GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
待機命令が出る中、クロサキがとった行動は...
「はあ...はあ...ハハッ、人間やれば出来ないことはねぇな。」
氷原を一体の神機兵が猛スピードで駆ける。
激しい揺れで何度も舌を噛みそうになる。
モニターを確認すると、赤い雨は既に降り出していた。
「待ってろよ、シエル!!」
神機兵はより一層、走るスピードを上げた。
話は数分前に遡る。
ジュリウスにシエルからの通信が入った頃、現場で待機していたクロサキ達もその通信を聞いていた。
「シエルちゃん大丈夫かな...」
ナナが心配そうにうつむく。
「大丈夫だ...アイツも不測の事態は考慮しているはずだ。」
そういうギルも拳を握りしめている。
救援はいらない、それがシエルの答えだった。
いくら最前の策だとしても、やりきれない思いがこみ上げる。
「いったいどうなっちまうんだよ...ん?クロサキ?」
皆が心配そうにする中、一人神機兵を見上げるクロサキ。
訝しげに見ていたロミオに、クロサキがいたって冷静に尋ねる。
「なあ、先輩...コイツってさ...人乗れるんだよね?」
突然どうしたんだ、と思いつつロミオが返す。
「?...まあ、乗れるんじゃね。ジュリウス達も乗ったことあるって言ってたし...」
「そうっすか...」
それだけ返すと、また神機兵に向き直る。
二人の会話を聞いていたギルがイラつきながら言う。
「今はそんな事、どうだっていいだろ。それとも何か?それに乗って助けに行くか?」
ギルは冗談のつもりで言ったのだろう。
しかし、クロサキは違った。
「じゃあ、そうすっか。」
クロサキは平然とハッチを開け、コックピットらしきスペースに座る。
「ば、バカ!なに本気にしてんだよ!」
「悪いことは言わねぇ!早く降りて来い!」
二人は大慌てでクロサキを説得する。
ナナも遠くで唖然としている。
「心配すんなって、すぐ戻ってくっから。ナナ!隊長に連絡しておいて!」
「えっ!...あ...うん...」
それだけ言うとハッチを閉じ、そのまま走り去って行ってしまった。
後には状況について行けない三人だけが残った。
「神機兵γ、神機兵βに向かって移動しています!」
フランが画面上の神機兵の反応を見ながら報告する。
グレムは、またアイツか、といった表情だ。
「ふう...ジュリウス君...君の部下の不始末を処理しておくように
君に対する懲罰は、その後だ...」
「...了解です。謹んでお受けします。」
それだけ聞くとグレムは去って行った。
神機兵の反応は、シエルの居るポイントに近づいている。
「フッ...ハハハハハ...」
自然と笑いがこみあげてくる。
フランもクジョウも不思議そうに見ている。
(全く、お前は本当に面白いやつだな...)
同じ頃、シエルは神機兵の下で雨をやり過ごしていた。
まだ雨は、降りやみそうにもない。
雨に当たらぬように体を縮める。
(これで良かった?本当に?)
皆が必至になって、私を助けようとしてくれた。
でも、私は命令を優先した。
心の中では来て欲しかったのにもかかわらず...この場での待機を望んだ。
「きっと...私のことなんて...」
そう呟いた時だった。
「!」
何かの気配を感じたシエルは神機を持ち直す。
辺りを警戒する。
すると、上空から巨大な影...シユウが現れた。
「こんな時に...」
『ギギャァァァァァァァァァ!!!』
シュウは咆哮すると天高く舞い上がり、シエル目がけて一直線に向かってくる。
この雨の中では戦えない!
シエルは自らの死を覚悟する。
シュウが衝突するその瞬間だった、目の前で爆発が起こり、シュウが吹き飛ぶ。
当然の出来事に、驚くシエルの前に現れたのは...別の神機兵だった。
状況を掴めないシエルの前に、神機兵のハッチの中から見慣れた顔が出てくる。
「よう!待ったか?」
目を丸くするシエルに、クロサキはそう言った。
-副隊長とシエル以外のブラッド各員は、至急撤退せよ
後はあの二人に任せておけ、どうせ...生きて還る-
長い雨が明けようとしていた。
+++++
フライア 懲罰房
クロサキは懲罰房に入れられた。
神機兵の無断使用と上官の命令無視...本来ならば除隊ものだ。
なぜ、懲罰房行きで済んだかというと、
一つは、シエルはもちろんブラッドの皆が抗議してくれたから。
そしてもう一つは、レア博士が局長に掛け合ってくれたからだ。
なんでも、貴重な有人制御のデータが手に入ったお礼らしい。
まあ、そんな事があってクロサキは今、懲罰房でシエルと話している。
「君の行動は...理解に苦しみます...」
扉一枚を隔ててシエルが呟く。
「こんな結果になることが分かっていて...あんな無茶を?」
「あん時は考えてる暇がなかったからな...気付いたら体が勝手にな。」
オレは壁にもたれながら腕を組み、あっけらかんと答える。
「神機兵の搭乗だって、入念な事前検査が要るんですよ...
最悪命を落とすことだってあるのに...
ホント...命令違反だらけですね、君は...」
「でも、オレは後悔してない。」
戸の窓に手をかけ、シエルに向き直す。
その顔は真剣だった。
「迷ったらその分だけ後悔する。だから、迷う前に自分の正しいと思ったことをしろ。
オレはある人にそう教わった。」
クロサキは、自らを鍛えてくれた男を思い出す。
「それに、シエルは大事な仲間で...友達だからな。」
その言葉にシエルはハッと顔を上げる。
クロサキは笑っていた。
「命令よりも...自分よりも...守りたい、大事なもの...」
クロサキは頷く。
その言葉を噛み締め、シエルはクロサキの手に自らの手を重ねる。
光の輪が見えたような気がした。
「とても、暖かいですね...」
二人は静かに笑いあう。
この時クロサキは、シエルの頬が淡く染まっていることに気付いていなかった。
書いていて思ったが...うちの主人公イケメンやな...
そら、シエルも惚れますわ...
(シエルファンの人すいません!!)
次回もシエル回!二人っきりでバレッドの挙動検証だ!
言い忘れた...次回からまた前書きの内容を変更します。
明確なビジョンが見えない...