GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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#46 君の笑顔が...

アナグラ 病室

 

「ん...」

「目、覚めたか?」

目を開いたナナにシュンヤが声をかける。

マガツ戦からしばらくして、ナナが意識を取り戻したことを聞いたシュンヤは真っ先に病室に飛んできた。

他の皆は空気を読んで、後から来るそうだ。

「シュン...君...?...そっか、私寝ちゃってたんだ...」

「...全部、終わらしてきた。何も心配することはないよ。」

「うん...なんか、起きたらお腹空いちゃったな。」

「ははっ相変わらずだな。」

二人は笑うが、すぐにナナの顔が曇る。

「私ね...ずっと、夢見てたの。

皆が、シュン君が、私から離れていく夢...

うんうん、私が離れていく夢かな...」

「どういう意味だ?」

ナナの目は若干潤んでいる。

「私、死んじゃって...もう、皆に会えないって...

すごく悲しくなって...私、私...!」

泣きじゃくり出すナナの手を、シュンヤがそっと握る。

その手はとても暖かかった。

「ナナ...泣くなよ。」

「シュン君...?」

ナナが不思議そうにシュンヤの顔を見る。

シュンヤの目は真剣だったが、表情は柔らかだった。

「この前な、俺、ロミオさんの墓参り行ってきたんだ。」

シュンヤの言葉にナナがハッとする。

「クロサキさんにロミオさんのこと聞いてさ、一回会っておかなくちゃって思ったんだ。」

「...それで、どうしたの?」

シュンヤがナナを見つめる。

「...失礼な言い方になるけど、死人は口をきかない。

だから...勝手に約束してきた。」

ナナが体を起こし、シュンヤを見る。

「ナナのことは俺が守るって...だから、俺に任せてくれって。

いつ消えるか分からない命だけど、ナナは俺が必ず守る。これからもずっと...」

シュンヤは優しくナナを抱きしめた。

「...うん、ありがとう...私も、シュン君のこと絶対守るから...

だから、これからもよろしくね...」

ナナの目から一滴の涙がこぼれた。

今度は悲しみの涙ではなかった。

 

+++++

 

 

アナグラ 支部長室

 

「今回は君の活躍に免じて、シュンヤ君の処分は無しとするよ。

貴重なコアも回収できたしね。」

サカキの目がキラリと光る。

相変わらずこの人の考えることは分からない。

「まあ、ありがとうございます。」

若干引きつりながら、オレはお礼を言う。

「話は終わったか?」

後ろで待っていたソーマが口を開く。

「お前の回収したコアは、クレイドルの本部に輸送されることになった。

そこで解析に回され、これからの技術の発展の力となる。礼をいう。」

「いやいや、そんな...」

目上の人に頭を下げられると、慌ててしまうのは誰でも同じだろう。

「そして、本人からも話は聞いているだろうが...

リッカがクレイドルの本部まで同行し、しばらく研究に協力してもらうことになった。」

昨日、リッカから聞いたばかりだ。

当の本人は少し迷っているようだったが、オレはいい機会だと快く送り出した。

「うちは戦闘員だけで技術者が足りなくてな、前々からスカウトはしていた。

今回承諾してくれたのは...お前のおかげかもな。」

そう言ってソーマがニヤリと笑う。

しばらく会えないのは寂しいが、せいぜい二か月ほどだ。

連絡すら取れないというほどではないだろう。

「じゃあ、リッカのこと頼みます!」

オレは大げさな敬礼をして言った。

 

+++++

 

 

アナグラ ラウンジ 

 

「それじゃあ、ナナの回復を祝って!かんぱーい!!」

『かんぱーい!!』

クロサキの号令で、皆がグラスを上に掲げた。

「一時期はどうなるかと思ったが、良かったじゃねえか。」

「本当に心配したんですよ?ナナさん。」

「えへへ、もう心配ないよ!これからも頑張っちゃうんだから!」

楽しそうに皆と話すナナを、遠くからシュンヤが見つめていた。

「話しかけなくていいのか?」

後ろからクロサキが声をかけた。

「いいんすよ。言いたいことはこの前、全部言いましたし。

今は、皆さんと話したいことがたくさんあるんすよ、きっと。」

「そうか...ナナのこと頼むな。」

シュンヤの肩に手を置くと、クロサキは皆の元に戻った。

 

シュンヤは一人、ラウンジからベランダに移る。

酒で火照った体に涼しげな夜風は心地よかった。

「頼む、か...」

病室ではナナに対して、勢いであんなこと言ってしまったが...

