GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
総力戦の途中なのに申し訳ない。
全部弟が悪いんだ。
さあ、彼の物語もこれで最後。
ついに本編に合流しますよ。
極東から離れたある地方の居住区。
オレがここに来たのは、ある目的があるからだ。
「見ない顔だな。探し人かい?」
暗くなり始めた夕時の道を歩いていると、道端の老人に声を掛けられた。
恰好から見るに、どうやら作業員らしい。
「まぁ、そんな感じです。よく分かりましたね。」
「そりゃあ、こんな辺鄙な場所に来るやつなんかそうは居ないからな。
...そういえば、だいぶ前にもう一人ここに来たっけなぁ...」
彼は思い出すようにして言った。
「それって、銀髪の女の子じゃなかったですか!」
突然大声を上げるオレに、彼は多少驚いた様子を見せるがすぐに首を縦に振る。
「ああ、そうだ。もしかして、あの嬢ちゃんがそうかい?」
「はい...オレの大切な人です...」
「そうか...複雑な事情があるみたいだな。
うん。すぐに会いに行ってやれ。この先の研究所に居る筈だからよ。
もっとも、俺達は整備小屋なんて呼んでるが...」
「分かりました。ありがとうございます。」
オレは頭を下げそこに向おうとしたが、彼に呼び止められる。
「ああ、そうだ。嬢ちゃんに礼を言っといてくれよ。」
「礼...ですか?」
「ああ、そうだ。オレはここの作業員共の棟梁をしてんだけどな。
嬢ちゃんのおかげで動かなかった機械が動くようになって、
アラガミ用の防壁を修理出来るようになったんだ。
それに、配線やらなんやらまで直してくれてよ。俺達は感謝してもしきれねえんだ。」
嬉しそうに笑う彼をみて、こちらまで心が温まった。
リッカらしいと思った。
困った人は見過ごせないお人よしの整備ヲタク。
きっとそれもオレが彼女に惹かれた理由の一つなのだろう。
「分かりました。伝えます。」
オレはもう一度頭を下げると、目的の研究所に歩き出した。
「ボロイな。」
一言で言うとそれしか出てこなかった。
研究所の面影は辛うじてあるが、壁などの装飾がボロボロだ。
しかし、微かに研究所(もとい整備小屋)の中から物音が聞こえる。
オレは意を決して研究所の中を進んでいく。
機材やら廃材が積まれた廊下を進むと、奥に扉が見えてきた。
「この奥に...」
はやる気持ちを抑え、オレは扉の前に立つ。
「どんな顔して会ったら良いんだろう...」
長い様で短い半年間だった。
極東を出て、各地を転々として、ようやくこの場所にたどり着いた。
オレは扉に手をかけ、深く深呼吸してからゆっくりと扉を開いた。
「ああ、棟梁さん。機械の調子はどうだった?」
ゆらゆらと部屋を照らす電燈の光に照らされながら、熱心に機械をいじる彼女の姿がそこにあった。
コチラに背を向けてるせいか、オレをあの老人と勘違いしているらしい。
「私が整備したから壊れることはまずない...よ...」
ようやくこちらを向いたリッカは、目の前に立つ人物が誰だか気付いた。
相変わらず彼女の頬には油汚れがこびり付いていた。
彼女の顔を見て、つい我が家に帰って来たような感覚になった。
「よ、よぉ。ただいま。久しぶりだな。」
オレは笑いながら、ぎこちなく手を上げる。
ここまで驚きに満ちていた彼女の顔が、見る見るうちにクシャクシャになって行く。
「う、うぅ...」
フラフラと彼女はオレに近づいてきたかと思うと、オレにいきなり抱き着き、
「うわぁぁぁぁぁぁん!!」
と、大声で子供の様に泣き始めてしまった。
「分かった!分かったから!!」
オレは彼女をなだめる為に、優しく頭を撫でる。
久しぶりに触る彼女の銀髪は、前と変わらずサラサラとしていた。
「グス...」
「泣き止んだか?」
散々人の胸で泣いた彼女は、コクリと小さく頷いた。
瞳が潤んだままで頷かれても説得力がないが...
