GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
ホント駄目だね。
螺旋の木 内部
「妙だな...」
螺旋の木の内部を進み始めてからしばらくたった頃。
定時報告をしようと通信機をONにした時だった。
「外と繋がらない...電波状況が悪いのか...?」
螺旋の木内部は、まるで時空が歪んだかのように広大に広がっていた。
外から見ただけでは分からないくらい何層にも分かれている。
その影響で電波も妨害されているのだとレオは推測した。
「仕方がない...このまま探索を続ける。」
「この先、ひらけた場所に出るようです。」
先に偵察にいっていた隊員が戻ってくる。
「よし、行くぞ。」
レオが率いるα隊は深層へと近づいていっていた。
そして、同時刻。
螺旋の木外部では、事態が大きく動き出していた。
+++++
螺旋の木 仮設拠点
「くっそっちへ行ったぞ!!陣形を崩すな!」
「食い止めろ!螺旋の木に近づけさせるな!」
螺旋の木周辺に建設された仮設拠点。
現在そこは神機兵の襲撃を受けていた。
突如として現れた神機兵の一団に神機使い達は防戦を強いられる。
「なんだ...これは...」
アイザックは目の前で繰り広げられる乱戦をただ見つめる。
恐れていた事態が最悪のタイミングでやってきた。
「アイザック教官!ここは危険です!早く退避を!」
慌てた様子で兵士が必死にアイザックを呼ぶ。
あちらこちらで神機兵の銃撃による爆炎が上がる。
中に居るレオ達と連絡を取るための通信機の類も、すでに使い物にならなくなっていた。
「アイザック教官!!」
「くっ...!」
今は放心している時ではない。
すぐにこの状況を立て直さなくてはならない。
中のα隊と連絡が取れないのは痛手だが、幸い螺旋の木内部への道は崩落してはいない。
まだ、手の打ちようはいくらでもある筈だ。
兵士に連れられて護送車へと急ぐ。
「さあ、こちらです!」
「ああ。」
と、その時。
目の前が赤く染まりアイザックの体が吹き飛ぶ。
地面に叩き付けられ何が起きたか理解した。
神機兵の放ったオラクル弾が車体を爆発炎上させ、高く火柱が上がっていた。
もし一歩早ければ、あの爆発に巻き込まれていただろう。
自分を先導していた兵士は少し先で、血だまりの中に倒れている。
「ぐっ...」
痛みが走る右腕を庇いながら、よろよろと立ち上がった。
神機兵の咆哮と神機使いの怒号、そして叫びが遠くに聞こえる。
そして、目の前に立ちふさがる神機兵。
赤い目は真っ直ぐにアイザックを見下ろし、鋭い大剣を振り上げた。
「あっけないものだな...命というものは...」
アイザックは静かに目を閉じた。
+++++
「常々、命とは儚いものだな。」
ナルカミは唐突に呟いた。
「皆がその儚い命に縋り付き、他者を蹴落とし、
自らを黒く染め、生に縋り付こうと必死だ。
全く、実に愚かで自己中心的だ。」
「それが人間の本来の在り方では?
生に執着するのは万人に共通して言えることです。」
男の答えにナルカミはフッと笑った。
「そうかもしれない。
だが時に、己の命さえも犠牲にしてまで他者を救おうとする者もいる。
もっとも、それが最良の結果を招くとは限らないがね。」
ナルカミはヘリの窓から外を眺める。
「見えてきたよ。」
高く幽玄にそびえ立つ螺旋の木。
周りではあちこちから火柱や煙が上がっている。
「ここ極東にはそんな人間が無数に存在している。
実に興味深いとは思わないか?
私は人間は嫌いだが、彼らの思考には惹かれるものがある。」
「...」
ナルカミの話に、男は興味深そうに耳を傾けていた。
「それに、ここには世界に選ばれた者もいる。
是非、会ってみたいものだ。」
「俺は無理ですけどね...」
男は少し残念そうに笑う。
「ああ、そうだったね。
...君には何度となく助けられた。
君を助手にして本当に良かったよ。ありがとう。」
「いえ、俺の方こそ...先生に出会えてよかったですよ。
これで、心おきなく人間としての生を終えられるんですから...」
男はフッと笑い、ナルカミの差し出した手を固く握った。
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螺旋の木 仮設拠点
目を閉じたアイザックの耳に、神機兵の咆哮が聞こえた。
直後、ゴッ!という鈍い音と何かが倒れる音が耳に入った。
「...!!」
目を開けると、目の前にはボロボロのバギーカー。
車体のフロント部分が派手にひしゃげている。
突然のことにアイザックが目を丸くしていると、
車体から降り立った影が、バギーに吹き飛ばされた神機兵に銃撃を浴びせかかった。
衝突され破損した個所に弾道が集中し、そこから爆発し神機兵は動かなくなった。
「やってみるもんだな...!」
運転席から聞き覚えのある声がした。
「っ...無茶な運転しやがって!
今度からお前には運転は任せねぇ...」
「死ぬかと思ったぁ~寿命が縮まっちゃうよ!」
「目標の沈黙を確認。
ご無事ですか、アイザック教官。」
「お前達は...」
つい数時間前、顔を合わせたばかりのブラッドの面々がそこにいた。
「あんたの所の兵士は支部の方で伸びてるから、あとで回収しといてくれ。
それと、オレ達はこれから螺旋の木に入るけど、今更文句なんて言わないでくれよ。
戻ってきたら、処分はいくらでも受けるからさ。」
クロサキはそれだけ言い残し、他を引きつれて戦火の中に飛び込んでいく。
「これより、ブラッド隊は螺旋の木に突入する!
皆、行くぞ!」
『了解!』
怒号と叫びが入り混じる戦場に、勇ましい声が響いた。
アイザックはその姿をただ静観する。
(あれが、ブラッドか...)
勇猛に駆けていく青年の背中に、若かりし頃の自分を重ねた。
神機を手に戦場を駆け抜けたあの頃。
(あの時の情熱は、どこに捨て置いて来てしまったのだろうな...)
大声をあげて兵士がアイザックに駆け寄ってくる。
「ご無事でしたか!早くこちらへ!」
「いや...」
先導しようとしていた兵士を引き留める。
「私はここに残る。
責任者たる者が現場を離れ逃げ帰るなど、フェンリル本部としての威厳を保てん!
すぐに、残存の兵力を集め、防衛線を構築しろ。」
「は、はい!」
「それと、すぐに極東支部に連絡をとり、応援を要請をしてくれ。
通信機の復旧も急がなくては...行くぞ!」
今だ被害の少ない拠点へと、アイザックは歩みを進める。
その背中には今までにない風格が漂っていた。
どうしてもバギーでドーン!はやりたかった。
それと、やっぱりシュタインは有能だった。
他の幹部とは違うのだよ。
さて、次回は長めに書きます。
今年中にこの章は終わらせられるかしらね。
特に話すこともないので、ここでサラダバー!
感想もお待ちしてます。(最近少なくて寂しい...)