GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

35 / 105
特異点となったジュリウスを目の当たりにし、撤退を余儀なくされたクロサキたち。
世界の終わりが近づく中、サカキはある提案をする。


#33 未来を繋ぐ歌

オレは病室で目を覚ました。

フライアの突入作戦から戻った後、皆が治療を受けた。

中でもオレは重傷で、体中の神経が疲労しきっていた。

オレはベッドから這い出た。

「お目覚めのようだね。」

病室の入り口から声をかけられた。

「サカキ博士...」

サカキはそのままクロサキの正面に座る。

「そのままで聞いてくれて構わない。

今回の突入と今までのデータからある事実がわかった。

結論から言おう。

恐らく、"赤い雨"と"黒蛛病"は...特異点を失った地球が

また"新たな特異点"を作り上げるためのシステムだと推測される。

その根拠は...ユノ君の検査結果から得ることが出来た。」

「ユノさんから...?」

「つまり...ユノ君は、特異点として選ばれつつある。そう考えていいだろうね。

彼女を詳しく調べた結果、特異点に極めて近い偏食因子が発見された。

ジュリウス君は特異点として完成してしまった...

それに加えて、終末捕食が完遂すれば...全ての生命が死に絶えてしまう。」

理解するには時間がかかりそうだった。

しかし、これだけは分かる。

「サカキ博士。どうすれば終末捕食を止められる?」

「...ひとつだけ、方法がある。」

「なら、それを...」

サカキが制止する。

「それは辛うじて通じている細い道だ。

踏み外せば、終末捕食を止められても、

君たちとユノ君の命が失われてしまうだろう。」

サカキはそこで立ち上がる。

「他の皆には話はしてある。

彼らと話し合って、覚悟が決まったら...その時はもう一度、話をしよう。」

 

+++++

 

 

アナグラ ラウンジ

 

ラウンジにはブラッドの面々とユノしか居なかった。

普段は騒がしいこの場所も今は、重い空気が流れていた。

「ねえ、あのさ...」

ナナが口を開く。

「終末捕食を止めることなんて...本当にできるのかな...?」

「どういう意味だ?」

ギルが即座に言い返す。

ナナも少し狼狽えるが、そのまま続けた。

「終末捕食なんて...想像もつかないようなこと...

本当に止められるのかなって...」

「でも、諦めるわけにはいかねえだろ。」

クロサキが言い放つ。

「確かに状況は絶望的かもしれない...

でも、オレ達は前に進まなくちゃならない...」

ずっと黙って聞いていたユノが口を開く。

「君たちはすごいね...

正直に言うと、ものすごく怖いんだ。

自分の意志で、戦場に立つのは初めてだから...」

ユノの声は少し震えていた。

当然だ、黒蛛病という不治の病に侵されながら、さらに特異点になってしまったこと。

想像を絶する恐怖が、彼女を襲っているはずだった。

「...でも、隊長さんの言うとおりだよね。

私も諦めない...皆を信じて、私も...一緒に戦いたいよ。」

真っ直ぐこちらを見つめるユノの目には、覚悟があった。

「そっか...そうだよね。」

「あんたにそんな目されちゃ...やらざるを得ないな。」

「ええ...私達で終末捕食を止めましょう...」

皆が覚悟をきめ、"意志"が一つになる。

クロサキが立ち上がる。

「止めるだけじゃない...ジュリウスと共に帰るんだ!」

皆が強く頷いた。

たとえ、どんなに細き道だろうと皆となら歩んでいける。

クロサキはそう思った。

+++++

 

 

アナグラ ユノ部屋

 

 

部屋にはブラッド、そして第一部隊のメンバーもいた。

サカキが全員揃ったのを確認すると、口を開く。

「あまり、勝算は無いんだが...終末捕食を阻止するには、

やはり、終末捕食しかないと思うんだ。」

『......』

あまりに突拍子もない発言に皆が黙ってしまった。

「サカキ博士...壊れちゃったの?」

エリナの発言で沈黙が崩れる。

「いや、至って正常さ...聞いてくれたまえ。

終末捕食とは、特異点の意志が地球を初期化し、生命を再分配する現象だ。

今回の場合は、ジュリウス君の意志が終末捕食を引き起こそうとしているというわけだね。」

サカキ博士がその場を行ったり来たりする。

「つまり、新たな特異点が別の終末捕食を引き起こせば...

二つの終末捕食が相殺しあっていく、という考えさ。」

ようやくサカキが立ち止まる。

「そして、その新たな特異点は...黒蛛病患者たちそしてユノ君だ。

赤い雨が特異点の選別システムだとしたら、選ばれなかった彼らは"失敗作"となる。」

さすがに言い過ぎではないかと思ったが、グッと堪える。

「だがそれは、一個の特異点として見た場合だ。

極東中の患者たちの意志を一つにする感応現象が起これば、

完成された終末捕食を超える終末捕食をつくれるかも知れない!」

「でも、いくら黒蛛病がオラクル細胞に由来するものだとしても、

感応現象は起こりえないのでは?」

シエルが疑問を投げかける。

「ふむ、ならばそれに似た現象を起こせばいい。

そのためにもユノ君。君の力が必要だ。」

「え...私...?」

突然、名前を呼ばれユノは慌てる。

「君は、歌が人の心を一つにするって、信じるかい?」

ユノは言葉の意味を理解すると、即座に肯定した。

「はい...私は...それを...信じたい!」

「うむ、良い返事だ。そして、最後は鍵は君だ。」

指を指されているのが自分だと、気付くのに一瞬かかった。

「...え!オレですか?」

「君の血の力"喚起"によって、束ねられた"意志の力"を増幅させて、

"特異点"を完成させてほしいんだ。いいね?」

オレは当然頷く。

「これ以上の説明は不要だね。

"終末捕食を終末捕食で相殺する"

これが私から提示できる、唯一無二の提案だ。」

最後の戦いの時が迫っていた。

 




今回は短め。
内容がおかしかったらごめんなさい。

さて、最終決戦はまだ先
次回は決戦前夜という体で進めるよ。
そろそろあの子を出さないとね...
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。