GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
ブラッドの隊員となったシュンヤ。
彼が遭遇したのは、アラガミではなく別の脅威だった。
「いい加減にしていただけますか?」
支部長室からの聞きなれぬ声に俺はふと足を止めた。
どうやらサカキと誰かが言い争っているようだ。
俺は足音と気配を消し、ドアの前で聞き耳を立てる。
「我々はただ、楠リッカの情報を渡してほしいだけなのですが?」
「いい加減にしてほしいのはこちらなのだがね。
何度もご足労いただいて恐縮だが、何も話すことはありませんよ。」
「これは本部からの命令です。逆らえばどうなるか分かっていますよね?」
「...彼らは極東の大切な家族だ。
私はどうなっても構わないが、皆には絶対に手出しはさせない。
...お引き取り願えるかな?」
「....分かりました。今回は本部に戻りましょう。
ですが、極東支部の立場が危うくなっているのをお忘れなきように。」
「分かっているよ。」
ドアへ向かってくる足音に俺は慌てて壁際に戻る。
出てきた男とすれ違いざまに目が合った。
男は義務的な軽い会釈をすると、そそくさとエレベータに去って行く。
黒いスーツの背に刻まれたフェンリルのマークが嫌に頭に残った。
支部長室に目を向けると、疲れたような顔でサカキがこちらに微笑んでいた。
「盗み聞きは良くないねぇ。」
俺は苦笑いしながら部屋に入る。
怒ってはいないようなので俺は少し安堵した。
「あはは、すいません。...今のは本部の...?」
「ああ。本部は完全にリッカ君を疑っているようだ。
もっとも、その本部も一枚岩ではないようだがね。」
サカキの真意が汲み取れず俺は首を傾げる。
「今回の件は本部が完全に同意したわけじゃないんだ。
本部の中には極東を信頼してくれている人もいる...まあ、数は多くはないんだけどね。」
「そうなんですか...」
「ところで私に用があったんじゃないのかい?」
「あ!忘れてました。」
俺は思い出したようにサカキに今日あったことを話す。
静かにサカキは聞いていたが、みるみる顔色が変わって行く。
「...どう思いますか?」
「バカな...!ありえない...!」
サカキも混乱しているようだった。
当然だ。一緒にいたギルやシエル達も驚いていた。
「やっぱり何かが起きようとしている?」
俺の疑問にサカキは小さく頷く。
只ならぬサカキの様子に俺は一抹の不安を覚えた。
+++++
鉄塔の森
「シエル。反応はあるか?」
ギルの問いかけにシエルは静かに首を横に振る。
「変ですね...?さっきまでは反応があったのに。」
俺達ブラッド隊はアラガミの群れが現れたことを知り、討伐するためここまで来ていた。
だが、追っていた複数の反応が忽然と消えてしまった。
「他のアラガミの反応もないとすると他の神機使いか?」
「でも、他の出撃命令は聞いていないです。」
訳が分からないといった様子で二人は考え込む。
そんな二人の様子を俺とナナは遠巻きに見ていた。
「どうしたんだろうね?」
「...」
「二人とも難しい顔して考え込んでるし...」
「...」
「昔昔あるところにおじいさんが。」
「...」
「もう!聞いてるの!?」
ナナに背中を叩かれ俺はようやくナナが声をかけていたことに気付いた。
「げほっ...悪い悪い。」
「どうしたの?ボーっとして。」
「いや...なんか妙な気配が...」
俺はもう一度目を瞑り、感覚を研ぎ澄ます。
実はここに来た時からずっと何かの気配を感じていた。
ギルとシエルも俺の様子に気づきこちらに来る。
(......!これは...何だ?)
