GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
勝手に週一更新に戻しました。
てなわけで今回は増量で。
挿絵が一時表示されていなかったようですが、
ちゃんと直しましたのでご心配なく。
当然のように、弟作です。
フェンリル本部 研究室長室
メガネを押し上げナルカミはニヤリと笑う。
「さあ、君たちの力を見せてくれ...」
その笑顔は子供のように無邪気だった。
+++++
嘆きの平原
先行していたギルとナナに合流し、俺達は周囲を索敵していた。
しかし、情報とは裏腹に一向にアラガミは姿を現さない。
「マズイな...風が強くなってきてる。」
ギルが空を見上げ呟く。
ゴォっと吹く風に足元が少しふらついた。
支部の北西に位置するこの平原。
通称"嘆きの平原"は、いわゆる暴風地帯だ。
特にこの時期は一層風が強くなり、ヘリなどがここを飛行することも禁じられる。
ここに向かう際も迂回したほどだ。
当然、地上にいる神機使い達も例外ではない。
「ここは一旦、撤退しましょう。」
シエルの提案に皆が頷く。
このまま歩き回っても帰還出来なくなるだけだ。
そう判断して、ヘリが止めてある場所に向かおうとした時だった。
「...!?なんだ...?」
また足元がふらついた。
しかし、凪に入ったのか風は弱まっている。
そこで気付いた。
ふらついたのではなく、今立っている地面が揺れていることに。
「じ、地震!?」
「いや、違う...コレは...!」
尋常ではない何かの気配を察知し、全員が一斉にその場を飛び退く。
それと同時に地面がひび割れ、巨大な影が飛び出してきた。
まるで芋虫のようなその姿。
しかし、禍々しい牙、鈍く光る鎌、それらはアラガミそれそのものだった。
『キシャァァァァァァァァ!!!』
耳障りな金切り声が辺りに響き渡る。
「なるほどな...姿が見えなかったのはそういうことか...!」
「ギルさん!」
俺とギルは神機を構える。
「シエル!ナナ!お前らはヘリまで戻って応援を要請してくれ!」
「分かりました!行きましょう、ナナさん!」
「うん!すぐ戻ってくるから!」
そうは言ったものの、また風が強くなってきた。
援軍が来るのも時間がかかるだろう。
それを知ってか知らずか、目の前のアラガミはこちらを睨み続けて動かない。
いつでも喰えるといった余裕だろうか。
「行くぞ...」
「はい...」
二人が動き出すのを待っていたかのように、アラガミも牙を剥きだして向かってくる。
「うお!?」
その巨体に似合わないスピードで、その体が二人の間を過ぎていく。
「ちっ...!距離をとるぞ!」
一旦下がり体制を立て直した所で、もう一度神機を構え突撃する。
ギルが先陣を切り、シュンヤがそれに続く。
『キシャァァァァァ!!』
アラガミも鎌を振りかざし、地面に何度も突き立ててくる。
機動を見極め、避けながら距離を詰めていく。
「はぁっ!!」
背後に回ったギルが飛び上がり、渾身の突きでアラガミの背中を狙い撃つ。
赤い光を纏った一撃は的確に胴体を貫いた。が...。
「何!?」
貫いたはずの槍先は、少し食い込んだだけで止まっていた。
アラガミは体を振るい、ギルごと槍を振り払う。
「しまっ...!」
空中で体制がとれないギルをアラガミが牙で捉えようとする。
鋭い牙が生えた大口が開き、ギルに迫った。
「させるかよ!!」
シュンヤが高速で懐に潜り込み、アラガミの腹部にあたる部位を一閃する。
今度は刃が深く入り、アラガミが身を悶えさせる。
「効いた...!ギルさん!」
「ああ!!」
間一髪危機を脱したギルも、着地してすぐに正面に回る。
怯んだアラガミに、すかさず連撃を叩き込む。
代わる代わる叩き込まれる斬撃と突きに、アラガミの腹部が結合崩壊を起こした。
「よし!このまま叩き込むぞ!」
「はい!」
トドメとばかりに、二人がブラッドアーツをその巨体に叩き込もうとした時だった。
『キシャァァァァァァ!!!』
一際大きな金切り声をあげてアラガミが体をぐねらせる。
すると体を回転させながら、また地面に潜って行く。
「あ、待ちやがれ!」
シュンヤはブラッドアーツを放つが、そのまま斬撃は宙を切り裂いて消えた。
「逃げたのか...?」
「いや...まだ近くに...」
微かに地面が振動し、何かが地面を掘る音がする。
辺りを警戒しながら背中合わせに陣を組む。
「....」
「....音が止んだ...」
風の音だけが響き、より緊張感を増させる。
(どこから来る...?)
