GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
(挿絵が間に合っていないもので)
極東 郊外
「サカキ博士って変わってるよな。」
移動中のバギーの中で、シュンヤが突然言い出した。
緊張感の無い発言に、車内の張り詰めた空気が少しばかり緩む。
「どしたの突然。」
ナナキョトンとした顔でシュンヤを見ている。
「何を今更言ってんだ...」
ギルは興味なさそうに呟くと、窓の外を眺める。
「いや、いつもは飄々としてるのに、アラガミとか発明品の話をしてる時は目が輝いてるからさ。
なんかつかめない人だなぁ、と思ったわけだよ。」
「なんか、口調がうつってるよシュン君。」
「今回のこれだって本当に効くのかなぁ。」
シュンヤは神機に取り付けてある小さなデバイスを一瞥する。
サカキ曰く、"理論上"は完璧だ、というらしいが。
「でも、サカキ支部長は研究者の中では有名らしいですよ。」
訝しげな過去をみせるシュンヤを見て、シエルがサカキを擁護する。
「偏食因子の研究の権威であり、オラクル細胞を実用段階まで高めた研究者の一人ですからね。
レア先生も、あの人の頭脳は私では理解できない、と仰っていました。」
(それって、褒めてるのか...)
が、今はこれしかあのアラガミに対抗する手段は無いのだ。
シュンヤは神機を強く握りしめる。
「おい、そろそろ着くぞ。準備しろ。」
ギルの言葉に、シュンヤ達は一層気を引き締める。
アラガミと神機使いの願わくば最後の総力戦が幕を開けようとしていた。
+++++
アナグラ ロビー
「サカキ博士。全部隊所定のエリアに配備完了しました。」
「サテライト及び周辺の居住者のアナグラ内への避難全て完了しました。」
「うむ。」
極東第一支部を黎明の亡都、第二第三支部を嘆きの平原、そしてブラッド隊を贖罪の街。
オラクルの反応を見るに、この三か所が主なアラガミの通り道になる。
その他のエリアにも神機使いを配備した。
サテライト居住区周辺の警護も防衛班に任せてある。
これが私の考えた中で、最良の布陣だ。抜かりはない。
不安要素はといえば、ナルカミのあの不敵な笑み。
おそらく極東を壊滅させることだけが、彼の目的ではないだろう。
サカキは通信機の回線をオープンにする。
「諸君、聞こえているね。今回の任務は今までに類をみない掃討戦になるだろう。
君たちの手にこの極東の平和がかかっている過言ではない。」
通信機越しでも、神機使い皆の緊張感が伝わってくる。
自分でも酷なことを言っている自覚はあった。
サカキは一拍置くと、落ち着いた口調で告げる。
「だが、決して自らを犠牲にするような真似だけはしないでくれ。
必ず、全員がこのこの場所に戻ってくるんだ。良いね?」
『了解!!』
+++++
黎明の亡都
遠くにアラガミの遠吠えを聞いた。
もうまもなくアラガミがここに姿を現すだろう。
「今こそ我が騎士道の力を見せる時!」
「足だけは引っ張んないようにしてよね!」
相変わらずの二人の様子を見て、コウタは苦笑いをする。
「お前も大変そうだな。」
「リンドウさん。まあ、今になってリンドウさんの大変さが分かりましたよ。」
「そうだろう。そうだろう。俺も大変だったんだよ。」
リンドウが神機を担ぎながら、空いた手でコウタの肩を叩く。
「一番の問題児はお前だったけどな。」
「ソーマも大概でしょ?」
リンドウの後ろからソーマとアリサが口々にいう。
「なんかこうしてると、昔を思い出すな。」
リンドウは懐かしそうに皆を見る。
「そうですね。
コウタにソーマ、リンドウさんにサクヤさん...それにアイギスも。」
アリサは寂しそうな顔でうつむく。
ソーマが静かに肩に手を置いて言う。
「あいつは生きてる。そう簡単にくたばる奴じゃねぇ。」
「そう、ですよね。」
アリサはスッと顔を上げる。
「まずは俺達がアイツの帰ってくる場所を守ってやらなきゃな。」
リンドウが鼓舞するように、ニカッと笑いながら言った。
「!...来たみたいだよ。」
コウタの見る方に目を向けると、廃墟と化した建物の屋上に数体の改造神機兵が立っていた。
継ぎ接ぎの装甲や歪な形をした神機が、より一層禍々しさを演出している。
「悪趣味なもん作りやがるなぁ全く。
ソーマお前が本部長になったら、あれ全部廃棄してくれよ。」
「何年先の話だ...」
そう言ってソーマは顔をあげ神機兵をゆっくり睨みつける。
神機兵の赤い眼はコウタ達を真っ直ぐに見下ろしていた。
「まあ、廃棄するのには賛成だ。今ここでな。」
自然と皆が神機を構え、戦闘態勢に入る。
「じゃあ、気楽にいこうや。」
リンドウのその言葉と同時に、神機兵が地面に降り立った。
『ゴァァァァァァァァァ!!』
耳をつんざくような怒号を上げながら、武器を振り回しながら神機兵が向かってくる。
「数は多くない!死なねぇようにしながら、確実に潰してけ!」
先陣をきったリンドウが神機兵と刃を交わらせる。
その衝撃に凄まじい土煙が上がった。
『ゴァァァァァァァァァ!!!』
「ウォォォォォォォォ!!」
普段の飄々としたリンドウの姿からは想像できない荒々しい連撃。
その気迫に神機兵の方が気圧される。
「ったく、あいつは....俺達も続くぞ!」
走り出したソーマの言葉に、皆が神機兵に向かって走り出す。
今日最初の戦いが始まった。
という訳で始まりました総力戦。
戦闘が久しぶりなので心配です。
さて、前置きでも言った通り挿絵がまだ出来ておりません。
今回短かったのは挿絵を使う前に区切りよく終わらせるためです。
なので、ちょっと間が空きます。
気楽にお待ちください。
それではサラダバー!
ちょっと補足説明
読み終わって、
『あれ?アリサってアイギスは遠征に行ってると思ってたんじゃないの?』
と思った人も居たと思います。
え?思わなかった?なら良いです。
一応、リンドウ達が話していた所をアリサが偶然聞いて知ったということにしてます。
これは番外編で書いていきたいと思ってるので、お待ちください。