GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

48 / 105
#43 後悔なんて

「ねえねえ、君も一緒に遊ぼうよ!」

「で、でも...」

「もう!うじうじしないの!ほら、早く早く!」

「わ、ちょっと引っ張らないでよ!き、君誰?」

「私?私の名前は...」

 

+++++

 

 

アナグラ ラウンジ

 

「シュンヤ!」

自分の名を呼ぶ声でふと我に返る。

「ああ、クロサキ先輩。」

声のした方に振り返ると、目の前にベルの顔が現れた。

「のわぁぁ!?」

突然のマルドゥークの顔に、そのまま椅子ごと後ろに倒れてしまう。

「おー悪い悪い。」

クロサキが頭を掻きながら、手を差し出してきた。

 

「もう普通に出歩いているんですね...」

シュンヤはベルを見る。

ムツミとラケルとじゃれ合う姿は、どう見ても普通の犬だ。

「まあ、ここに来てから随分と人に懐いたな。

なんだかんだ言っても、皆ちゃんと世話してくれてるしな。」

意外とベルの評判は良く、礼儀正しく人懐っこい故に、極東のマスコットキャラとして認識されている。

まあ、極東以外には秘密だが。

「そういや、さっき何か悩んでたみたいだけど...ナナのことか?」

核心をいきなり突かれて、シュンヤは咳き込む。

「図星か。」

「っ...鋭いっすね。」

息を整えたシュンヤが語り出す。

「俺とナナが同じ所出身だっていうのは話しましたよね?」

シュンヤとナナはラケルの養護施設で育った。

同じクラスで仲が良かったと聞いているが...

「俺、初めは全然馴染めなかったんです。

家族を失って、突然一人ぼっちになって...塞ぎ込んでたんです。

でも、ナナが俺を救ってくれた。」

 

『私の名前はナナ!君は?』

『しゅ、シュンヤ...』

『シュンヤか...じゃあ、シュン君だね!』

 

「俺にとって彼女は太陽そのものでした。

日陰の俺を明るく照らしてくれた...あの時間はとても楽しかった。

だから、俺も彼女に惹かれたんじゃないかなぁって...」

「おおー熱いねぇ。」

クロサキがからかうように肩を叩く。

「ちょ、茶化さないでくださいよ!

...ここに来てナナと再会したら、昔の想いとかが甦ってきちゃって...

今更、彼女に想いを伝えるべきなのか...分からなくなっちゃって。」

そう弱音を吐くが、シュンヤの顔は真剣そのものだった。

「遅いも早いもないんじゃないか?」

クロサキの言葉にシュンヤが顔をあげる。

「オレ達ゴッドイーターはいつ死ぬか分からないんだ...

後悔とかしてたら、何も出来ないぜ?」

クロサキの言葉には重みがあった。

目の前で仲間を失った悲しみ、それを乗り越えた上での言葉だった。

「...そうですね。頑張ってみます。」

「ああ、応援してるぜ。」

「でも、今すぐには...」

「このヘタレ...!」

 

+++++

 

 

黎明の亡都

 

「ナナさん?」

「あ、うん。何?」

先程まで空を見上げ、何か考えている様子だったナナ。

シエルに声をかけられ、ようやく現実に戻ってきたようだ。

「何か、悩み事ですか?」

「うんうん、大丈夫!さあ、行こう!」

ナナは誤魔化すように笑い、先に歩いて行ってしまった。

「最近変だな。」

見かねたギルがシエルに話しかける。

「ええ、なんというか話しかけても上の空というか...心配です。」

「そん時は俺達がフォローしてやればいいさ。さあ、行こうぜ。」

シエルの肩に手を置き、ギルも先に行く。

「そうですね...」

 

+++++

 

 

アナグラ ラウンジ

 

「で、そん時ナナも一緒に落ちちゃって、二人揃って懲罰房行きです...」

「ナナはそそっかしいからな。」

「だからって、屋根に上るとか...ホントに行動力だけはあるんすよ。」

「でも、好きなんだろ?」

「...まあ、そうっすね。」

「はいはい、お熱いねぇ...」

「先輩が振ったんじゃないすか!」

シュンヤとクロサキが盛り上がっていた時だった。

「...?なんか騒がしいな。」

にわかにロビーが騒がしくなってきた。

顔を見合わせ、ラウンジを出た。

 

「おい!どうしたんだよ!?」

ロビーには腕に怪我を負ったギルとそれを手当てするシエルの姿があった。

「よお、隊長。やっちまった...」

「何があったんだ...?」

今度はシエルが口を開く。

「キュウビです。」

キュウビ...!だが、そいつは既に討伐したはずだ。

「この前のキュウビとは別の個体...黒いキュウビでした。」

「まさか...変異種か...!」

すると、ここまで黙って聞いていたシュンヤが口を開く。

「あの...ナナは?一緒のミッションでしたよね?」

シュンヤの言葉に二人は顔を曇らせ、目を伏せてしまう。

その態度にクロサキも最悪のシナリオを思い浮かべてしまう。

「ギルさん!シエルさん!」

シュンヤが叫び今にも掴み掛りそうになる。

「落ち着け!...ナナはどうしたんだ。」

シュンヤを制止し、二人に問いかける。

シエルがようやく重い口を開いた。

「ナナさんは生きています。ですが、キュウビの攻撃を受けて崖から...

現在は意識不明の重体で、病室に運ばれました。」

シエルの言葉を聞き終わる前に、シュンヤが病室へ駆け出した。

「アイツは今までのアラガミより遥かに強い。俺達は手も足も出なかった...」

「おそらく、ソーマさんやサカキ支部長から説明があると思います。

それまでは、全員に出撃停止命令が出ています。」

ロビーには重苦しい空気が流れた。

 

+++++

 

 

アナグラ 病室

 

シュンヤはナナの傍らに座り、ずっと手を握りしめていた。

ナナは機器につながれ、ベッドに横になっている。

「ナナ...」

いつも元気なナナが一言も喋らず沈黙している。

ふと、クロサキの言葉を思い出した。

 

『オレ達ゴッドイーターはいつ死ぬか分からないんだ...』

 

その言葉が重くのしかかり、今にも押しつぶされそうになる。

「頼む...死なないでくれよ...」

懇願するようにシュンヤは呟いた。

その時、ドアがノックされサカキが入ってきた。

「失礼するよ。」

「サカキ博士...」

シュンヤは顔をあげ、サカキも椅子に腰かける。

「他の皆にはもう話したけど...今回、ナナ君達を襲ったキュウビは変異種ということが判明した。

名をマガツ・キュウビ。通常種よりも圧倒的な力を持ち、ブラッドでさえ太刀打ちできなかった。」

そこまで言うと、サカキは目を一層細め、シュンヤを見つめる。

「だから、決して...一人では戦わないこと。そう決まったよ。」

「....」

「決して、仇討ちなんて考えてはいけないよ。今は情報を集めることが先決だ。」

「....分かりました。」

サカキは少しその場に留まると、病室を後にした。

病室には再び、無機質な電子音のみが響いていた。

「.....」

シュンヤは静かにナナを見つめる。

その目は何かを決意したように一点を見据えていた。

 




ナナファンの皆さんすいませんでした。
こんなことになってしまって...

さて、次回はキュウビ戦入れるかな...
ではではまた一週間後。サラダバー!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。