GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
「皆に血の力が目覚めつつありますね...
王の贄たる子たちの行く末、ぜひ見届けてください...
それでは、#19始まります...」
#19 おいしい?』
『おいしい!食べてる時が一番幸せ!』
『ナナが幸せって言ってくれると、お母さんも幸せよ』
お母さんと過ごす時間が私にとって何よりの幸せだった...
『お母さん、出かけるね。いつものお約束、守れる?』
『はーい!泣かない!怒らない!寂しくなったら、おでんパン食べる!』
お母さんと交わした...大事な約束...
お母さん...お母さん...お母さん...
+++++
目が覚めるとベッドに寝かされていた。
「気がついたか?」
「あ、シエルちゃん...副隊長...」
自分がなぜこうしているかは分かった。
「そっか...私、倒れちゃったんだ...」
シエルとクロサキが心配そうに見つめてくる。
「凄く、嫌な夢見ちゃった...
お母さんが...血まみれで...」
「もう少し、横になっておいた方が良いですよ?」
シエルがナナを再び横にさせる。
「うん、ありがとう...そうする...」
素直に横になるナナ。
「お母さん死んじゃって、ラケル先生に引き取ってもらったの
すっごい、小っちゃいころだったからね。
色々、忘れちゃったんだけどさ...」
ナナは今まで記憶喪失で、最近昔のことを思い出すようになったらしい。
「私、お母さんと二人で住んでたの。どっかの山の中で...良く雪が降ってた...
お母さんは神機使いでね、家に居ないことが多かったけど...
泣かない!怒らない!寂しくなったらおでんパン食べる!
...ってのが、お母さんとの約束でね。」
嬉しそうに母のことを話すナナを見てると、こっちも笑顔になった。
「だから...おでんパン食べると、お母さんを思い出して...
すごい幸せな気分になるんだ...」
そう言うとナナは立ち上がる。
「よっし!もう大丈夫!」
「無理しなくて良いんですよ?」
「そうだぜ。さっき、倒れたばっかりだろ?もうちょい寝てろ。」
そう言って、強引にナナを寝かせる。
「もう...大丈夫なのに~
じゃあ、お腹空いちゃったから、おでんパン!よろしくね~」
「はいはい...相変わらずだな。そうだ、先輩も心配してたぜ。」
「ロミオ先輩が?」
「ああ、あの人がここまで運んできたんだ。ちゃんと、礼言っとけよ。」
それだけ言うと、クロサキとシエルは部屋を後にした。
「みんな、優しいな...」
一人、部屋に残ったナナは膝を寄せる。
「そっか...ロミオ先輩が...」
「なあ、シエル。」
部屋を出た後、オレはシエルに尋ねる。
「ナナがラケル先生に、何度か呼ばれたのって...
やっぱ、さっきの倒れたことと関係あんのかな?」
シエルは少し考えた後、小さくうなずいた。
「おそらく、そうでしょうね。
記憶が戻って、ナナさんにも血の力が目覚めつつあるのかもしれません。」
血の力を持つ仲間が増えるのは、戦力的にも良いことだ。
だが...
「...アイツ、無理しねえかな。」
クロサキの言葉に、シエルが立ち止まる。
「どういう意味ですか?」
「いや...何となく、ギルみたいに一人で抱え込んじまわないか心配でさ。」
「その時は、私達が支えてあげましょう。」
今は深く考えても仕方ないか...
「そうだな...さっさとナナにコレ、届けに行こう。」
好物のおでんパンを手に、ナナの病室に戻った。
+++++
ラケル博士研究室
復帰したナナは、ミッション前にフライアに戻っていた。
ラケルに呼び戻されたからだ。
「ミッション前にごめんなさいね。調子はどう?」
「ときどき頭が痛くなる以外は、いつも通りです。ただ...」
「ただ?」
ラケルは首をかしげる。
「最近、急にお母さんのことが頭に浮かぶんです。
だけど...ちゃんと思い出そうとすると、頭が痛くなって...」
ナナは頭を抱える。
「そう...お薬は飲んでるの?」
「はい...」
ラケルは少し考えると、自らの考えを伝えた。
「それなら、きっと...血の覚醒の進行が、影響しているようね。」
「覚醒...?」
ラケルは小さく頷くと、説明を続ける。
「血の覚醒とは、意志の力の表出。
感情を抑えれば、ブラッドの血に目覚める日は来ない...
