GODEATER2 AnotherBlood 作:Vekterアイギス
今年もよろしくお願いします!
まぁ、この小説は三月までですが...
アナグラ ブラッド区間
「隊長~そろそろ準備が」
ナナがドアを開けると、奥でクロサキが手を上げる。
電話中のようでクロサキは小さく頷いて答えた。
それを見てナナも一旦外に出る。
「ああ、そういう訳だから...本当にゴメンな。
うん....分かってる。無理だけはしないようにするさ。」
じゃあ、と言ってクロサキは電話を切る。
「悪かったな、待たせちまったみたいで。」
「うんうん、大丈夫だよ。....さっきのはリッカさん?」
「ん、ああ。」
クロサキはナナと共に部屋を出る。
「極東がヤバそうだからな...まだ、あっちの方が安全だろうって思ってさ。
まぁ、大した話じゃない。さっさと行こう。」
「うん...」
クロサキの後をついて行くナナは首を傾げる。
リッカと電話をしていたクロサキは、どこか哀しそうな表情をしていた。
その顔がやけに印象に残りナナは少し不安になる。
ジュリウスといいシュンヤといい、あの顔をする者は大抵何かを抱え込んでいたからだ。
「ねぇ、隊長。」
「どうした?」
ジッとクロサキの目を見据える。
「もしかして、隊長...」
ナナが口を開くのと同時にエレベーターが到着した。
「お、着いたか。」
「あ、ちょっと...」
クロサキはサッとエレベーターに乗り込みナナもそれを追う。
「ナナ。オレのことは心配すんな。
オレは大丈夫だからさ...」
そう言って、クロサキはニカッと笑った。
ナナはそれ以上何も言えなくなった。
+++++
フライアの上空、ヘリの中から様子を伺う。
廃棄されたフライアの周辺はアラガミの生息地と化していた。
その為、地上からではなく上空のヘリポートからの突入となった。
「やっぱ、ここからじゃ分からねぇな。」
「そうですね。では、そろそろ行きましょう。
ヘリを下ろしていただけますか?」
シエルの声にパイロットが小さく頷く。
機体が下降していきHマークが鮮明に見えてくる。
「久しぶりの帰還がこうなるとはな。」
「それ言ったの二回目だよ、ギル。」
「アリサさんは大丈夫ですか。」
「え、ええ。問題ないです。」
そう答え、ハハハ...と笑うアリサ。
(やっぱり無理してんな...)
クロサキはアリサの目元が薄く赤くなっているのを見逃さなかった。
そうこうしている内に、ヘリがフライアに降り立つ。
機体が軽く揺れ、そして静止する。
「よし、行こう...!」
+++++
「まだまだ動きに余裕が無いな。」
「ぐっ...」
地面を転がるクロサキの姿にアイギスは大笑いする。
クロサキは負けじと立ち上がるが、足元がおぼつかない。
「まぁ、精進しろってことだ。」
それだけ言うと、アイギスはアラガミに向かっていく。
その身のこなしは軽く、次々に襲ってくるアラガミを捌いて行く。
クロサキは地面に腰をつき、アイギスの戦いを見ることしか出来なかった。
「オレ、やっぱり無理なのかなぁ...」
落ち込むクロサキの様子を見て、アイギスは困った顔で頭を掻く。
元々、後輩に物を教える役割はリンドウやコウタなどの役目だ。
人との付き合いは好きだが、教えるとなると別だ。
「ま、まぁ、これからどうとでもなるさ。
そう落ち込むなって!な!」
「はい....」
クロサキは立ち上がると、アイギスの方を見る。
「アイギスさんはどうしてそんなに強いんですか...?」
「ん~?そうだなぁ...」
アイギスは腕組みをして首を傾げる。
「深く考えたこと無いから、よく分からねぇけど...」
「-------------」
「?よく分かんないです。」
「ハハッいつかお前にも分かるときが来るさ。」
そう言うアイギスの顔は日の光を浴びて良く見えなかった。
+++++
懐かしさを覚える通路を一行は駆け足で進んでいく。
薄暗い道は既に塗装などが剥がれ、時間の経過を思わせるようだった。
「シエル、電気供給の中心地はこっちで良いんだな。」
「はい。ラケル先生の研究所があった場所です。」
曲がり角を曲がると、目的のラケルの研究室が見えてきた。
一旦、その前で立ち止まる。
「....開けるぞ。」
警戒しつつドアをゆっくりと開く。
ひっそりとした室内に似つかわしくない電子音が耳に入ってくる。
それは更に奥の扉から流れてきているようだ。
「そっちか...」
鉄製の重々しい扉を力任せにこじ開ける。
セキュリティが止まっているのか、簡単に扉が動いた。
「....!アイギス!」
真っ先に声を上げたのはアリサだった。
手術室を思わせる小部屋の中央。
無機質なベッドの上に探し求めていた男の姿があった。
アリサに続き、シュンヤも駆け寄って行く。
「...!息がある!まだ生きてますよ!」
「良かった...本当に、良かった...」
アリサは涙を流し、横たわるアイギスの傍らで泣き崩れる。
シュンヤの目にも涙が浮かんでいた。
「生命維持装置が無い所を見ると、どうやら彼自身の体には何も影響がなさそうですね。」
シエルは室内を見渡し冷静に分析する。
確かに血色も良く、見た目だけ見れば健康そのものだ。
と、ラケルの部屋の方を見ていたギルが戻ってくる。
「他には誰も居ないみたいだな...形跡がほとんど残ってねぇ。」
「でも、無事でよかったじゃん!