彼女が落ち着いたところを見計らって、オレは彼女と向き合う。
「遅れてゴメンな。半年もかかっちまった。」
「うんうん。私、信じてたから。君が来てくれること。」
「ペンダントのメッセージ。あれのお陰でオレはここに居るんだ。
それに、リッカの本当の気持ちも知れた。」
「そっか...見てくれたんだ。」
「最後の愛してるが良かったな。あれで極東を出る決心がついた。」
と、少しリッカをからかってみる。
リッカは嬉しそうにしながらも、少し恥ずかしいのか顔を俯かせる。
そんな様子を見て、オレは決心をする。
旅の中で、もしリッカに再会出来たら伝えようと思っていたこと。
ようやく、彼女に言うことが出来るのだ。
「リッカ。」
「何?」
顔を上げたリッカの目を、オレは一心に見つめる。
リッカもオレの真剣な様子に、じっと見返してくれた。
「神機使いは何時死ぬか分からない。
もしかしたら、これが最後で二度と会えなくなるかもしれない。
オレは、戦闘狂で、バカで、大した力も持ってないけど、
もし全てが解決して極東に二人で戻れたら、
...それでも、オレのことを愛してくれるのなら...」
「オレと結婚して欲しい。」
精一杯のオレの気持ちだった。
こんなムードなんて皆無な場所だが、彼女にこの思いを伝えれただけで十分だった。
オレの言葉にリッカは少しも驚く様子を見せず、ただ静かに微笑み、
「はい。」
と、それだけ答えてくれた。
彼女の目から一筋の涙が流れていた。
オレはその雫を指で拭うと、リッカの頬に手を添え、
「愛してる。リッカ。」
「私も。大好きだよ、レイジ。」
二人の気持ちを、お互いの存在を確かめ合うように、オレ達は唇を重ねた。
+++++
翌朝、オレが目を覚ますとリッカは既に作業をしていた。
「早いんだな。」
オレが起きたことに気付くと、リッカはコーヒーを差し出す。
「まあね、もうすぐで完成するんだ。」
オレは差し出されたコーヒーを啜る。
いつも通り、オレの好みに淹れられた懐かしい味だった。
体中に暖かさが染みわたる。
「何作ってるんだ?」
「ふふん。出来てからのお楽しみ。
でも、たぶん驚くと思うよ。」
オレは立ち上がり、リッカの手元を覗き込むが、
複雑な電子基板や工具やらで素人目にはさっぱりだった。
「なるほど、分からん。」
「まぁ、待っててよ。
後もう少しで出来上がるからさ。」
作業に没頭する彼女の姿は、オレが惹かれた彼女の姿と何ら変わりはなかった。
「なあ、リッカ。」
「うん?」
「オレ、極東に戻るわ。」
作業をしていたリッカの手が止まる。
「極東に新種のアラガミが出たらしい。
それも、本部が極秘に作ってた人造の奴だ。
...やっぱり心配なんだよ。皆のことも。
だから、オレは極東に戻る。」
「良いんじゃない。」
リッカはこちらを向かずに答える。
「私はまだ戻れないけど、レイジにはまだやることがあるし、
極東支部の皆も君の帰りを待ってると思うよ。
それに、私は神機使いとして皆のことを守ってる君が好きなんだから。
だから、だから...」
オレは彼女を後ろから抱きしめる。
「大丈夫だ。必ずまた迎えに来る。」
「うん。」
リッカが小さく頷いたのを確認すると、オレはそっと腕を解く。
リッカはごしごしと目をこすると、
「うん!じゃあ、レイジの為にも頑張って完成させなきゃ!」
と、真剣な目で作業台に向かっていった。
オレはその姿を目に焼き付け、部屋をあとにした。
+++++
「で、なんで目瞑んなくちゃならんの?」
「まあまあ、着いて来てって。」
リッカに両手を引かれながら、目を瞑ったままのオレはフラフラと歩いて行く。
機械油の臭いが鼻を突いた。
「じゃあ、ちょっと待っててね。」
リッカが手を離したので、オレはその場に立ち止まる。
目を瞑っていても、埃っぽさと視界の暗さからガレージの様な場所だと想像できた。
ガチャガチャと何かをいじるような音がした後、
「開けて良いよ!」
と、彼女の声がした。
恐る恐る目を開けたオレの目の前に飛び込んできた光景は、オレを驚かせるには十分だった。
「おいおい...まじですか。」
自慢げに鼻をこするリッカ。
その背後には、一体の神機兵が立っていた。
「どう?」
「どうじゃねぇよ!?なんだよこれ!?」
「何って神機兵だよ。」
平然と言い放つリッカ。
(襲って、こないよな...)
