GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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少年は出会う。本物の強さと。


#5 フラッギング・ギル

フライア ロビー

 

「いやー、私の娘も貴方のファンでして。」

「ありがとうございます。拙い歌で恐縮です。」

そういうと、一際可憐なオーラを放つ女性が頭を下げた。

「いえいえ、そんなご謙遜を。」

恰幅のいい男が褒めたてる。

「フェンリルの広報活動に協力いただいて大変感謝しています。」

白衣をまとった女性が続ける。

「いえ、周辺地域への物資配給はフェンリルの方々のご支援でかろうじて継続出来ている状況です。

私にできることがあれば、是非。」

「ところで、立ち話もなんですから...」

「そうですな、続きは局長室で。」

 

「だいたいお前らなぁ、前に突っ込みすぎなんだよー。

敵の動きをちゃんと見極めてからさー。」

同じ頃ロビーでは、ブラッドの面々が談笑?していた。

「えーロミオ先輩がビビり過ぎなだけなんじゃない?]

ナナが詰め寄る。

「なっ、そんなわけないだろ!ナナこそ、危機感が足りないんじゃないか!」

負けじとロミオも言い返す。

「まあまあ、二人とも。ここは穏便にな、なっ。」

慌ててクロサキが仲裁に入るが、

「お前は、」「クロサキ君は、」『黙ってて!!』

ぐはっ!!

二人に勢いよく押し出されたクロサキは、バランスを崩し後ろに倒れこむ。

さらに、運が悪いことに後ろを通過している女性にぶつかってしまった。

「きゃっ!」「のわっ!」

先ほど上で話していた女性だった。

「いってー...あ、すいません。」

ロミオが倒れた女性に手を差し出す。

いや、オレは?

「大丈夫ですか?...うわ!」

「全く、貴様らは...ユノさん、本当にすいませんねえ。」

恰幅のいい男-グレム局長-が前に出る。

「いえ、そんな。」

「フフッ、あまりロビーでは、はしゃがないでね?大事なお客様にご迷惑でしょ。」

白衣の女性-レア博士-が三人に諭す。

さすがに反省したのか二人は、

『....すいませんでした。』

と、素直に謝った。

「いやー不躾ですいませんね、戦うしか能の無い奴らで...」

その言葉は、いくらなんでもイラっときてしまった。

ここまでの態度でも、だいぶ我慢していたのだ。

つい、魔が差した。

歩き出した局長の前にクロサキはそっと足を出すと、

ズデーン!!

足をかけられた局長はマンガのようにすっころんだ。

「あっ、すいませーん。」

謝りつつも彼のその顔はほくそ笑んでいた。

周りの皆も笑いをこらえている。

「ぐっ...貴様っ!!」

顔を真っ赤にした局長が掴み掛ってきた。

「落ち着いてください局長!」

レア博士が止めに入る。

「あなた達は戻りなさい!」

俺達はそそくさとロビーの上へ退避した。

 

「いやースッキリしたねぇ。」

ナナも満足そうだ。

「だろー、あれぐらいやらなきゃな!」

二人で盛り上がってる中、ロミオだけは違った。

「あれー、先輩どうしたの?」

不思議に思ったナナが尋ねる。

すると、ロミオは興奮した様子で、

「ば、ばっかお前...アレ、アレ...ユノ!」

「ユノ?知ってる?」

ナナが首をかしげる。

「いや、オレも知らないな。有名なんすか?」

オレも興味があった。

「マジで!?葦原ユノだよ!ユノアシハラ!超歌うまいの!有名人!」

そんなすごい人だったのか...

