GODEATER2  AnotherBlood   作:Vekterアイギス

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区切りよくするt(ry


#83 No Way Back

結果から言うと殴られた。

殴られてソファーに倒れこんだ。

まぁ、あんなこと言えば当然と言えば、当然のことだった。

 

『何か、オレ、自分が何のために戦ってんのかが分かんなくなってさ。

だからまぁ、オレはこの戦いから降りるわ。』

 

アイギスさんみたく死ぬのは怖いしな、とも言った。

その直後、オレは怒りの形相のギルにぶん殴られ、

シュンヤにも大声で怒鳴られ、最終的にシエルが二人をなだめた。

ナナは茫然とその一連の流れを見ていた。

ともあれ、オレの意志が固いことを知った皆は何も言わずラウンジから出ていったのであった。

シュンヤの失望したような顔が地味に効いてくる。

オレは一人天井を見上げ溜め息をつく。

我ながらよく言ったものだ。

「ってぇ...本気で殴られたのは初めてだな。」

アラガミの攻撃とは別の痛みがあった。

頬をさすりながらオレはゆっくりと立ち上がる。

これで良い筈だと、自分を納得させながらゆっくりと立ち上がる。

「ハハハッ派手にやられたね。」

突然現れたのはサカキだった。

どうやら先程の場面を見ていたらしい。

「私も若い頃はそうやってぶつかったものだよ。

いやはや懐かしいものだねぇ...」

「.....」

サカキの口調は世間話のそれと変わらないものだった。

「で、何のようですか?

命令違反の神機使いに処罰でも言い渡しに来たんですか?」

「処罰...?命令違反の神機使いの報告は聞いていないが...?

極東の神機使いは全員、極東を守るために戦いに出てるはずだよ。」

これから出る者もいるかな?、とサカキは意味深に笑う。

ただ単にとぼけているのか、はなから罰する気がないのか、

それとも自分の真意に気づいているのか?

彼の口調や様子からは読み取れなかった。

「そう、ですか...じゃあ、オレはこれで。

ちょっと疲れたんで部屋で休んでます。」

それだけ言ってクロサキはサカキの横を通りすぎる。

「猫の生態には面白い話があってね。」

「は?」

あまりにも唐突な話だったので、ついクロサキは足を止め振り向いた。

クロサキの怪訝そうな顔を気にせず、サカキは話を続ける。

「猫というものは主人にとても忠実らしくてね。

一生主人に付き従いそしてつき慕うそうだ。

しかし、最期には主人のもとを離れ、一人で孤独に死を迎える。

主人を悲しませないようにね。」

「その言い方だと、まるでオレがその猫と同じ見たいに聞こえますね。

じゃあ、アイツらが主人か...ハハッ面白い話っすね。」

クロサキは笑った。

誤魔化すように笑った。

「そうだね。でも、私はそんな猫の生態は好きではないんだ。。

どこで死のうが、看取られようが一人だろうが、結局のところ主人が悲しむのには変わりない。

だったら、最期の時まで共にいるのが一番最良なんじゃないかい?」

サカキの目には一種の懇願ともとれる感情が宿っていた。

クロサキは彼に背を向ける。

「個人の自由ですよ、それは。それに...」

クロサキはラウンジを出た。

サカキの言葉から逃げるようにラウンジを出た。

 

「そんな生態を含めてオレは猫が好きですよ。」

 

己の決意が揺らぐ前にラウンジを出た。

 

 

+++++

 

 

「まだ集まってくるね...」

防壁の上から下を覗き込みナナがつぶやく。

神機兵や大型アラガミが有象無象のようにここを目指してきていた。

防衛の最前線、ここを突破されると居住区にアラガミが入り込むことになる。

「行くぞ。」

先陣を切ってギルが下に降り立った。

「ねぇシエルちゃん。

ギル、やっぱり気にしてるのかな?さっきのこと...」

さっきのこととは、当然ラウンジでのことだ。

事実、ここに来るまでギルはずっと険しい顔で黙りこんでいた。

「あの人はあれで気難しいところがありますから...

それに、私は隊長が本気であんなことを言ったとは思えません。」

「だよね...」

「そろそろ行きましょう。

先に行ったギルが心配です。」

そう言ってシエルも下へ向かった。

「俺達も行こう。」

「うん。」

シュンヤも思うところがあったらしく表情が冴えなかった。

シュンヤは一度支部の方を見たのちに、ナナを追って防壁外に降り立った。

 

「押さないで!順番に並んでください!」

支部の受け入れ口は居住者の列で溢れかえっていた。

一時は我先にと進む人で混乱していたが、コウタ達の呼び掛けで沈静化しつつあった。

「名前と登録番号を伝えて確認をもらってください!