あの人が隊長がずっと探していた人なんでしょ?」
「あ、ああ。」
「.....?どうしたんですか、隊長。」
「.....」
アリサとシュンヤがアイギスとの再会を喜んでいるのにかかわらず、クロサキはその場から動こうとしない。
そして、その表情は何かを考えているかのように一切変わらない。
「とにかく、もうここに用はねぇ。
シュンヤ手伝ってくれ、外に運び出す。」
ギルの言葉に、シュンヤは目元を拭いながら頷く。
「あ、私も手伝う!」
「私も...」
皆がアイギスの体に取り付けてあった電極や点滴を取り外していく。
「よし...じゃあ、俺が背負っていきます。」
シュンヤは背中にアイギスを担ぎ部屋をでる。
「どうした?大丈夫かクロサキ。」
ギルに声をかけられ、クロサキも研究室を出る。
(ダメだ...やっぱり腑に落ちない...)
何故、ここにアイギスさんが居る...?
アイギスさんと再会できたのは嬉しい、だがあの男には特異点たる存在が必要不可欠だったはず。
だったら何故、こんな簡単に奪われるような真似を...?
第一ここに来るまで格納庫なども通ったが、アラガミどころか神機兵にすら接触しなかった。
やっぱり罠なのか...?
クロサキはシュンヤに背負われている男に目を向ける。
間違いなくアイギス本人だ。偽物などではない。
(だが、なんだこの違和感は...)
『
『彼が最初の
「.....!」
クロサキが通路の途中で立ち止まる。
それに気づいたシエルが立ち止まりつられるように皆も立ち止まる。
「ど、どうしたんですか...?」
クロサキの顔は青ざめていた。
その目には焦りの色が浮かんでいる。
「クソッ.....そう言うことかよ...」
「どうしたんだよ?」
「ギル、確かエイジスへの通路は今日開通するんだったよな。」
「ああ...」
「シエル、ここに来るまでに通路にカメラとかは設置されてたか?」
「カメラですか...?」
記憶をわずかに遡ると、一つ思い至ったらしい。
「確かに、アイギスさんが居た部屋の天井にカメラがあったと思いますけど...
それがどうしたんですか?さっきから隊長変ですよ?」
シエルの言葉を聞いた途端にクロサキの足が速くなる。
「とりあえず、走りながら説明する!
早くしないと手遅れに...」
そうクロサキが皆に促した時だった。
耳をつんざく様な轟音、そして足元が激しく揺れる。
「なんだ...!?」
「遅かったか...走るぞ!」
駆けだすクロサキの後を皆が追いかける。
天井から小さな砂や小石が落ちてくる。
壁には亀裂が入り始めていた。
「やっぱり、罠だったんだ。
アイツはオレ達がここに来ることを見込んだうえで、アイギスさんを残していったんだ!」
「それって、どういうことですか!?
アイギスさんは特異点で、終末捕食に欠かせない存在だったんじゃないですか!」
「あの時から、アイツは罠を張ってたんだ...」
クロサキが言うあの時とは、螺旋の木でアルバートと出会った時のことだ。
「終末捕食に必要な三つの事象...原初の種・レトロオラクル細胞・特異点。
恐らく、アイツの手元には既にそれらが揃っている。
オレ達は邪魔されないようにここにおびき寄せられたんだ...!」
「でも、アイギスさんはここに居るよ?
特異点が居ないから終末捕食も達成出来ないんじゃ...」
「だから、それがアイツの張っていた罠だったんだよ...!」
揺れが激しくなり天井から小さな瓦礫が落ち始める。
どうやら機関部で爆発が起きたらしい。
窓の外ではあちらこちらで灰色の煙が上がっている。
「どうして早く気付けなかったんだ...
特異点になれる人間が...いや、人間というには遅いかもしれない...」
「それって...」
クロサキの考えを理解した皆が息を飲む。
+++++
「少しばかり遅かったようだ。
君ならもっと早くに気付くと思っていたんだが...」
「そうだ、私が特異点だ。」
崩壊し始めるフライアを眺めながら、アルバートは高らかに笑った。
ついにアイギスに再会することが出来ました。
でも、ナルカミの術中に嵌ってしまいましたね...
これから一体どうなるのか?
まだ考えてません。しばしお待ちを...
では今年もクロサキ達をよろしく。
サラダバー!
ご意見ご感想お待ちしております!!(^^)/