下を見下ろす。そこにはまだ彼女がいた。

彼女はこちらに気付くと、軽く会釈をしてくれた。

こちらも会釈を返すと、笑ってくれた。

どうやら怒ってはないらしい。

「だから今日という日は二度と来ないんだって!」

この様子だと、小一時間は話し続けそうだ。

「なるほど、頑張ってください。よし、先、行こう!」

「そうだな、ほっとこう。」

オレ達は感動に酔いしれる先輩を置いてその場を後にした。

 

あの後、先輩にユノを見に行こうと誘われたが、あんなことをした後で局長に会いたくないので当然のことながらパスした。

 

+++++

 

 

ラケル博士研究室

 

「新しいブラッドのメンバー?」

「ええ、お姉様、今日からブラッドに編入してもらう予定です。」

そういうとラケルは画像を大画面に映す。

「"ギルバート・マクレイン"...どこかで聞いたことが...」

「おそらく、本部の査問会議事録では?グラスゴー支部からの転属です。」

グラスゴー支部という言葉が彼の事を思い出させた。

「"フラッギング・ギル"...上官殺しのギル、ね。」

そこまで言うと、彼女の中に一つの疑問が生じた。

「ねぇ、ラケル...そこまでしてブラッドの増強って必要なのかしら?

神機兵も完成に近づいているし、それだけでも...」

「いいえ、お姉様...それだけではちっとも足りないの...」

そう言うと、レアの方に向きなおす。

「"血の力"は、研ぎ澄まされた意志の力...

強い意志が新たな意志の呼び水となるのです。」

ラケルはレアの手を握る。

「ねえ、お姉様、これからも二人で全てを乗り越えていきましょう。

人という種に与えられた試練を...人類の新しい未来のために...」

レアもラケルの手を握り返す。

「ええ、わかっているわ、ラケル...」

微笑みながら彼女は、自らの妹に言い知れぬ何かを感じていた。

 

+++++

 

 

フライア ロビー

 

時を同じくして、ロビーでは事件が起きていた。

ガッ!!

「いってぇ...いきなり殴ることないだろう!」

ロミオの向いた方には、見慣れない顔の青年が立っていた。

まったく、なにやってんだか...

半分呆れながらクロサキが仲裁入ろうとした時、

「状況を説明してほしいな。」

我らが隊長ジュリウスが、ミッションを終えて現れた。

「ちょっと、よくわかんなくて...」

おどおどしていたナナが口を開く。

「オレは、こいつの前居た所とか聞いただけだよ!

そしたら急に殴りかかってきて...」

「あんたが隊長か...オレはギルバーと・マクレイン、ギルでいい。

このクソガキがむかついたから殴った、それだけだ。」

ロミオの方は見向きもせず、

「懲罰房でも、除隊でも、好きに処分してくれ。じゃあな。」

と、去って行った。

 

「先輩も少ししつこかったんじゃない?」

「そうそう、いじり過ぎっすよ。」

「そうかもだけどさぁ...でも、あいつ...短気すぎるよ... 」

「今回の件は不問とする...ただし、戦場に私情を持ち込まぬよう、関係を修復しておくこと。」

ジュリウスは冷静に言う。

「えー!無理だよあんなのー!」

「ふぅ...仕方がない。」

ため息をついたジュリウスはこちらを見ている。

なんか、次のセリフが分かったような気がする。

「クロサキ、彼らの関係を取り持ってくれないか?

俺は...その、苦手なんだ。人付き合いというものがな。」

「隊長にも苦手なものあったんすねー。」

ジュリウスは少し狼狽えると、

「とにかく頼んだぞ。」

と言って、立ち去った。

「わりぃなクロサキ...」

当のロミオは、少し落ち込んでいる。

「まぁ、仕方がないっすよ。

誰にでも喧嘩したいときもあるし、それに...」

ギルの歩いて行った方を見る。

「あいつは悪い奴じゃないっすよ。」

根拠の無い確証を抱きつつ、彼はギルの後を追った。

 




あはははは!!局長ざまぁぁぁぁあ!!
いい気味です。主人公はよく原作では我慢できましたね。俺にはむりです。

それは、そうとギルの兄貴はカッコいいですな。
ギル視点の短編も書きたいっすね。#〇.5的な感じで。

次回は仲直りのミッションとと皆のサンドバックの彼の登場です。
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