GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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無駄に引き延ばしてしまった過去編が\(^o^)/
本当にゴメンね


#64 死神と星

アメリカ支部 ロビー

 

「リンドウさん、クロサキの奴はどうです?」

電話の向こうのリンドウは相変わらず軽いノリだ。

ちなみに、今リンドウはマルセイユ支部に居る。

アリサが発った翌日に飛び立っていった。

『いやー参った参った。成長が早くて、すぐにでも追い抜かれちまいそうだ。

もうすぐ適正試験の時期だしなぁ。』

「さすがに、それは無いでしょう...」

と、言いつつもあながち有り得ないことではないかもしれない。

思えば、出会った頃から異質な才能を放っていたような気がする。

わずかな間だったが自分を慕ってくれた弟子の成長は嬉しいものだ。

『おーい、聞いてるのか?』

「あ、ああ。聞いてますよ。」

『とにかく、クロサキの方は任せろ。

お前もそっちで頑張れよ。』

「分かってますよ。

リンドウさんも死なないでくださいね。」

「縁起でもないこと言うなよ...」

たじろぐリンドウに、軽く笑い俺は受話器を置いた。

電話の前で少しボーっとする。

「どうした?」

「チャーリー...」

バスターの神機を担いだチャーリーが後ろに立っていた。

そういえば、この後一緒にミッションに行く予定だったのを思い出した。

「あ、もう出るのか。すぐ、用意してくっから。」

慌てて神機を取りに行こうとした俺をチャーリーが呼び止めた。

「おい...お前、最近変だぞ。...何かあったのか?」

その一言に俺はその場で立ち止まった。

 

『もって一年だろうね。』

 

動揺を悟られまいと振り向かず答えた。

「...別に、なんもないさ。」

少しの間を置いてからチャーリーが口を開く。

「俺は占いが得意だ。それぐらい知ってんだろ?」

「.....」

俺はその場で押し黙る。

「...今回のミッション、キャンセルしろ。

対象はシユウだ。俺一人でもやれる。」

多少の威圧を込めてチャーリーは言い放った。

俺は黙って階段下へと歩き出す。

「おい!」

「大丈夫だって言ってんだろ。」

俺は振り向きチャーリーを見る。

「俺はそう簡単に死なねぇし、アラガミに食われて死ぬ気もないよ。」

「お前...」

彼の目には俺の顔はどう映って見えただろう。

チャーリーは驚いた様子を見せるとそれ以降口を開かなかった。

ただ一言、

「分かった。」

とだけ言って、先に出撃ゲートに消えて行った。

「....」

俺は後頭部をわしゃわしゃと掻きむしり整備室へと歩いて行った。

 

あの時の振り向いたアイツの顔。

全てを、自分の運命を悟ったかのような目していた。

「クソっ...」

バギーに寄りかかりため息をつく。

懐から一枚のタロットを取り出した。

今朝の何の気なしにやった占いで出た"死神"が描かれたタロット。

何を暗示しているかは明白だった。

「アイギス...お前は...」

この時ばかりは外れないと豪語していた自分の占いが、この上なく憎らしくなった。

 

 

+++++

 

 

「アイツらだな。」

岩陰から俺達が見つめる先、そこに今回の標的のシユウがいた。

小型のアラガミ、恐らくオウガテイルだろう。

二匹のシユウは溜め池の畔で、その死骸を貪り食っていた。

こちらには全く気付いた様子を見せない。

「....」

「アイギス?」

チャーリーの声で我に返った。

またボーっとしていたらしい。

「あ、悪い。さあ!行こうぜ。」

チャーリーが口を開く前に、俺は岩陰から飛び出しシユウに向かっていった。

「あ、ああ。....」

少し眉間にしわを寄せるが、すぐに表情を引き締めアイギスに続いた。

後方の物音に気付いたシユウが振り向く頃には、すでにアイギスが眼前に迫っていた。

「遅せぇな!!」

シユウが手を伸ばすのと同時にその腕が胴体と切り離される。

そして、空中で体を一回転させながらがら空きになっていた胴体に神機を突き刺した。

 

「グォォォォォォォ!!」

 

シユウの呻き声とも取れる咆哮は、次の瞬間断末魔へと変わった。

神機を真上に切り上げることで、その胴体が丸太割のように真っ二つに分かれる。

水しぶきを上げ崩れ去った死骸は、そのまま水中に沈んでいった。

(よし、もう一体!)