シュンヤが神機を構えなおした時だった。
『キシャァァァァァァ!!』
「なっ...!」
背後の岩盤からその巨体が、土煙と共に現れる。
「こいつ壁から...!」
地面ばかり警戒していた二人は、警戒外の場所からの攻撃に一瞬体が硬直する。
しかし、予想外の行動はそれだけではなかった。
アラガミは口を大きく広げ、こちらに狙いを定める。
その瞬間、シュンヤはアラガミの口の中に黒光りする何かを見た。
しばしの間それが何か判断できなかったが、理解した瞬間叫ぶ。
「ギルさん!離れて!」
突然の呼びかけに混乱しつつも、ギルは神機を利用して横っ飛びに退避する。
シュンヤがギルと同じタイミングで、アラガミの視界から外れた時だった。
地面に伏せるシュンヤの後方を青い光が過ぎて行った。
直後、すさまじい爆発音が響きわたる。
状況を確認する為に、シュンヤは立ち上がる。
自分がさっきまでいたところには一直線に伸びる焼け跡。
その先の廃墟は炎上し、瓦礫がドロドロに焼き切れていた。
「レーザー砲かよ...」
アラガミは口から黒い煙を吐き、シュンヤ達を見下ろしている。
『キチチチチチチ....』
「こいつ、まさか...」
疑問を呈するよりも前に、アラガミが行動を始める。
体をしならせながらこちらに向かってくる。
すかさず装甲を展開しようとするが...。
『キシャァァァァァ!!』
「ぐっ...」
すさまじい迫力に神機を構える手が一瞬鈍り、そのまま巨体に弾き飛ばされる。
「シュンヤ!」
空中で体勢を立て直しながら、どうにか受け身をとり地面にころがる。
かろうじて直撃は免れたが、息が上手く出来ない。
どうやら肺を強く打ったらしい。
「かっ、はぁっ...!」
お構いなしと言わんばかりに、アラガミが牙を剥き出しにして襲い掛かる。
ギルが助けに入ろうとするが、距離があり過ぎる。
「くっ...そ...!」
荒い呼吸で立ち上がろうとするが、体が言うことを聞かない。
寸前まで牙が迫り、シュンヤはとっさに目をつぶる。
が、アラガミの牙はシュンヤに突き刺さることはなかった。
ゆっくりと目を開ける、顔のすぐ目の前まで牙が迫っていた。
(何が...)
アラガミはゆっくりと体を起こし、何事もなかったかのように地面へと潜って行き、
そのまま二度と姿を見せることはなかった。
「シュンヤ!大丈夫か!」
駆けつけたギルがシュンヤの体を起こす。
「はい...どうにか」
「あいつ、逃げたのか?」
シュンヤは首を横に振る。
「きっと、帰ったんだと思います。」
「!つまり、あいつは人造...か?」
シュンヤは残された大穴、そして燃え果てた廃墟を見つめる。
先日遭遇した改造神機兵。
あれも俺達に攻撃する前に直前で撤退していった。
そして、アラガミの口の中にあったもの。
あれは明らかに人工物、それもかなり高性能な兵器。
そんな科学力があるのは...
「ギル~!シュン君~!」
声のした方からはナナとシエルが走ってきていた。
「まずは怪我の処置だ。歩けるか?」
「なんとか。」
ギルに肩を貸してもらいながら、シュンヤは二人のもとへと向かう。
いつの間にか風は弱まっていた。
+++++
???
「何だってンだ!コイツはよ!」
大剣を振り回しながらアラガミと戦っていた男は、距離を置きもう一人の少年に問いかける。
「知らないよ...第一、新種なんでしょ?」
フードを被った少年はローテンションで、飛んできた瓦礫を神機で弾きながら答える。
「ああそうか...とにかくコイツをぶっ飛ばしてやらないとな!
姉御に怒られちまう!」
男はそう言うと額の鉢巻を締め直し、大剣をアラガミの腹部に突き立てる。
『キシャァァァァァァァ!!』
「蟲のくせに粋がりやがって!」
男が神機を抜いたところに、少年がやってくる。
「そういえば、第一でもコイツ出たらしいよ。
まあ、逃げたらしいけど...」
「ホントか!」
二人が話してる隙に、アラガミは地面に潜って行く。
「こんな風に。」
「ぬあ!?ま、待ちやがれ!!」
男はアラガミが消えた大穴に向かって叫び続けている。
「はぁ...」
少年はため息をつき、その姿を見ていた。
「第一支部か...」
+++++
???
「逃げたわね。」
「まあ、そうだな。」
目の前にぽっかりと開いた穴を覗き込みながら二人は呟いた。
「ねえ。さっきのって他でも出てきたのよね?」
ニット帽を被った少女が隣の男に問いかける。
「ああ、最初が第一、次に第三、そしてココだ。」
男は顎のピアスをいじりながら、少し考えると、
「とりあえず支部長に報告だ。
たぶん、今回はデカいヤマになりそうだ。」
嬉しそうに言って、すたすたと歩き出す。
「あ、ちょっと待ちなさい!
レディを置いてくなんてどういう神経してるのよ!」
「こういう神経。」
少女はむくれながら、愉快そうに笑う男の後を追っていった。
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フェンリル本部 研究室長室
暗い部屋でモニターを眺めながら、ナルカミは電話をしている。
「実験は成功です。いやはや、イゴールさんの兵器の威力は素晴らしいですね。」
『お世辞は良い。ちゃんと兵器化出来るんだろうな!』
「もちろん。ちゃんと言うことを聞いて、撤退しましたよ。」
『そうか、なら研究を急げ!私は気が短いんだ!』
「仰せのままに...」
そこで通話は切れた。
「ふむ...私も急がなくては...」
ナルカミは立ち上がると、本棚へと向かう。
そこから何冊かの本を取り出す。
すると、ゴゴゴとという音と共に壁が動き、隠し棚が現れる。
そこには色鮮やかな液体が試験管に収まって陳列されている。
その中から、緑の液体を手に取り注射器のような機械にセットする。
「ナンバー13...」
躊躇する素振りも見せずに、自分の右腕に突き刺し、液体を注入していく。
空になった試験管を棚に戻し、ナルカミは椅子に掛ける。
「ふむ...」
見た目的にはナルカミの体には変化は起きていなかった。
「やはり、アラガミとは素晴らしい。」
ナルカミは満足げにニヤリと笑う。
メガネの奥の瞳が赤く輝いていた。
はい。遅れてしまい申し訳ありませんでした。
取り返そうと思って気合入れたら、今度は書きすぎました。
詰め込み過ぎも良くないね。
さて、新キャラが続々登場しますね。
一気に四人ですよ?過労死確定ですわ。
詳しくは次回で。
それではサラダバー!