GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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ジュリウスの離脱と突然の辞令…
極東に配属されることになったクロサキたちは、
複雑な想いを胸に任務にあたる。


Chapter3:You Can Change The World
#26 弔い合戦


オレとギルは二人で任務に出ていた。

今回の対象はオウガテイルなどの小型のアラガミ。

何とも張り合いのない戦いだった。

「もう、終わりか...」

「大物は、大体が神機兵に持ってかれちまったからな。」

「何はともあれ任務完了だな、"隊長"。」

隊長...そう、呼ばれ始めて数日が経とうとしていた。

「なんか、まだ...慣れねえな...」

「ん...ああ、そうか...」

ギルは少し考えると、口を開く。

「そうだな...あまり、こういうことを言うのはガラじゃないんだが...

ブラッドの隊長は...お前だ。

肩書だけじゃない...お前になら背中を預けられる、ってことだ。」

その言葉にクロサキはハッと顔をあげる。

ジュリウスがブラッドを抜けてから、ずっと考えていた。

自分が隊長で本当に良かったのか、と。

でも、今なら...

クロサキは笑い出す。

「ちっ....だからガラじゃないって言ったんだ。」

ギルは恥ずかしそうに顔を背ける。

「いや、悪い。おかげで吹っ切れた。...ありがとうな、ギル。」

「フッ...俺だけじゃない。皆がお前を支えたいと思っている。

これからもよろしく頼む、隊長。」

もう、迷いはなかった。

皆とならやっていけると思った。

「よし!帰ろうぜ。」

「ああ!」

 

+++++

 

 

今日のアナグラは朝から騒がしかった。

先日サテライトを襲撃したマルドゥークと、同種の反応が感知されたからだ。

出撃前にサカキ博士から説明を受ける。

「今回の討伐対象は多数のアラガミを引きつれている。

という訳で、こちらも数で対抗しよう。

感応種と神機使いの総力戦、という訳だね。

周辺のアラガミはこちらに任せるとして、君たちには本陣に切り込んでもらいたい。」

もとよりそのつもりだったオレ達は、力強く頷く。

「うむ。必ず勝って、生きて帰ってきてくれよ。」

サカキ博士の激励をうけ、ブラッドは戦場にくり出した。

 

+++++

 

 

「ついに、来たな。」

オレは呟く。

「ああ、アイツの...ロミオの弔い合戦だ。」

ギルが言った。

「...!隊長、反応がありました!」

シエルの報告と同時にマルドゥークが姿を現す。

「あ、あの傷...」

ナナが指さす方向を見ると、確かに目の所に傷があった。

かつて、クロサキがつけた傷だ。

四人はマルドゥークと対峙する。

にらみ合いが続く中、先に動いたのはマルドゥークだった。

クロサキ目がけて爪を突き立てる。

刃でその攻撃を受け流し、そのまま押し返す。

「ハッ、そんなもんか?なんなら、もう片方の目にも同じ傷つけてやろうか?」

言葉が通じたのかは分からない。

マルドゥークはクロサキを睨みつけると、唸り声をあげる。

同時にマルドゥークから偏食場が発生し、周囲からアラガミが集まってくる。

「なるほどな...全員、散開するんだ!

集まったアラガミを全部倒してくれ!」

『了解!』

クロサキは三人が散開するのを確認すると、もう一度前に向き直る。

「さあ、始めようぜ。」

クロサキは不敵な笑みを浮かべた。

マルドゥークもその顔に反応し、咆哮をあげた。

それを合図に神機を振り上げ、足元目がけて振り落す。

神機が深く突き刺さる。

マルドゥークは悲鳴を上げるが、そのまま足を振り上げ地面にクロサキごと叩き付ける。

「がっ...」

地面を転がるクロサキを押さえつけ、鋭い牙でかみ殺す。

しかし、悲鳴をあげたのはマルドゥークの方だった。

「ガァァァァァ!!」

寸前で神機を口の中に突き立て、舌を切り裂いたのだ。

クロサキが再び立ち上がり、口元の血を拭うとマルドゥークを見据える。

マルドゥークも首を振るうと、睨み返した。

ギリギリの命の取り合いが始まった。

 

