GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
もしくはサブタイのアイデア…
アナグラ 支部長室
「はっはっはっ、まんまと断られたようだね。」
「笑いごとじゃないっすよ。うちだって戦力の増強を図りたいんですから。」
サカキの言葉に、リンドウが苦笑いする。
先日のキュウビ討伐に関しての報告書を提出しに来たリンドウだったが、いつの間にかサカキに愚痴をこぼしていた。
「隊員全員が世界中に散ってるし、常勤の奴らが本当に少なくって...」
「それは大変だね。」
そう言うが、何となくサカキは他人事のようだ。
「はあ...どうしたもんかねぇ。」
リンドウがため息をこぼした時だった。
「博士!!」
勢いよくドアが開き、コウタが駆け込んでくる。
「どうしたんだい、コウタ君?」
「はあはあ、とにかく来てください!」
二人は首を傾げ顔を見合わせた。
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アナグラ 訓練室
ブラッド、極東の面々が訓練室に集まり、何かを取り囲んでいる。
「どうしたんだい?皆集まって。」
「全員でサボりか?」
「リンドウさん、支部長!」
コウタに呼ばれたサカキとリンドウがやって来た。
二人は集団の中に目を向け、驚愕した。
「おいおい、これは...!」
「ふむ...状況を説明をしてくれるかな?」
二人が見たもの、皆が取り囲んで見ていたもの。
それはクロサキと、彼にすり寄っているマルドゥークだった。
+++++
贖罪の街
数時間前、クロサキは単独でミッションに出ていた。
感応種の反応が出たので、確認に行ってほしいという内容だった。
「人手不足ってのは、どこも大変なんだなぁ。」
他の任務で皆が出払ってしまい、結局一人で出ることになってしまった。
一人でも大丈夫だと認められたのは嬉しいのだが...
「さっさと終わらして帰ろう。」
索敵を開始し、しばらく歩き教会まで来た時だった。
「ん?鳴き声?」
近くから微かに鳴き声がした。
耳を澄ますと、教会の中から聞こえてくるようだった。
「こんなとこに犬...?」
警戒しながら教会の中に潜入する。
足音を殺して静かに忍び寄り、岩陰から様子を見る。
「...あ、あれは...マルドゥーク...?」
教会の奥では血を流し、弱っているマルドゥークが横たわっていた。
クロサキは岩陰から出て、ゆっくりと近づいていく。
マルドゥークもこちらに気付いたが、もう力が残っていないのか襲ってくる気配はない。
静かにこちらを見つめていた。
「怪我してんのか...だいぶ弱ってんな...」
マルドゥークは腹部から血を流し、息も絶え絶えだった。
クロサキは神機を構え、振りかざす。
「すまない...これも仕事なんだ。せめて、一撃で楽にしてやる。」
マルドゥークも目をゆっくり瞑り、覚悟を決めたようだった。
「じゃあな...」
クロサキが神機を振り下ろそうとした時だった。
「クゥーン...」
先程聞いた鳴き声。
神機を下ろし、慌てて声のした方を見る。
力なく垂れ下がっているマルドゥークの尾、その後ろからその声の主は姿を現した。
「え...小さいマルドゥーク...?」
現れたマルドゥークはかなり小さく、本当に大型犬ぐらいのサイズしかなかった。
そのマルドゥークは横たわっているマルドゥークにすり寄る。
この状況。クロサキの頭には一つの予想が成り立った。
「まさか...親子か?」
親子のアラガミなど聞いたことがなかった。ましてや前例すらないはずだ。
しかし、目の前で仲よさそうにじゃれ合う二匹は、親子そのものだった。
「....」
クロサキの中に迷いが生じる。
ここでこのマルドゥークを切れば、小さなマルドゥークは親をなくすことになる。
家族を失う悲しみはクロサキが誰よりも知っていた。
「....よし!」
クロサキは神機を元の位置に戻し、振り返る。
「今回は見逃すけど...次はこうはいかねぇ。
さっさと元気になって遠くに逃げろ。....まあ、理解できたかは分からないけど。」
そのまま立ち去ろうとした時だった。
(殺気...!)