恐る恐る近づいて、その姿をまじまじと見つめる。
普通の神機兵と変わらないようだが、所々赤い装飾が施されている。
「どうしたんだよ、これ?」
「ここの居住区の外で廃棄されたこの神機兵があってね。
皆がここに運んで来てくれたんだよ。
使える部品は無いかってね。」
「で、我慢できなくなったお前は、直しちまったのか。
だとしても、ここまでやるか普通。」
リッカはエヘヘと頭を掻く。
「整備士の性というか、どうしてもいじってみたくなって、
気が付いたら、装飾とかカラーリングも変えてました。」
さすがのオレも半分呆れ顔になっていた。
彼女が技術ヲタクなのは知っていたがここまでとは。
改めて目の前の神機兵を見る。
よく見ると、ハッチの中も綺麗にしてあった。
「なぁ、これって乗れるの?」
オレの質問に、待ってましたと言わんばかりにリッカの目が輝く。
「もちろん!レイジに乗ってもらいたくて直したんだから。
ちゃんと武器は二刀流だよ!」
奥の作業台には、確かに大きな二本の鉄の塊が乗っていた。
「ちゃんと、コックピットもレイジ用に調整したし、
君の戦闘スタイルに合わせて機動性を上げといたから、すぐにでもアラガミと戦えるよ。」
「へぇ~」
ここまで熱心に語られると逆に感心してしまった。
「戦闘スタイルならともかく、座席もオレ用に合わせんのは難しかったんじゃないのか?」
「まあ、体で覚えてるから。レイジの体型。」
しばしの無言の後。
「それ、聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど。」
「私も恥ずかしくなってきた。」
+++++
「じゃあ、行くわ。」
神機兵の中に乗り込んだオレは、下で最後の調整をしているリッカに声をかける。
ここから極東までかなり距離があり、道中アラガミとも接触する可能性があるのを考慮すると、
最短で行くにはこれで行くのが早いと、オレはそう判断した。
「うん。じゃあ迎えに来てくれるの待ってるから。」
そう言うと、リッカはハッチかけられた梯子を上ってくる。
「おまじない。」
オレの頬にそっとキスをした。
「効きそうだな。」
「えへへ。」
頬を赤く染める彼女の髪をそっとなでると、オレはハッチの扉を閉める。
「二度目か、これに乗るのも。」
一度目は無我夢中で乗り込んだのを覚えている。
「あん時の皆の顔、傑作だったな。」
ゆっくりとレバーを握りしめ、前に倒していく。
全身に振動が伝わり、神機兵が動いてるのが分かった。
「直ぐ行くぜ、極東!」
悠然と走って行く神機兵の姿を見送り、リッカは廃材の上に座り込む。
彼女の脳裏には、いつまでも彼の笑顔が焼き付いていた。
「やっぱりカッコイイなぁ、レイジは。」
リッカはそう呟くと、大きく背伸びをしてから整備小屋の中に戻って行った。
と、ふとリッカは立ち止まり何か考え始める。
「あれ、私ってあの時...」
「避妊薬って、飲んだっけ?」
はい、いかがでしたでしょうか。
前から散々言われてきた二人がようやく結婚までこぎつけました。
とはいっても、全てが解決してからですが...
え、死亡フラグが立ってるって?
おいおい誰だと思ってるんだ、あのクロサキだぞ。
てなわけで次は本編で。
ご意見ご感想もお待ちしてます!!
それではサラダバー!!
P.S.
R18の方でもこの話を出しました。
是非そちらもよろしく。