「...恥ずかしっ!!」

今思い出しても、顔が熱くなる。

真っ赤になった顔に手を当て、悶えていると。

「えーっと...シュン君?」

「うわぁ!?」

声をかけてきたのはナナだった。

悪い意味ではないが、今一番会いたくない人物だ。

何とか落ち着きを取り戻し、自然に対応する。

「よ、よお...ナナか。ど、どうしたんだ?」

完全にしどろもどろになってしまった。

「いやぁ...私もこれと言って用はないいんだけど...皆がね?」

ラウンジの方を見ると、皆がチラチラと様子を伺い、クロサキに至っては親指を立てている。

「...なるほどな。じゃあ、ご期待に添えて少し話すか。」

「...なら、シュン君のこと教えて!」

「俺の?」

ナナの目はジッとシュンヤの顔を見据えていた。

「私ね、子供の頃のシュン君しか知らないから...もっと、知りたいの!シュン君のこと。」

ナナの真っ直ぐな思いに、シュンヤは戸惑っていた。

しかし、ナナには知っておいて欲しかった。

シュンヤの顔が先程とは打って変わって、真面目な顔になる。

「分かった...重い話になるけど、いいか?」

「...うん。」

ナナが頷くのを確認すると、俺は口を開く。

暗殺者として育てられたこと。多くの命を奪ってきたこと。クレイドルの皆に出会ったこと。

そして、神機使いとして生まれ変わったこと。

ナナは目を閉じて、黙って聞き続けてくれた。

「...そして、俺はここに来た。後は知ってる通りだ。」

「...うん。」

夜風の音だけが辺りに響く。

シュンヤは意を決して、ナナに尋ねる。

「失望したか...?」

ナナはうつむいたまま黙っている。

「まあ、そうだよな。...俺の罪は消えない。

ゴッドイーターになって人を救うことで、罪滅ぼしをしようって思った。

でも、そんなもんはただの自己満足だ。俺の背負うべき荷は重すぎた。

俺なんかにゴッドイーターの資格なんか無いんじゃないかって、いつも悩んでる。」

シュンヤの本心はナナにどう響いたのだろう。

うつむくナナの顔からは、表情が読み取れなかった。

「昼間言ったこと...やっぱり、ダメかもな。

こんな俺がナナを護るなんて...いっそ、消えちまった方が...」

そこまで言って、頬に衝撃が走る。

何事か分からない俺が頬をさすりながら前を見ると、大粒の涙を流したナナが立っていた。

「なんでそんなこと言うの!約束したんでしょ!ロミオ先輩と!」

ナナの言葉にシュンヤの顔が変わる。

「私、本当に嬉しかったんだよ?シュン君が言ってくれたこと...

だから、私の前から居なくならないでよぉ...」

大泣きするナナを、シュンヤはギュッと抱きしめた。

「ゴメンな。少し、弱気になってたかもしれない。

昼間の言葉に偽りなんかない、ナナは俺が守るから。」

シュンヤの胸の中で泣きじゃくるナナは静かに頷く。

ナナの頭を優しく撫で、シュンヤも目を閉じた。

 

「あいつら、皆が見てるってこと忘れてねぇか?」

リンドウはビールを一口すすり、ボソッと嘆く。

ラウンジでは皆がベランダの方に釘付けだった。

「若いってのはいいねぇ。」

新しい缶を開けようとした時、リンドウの袖が引っ張られた。

見るとラケルだった。

「おお、どうした?」

「...私、決めましたの。叔父様!私と結婚してください!」

ラケルの言葉にリンドウが、ビールを吹き出す。

当のラケルは、顔を赤らめてもじもじしている。

「いやーリンドウさんも若いっすね!」

コウタがからかうように笑い、アリサは冷たい視線を向けている。

「い、いや!それはダメだ!第一、俺には家族が...」

「なら、愛人という立場で...!」

「おまっ、誰にそんな言葉吹き込まれたんだ!?」

「リンドウさん...」

アリサの目が一層鋭くなる。

「ドン引きです...一応、サクヤさんとツバキさんに伝えておきますから」

その言葉にリンドウの顔が青ざめる。

「そ、それだけは...やめてくれぇぇ!!」

リンドウの魂の叫びが辺りに響いた。

 

+++++

 

 

「はい、準備は完了しました。明日、実行に移します。

最良の結果を持ち帰って見せます。」

そこで、通信を切った。

最後の準備は完了している。

男は数日前に極東支部に技術者として配属されていた。

全てはある目的の為に...

男はフッと笑うと、整備室を後にした。

 

+++++

 

 

アナグラ ロビー

 

「リッカは、今どの辺かな?」

ロビーのベンチで横になりながら、シュンヤに尋ねる。

「確か、昨日出たばっかですけど...そろそろ着くんじゃないんすか?」

「ふうん...」

クロサキはつまらなそうにため息をつく。

「あーあ...リッカ成分が足りねえなぁ~」

「まだ、一日しか経ってないっすよ...」

シュンヤは呆れたように、苦笑いした。

その時だった。

下がにわかに慌ただしくなる。

「なんだ...?」

クレイドルの人間や本部の人間が慌ただしく動いている。

その中にはソーマやリンドウもいた。

「どうしたんすか?」

「クロサキ...!」

オレのことに気付くと、リンドウは苦い顔をし、ソーマも難しい顔をする。

「...落ち着いて聞くんだ。」

クロサキの目をリンドウが見る。

「さっき入った情報だが...非常に不味いことになった。」

「だから、なんですか!?」

「....」

意を決したようにリンドウが口を開いた。

 

「輸送機がアラガミに襲撃された。」

 

「え...」

リンドウが何かを言い続けていたようだが、もう頭に入ってこなかった。

目の前が真っ暗になり、なにも考えられなくなってしまった。

(輸送機...アラガミ...襲撃...!リッカ...!)

 

+++++

 

 

アラガミによるコアの強奪...この極めて重大な事件はただの始まりに過ぎなかった。

オレ達が本当の悪意、そして陰謀に気付いたのはその半年後のことだった。

 




という訳で第四章完!!糖分が多い!!
ナナとシュンヤの言ってること変じゃないかな...?

衝撃の展開で幕を閉じた今回。
半年後が時期設定の完全オリジナルの第五章は予告通り、五月下旬からスタートとなります。
謎の男の目的。リッカの安否。そして、新型のアラガミ。
舞台が極東から離れ、人間関係も変化していく新編を是非、お楽しみください!!

ちなみに、第四章はちょっとだけ続きます。
それではサラダバー!!
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