GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
本当に申し訳ない...
怪我に次々に運ばれ、いまだ慌しいアナグラ。
カウンターの二人は必死に状況の把握に躍起になっていた。
「エイジスにて偏食場パルスの大きな乱れを確認!
終末捕食のものと酷似しています!」
「螺旋の木の偏食場パルス、急激に消失しています!
50%...35%...15%を切りました!」
ヒバリとフランの報告を受け、サカキは天窓から螺旋の木を見上げる。
「これは...特異点が移り変わろうとしているのか...?
アルバートが...いや、まさか...」
「こちらブラッド....確認した。」
サカキからの通信にギルが応える。
ブラッドが見上げる先で、螺旋の木がまさにかれ始めていた。
頭頂部を包んでいた光は徐々に霧散していき、樹皮が枯れ枝のように変色していっている。
-おそらく、ジュリウス君が特異点ではなくなったことで、
エイジスにいるアルバートが新たな特異点に成り代わったのだろう。-
「サカキ博士、今エイジスでは終末捕食が始まろうとしている。そうですね?」
-ああ、おそらく今からではどうする事もできないだろう。
偏食場パルスのバリアはいまだ健在。地下通路も潰れていては手の打ちようがない...
つまり、最後に残された望みは...-
「クロサキ....」
ジュリウスは振り向き、エイジスから伸びる光の柱を見つめる。
その輝きは皆の不安をよそに強さを増していった。
「今、私達に出来る事は居住区を、極東をアラガミから護る事...行きましょう!」
「ああ、シエルの言うとおりだ。
クロサキが必死に戦っているなら、俺達もそれに応えよう。」
「それに、クロサキ先輩なら...絶対になんとかしてくれます。
だから、最後まで抗ってやりましょう!」
「...よし!不安になるのやめた!
終末捕食を止めても、ここがアラガミにやられちゃったら意味ないもんね!」
「そうだな...サカキ博士、ブラッドはこれから防衛任務に移る。
周辺のアラガミは任せてくれ!」
遠くからアラガミの咆哮が聞こえ、倒壊した家屋の影から次々とその姿を現す。
-戦う術を持たない我々には祈る事ぐらいしか出来ない。
だから諸君、無事に無事に戻ってきてくれ-
押し寄せるアラガミの大群。
ブラッドはその一団に向かって駆けていく。
想いは一つに極東を守る為に。
(後は任せた、隊長...!)
+++++
「がっ....っ!」
クロサキの目の前には光り輝く繭。
それに目掛けて振り下ろされたはずの神機は、繭のわずか手前で静止していた。
「お前...どこまで執念深けぇんだよ...!」
地面から伸びた黒い手のようなものがクロサキの神機を絡めとり、
さらに鋭く尖った触手がクロサキの腹部を貫いていた。
「クハハハハ...!フハハ...!」
辛うじてアラガミの原型を保っているアルバートは、クロサキを繭から引き離し放り投げる。
繭から離されアルバートの後方へと飛ばされたクロサキは、空中で体勢を立て直し着地する。
「っはぁ...はぁ...」
腹部の傷はすぐさま塞がり完全に治癒する。
特異点と化し始めているクロサキには、この程度の傷はすぐに回復してしまう。
しかし、問題はそこではなかった。
「終焉を見届けるがいい...」
ふわりと浮き上がったアルバートは、そのまま浮遊し繭の前に陣取る。
時間的に今のが最後のチャンスだったのかもしれなかった。
その証拠に、繭から溢れていた光が一気に放出され、繭の周りを赤い風が包み始めていた。
すさまじい力が解き放たれ嵐のような衝撃が襲う。
「何度も言ったはずだ。一度始まった終末捕食はもう止められない。
そこで、世界の終焉を、新たな秩序の構築を見届けるのだ。」
繭から溢れる偏食場パルスがエイジスから流れ出す。
「う...!っく...!」
地響きとはまた違う衝撃が極東中を襲う。
「うぉぉぉお!!」
「はぁぁぁああ!」
全神機使いが総出でアラガミから極東を護り続ける。
終末捕食が始まったということは通信で知っていた。
ひび割れた地面から幹が伸び侵食するように、家屋を押し倒していく。
それも片っ端からなぎ倒し切り裂いていく。
「あうっ...!」
「シエル!下がれ!俺が行く!」
侵食はとどまる事を知らず次々と伸びてくる。
「ぐっ...!」
「ジュリウス!大丈夫...!?」
「下がっていてください!はぁぁ!!」
諦めず力が続く限り、必死の抵抗は終わらない。
必ず終末捕食を止めてくれる。
皆がそう強く信じていたからだ。
その強い意志が皆の血の力を活性化させた。
「エイジスにて強力な偏食場パルスを確認!
これは...終末捕食とは別のものです!」
ヒバリが驚きながら叫ぶ。
「まさか...!」
画面に表示された数値は終末捕食の偏食場を大きく上回っていた。
世界を再構築する程の力を軽く凌駕する存在がそこにあった。
「これが君の選んだ道、君の意志というわけだね...クロサキ君。
やはり、人の意志の力はどんな定義をもってしても解明できないというわけか...」
「うぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」
クロサキの体を包んでいた偏食場が嵐のように吹き荒れる。
「なんだ...!?」
クロサキの起こした偏食場が終末捕食の偏食場を飲み込んでいく。
赤い渦のように偏食場が絡み合い、そして相殺していった。
その様子にアルバートは激しく激昂する。
「なんだというのだ...!?なぜ、なぜ貴様はそこまで...!」
クロサキは神機を構える。
その目はただ一点、アルバートを捉えていた。
ありったけの力を振り絞りブラッドアーツの光を神機、そして自身に纏わせる。
「この世界は救われなくてはならない!
