GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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レア博士からラケルのルーツを聞き出したクロサキたち。
真実を知ったクロサキたちは再度突入の計画を立てる。
その頃フライアでは最後の準備が整おうとしていた…


#31 ひとりぼっちの王様

フライアへの突入は翌日の明朝となった。

それまでは皆、自由な時間を過ごしていた。

 

「ユノさん、体調はどうですか?」

ユノはスヤスヤと寝息をたてるアスナを見ていた。

「私は、大丈夫...」

そう言いつつ、ユノは腕を押さえていた。

検査の結果、ユノは、やはり黒蛛病に感染していた。

痛みを我慢しながら笑うユノを見ていると、胸が苦しくなった。

「また、フライアに行くんだよね?

...お願い、ジュリウスを必ず...」

ユノの前に手を突出し、言葉を止める。

「言わなくても分かってる。あの人は仲間で、大切な友達だ。

必ず、連れ帰ってくる。約束する。」

その言葉にユノは安心したのか、目から一筋の涙が頬を伝った。

 

+++++

 

 

時は遡り、クロサキ達がテレビでクーデターを知った時のこと。

フライアでは、最後の試練が始まろうとしていた。

 

ジュリウスは機械の椅子に腰かけ眠っていた。

しかし、体の痛みで目を覚ます。

「くっ...」

ジュリウスの体を蝕む黒い痣は、全身に行き渡っていた。

苦しむジュリウスにラケルが声をかける。

「今の貴方は、さながら亡国の王、といった風情ね...」

ラケルの言葉に、平静を装い言い返す。

「フッ...俺が滅びることは無い...

アラガミをこの世から全滅させるまでは。」

「安心して、ジュリウス...

神機兵は、ほぼ完成よ...」

実際、ジュリウスの教導はほぼ終了しており、細かな調整を残すのみだった。

「そうか...間に合ったか...」

ラケルの言葉に、ジュリウスは安堵する。

「これで、ロミオの墓参りに行ける...いや、アイツらにも...」

ラケルが首を振る。

「いいえ、ジュリウス。貴方の使命はこれから更新されるのです。」

「どういう、意味だ...?」

「貴方は今や、霊長の王...

これから、貴方は最後の試練を乗り越えて"新たな秩序"となるのです。」

ラケルは言い終わると、後ろに下がる。

入れ替わりで現れたのは...

地鳴りと共にその巨体を揺らす、巨大なアラガミ。

かつて、ラケルの父を葬った神機兵だった。

その濁った眼は、真っ直ぐにジュリウスを見下ろしている。

そこでジュリウスはラケルの真意に気付く。

「ラケル...!貴様....!」

神機兵の一撃にジュリウスが弾き飛ばされる。

薄れゆく意識の中で、ラケルの最後の言葉を聞いた。

「ああ、ジュリウス...荒ぶる神に選ばれし、私の子...

最後の晩餐まで、ゆっくりお休み...私の可愛いジュリウス...」

 

+++++

 

 

廃棄された神機兵の中にジュリウスはいた。

「神機兵という人形を操っていると思ったら...

俺自身が、操られていた人形とは...」

誰に聞かれてる訳でもなく、ジュリウスは呟く。

「俺は...死ぬのか...?」

答えは返って来ない。

ジュリウスは再び目を閉じる。

遠い過去の記憶...ラケルと初めて会った時のこと。

 

両親を亡くした俺は、一人だった。

親戚の奴らは俺を腫物扱いし、全てを奪っていった。

でも...

『初めまして、ジュリウス。』

その人は違った。

俺のことを受け入れてくれた。

『ジュリウス、貴方は明日から、私と一緒に暮らすの...』

俺のことを理解してくれた。

『私はラケル。今日から、貴方の新しいママになるのよ。』

俺のことを抱きしめてくれた。

俺にとって彼女は母親も同然の存在になった。

 

黒蛛病の痛みにジュリウスは悶える。

そして、記憶が再生される。

-一人っきりの食事-

-シエルとの出会い-

ジュリウスの体にどこからともなくツタが伸びてくる。

-ユノの歌ってくれた歌-

-心を許せたブラッドの仲間達-

そのツタはジュリウスを飲み込み、部屋を浸蝕する。

-大切な友、ロミオの死-

-皆との別れを決意した日-

ジュリウスの顔からは苦痛が消えていた。

それどころか黒い痣が消え、ツタと共に繭を形成する。

-黒蛛病の患者たち-

-整列する神機兵-

-玉座に座る自分-

-その姿が子供に変わる- 

-そしてそれを抱く母-

ジュリウスは世界とつながる。

-蝶の舞う花畑-

-そびえたつビル群-

-生命の誕生-

-世界の終焉-

-地球を見下ろす少女-

「そうか...俺は...」

世界を拓く"王"が生まれた。

彼は特異点として生まれ変わったのだった。

 

+++++

 

 

オレとコウタは戦場に居た。

討伐を終えたオレにコウタが声をかける。

「なあ、アーク計画って知ってる?」

「聞いたことないな...」

「昔、ここで、"人類の生存策"を真剣に考えた人がいてさ。

その人は、大を殺して、小を救おうとしてたんだ。ほら、あれ見えるだろ。」

コウタが指さす方には、巨大なドーム状の建物が見えた。

「"エイジス"っていってな、アレで選ばれた人を脱出させてさ、

アラガミもろとも世界を滅ぼしたら、新世界に帰還する計画でね。」

コウタはエイジスを見つめる。

「あの時は、俺の前の隊長がそれを否定して、皆でその計画を阻止した。

結局、最後はあの子に助けられた。」

「あの子...?」

「...人型のアラガミが居た、って言ったら信じるかい?」

オレは少し考えて答える。

「信じるよ。コウタの目、真剣だしな。」

「そうか..."シオ"っていう名前でね。

知性も心もあって、言葉まで喋れるアラガミ。

彼女が、世界を滅ぼす終末捕食を引き起こす"特異点"だった。

結局、アイツは...」

コウタは空を見上げると、オレに向き直る。

「今回ので思い出したよ。

善意から狂っていった"アーク計画"と、自分を犠牲にした"シオ"のこと。」

ゴッドイーターを傷つけさせない為の、神機兵の量産計画。

そして、その為の人柱になったジュリウス。

共通点があり過ぎた。

「...あのさ、これから何が起こるか分からないけど

必要なときは、いつでも力を貸すよ。その時が来たら、言ってくれ。」

コウタの言葉はとても心強かった。

「まるで、隊長みたいだな?」

「隊長だっつうの!」

 

+++++

 

 

オレ達はフライアの前に立っていた。

突入経路は前回と同じく、保管庫からだ。

「さあ、行こうか!」

二度目の突入が始まった。

 




もうすぐ第三章も終わりですか...
第四章のことなんかまったく頭になかった...どうしよう
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