GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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パソコンがまたイカれた。
WiiUのゲームパッドから必死に投稿しております。
ですが、きちんと3月までには終わらせますのでご安心を。


#81 貴方はそういう人だった

『クソッ!時間がねぇってのに...!』

『とにかく今は倒していくしかない!』

 

うっすらと覚醒していく意識。

聞き覚えがある声、そして初めて耳にする声。

静かにゆっくりと目を開いた。

誰かに抱きかかえられている。

とても懐かしい匂いだ。

そして、今目の前で記憶にないアラガミと戦っているのは...

ああ、そうか...俺はそんなにも長い間眠り続けていたのか。

昔とはすっかりと見違えた姿の二人の弟子だ。

背も顔つきもあの頃とはもう違う。

そういうことか...今度は俺がお前らに助けられたんだな..

 

 

+++++

 

 

一言で言うなら、危機的な状況だ。

なんとかフライアの中を崩落を避けながら走って来たのは良いものの、

格納庫に差し掛かったところで神機兵に囲まれてしまった。

おそらく、これもアルバートの差し金だろう。

何はともあれ、この神機兵の一団を突破しなければその先に進むことが出来ない。

そして、それをさせまいというかのように次々と神機兵が増えていく。

「マズイな...ここも持たないぞ。」

「クロサキ、通路が瓦礫で埋まった。

もう、あの先の通路しか逃げ道はねぇぞ。」

そう言っても、そこまで走り抜けるにはリスクが大きすぎる。

それほどまでに神機兵の数が多いのだ。

「リーダー...!!」

「!」

突然響いたアリサの声にオレ達は振り向いた。

彼女の腕のに抱かれていたアイギスが目を覚ましたのだった。

「アイギスさん...!悪い、任せる!」

「ああ!」

短く返事をしてギルは神機兵に向かっていく。

オレはすぐさまアイギスの下へと駆け寄る。

遅れてシュンヤもやって来た。

「アイギスさん、分かりますか...?」

「....ああ、久しいな。」

アイギスは柔らかく笑う。

その顔にオレはそっと胸を撫で下ろす。

あの頃の笑顔のままだった。

彼はアリサに支えられながらもゆっくりと体を起こす。

オレは今の状況を端的に説明した。

「そうか...大体分かった...」

アイギスはそのまま黙り込む。

「とにかく、待っていてください。

さっさとこの場を切り抜けてここを脱出します。

そして、一緒に帰りましょう。」

オレ達は立ち上がり神機兵に向かっていこうとする。

そこでアイギスは顔を上げオレ達を引き留める。

「クロサキ、シュンヤ。」

「何ですか?」

アイギスは言葉を発する前に立ち上がる。

その顔つきは何か決意めいたものがあった。

オレ達は顔を見合わせまた彼を見た。

「これからオレが言うことを拒否するな。

これはお前らの上司としての命令だ。」

アイギスはスッと息を吐きオレ達を見据える。

 

「ここは俺に任せて先に行け。」

 

 

+++++

 

 

意味が分からなかった。

しかし、目の前の男の目は真剣だった。

「何を..,」

「何を言ってるんですか!?」

オレより先にアリサが声をあげる。

「貴方はまだまともな状態ではないんですよ!

それに、神機だって...!」

「それなら別に問題ない。」

さきほどまで眠りについていたとは思えない程、平然とアイギスは歩き出す。

そして、倒れ付していた神機兵から神機をもぎ取る。

通常の神機より一回り大きなモノを軽々と持ち上げた。 オレ達は言葉も出なかった。

「さぁ、行くんだ。

俺がアイツらを引き受ける。」

それだけ言って、アイギスは神機を構え臨戦態勢に入った。

「待って下さい!!」

シュンヤの声にようやくオレも我に帰る。

「ようやく助けることが出来たのに、今度は見捨てて 行けだなんて...」

「.....」

「それに、俺達はアイギスさんを助ける為に...」

「違う。そうじゃない。」

アイギスは諭すような口調でそう言った。

「そうじゃないだろ?お前らの目的は?」

「え...?」

「すべきことを間違えるな。

お前達は一刻も早く戻って、終末捕食を止めなくてはならない。

だったら、ここで踏み止まってる場合じゃないだろ?」

そして、アイギスは顔を背ける。

「それに...俺はとうの昔に...」

その先は聞こえなかった。

度重なる爆音が彼の声を遮った。

しかし、一瞬見えたアイギスの顔にオレは心を決める。

そうだった...貴方はそういう人だった。

誰よりも、皆のことを考え、

誰よりも、自分に出来ることを考え、

そして、誰よりも、自分を顧みない人だった。

「行こう。」

「先輩!?」

オレはアイギスの顔を見る。

彼はフッと笑い、神機兵に向かっていった。

 

 

+++++

 

 

「くっ...!!」

ギルは地面に降り立ち、顔をしかめる。

やはり数が多いと思った。

このままでは、時間的にも厳しい。

「ギル!!」

クロサキの声にギルは振り返る。

「一気に通路まで走る。」

「だが、この数を...」

その瞬間、ギルの横を高速で何かが通っていく。

「な!?」

群がる神機兵の中心にアイギスが降り立つ。

短く息を吐き、キッと目線を神機兵に向ける。

その瞬間、神機兵の巨体が宙を舞った。

アイギスの振り回した神機が次々と神機兵を薙ぎ倒していく。

まるでショートブレードのように、巨大な刃を軽やかに扱っている。

おおよそ人間技ではない。

「ガァァァァァァァァァァアア!!」

神機兵の肢体がバラバラに切り裂かれていき、道を塞いでいたものが取り除かれる。

「今だ!!行くぞ!!」

一気に神機兵の間をぬって通路へと駆けていく。

格納庫を抜けそのままひた走る。

立ち止まろうとするシュンヤを無理矢理押し出し、オレは後ろを振り向いた。

アイギスは神機兵の顔面を蹴りだし、クロサキの前に着地する。

「クロサキ、俺がお前に昔言ったこと覚えてるか?