ナナ、貴方は強い子です...
恐れずに、過去と、貴方自身に...向き合いなさい。」
「過去と...私と...うっ!?」
その瞬間、過去がフラッシュバックする。
『ナナ、こっち!』
『お母さぁん!』
ナナの母親がナナの手を引く。
『くっ、ここも囲まれてる!』
目の前には、複数のヤクシャが立ちふさがる。
『うわぁぁぁん!お母さぁぁん!』
目の前に横たわる母にナナが泣きつく。
そこで我に返った。
「あ...」
ナナは小刻みに震えている。
「大丈夫...?」
「は、はい...大丈夫、です...」
「落ち着いて、無理してミッションに出なくていいのよ?」
ナナは首を横に振る。
「いえ...行きます。」
+++++
「数が多いな...」
普段ではありえないほど、アラガミが大量発生していた。
倒しても、倒しても、次々に出てくる。
「くっ...キリがないな。」
ジュリウスもこの異常な状況に違和感を覚えたらしい。
-緊急事態です!!-
通信機からオペレーターのヒバリの、切羽詰まった声が流れる。
-周辺のアラガミがそちらに集まっています!-
-大型種は...6,7...いえ、10以上!小型種は無数にいます!-
「分かっている。接近中の新手に退路を断たれた。」
見ると、目の前に無数のアラガミが立ちふさがっていた。
優に20を超えている。
「戦闘続行だ!戦って、活路を開くぞ!」
ジュリウスがアラガミの群れに切り込む。
クロサキ達もそれに続く。
しかし、アラガミは増える一方だった。
「総員、各自退避行動をとれ!バラバラでもいい!極東支部に戻るんだ!」
見かねたジュリウスが叫ぶ。
「ナナ!ラケル先生から無理しないように言われてんだろう?」
ロミオがナナに呼びかける。
「オレ達が退路を開く!ナナ、先に行け!」
クロサキもそう言って、目の前のアラガミを切り裂く。
「逃げる...?私だけ...?」
『ナナ...あなただけでも...逃げて...』
目の前で母がナナに言う。
「お母...さん...?」
「ナナ!」
立ちすくむナナに、アラガミが襲い掛かる。
寸前でロミオがナナに覆いかぶさるが、アラガミの突進をまともに受けてしまった。
ナナの目の前でロミオが倒れる。
「先輩...?また、私のせいで...皆が...お母さんが...」
ナナがその場でうずくまり、大声で泣き出す。
「ナナ!?」
見ると、ナナの体から赤い風が渦巻いている。
「...ナナ!?おい...しっかりしろ!」
起き上がったロミオがナナを揺さぶる。
-これは...偏食場パルスの乱れが...!-
「まさか...!」
-強力な偏食場パルスを確認!さらにアラガミが集まっています!-
「血の力か...?暴走している...」
「隊長!第一部隊がそこまで来てる!」
救援に来た第一部隊が、退路を開いてくれたようだ。
「よし...副隊長!ナナを支えて退避しろ!ロミオ立てるか?」
「ああ、大丈夫!」
ロミオは立ち上がる。ナナはまだ泣き続けていた。
「しっかりしろ...帰るぞ!」
ナナを背負い、クロサキは走る。
この後、どうにか全員で帰還することが出来たが、
ナナはそのまま集中観察室に隔離されてしまった。
というわけで前編です。
少しお見苦しい所もありますが、暖かい目でお読みください。
次回は後編。キャラエピは...どうでしょうね?