GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
これからもよろしくお願いします!
謎の神機兵の襲撃に遭ったシュンヤ達。
その正体を探るため、シュンヤとシエルはとある人物を訪ねる。
本部のお膝元と言うべきか。
俺達は本部がすぐ見える研究所に来ている。
アラガミの生態や新型の神機などの研究・開発を行っている、いわば神機使い達の情報源とも言える施設だ。
俺とシエルは長い廊下を進み、突き当りの研究室にたどり着く。
"第三研究室"そう書かれた研究室の中には目当ての人物がいた。
「お久しぶりです。レア先生。」
レアと呼ばれた赤毛の女性はこちらに気付くと、微笑みながら近づいてくる。
「久しぶりねシエル。あら、貴方は...」
「ブラッド隊所属、禊シュンヤです。」
「貴方の話はサカキ博士から聞いているわ。」
レア博士は元はフライアの研究者で、あのクーデター事件の共犯者でもある。
しかし、神機兵の開発やブラッド因子の研究など多くの功績が認められ、
本部の監視下であるこの研究所の職員として働いているという訳だ。
ちなみに、ラケルと姉妹らしいが...
「?どうしたの?」
似てない。
という本音を寸前で押しとどめる。
「あ、いえ。なんでもないです。」
「...ところでレア先生。今回私たちが来たのは...」
「神機兵のことでしょ。それもサカキ博士から聞いてるわ。座って。」
俺とシエルは適当な椅子に腰かける。
俺達は出されたコーヒーに口をつけ改めて今の状況を話した。
その間レアは神妙な面持ちで聞いていた。
やはり、なにか思うところがあるのだろうか...
俺達が話終わると、レアは少しの沈黙の後口を開く。
「ナルカミ・リュウ...」
「え...?」
「おそらく今回の件には彼が絡んでいるわ。」
ナルカミ・リュウ...俺にはその名前は馴染みがなかった。
隣のシエルもそのようで、目を閉じ自分の記憶をたどっている。
俺はレアに当然のように尋ねる。
「そのナルカミって...誰なんですか?」
「...この研究所は本部の管理下にある下位施設。
ここで研究されたデータやサンプルは本部にある直轄の研究室に送られるの。
その研究室の室長...フェンリルや各支部の研究部門を束ねるのがナルカミ・リュウという男よ。」
予想外の大物が出てきて俺は困惑する。
本部が絡んでいるとは思っていたものの、まさか幹部クラスの人物が噛んでいるとは...
驚愕の表情を浮かべる俺達に対し、レアは冷静に続ける。
「彼は私の知っている中でも数少ない本物の"天才"よ。
貴方達に投与されているブラッド因子...それのベースとなるものを作ったのは彼。
本来なら拒否反応を起こすはずの因子を鮮やかな手際で人体に適合するものに作り替えた...
その才能は称賛を浴びるに値するものよ。」
ここまで聞くと、そのナルカミという男は悪人には思えない。
「でもね、彼は表舞台には出ることはなかった。」
「どうしてですか?話を聞く限りすごい人に思えるんですけど...」
俺の疑問にレアは静かに首を横に振る。
「彼はね...その因子の研究の為に多くの人を犠牲にしてしまったのよ。」
「それって...」
「人体実験...ですね。」
レアは静かに頷く。
「彼の作り上げたものは素晴らしかった。
でもその過程は人間の行いとは思えないものだった。
それでも、彼が本部の研究室長の席に座っているのはやはり彼の才能は本物だったということよ。」
「そんなこと...」
「天才というのはね、いつの世も誰からも理解されないのよ。」
レアは悲しそうに机の写真立てを見つめる。
写真立てには家族の集合写真が収まっていた。
彼女が誰を思い浮かべているかは俺はすぐに理解できた。
「レア先生。ナルカミ博士のことはよく理解出来ました。
ですが、その方が何故今回の事件に関わりがあるとお思いなのですか?」
そうだった。
ナルカミが天才で、サカキ博士を超えるマッドということは嫌という程分かった。
でも、神機兵と彼を結ぶものは...