アイギスが振り向いた所で、後ずさりしてくるシユウの後姿が見えた。

 

「グォォ....!」

 

バスターで顔面を割られたのだろう。

悲鳴すら上げることができないようだ。

「お前の運命は、地獄行きだ。」

ジリッと、チャーリーが地面を蹴る。

「ゴッ...!」

振りかぶられたチャージクラッシュが、シユウの上半身を軽く消し飛ばした。

辺りに肉塊が散らばり、残った下半身はしばらくして霧散した。

「ふぅ...」

「終わったみたいだな。」

チャーリーの元に行き、労いの言葉をかける。

「お疲れさん。やっぱバスターは良い威力だなぁ。」

「フッ...」

ケラケラと笑うアイギスの姿に、チャーリーはわずかに安堵する。

(どうやら、ようやく俺の占いが外れるようだな。)

「さ、帰ろうぜ。」

「ああ。」

アイギスがチャーリーの肩に手を置き歩き出した時だった。

 

 

-目標補足-

 

「!」

後方から不意に聞こえた爆発音。

気付いた時には二人の体は宙に投げ出されていた。

全身を打ち付けたような痛みが襲った。

チャーリーは壁に打ち付けられ、アイギスはそのまま地面に叩き付けられた。

(こ、これは...?)

自身を襲う猛烈な痛みに耐えながらチャーリーは目をうっすら開ける。

黒く焦げた地面、その先に転がるアイギスの姿。

あの一瞬、先に異変に気付いたアイギスはチャーリーのことを前に押し出した。

あの威力なら恐らく直撃だったのだろう。

アイギスは一向に起き上がろうとしない。

「く、そ...」

霞んでいく視界の先に人影を見た。

白衣を着た男。

その男はアイギスを見下ろしていた。

そして、視界が闇に包まれた。

 

 

+++++

 

 

アナグラ 研究室

 

「俺達がアイツから聞いたのはここまでだ。

そこから先、アイギスがどうなったのかは誰も知らない。」

リンドウは煙草を咥え、白い息をふぅっと吐き出す。

「あの後、チャーリーは他の部隊に救助された。

結局、二人を襲ったものの正体もその目的も不明だ。

アイツの行方も全く見当がつかない。」

ここまで黙って話を聞いていたアリサが立ち上がる。

リンドウは座ったまま口を開く。

「悪かったな、黙ってて。」

「...いえ、良いんです。...私のことを考えてのことでしょう?

リンドウさんもソーマも悪くありません。」

「....」

「...お前、どうする気だ?今さら、アイツのこと探す気か?」

ソーマは腕を組み、デスクに寄りかかったまま言った。

アリサは振り向かない。

「私は信じてます。リーダーは必ず生きてます。

だから、私は待ち続けます。」

目元をゴシゴシとこすり、アリサは部屋を出て行った。

静かになった研究室。

すっかりぬるくなったコーヒーをリンドウは一気に流し込む。

「さて、明日は忙しくなる。

お前も早めに休めよ。」

リンドウは手をプラプラと振り、研究室を出て行こうとする。

「お前は。」

「ん?」

「お前はどう思っている。...アイギスのことだ。生きていると思うか。」

しばらくの沈黙の後、リンドウは腰に手を当て天井を見上げる。

「さあな...でも、死にかけた俺がこうして生きてんだ。

アイツもきっと...」

「...そうだな。」

ソーマは黙って奥の部屋に戻って行った。

リンドウも言葉を発さず部屋を後にした。

 

 