おろかな人間の手によって汚されたこの星を、今一度、再構築し直し新たな秩序を生み出す!
俺は、間違ってなどいない!!!!」
漂う鎌がクロサキの行く手を瀬切るように並ぶ。
アルバートは叫び続ける。
「醜悪で、傲慢で、そして救いようの無い人間など、アラガミと同じではないか!
貴様とて、そのような人間を見てきたことがあるはずだ!
それでも、貴様は終末捕食を食い止めようというのか!人間を救おうというのか!!」
「救うさ。何度でも。」
「!!!」
一切の迷いも葛藤もなく、クロサキはそう言い放った。
「そりゃ醜い部分もあるさ、それが人間だからな。
あんたはその醜い部分だけを憎んで、他を見ようとはしなかった。
都合がいいかもしれねぇけど、人間はそんな嫌なやつばっかりじゃないんだよ。
みんなと打ち解けようと必死に努力してる奴。
弱い自分を隠そうとして元気に振舞っている奴。
自分の辛い記憶から精一杯成長しようとしている奴。
他にもたくさん、言い切れないほど色んな奴がいる。
だから、人間はそんな断片的に判断出来るもんじゃないと思うぜ?」
「何を...そんなものはただの綺麗事だ!!」
「綺麗事が一番良いにきまってるじゃねぇか!
....それに、お前になんて言われようと、
オレはそういう奴らの為に命を賭けるって決めたんだ。
それが神機使いとしてのオレの役目だ。」
「それが...オレの答えだ。」
「ふざけるな...ふざけるなぁ!!
新たな秩序、世界の再構築、その意思こそが絶対なのだ!」
アルバートの激昂と同時に鎌がクロサキ目掛けて飛んでくる。
「ふぅ.......!!うぉぁああああ!!!」
クロサキは一気に駆け出す。
赤い風は神機とクロサキと一体となり、巨大な赤き槍と化した。
渾身の力を放った攻撃は立ちふさがる鎌を打ち砕いていく。
「うらぁぁぁぁ!!!」
最後の鎌が砕け、神機がアルバートの胴体を貫く。
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!!!」
クロサキは勢いを止めずそのまま突き進む。
アルバートの肉体が押され、はがれる様に表皮が崩れていく。
「つらぬけぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!!」
後押しするかのように血が活性化し、アルバートごと繭を刺し貫いた。
繭から爆発するように光が飛び散る。
エイジスの中に溢れていた偏食場はまだ渦を巻いて荒ぶり続けていた。
「ふ、フハッ...」
アルバートの体が朽ちていく。
というよりむしろ、光の中に溶けていっている様だった。
「私を始末したところで終末捕食は止まらない。
ここには人知が及ぶ範囲など存在しないのだから...」
クロサキは無言で神機を引き抜く。
「さらばだ。クロサキ・レイジ。
全てが浄化された素晴らしき世界で、新たな秩序のなかでまた会おう...」
「悪いがそれは無理だな。」
クロサキは少し寂しそうに笑う。
アルバートにはその笑みの意味が分からなかった。
それよりも前に意識が光の中へと薄れていった。
次目を覚ましたときには新たな世界が広がっている。
そう願いながらアルバートは眠りについた。
アルバートの肉体が完全に消滅した。
残ったのは光を放出し続ける繭と偏食場が吹き荒れるエイジスのみ。
クロサキの覚悟は決まった。
「あんたには悪いけど、この世界は終わらない。
それに、終末捕食も二度と起きない。
これからも世界には"明日"がやってくるんだ。」
クロサキは神機を構える。
「そのためにゴッドイーターが...オレ達がいるんだ!!」
クロサキは神機を繭に突き刺す。
神機の偏食因子を伝って、終末捕食の強力な偏食場パルスが流れ込む。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
体中がひび割れ、想像を絶するような痛みが襲う。
それでもクロサキは手を離そうとしなかった。
フッと笑みをこぼす。
「ゴッドイーターは....皆が笑って暮らせる明日を...」
エイジス中に吹き荒れていた偏食場もクロサキの中に吸収されていく。
それと同時に、外では伸びていた幹の侵食がとまり、次々と枯れ始め霧散する。
エイジスを覆っていた偏食場が消え、代わりにまぶしい光がエイジスを飲み込む。
クロサキの体が光り始める。
わずかな意識の中でクロサキは思い出す。
ジュリウス、ナナ、シエル、ギル、ロミオ先輩、シュンヤ、リッカ、極東の皆...
本当にみんなと会えてよかった。
みんなと過ごした時間は本当に楽しかった。
だから、願わくばこれからも....
一際大きな光がエイジスを飲み込み、発せられた光が極東中を照らした。
良いこと言おうとしたらなんかよく分かんなくなった。
とりあえず良い最終回だったなぁ(棒)
というわけで、次回が本当に最終回。
終末捕食を防いだクロサキはどうなったのか!
明日には投稿できると思うのでお見逃し無く!
それではサラダバー!!
感想よろしくお願いします!!