+++++

 

 

ギル達が戻った時、目の前では死闘が繰り広げられていた。

マルドゥークはすでに結合崩壊を起こし、クロサキも全身傷だらけだった。

「うらぁぁぁぁぁぁあ!!」

「ガァァァァァァァァ!!」

マルドゥークの突進を刃で受けつつ、マルドゥークの爪を割る。

爪と剣がぶつかり合い火花を散らす。

そして、ついに...

「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「ゴガァァァァァァァ!!」

クロサキの放ったブラッドアーツがマルドゥークの胸部に直撃し、マルドゥークは地に伏す。

「やったのか...?」

「は、早く隊長を!」

三人がよろけるクロサキに駆け寄ろうとした時だった。

「ウォォォォォォォォォン!!」

マルドゥークが再び立ち上がる。

「こいつ、まだ...!」

しかし、マルドゥークの動きが止まる。

見ると、反対側から神機兵が銃撃を開始していた。

無数の弾丸を浴び、ひるむマルドゥーク。

「今だ!」

四人は最後の一撃をぶつけた。

「ガァァァァ....」

マルドゥークは呻くとゆっくり倒れ、二度起き上がらなかった。

「やっと、仇を取れました...」

シエルがつぶやく。

「ああ、全くだ。...ん?」

その場に座り込んだギルが何かに気付く。

先程まで銃撃を行っていた神機兵が神機を構え、その場に直立していた。

その姿はまるで何かに敬礼をしているようだった。

「でも、なんだか...寂しいね...」

ナナがマルドゥークを見て呟く。

この場の皆が同じ気持ちだった。

辺りを静寂が包んだ。

「....墓参り。行こうぜ。」

クロサキが口を開く。

「...そうですね。ロミオさんに報告しましょう。」

シエルが同意すると、ギルとナナも静かに頷いた。

 

+++++

 

 

フライア 庭園

 

入館許可をもらった俺達は、まっすぐ庭園に向かった。

ロミオの墓標の元に。

「ロミオ先輩。先輩の仇、とってきたよ。

みんな、すっごく強くなったんだから。

もうどんな奴が来てもへっちゃらだよ?」

ナナが笑いながら話す。

「...ちょっと、喧嘩もしちゃったりするけど、大丈夫。

だから、安心して見守っててね。」

そこまで言ってナナが何かに気付く。

「あれ、もう花が...」

ロミオの墓にはすでに一輪の花が供えてあった。

皆の頭の中にある人物の顔が浮かぶ。

「アイツか...」

「一言声をかけてくれればいいのに...」

「ジュリウス...」

「でも...なんか、安心した。」

誰の思いも変わってなどいない。

皆がそう思った。

暖かな風が頬を撫でて行った。

 

+++++

 

 

クロサキ達が来る数十分前。

庭園には一人の青年の姿があった。

「ロミオ...たった今報告があった。

アイツらがあのマルドゥークを討伐したらしい。」

ジュリウスはロミオの墓に花を添えると、その場に屈みこむ。

「...俺は間違っているのかな。

お前の敵討ちをアイツらに任せて、俺は神機兵の教導...

これで良かったんだろうか...」

ジュリウスの問いかけに答えるものはいなかった。

「...何を考えているんだ俺は...」

ジュリウスは立ち上がりその場を立ち去る。

「決めたはずだ。俺は皆の為にこの道を選んだんだ。」

自らを無理やり納得させたジュリウス。

彼を心配するようにザワッと風が吹いた。

 

 




という訳で第三章です。
見どころとしてはまあ最終決戦と関係の変化ですかね...
誰と誰の関係かというと...それは本編もとい番外編をお楽しみに。
クロサキとリッカの関係も進展するかも...

という訳で、次回までサラダバー!
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