お前が俺にどうして強いかを聞いてきたときだ。」

アイギスはこちらを見ずに続ける。

「はい。よく覚えてます。」

あの時、彼は

『俺が弱いからじゃないか?』

と、言っていた。

あの時は全く意味が分からなかった。

「今ならよくわかりますよ。」

「そうか...」

アイギスはフッと笑いまた前を見据える。

何となく今の自分と重なるような気がしたからだ。

弱いと分かっているということは、自分をよく分かっているということだ。

だからこそ自分が出せる最大の力を引き出すことができる。

彼はそう言っていた。

そして、要は理屈なしに強いやつは強いんだ、とアイギスは楽しそうに笑った。

その笑顔が今でも忘れられない。

いや、これからも忘れることは無いのだろう。

「アイギスさん、ありがとうございました。」

アイギスは何も言わず手を挙げる。

そして、オレは彼に背を向け走り出す。

「クロサキ。自分が分かるのは自分だけだ。

だから、自分のことはちゃんと大切にしろ。」

 

「そして、生きてくれ。これからも。」

 

(貴方がそれを言いますか...)

オレは短く返事をして通路をひた走った。

アイギスがオレと話して何を感じ取ったかは、今となっては分からない。

それでも、ひとつだけ分かることは彼が誰よりも生きたいと望んでいたということだ。

オレはその事を一生忘れないだろう。

神機兵とアイギスの雄叫びを背に受けオレは皆の後を追って走り続ける。

不意に誰かとすれ違った。

その人物は何も言わず、そして必死にアイギスの元へと向かって行った。

オレはあえて止めなかった。

彼女が自ら決めたことならば、もう止める権利など誰にもありはしない。

直後、通路の崩落が始まり、格納庫は完全に隔離された。

 

 

+++++

 

 

アイツらは逃げ切れただろうか?

目の前の神機兵をなぎ倒し、また別の神機兵に刃をたてる。

見渡せば、まだ数十体残っている。

目的は果たせた。しかし、コイツらは俺を逃がしはしないだろう。

だったら望むところだ。

ここが潰れるまで、コイツら全部をぶっ壊してやる。

「ハァァァァァァアア!!」

一歩踏み出した足はガクッと地についた。

「...?」

足に力が入らなかった。

当然と言えば当然だった。

この体はとうの昔にアラガミに侵食され、本来なら死んでいるのだった。

むしろ、ここまで動けたのが不思議な位だ。

俺は自嘲気味に笑い、顔を上げる。

神機兵が俺の頭上に神機を振り上げていた。

どうやら、ここまでらしい。

願わくば、クロサキやシュンヤともう少し話しておきたかった。

それにアイツらの仲間とも。

リンドウやソーマ、極東の仲間たちにも会ってみたかった。

第一、アリサとはろくに話もできなかった。

全く、悔いが残るばかりだ。

「もう少しだけ、生きてみたかったな...」

心からの願いをアイギスはボソッと呟いた。

 

目を閉じるのと同時に、頭上で爆発音が響く。

目の前で神機兵が後ろに倒れこんだ。

混乱する俺の横に誰かが立つ。

その人物の顔を見て俺は目を見開く。

「何で...?」

「だって、約束したじゃないですか。

最後の瞬間までずっと側に居るって...忘れちゃったんですか?」

忘れるわけがない。

後ろを振り向くと、通路が瓦礫で埋まっていた。

もう外への脱出は間に合わないだろう。

彼女はその上でここまで戻ってきたのだ。

俺はまた静かに笑った。

「せっかく助けに来たのに、笑うなんて最低です。」

「笑うに決まってんだろ?

こんな死に損ないを助けに来るような奴はただのバカだ。

もっと自分の命位大切にしろよ。」

「なっ...!!

リーダーだって人のこと...」

言い返そうとして、アリサはアイギスを見る。

彼はどこか儚げに微笑んでいた。

「ありがとうな。」

「....そんなこと言われたら、怒れないじゃないですか。」

どうやら、こんな混沌とした世界にも神様はいるらしい。

信仰なんてありはしないが、俺は初めて神に感謝した。

「行こう。」

「はい...!」

震える足で立ち上がる。

二人は真っ直ぐに前を見据え、神機兵に向かっていった。

 

 

 

 




皆さん、色々言いたいことはあるでしょうが、とりあえず#80でした。
本当はもう少しアイギスという男を掘り下げたかった。
ですが、私の力不足でこんなことになってしまい、申し訳ないです。
人が死ねば物語が盛り上がるだろう、なんて考えはありません。
彼にはクロサキ達に自らの生きざまを見せつけて、格好よく最期を迎えてほしかった。
アリサも同様に、彼への愛が成した結果です。
ただ、それだけの私のワガママでした。
皆さんの目にも彼らが格好良く映っていれば幸いです。

それでは次の話でお会いしましょう。
サラダバー!!
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