何かの気配を感じ、振り返る。マルドゥークも顔をあげた。
辺りを見渡すと突然、教会の壁が崩れそこから数体のヴァジュラが侵入してきた。
1、2、3...全部で5体のヴァジュラ。
それぞれが牙を剥き出し、威嚇してくる。
しかし、そこで気付いた。
「こいつ等...オレだけが目的じゃない...?」
一部のヴァジュラはクロサキの後方を見ていた。そう、マルドゥークのことを。
「なるほどな...強いアラガミを捕食して、更に進化しようってわけか...」
どこの世界も弱肉強食、弱いものはすぐに捕食されてしまう。
それは後ろで横たわるマルドゥークマルドゥークも例外ではなかった。
「....フッ。」
クロサキはいつもの不敵な笑みを見せる。
「悪いが、こいつらはさっき助けてやったばかりなんだ。
お前らには手出しはさせねえよ...」
神機を正面に構え、ヴァジュラを睨みつけた時だった。
ふらふらとした足取りで、先程のマルドゥークがクロサキの横に立つ。
その後ろには、子のマルドゥークがうずくまっていた。
クロサキがマルドゥークを見上げると、マルドゥークもこっちをチラッと見てから前を向く。
「子を守る親の試練ってやつか...」
恐らくここまで何度も子を守るため、こうして戦ってきたのだろう。
クロサキもその姿に何かを感じずにはいられなかった。
「よし、じゃあ...行くか!!」
クロサキの叫びと共に、ヴァジュラが飛び掛かってくる。
しかし、それを神機で受け流し、深く切りつける。
他も同様に腹を裂き、顔を叩き、マントを引きちぎる。
あっという間に、二体のヴァジュラが屍に変わる。
「ゴギャァァァァ!!」
マルドゥークもあっという間に片づけ終わったようだ。
痛手を負っていても、ヴァジュラ如きに負けるような強さを持っていなかった。
「さっすがぁ...」
だが、ここであることに気付く。
マルドゥークの足元に転がるヴァジュラは二体だけだった。
(一体いない...!)
それにマルドゥークも気付くが、すでに遅かった。
教会のステンドグラスが割れ、そこからヴァジュラが飛び出してくる。
牙を剥ける先、そこにはあの小さなマルドゥークが居た。
「マズイ!!」
クロサキが駆け出しても、もう間に合わなかった。
牙は無情にも突き立てられた...親のマルドゥークに。
「え....」
間一髪のところで、二体の間に割って入り、自らの子を庇ったのだった。
マルドゥークはゆっくりと地に伏せる。
「てめぇ!!」
「グギャァァァァ!!」
クロサキの怒りの連撃に、ヴァジュラは簡単に絶命した。
「おい、しっかりしろ!」
マルドゥークは力尽きようとしていた。
必死にその体を揺さぶり、語りかける。
「親を亡くしちまったら...子供は悲しむんだ!!
だから、持ち直せ!!」
呼びかけも空しく、マルドゥークは目を閉じその命を終えた。
最後の瞬間、直接脳内に声が響いた。
『我が子を頼む...』
ただの幻聴かも知れない...自分の勝手な妄想かも知れない...
ただ、クロサキには残されたマルドゥークを放っておく事など出来なかった。
母親を見つめるマルドゥークに駆け寄り、優しく頭を撫でてやる。
気持ちよさそうに首を振り、クロサキにすり寄ってきた。
「....お前、一緒に来るか?」
その言葉にマルドゥークがこちらを見つめる。
「支部長が許してくれるか分からないけど...絶対に説得してやる。
あいつの代わりに、オレがお前を守ってやるから...」
+++++
アナグラ 訓練室
「なるほどね...事情は分かった。」
オレの話に、皆が黙って耳を傾けてくれた。
ここに居る大半が、家族を亡くしたことのある者ばかりだった。
「もしもの時は、必ずオレが責任を取ります。
だから、ここに住まわしてあげてください。お願いします!」
クロサキが頭を下げ、サカキに懇願する。
サカキはしばらく考えると、マルドゥークを見る。
クロサキにすり寄り、なんとも幸せそうだった。
その姿に決心したように、サカキが頷いた。
「なら、名前を決めないとね。」
「サカキ博士!!」
クロサキが頭をあげ、サカキを見る。
「アラガミがここまで人間に懐くなんて、そうそう無いからね。
貴重な研究材料も手に入れた、そう思っただけだよ。
...勝手に決めちゃったけど、皆もいいかな?」
サカキが皆の顔を見渡す。誰も反論を唱える者はいなかった。
「まあ、隊長のことだからな。」
「もう慣れっこです。」
「でも、結構可愛いよねぇー」
「それじゃあ、俺が最高の名前を...」
「コウタ、それだけは止めて。」
なんだ、皆意外と乗る気じゃないか。
こうして、極東に新たな家族が増えた。
訓練室で飼う・ちゃんと躾ける・食事は捕ってきた素材で補う...など様々な条件が出されたが、
それを言ったサカキが、とても上機嫌だったのが少し心配だった。
ちなみに、こいつの名前は"ベル"となった。
名付け親はシエルだ。
古代の都市神のマルドゥークの別称で"神々の王"という意味があるらしい。
さすがシエル博識だなぁ...
そうだ、オレの今の野望はベルに乗って戦場を駆け回ること。
それにはもう少し大きくなってもらわないとな...頑張って育てるぜ!!
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おまけ
「じゃあ、ノラオとか...」
「却下で。」
「即答かよ!!」
「相変わらずのセンスね、コウタ。」
「なんだよ、アリサは何かあんのかよ!」
「そうですね...シロとか。」
「なんか安価っすね...却下で。他になんかある人!」
「はいはい!」
「はい、ナナ。」
「テリーは?」
「それは色々とアウトだ...」
良いこと書こうと思ったら書けなかった。
とりあえずクロサキとベルには、目の前で家族を失ったという通ずるところがある訳ですねぇ。
なぜこんなに懐いているのかは、ミニラケルと同様にわかりません。
という訳で新たな仲間ベルをよろしく!!
ではこの辺でサラダバー!!