「今現在、神機兵に関する情報を閲覧できるのは私を含めて三人よ。」
「レア先生、クジョウ博士...あと一人いらっしゃるんですか?」
シエルはそこまで言うと、あっと言って口を押える。
どうやら俺とシエルが思い当ったことは同じようだ。
「そう、ナルカミ博士が最後の一人よ。」
「でも、なんで...?」
「言ったでしょ?彼は"天才"だって...」
「神機兵のベースを考案したのも、私たちに設計の助言を与えたのも彼よ。」
+++++
「やぁレア。開発は順調ですか?」
振り向くと眼鏡を掛けた青年が、染みひとつない真っ白な白衣を着てそこに立っていた。
「ナルカミ博士。いらして下さるならお迎えに参りましたのに。」
「いえ、構いませんよ。それより...神機兵の開発は進んでいますか?」
ナルカミは淡々とした口調で続ける。
「それがまだ歩行時の軸のブレに問題があって、それに自律基工の調整も不十分で...」
「焦ることはない。これは世界の希望となる発明だ。
時間をかけて最高のもの作り上げることが大事なんだ。分かるね?」
「はい...」
うなだれるレアにナルカミは呼びかけるように話す。
「平和で美しい世界。
そんな理想郷を作る為には君みたいな研究者が必要なんだ。
私はそんな研究者の為ならいつだって力になる。
期待しているよ、レア。」
そう言って彼は研究室を後にした。
今思えば、彼の言動に少し違和感を覚えた。
彼は"世界"の為としか言っていなかった。
なら、人の為に彼は何かするのだろうか...
当時の私はそんな疑問をあえて考えないようにしていたのかもしれない。
その疑問の答えが今明かされるとは、私は思ってもいなかった。
+++++
研究所を後にした帰りのヘリの中。
俺は今日聞いたことを考えていた。
ナルカミは何の為に、また神機兵を作り始めたのか。
考えれば考えるほどに疑問が膨らんでいく。
「シュンヤさん...大丈夫ですか?」
見かねたシエルが心配そうにこちらを見てくる。
「ああ、大丈夫っす。それより、シエルさんはどう思いました?今日のレア博士の話。」
「そうですね...レア先生の話を聞いて、やっぱり本部には...
ナルカミ博士には何かあるんじゃないかと思いました。
もっとも、あくまでもただの予感ですけど...」
「うん。俺も予感でしかないけど...もし、極東に手出しするようだったら、
俺は相手がなんだろうと戦います。」
「もちろんです。だからこそ私達ゴッドイーターが居るんですから。」
シエルの言葉に頷いた時だった。
-極東支部より緊急連絡!-
「こちら輸送部隊K-02。報告をお願いします。」
操縦士が無線に応答する。
無線の向こうの人物はどうやらヒバリさんらしい。
だいぶ切羽詰まったようだが...
-即刻帰還してください!旧市街地付近で強力なアラガミの反応がありました!-
俺とシエルは顔を見合わせる。
-おそらく、感応種とは違う...新種のアラガミと思われます!-
-ブラッド隊のお二人には先行して出動してもらいました-
「では、このまま真っ直向かったほうが良いですね。お願いできますか?」
シエルの提案に操縦士は頷き、機体が旋回する。
俺は無意識の内に傍らの神機を握りしめていた。
何か嫌な予感がする。
長年死地を潜り抜けてきた俺にとって、それは信頼すべき予感だ。
ヘリはそんな不安を抱えた俺に構わず旧市街地に向けて進んでいった。
という訳でレア博士再登場回。いかがでしたでしょうか?
色々と設定をいじくってしまった感が拭えませんな。
内容がおかしくなっていた時は、是非ご指摘ください...
次回は本編はお休みして番外編を挟みます。
といっても本編に関係のある話なんですけどね...
なんと彼が久々の登場です。
次回もお楽しみに!
それではサラダバー!