の大事な子供たち、この神機兵を倒すまでに成長するなんて...
やはり貴方たちをブラットに選んだ私の目に狂いはなかったのですね。』
話し続けるラケルをよそにシエルは人型を観察する。
見た目だけで言えば、アーカイブに載っていた"ツクヨミ"にそっくりだった。
しかし、表皮は漆黒に染まり、腕の先は爪の様になっている。
何より黒々とした光を放つ頭上の歪な天輪が、その違いを明確に示していた。
(新種のアラガミ、それとも作り出されたものでしょうか...)
こうして思考に一瞬だけ気をとられた時だった。
ゆらりと動いた人型の姿が消える。
「!」
目で追おうとするがその姿はどこにもない。
自分の後ろに立っていた人型の存在に気づいたのは、彼女が弾き飛ばされてからだった。
「あぐっ....!!」
「シエルちゃん!くっ!」
すかさずナナがハンマーを人型に向かって振り下ろす。
人型はなんともない様子で振り下ろされたハンマーを掴んだ。
並のアラガミなら一撃で昏倒する威力が、いとも簡単に片手で受け止められた。
「うそっ...!」
そのことに驚きを隠せないままナナの体が宙に浮く。
人型がハンマーをナナごと振り上げたのだ。
「てめぇ!!」
ギルが駆け出したのを見ると、ハンマーごとナナをギルに投げつける。
飛んできたナナでギルの視界が隠れるのと同時に、一瞬で人型はギルとの距離を詰めた。
「なっ!?がっ...!」
人型はナナを地面に叩き付けそのまま腕を鞭のように振り上げる。
突然目の前に姿を現した人型に、なすすべなく弾き飛ばされた。
倒れこんだブラッド達を見て、人型は笑っているかのように空に向けて叫ぶ。
『フフフ....もうすぐ、もうすぐなのです。
荒ぶる神々が望む世界の終焉、適者生存という究極の心理の体現...
貴方達はそれを見届ける贄となるのです...フフ..フフフッ..』
狂気を孕んだ物言いは全く変わっていない。
ギルは息も絶え絶えに立ち上がろうとする。
人型の一撃を食らった体は痛みを全身に伝える。
「はぁ...くそっ...」
ナナとシエルも苦しそうに体を起こす。
満身創痍の状態で倒せるような相手ではない。
人型は無慈悲に鞭のような腕を振り上げ、鋭利な爪をギルに向ける。
『さぁ、ギル...終末に身を委ねなさい...』
「うおぁっ!」
突き出した神機は腕に絡めとられ止められる。
防御手段が無くなった所に腕が振り下ろされる。
ナナはかろうじて走り出すがこの距離では間に合わない。
シエルの放ったバレットは天輪の光にかき消された。
『さようなら』
無機質なラケルの声がギルの脳裏に響く。
その時だった。
目の前に割り込んできた影が振り下ろされた腕を弾き、人型をそのまま押し返す。
その人影は着地し神機の切っ先を人型に向けた。
「諦めるな、まだ終わってなどいない。」
少し汚れた金髪が風に揺れる。
人型に向けられた神機をギル達は覚えていた。
かつてブラッドの一員として共に戦ったロミオのバスターだった。
そして今、その神機を持っていた青年の名は...
『久しぶりですね、神に選ばれた大切な我が子...』
『ジュリウス』
ジュリウスは澄んだ目で人型を見つめる。
「か...ラケル博士、貴方はここにいるべきではないはずです。」
『それは貴方も同じはずでしょう?
螺旋の木の中へと消えたはずの貴方が、何故ここに存在出来ているのですか?』
「...大切な仲間達に教えられたからだ。
自分が何をすべきなのか、その存在意義を...
だから俺はここに戻ってきた...!」
確固たる意志を持ってジュリウスは言った。
その肩にギルが手をかける。
「遅っせぇんだよ...」
シエルとナナも二人に駆け寄る。
「本当にジュリウスなんだよね!ほ、本物だぁ...!」
「その神機はロミオさんの、ですか?」
「ああ、詳しい事情は後で話す。それよりも...」
皆が人型を見る。
『フフフ...こうしてまた揃ったのですね。
さぁ、もう一度始めましょう...終末への準備を...』
+++++
流れた血が床にひたりと落ちる。
膝をついたままクロサキは目の前の男を睨み付ける。
「はぁ、はぁ...」
もっとも、目の前の物体を人間と識別するにはその容姿は変貌しすぎていた。
特異点となりアラガミ化したジュリウスを模した姿だが、その体躯は漆黒に染まり、
背中の刃は歪な鎌のように変化していた。
胸のコアはどす黒い光を放ち、より一層その禍々しさに拍車をかけていた。
「どうした?俺を止めるんじゃなかったのか?」
何人もの人間の声が重なり、その声は酷く醜く聞こえる。
「るせぇよ...はぁ...」
段違いのスピードとその力にクロサキの攻撃は弾かれていた。
一瞬の隙を突かれ肩を貫かれた。
クロサキは肩の痛みを気にせず立ち上がる。
繭から伸びた蔦はすでにエイジスを飲み込み始めていた。
残された猶予はもう後わずか。
(こんなとこでやられてられっかよ...)
クロサキの脳裏に記憶が反復する。
皆が笑って暮らせる、平和な明日。
それを守る為に自分はここに来た。
(だったら、俺はどうなっても...良いよな?)
カッと見開いたクロサキの目が赤く光る。
「うぉぉぉぉぉおお!!!」
クロサキの肉体に小さくヒビが入り、そこから偏食因子がわずかに侵食を始める。
獣のように叫びを上げ、クロサキはアルバートに向かって駆ける。
「おお、これが...!」
アルバートは楽しげに笑うと、無数の鎌を展開しクロサキを迎え撃った。
文章力の無さを痛感
三月まで頑張ります
後、感想もよろしくお願いいたします
それでは、サラダバー