GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
真実を知ったクロサキたちは再度突入の計画を立てる。
その頃フライアでは最後の準備が整おうとしていた…
フライアへの突入は翌日の明朝となった。
それまでは皆、自由な時間を過ごしていた。
「ユノさん、体調はどうですか?」
ユノはスヤスヤと寝息をたてるアスナを見ていた。
「私は、大丈夫...」
そう言いつつ、ユノは腕を押さえていた。
検査の結果、ユノは、やはり黒蛛病に感染していた。
痛みを我慢しながら笑うユノを見ていると、胸が苦しくなった。
「また、フライアに行くんだよね?
...お願い、ジュリウスを必ず...」
ユノの前に手を突出し、言葉を止める。
「言わなくても分かってる。あの人は仲間で、大切な友達だ。
必ず、連れ帰ってくる。約束する。」
その言葉にユノは安心したのか、目から一筋の涙が頬を伝った。
+++++
時は遡り、クロサキ達がテレビでクーデターを知った時のこと。
フライアでは、最後の試練が始まろうとしていた。
ジュリウスは機械の椅子に腰かけ眠っていた。
しかし、体の痛みで目を覚ます。
「くっ...」
ジュリウスの体を蝕む黒い痣は、全身に行き渡っていた。
苦しむジュリウスにラケルが声をかける。
「今の貴方は、さながら亡国の王、といった風情ね...」
ラケルの言葉に、平静を装い言い返す。
「フッ...俺が滅びることは無い...
アラガミをこの世から全滅させるまでは。」
「安心して、ジュリウス...
神機兵は、ほぼ完成よ...」
実際、ジュリウスの教導はほぼ終了しており、細かな調整を残すのみだった。
「そうか...間に合ったか...」
ラケルの言葉に、ジュリウスは安堵する。
「これで、ロミオの墓参りに行ける...いや、アイツらにも...」
ラケルが首を振る。
「いいえ、ジュリウス。貴方の使命はこれから更新されるのです。」
「どういう、意味だ...?」
「貴方は今や、霊長の王...
これから、貴方は最後の試練を乗り越えて"新たな秩序"となるのです。」
ラケルは言い終わると、後ろに下がる。
入れ替わりで現れたのは...
地鳴りと共にその巨体を揺らす、巨大なアラガミ。
かつて、ラケルの父を葬った神機兵だった。
その濁った眼は、真っ直ぐにジュリウスを見下ろしている。
そこでジュリウスはラケルの真意に気付く。
「ラケル...!貴様....!」
神機兵の一撃にジュリウスが弾き飛ばされる。
薄れゆく意識の中で、ラケルの最後の言葉を聞いた。
「ああ、ジュリウス...荒ぶる神に選ばれし、私の子...
最後の晩餐まで、ゆっくりお休み...私の可愛いジュリウス...」
+++++
廃棄された神機兵の中にジュリウスはいた。
「神機兵という人形を操っていると思ったら...
俺自身が、操られていた人形とは...」
誰に聞かれてる訳でもなく、ジュリウスは呟く。
「俺は...死ぬのか...?」
答えは返って来ない。
ジュリウスは再び目を閉じる。
遠い過去の記憶...ラケルと初めて会った時のこと。
両親を亡くした俺は、一人だった。
親戚の奴らは俺を腫物扱いし、全てを奪っていった。
でも...
『初めまして、ジュリウス。』
その人は違った。
俺のことを受け入れてくれた。
『ジュリウス、貴方は明日から、私と一緒に暮らすの...』
俺のことを理解してくれた。
『私はラケル。今日から、貴方の新しいママになるのよ。』
俺のことを抱きしめてくれた。
俺にとって彼女は母親も同然の存在になった。
黒蛛病の痛みにジュリウスは悶える。
そして、記憶が再生される。
-一人っきりの食事-
-シエルとの出会い-
ジュリウスの体にどこからともなくツタが伸びてくる。
-ユノの歌ってくれた歌-
-心を許せたブラッドの仲間達-
そのツタはジュリウスを飲み込み、部屋を浸蝕する。
-大切な友、ロミオの死-
-皆との別れを決意した日-
ジュリウスの顔からは苦痛が消えていた。
それどころか黒い痣が消え、ツタと共に繭を形成する。
-黒蛛病の患者たち-
-整列する神機兵-
-玉座に座る自分-
-その姿が子供に変わる-
-そしてそれを抱く母-
ジュリウスは世界とつながる。
-蝶の舞う花畑-
-そびえたつビル群-
-生命の誕生-
-世界の終焉-
-地球を見下ろす少女-
「そうか...俺は...」
世界を拓く"王"が生まれた。
彼は特異点として生まれ変わったのだった。
+++++
オレとコウタは戦場に居た。
討伐を終えたオレにコウタが声をかける。
「なあ、アーク計画って知ってる?」
「聞いたことないな...」
「昔、ここで、"人類の生存策"を真剣に考えた人がいてさ。
その人は、大を殺して、小を救おうとしてたんだ。ほら、あれ見えるだろ。」
コウタが指さす方には、巨大なドーム状の建物が見えた。
「"エイジス"っていってな、アレで選ばれた人を脱出させてさ、
アラガミもろとも世界を滅ぼしたら、新世界に帰還する計画でね。」
コウタはエイジスを見つめる。
「あの時は、俺の前の隊長がそれを否定して、皆でその計画を阻止した。
結局、最後はあの子に助けられた。」
「あの子...?」
「...人型のアラガミが居た、って言ったら信じるかい?」
オレは少し考えて答える。
「信じるよ。コウタの目、真剣だしな。」
「そうか..."シオ"っていう名前でね。
知性も心もあって、言葉まで喋れるアラガミ。
彼女が、世界を滅ぼす終末捕食を引き起こす"特異点"だった。
結局、アイツは...」
コウタは空を見上げると、オレに向き直る。
「今回ので思い出したよ。
善意から狂っていった"アーク計画"と、自分を犠牲にした"シオ"のこと。」
ゴッドイーターを傷つけさせない為の、神機兵の量産計画。
そして、その為の人柱になったジュリウス。
共通点があり過ぎた。
「...あのさ、これから何が起こるか分からないけど
必要なときは、いつでも力を貸すよ。その時が来たら、言ってくれ。」
コウタの言葉はとても心強かった。
「まるで、隊長みたいだな?」
「隊長だっつうの!」
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オレ達はフライアの前に立っていた。
突入経路は前回と同じく、保管庫からだ。
「さあ、行こうか!」
二度目の突入が始まった。
もうすぐ第三章も終わりですか...
第四章のことなんかまったく頭になかった...どうしよう