俺は気配の方に駆け出し、皆もそれについてくる。
しばらくするとギル達も何かに気付いたらしい。
微かだが金属がぶつかり合う音がする。
給水塔を潜り抜けた先ではその音の持ち主がアラガミを滅多刺しにしていた。
「何だあれ...?」
人間のような巨大な体躯に、手には重量的な大剣。
そして赤く光る眼がこちらを睨みつけた。
「ギルさんあれって...」
隣を見るとギルは目を見開いて酷く狼狽しているようだった。
シエルもナナも同様に驚き顔を見合わせている。
「神機兵...」
ギルがボソッと言った。
「え?」
俺自身、神機兵をターミナルや映像でしか見たことがなかった。
でも、確か神機兵は...
「神機兵は全てが廃棄処分されて、野生化したものも全て掃討した筈...まだ残っているなんて。」
そこまで言ってナナがあることに気付く。
「なんか...雰囲違くない?ほら、腕とか...」
確かに所々継ぎ目があり、全体的に俺が過去に映像で見たものとは違う印象を受けた。
そうまるで...
「改造されている...?」
俺の言葉にギルが少しの間をおいて頷いた。
「可能性はあるだろうな。そしてそんなことが出来るのは...」
「廃棄された神機兵を保管している本部の人間...ですね。」
シエルが核心めいた発言をした時だった。
『ヌガァァァァァア!!』
突然の神機兵の咆哮に俺達は怯んでしまう。
まるで獣のような、いやそれ以上の狂気に手足が動かなくなる。
「マズイ!来るぞ!」
ギルの声が辺りに響くと同時に、神機兵は俺達に向かって走り出して来ていた。
やっとの思いで体の痺れが消え一斉に散開する。
皆がそれぞれに散る中、俺は神機兵の前に立ちはだかり神機を構える。
俺の最も得意とするスタイル"居合"の状態だ。
精神を集中し、目の前の敵を見据える。
(今だ!)
神機兵が剣を振り上げるのと同時に、俺は剣を振りぬく。
高速で振りぬかれた剣は神機兵の体を真っ二つに切り裂いた...筈だった。
「なっ...!」
神機兵は高速の居合抜きを完全に見切り、自らの神機で受け止めていた。
「マジかよ...」
常人では目で追うことすら困難な居合切り。
ましてや機械である神機兵がその目で捉えることなど...
「シュンヤさん!!」
シエルの声に顔を上げる。
神機兵が今まさに神機を俺に振り下ろさんとしていた。
反応が遅れ神機を防御に回すことが出来ない。
「ちっ...!」
堪らず目を瞑り体をうずくまらせるが、何時まで経ってもその剣は振り下ろされなかった。
恐る恐る目を開けると、自分の頭上で刃が止まっていた。
訳が分からず呆然と立ち尽くしていると、神機兵の複眼が赤から青に変化する。
しばらくすると神機兵は神機を戻し、そのまま立ち去ってしまった。
「何だったんだ...」
後には状況が理解できないブラッドのメンバーだけが残された。
+++++
アナグラ 支部長室
「改造された神機兵...」
サカキはブツブツと呟きながら部屋の中を行ったり来たりしている。
俺はその様子をずっと見つめていた。
そんなに神機兵ってヤバいものなのかな...
そうは思っているものの、実際居合を止められたのは事実だ。
もしあの時、神機兵が引かなかったら...
背筋にゾクっとした寒気が走った。
嫌な考えを振り落とし、サカキに話しかける。
「とにかく、本部が何かをしようとしているのは確かだと思います。
何か神機兵とかの情報があれば良いんですけど...」
俺の呟きにサカキが思い出したように立ち止まる。
「そうだ...!当てがあるぞ...!」
「そうなんですか!」
サカキの目の奥がキラリと光る。
「直接会って話した方が良いかもしれないね。」
「誰なんですか?その人って。」
「もちろん。神機兵を作った人さ。」
はいごめんなさい!我慢できずに投稿してしまいました。
しかも結構重要な話...
なんと次回、あの人が再登場!
今度は週末に出します...
それではサラダバー!
話がつまらなくなってないかな…(・・;)