GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
極東に配属されることになったクロサキたちは、
複雑な想いを胸に任務にあたる。
#26 弔い合戦
オレとギルは二人で任務に出ていた。
今回の対象はオウガテイルなどの小型のアラガミ。
何とも張り合いのない戦いだった。
「もう、終わりか...」
「大物は、大体が神機兵に持ってかれちまったからな。」
「何はともあれ任務完了だな、"隊長"。」
隊長...そう、呼ばれ始めて数日が経とうとしていた。
「なんか、まだ...慣れねえな...」
「ん...ああ、そうか...」
ギルは少し考えると、口を開く。
「そうだな...あまり、こういうことを言うのはガラじゃないんだが...
ブラッドの隊長は...お前だ。
肩書だけじゃない...お前になら背中を預けられる、ってことだ。」
その言葉にクロサキはハッと顔をあげる。
ジュリウスがブラッドを抜けてから、ずっと考えていた。
自分が隊長で本当に良かったのか、と。
でも、今なら...
クロサキは笑い出す。
「ちっ....だからガラじゃないって言ったんだ。」
ギルは恥ずかしそうに顔を背ける。
「いや、悪い。おかげで吹っ切れた。...ありがとうな、ギル。」
「フッ...俺だけじゃない。皆がお前を支えたいと思っている。
これからもよろしく頼む、隊長。」
もう、迷いはなかった。
皆とならやっていけると思った。
「よし!帰ろうぜ。」
「ああ!」
+++++
今日のアナグラは朝から騒がしかった。
先日サテライトを襲撃したマルドゥークと、同種の反応が感知されたからだ。
出撃前にサカキ博士から説明を受ける。
「今回の討伐対象は多数のアラガミを引きつれている。
という訳で、こちらも数で対抗しよう。
感応種と神機使いの総力戦、という訳だね。
周辺のアラガミはこちらに任せるとして、君たちには本陣に切り込んでもらいたい。」
もとよりそのつもりだったオレ達は、力強く頷く。
「うむ。必ず勝って、生きて帰ってきてくれよ。」
サカキ博士の激励をうけ、ブラッドは戦場にくり出した。
+++++
「ついに、来たな。」
オレは呟く。
「ああ、アイツの...ロミオの弔い合戦だ。」
ギルが言った。
「...!隊長、反応がありました!」
シエルの報告と同時にマルドゥークが姿を現す。
「あ、あの傷...」
ナナが指さす方向を見ると、確かに目の所に傷があった。
かつて、クロサキがつけた傷だ。
四人はマルドゥークと対峙する。
にらみ合いが続く中、先に動いたのはマルドゥークだった。
クロサキ目がけて爪を突き立てる。
刃でその攻撃を受け流し、そのまま押し返す。
「ハッ、そんなもんか?なんなら、もう片方の目にも同じ傷つけてやろうか?」
言葉が通じたのかは分からない。
マルドゥークはクロサキを睨みつけると、唸り声をあげる。
同時にマルドゥークから偏食場が発生し、周囲からアラガミが集まってくる。
「なるほどな...全員、散開するんだ!
集まったアラガミを全部倒してくれ!」
『了解!』
クロサキは三人が散開するのを確認すると、もう一度前に向き直る。
「さあ、始めようぜ。」
クロサキは不敵な笑みを浮かべた。
マルドゥークもその顔に反応し、咆哮をあげた。
それを合図に神機を振り上げ、足元目がけて振り落す。
神機が深く突き刺さる。
マルドゥークは悲鳴を上げるが、そのまま足を振り上げ地面にクロサキごと叩き付ける。
「がっ...」
地面を転がるクロサキを押さえつけ、鋭い牙でかみ殺す。
しかし、悲鳴をあげたのはマルドゥークの方だった。
「ガァァァァァ!!」
寸前で神機を口の中に突き立て、舌を切り裂いたのだ。
クロサキが再び立ち上がり、口元の血を拭うとマルドゥークを見据える。
マルドゥークも首を振るうと、睨み返した。
ギリギリの命の取り合いが始まった。
+++++
ギル達が戻った時、目の前では死闘が繰り広げられていた。
マルドゥークはすでに結合崩壊を起こし、クロサキも全身傷だらけだった。
「うらぁぁぁぁぁぁあ!!」
「ガァァァァァァァァ!!」
マルドゥークの突進を刃で受けつつ、マルドゥークの爪を割る。
爪と剣がぶつかり合い火花を散らす。
そして、ついに...
「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「ゴガァァァァァァァ!!」
クロサキの放ったブラッドアーツがマルドゥークの胸部に直撃し、マルドゥークは地に伏す。
「やったのか...?」
「は、早く隊長を!」
三人がよろけるクロサキに駆け寄ろうとした時だった。
「ウォォォォォォォォォン!!」
マルドゥークが再び立ち上がる。
「こいつ、まだ...!」
しかし、マルドゥークの動きが止まる。
見ると、反対側から神機兵が銃撃を開始していた。
無数の弾丸を浴び、ひるむマルドゥーク。
「今だ!」
四人は最後の一撃をぶつけた。
「ガァァァァ....」
マルドゥークは呻くとゆっくり倒れ、二度起き上がらなかった。
「やっと、仇を取れました...」
シエルがつぶやく。
「ああ、全くだ。...ん?」
その場に座り込んだギルが何かに気付く。
先程まで銃撃を行っていた神機兵が神機を構え、その場に直立していた。
その姿はまるで何かに敬礼をしているようだった。
「でも、なんだか...寂しいね...」
ナナがマルドゥークを見て呟く。
この場の皆が同じ気持ちだった。
辺りを静寂が包んだ。
「....墓参り。行こうぜ。」
クロサキが口を開く。
「...そうですね。ロミオさんに報告しましょう。」
シエルが同意すると、ギルとナナも静かに頷いた。
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フライア 庭園
入館許可をもらった俺達は、まっすぐ庭園に向かった。
ロミオの墓標の元に。
「ロミオ先輩。先輩の仇、とってきたよ。
みんな、すっごく強くなったんだから。
もうどんな奴が来てもへっちゃらだよ?」
ナナが笑いながら話す。
「...ちょっと、喧嘩もしちゃったりするけど、大丈夫。
だから、安心して見守っててね。」
そこまで言ってナナが何かに気付く。
「あれ、もう花が...」
ロミオの墓にはすでに一輪の花が供えてあった。
皆の頭の中にある人物の顔が浮かぶ。
「アイツか...」
「一言声をかけてくれればいいのに...」
「ジュリウス...」
「でも...なんか、安心した。」
誰の思いも変わってなどいない。
皆がそう思った。
暖かな風が頬を撫でて行った。
+++++
クロサキ達が来る数十分前。
庭園には一人の青年の姿があった。
「ロミオ...たった今報告があった。
アイツらがあのマルドゥークを討伐したらしい。」
ジュリウスはロミオの墓に花を添えると、その場に屈みこむ。
「...俺は間違っているのかな。
お前の敵討ちをアイツらに任せて、俺は神機兵の教導...
これで良かったんだろうか...」
ジュリウスの問いかけに答えるものはいなかった。
「...何を考えているんだ俺は...」
ジュリウスは立ち上がりその場を立ち去る。
「決めたはずだ。俺は皆の為にこの道を選んだんだ。」
自らを無理やり納得させたジュリウス。
彼を心配するようにザワッと風が吹いた。
という訳で第三章です。
見どころとしてはまあ最終決戦と関係の変化ですかね...
誰と誰の関係かというと...それは本編もとい番外編をお楽しみに。
クロサキとリッカの関係も進展するかも...
という訳で、次回までサラダバー!