「ありがとうございました。色々と世話になって。しかもヘリまで。」

目の前の男にオレは頭を下げる。

「いや、良いんだ。退役した神機使いが出来るのはこれぐらいさ。

それに、他ならないアイツの弟子だからな。」

男は懐かしむように遠くを見つめフッと笑った。

「...あの人は生きてますよ。必ず。」

「....そうだな。俺も信じている。」

ヘリの操縦士がオレのことを呼んでいる。

プロペラが起こす風が髪を揺らした。

「じゃあ、これで。」

「...ちょっと、待て。」

彼がオレのことを呼び止めた。

手には一枚のカード。

「"星"のアルカナだ。意味は希望。

...君の旅、戦いの結末は約束されている。」

オレは黙って彼の言葉を聞いた。

「幸運を祈っているよ。」

オレは小さく頷きヘリに乗り込んだ。

 

+++++

 

 

何が起きたか分からなかった。

身体中が焼ける様に痛い。

無我夢中でチャーリーを押し出したが、どうやら彼の方は無事らしい。

気を失っているようで動きはない。

ともかくここから逃げなければ、もしかしたら他のアラガミが寄って来るかもしれない。

「くっ...」

身体が思うように動かない。

息も絶え絶えにどうにか体をあおむけにする。

(くっそ...どうすっかな...)

鬼気迫る状況に反して、見上げる空はどこまでも澄んでいた。

「死ぬんかなぁ...俺。」

 

「死なないよ、君は...」

 

「!」

横たわる俺の頭上に男の影がさした。

俺を見下ろすソイツの顔には見覚えがあった。

「お前...」

「少々手荒だが...済まないね。」

男の声が遠くに聞こえる。

俺はそこで意識を失った。

 

 

目を覚ますと普段の病室とは違う無機質な天井。

起き上がろうとしても体の感覚がない。

ここはどこだろうか?チャーリーは無事だろうか?

考えを巡らせる内にまた意識が遠くなっていく。

『ようやく...が....ですよ....』

微かに誰かの声が耳に入ってきた。

だが、俺はゆっくりと目を閉じた。

 

ガラス越しにナルカミはベッドに横たわる青年を見ていた。

全身傷だらけで、体中に電極が繋げられている。

「どうしましたか?」

不意に後ろから声を掛けられた。

車いすを押しながら少女が近づいてくる。

「ラケルさん...いや、予想以上に体内の偏食因子の浸蝕が早いので、

早急に彼の生命を保護しなくてはと思いましてね...」

軽くメガネを押し上げ椅子に深く腰掛ける。

画面を操作するナルカミの姿をラケルはジッと見つめる。

その視線にナルカミも気付く。

「何ですか?」

ラケルはフフッと静かに微笑む。

「フフッ...何でもありませんわ。」

「...面白い人ですね、貴方は。」

「では、私はこれで...」

ラケルは軽く頭を下げると、部屋を出て行こうとする。

「ああ、そうだ。」

「?...何ですか?」

ナルカミは立ち上がると、デスクの引き出しから一枚の書類を取り出しラケルに手渡す。

「この少年は...?」

「少し前に応援を頼まれて彼を手術したことがありましてね。」

「...確か、かなりの大手術と聞きましたわ。」

「知ってくださっていたのですか。それなら話が早い。

知人に聞いて話で、もうすぐ彼も神機使いになるらしいんです。

そこで、貴方が今推し進めている新部隊のメンバー候補生に加えていただけませんか?」

「それは構いませんが...何故かしら?」

「それは...後々のお楽しみですよ。

きっと貴方も彼を気にいるに違いありません。」

ナルカミは意味深げに笑った。

 




長かった過去編がついに明ける...
なんか色々後付くさいとか言った奴は、あとで家にシユウがやってきます。

といった所で、次回から本筋に戻って新章開始です。
クロサキ復活、アイギス奪還作戦、そしてナルカミの真意
これが見どころですかねぇ。
回収しきれるか分かりませんが...
ちなみに最終回辺りの構想はまとまっています。
そこまでの話はフワフワしてますが...

続きは挿絵が完成する頃、来週になりそうですね。
それではお待ちください。サラダバー!
感想もお待ちしてます。
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