エリナ、後どれくらいだ...?」

「ん、えーっと...ここまでで8割位。

多分、今並んでいる人で最後だと思う!」

「よし、じゃあ収容が終わり次第ブラッドの皆の加勢に向かってくれ。」

エリナは小さく頷くと、支部の中に戻っていく。

「全く、落ち着く暇も無いよな...」

アリサとアイギスの悲報に支部内は悲しみに包まれた。

エリナはその場で泣き崩れ、エミールも堪えきれず涙を流していた。

かくゆうコウタ自身も...

本当ならば誰もが辛い筈なのに、こうして懸命に動き回っている。

神機使いが死ぬのは当たり前だと割りきらなくてはならないのはやはり苦しい。

(これが終わったら派手に弔ってやらなきゃな。)

コウタはどんよりとした空を見上げる。

不意に袖を引っ張られ、後ろを振り向いた。

血相を変えた女性が息を切らして立っていた。

「ハァハァ...娘が...娘が居ないんです!!」

「え...!?」

女性はしどろもどろになりながら娘の容姿などを説明する。

「来るときは一緒だったのに!

目を、目を離したときにどこかに...!」

「と、とにかくここは落ち着いて!

俺が探してきますから!お母さんはここで待っていてください!

もしかしたら戻ってくるかもしれません。」

そう言って、その場を他の神機使いに任せ、その母親と共に支部の中へ戻る。

「どうした?」

中で待機していたリンドウが駆け寄ってくる。

彼女をエリナに預け事情を端的に話すと、リンドウは手元の登録表を見て険しい顔をする。

「マズイな...彼女の家は防壁の近くだ。

もしかすると防壁を越えてきたアラガミに巻き込まれるかもしれん。」

いつ前線が突破されるか分からない以上、一刻の猶予も無さそうだった。

「俺、探しに行ってきます!」

「待て、俺も行くぞ。ソーマ!ここは頼む!」

先の混乱で負傷した住民を手当てしていたソーマは、リンドウの呼び掛けに手をあげて応えた。

「エリナ!エミールと協力して住民の受け入れを続けてくれ。」

戻ってきたエリナにそれだけ告げて、二人は居住区へと駆けていった。

その姿を見てエリナは拳をグッと握りしめた。

「よし!私も頑張らないと...!」

あえて言葉にして口に出して自らを鼓舞する。

ブラッドの皆やコウタやリンドウ達を見て、悲しんでばかりはいられないと思った。

全部終わったらまた心よくまで泣いてやろうと決心した。

それまでは何があろうと気を強く持ってやる。

神機使いは人々の希望なのだから。

「ほら、行くわよエミール!

いつまでもショボくれてんじゃないわよ!」

「うぉぉぉ!?」

見るからに落ち込んでいるエミールの襟をグイッと掴んで引っ張っていく。

そう落ち込んでばかりはいられないのだ。

長い一日は始まったばかりなのだから。

 

 

+++++

 

 

アナグラ ブラッド区間

 

 

簡素なベッドに腰掛けクロサキはフゥと一息つく。

部屋はキレイに片付けられている。

身辺整理は済ませもうこの部屋に自分の痕跡はほとんど残っていない。

クロサキは立ち上がり机に向かう。

電話をとろうとして一瞬躊躇する。

「....」

『彼女と話さなくて良いのか?』

クロサキはそのまま電話を元の場所へとしまう。

「良いんだ。話したいことはこの前話した。

それに、リッカは絶対にオレのことを止めるだろうからな。

今極東に戻ってこられても困る。」

『本音は決心が鈍るからか?』

「どうだろうな?」

クロサキは肩をすくめて苦笑いした。

部屋をもう一度見渡して電気を消そうとする。

『さっきの話。』

「ん?」

『お前は結局何の為に戦うつもりなんだ?』

クロサキはその場に立ち止まる。

『あの男が言っていたことは正しい。

人間ってものは愚かで強欲でそれでいて脆弱だ。

そんなやつらの為にお前は戦えるのか?

本当にお前の意志で戦えるのか?』

 

『お前の自己犠牲に価値はあるのか?』

 

しばしの沈黙。

クロサキは静かに笑って言葉を返す。

「価値なんてねぇよ。

オレはいつだって自分のために戦ってる。

それが偶然みんなのためになっちまってるだけだ。

オレにとっての自己犠牲は自己満足なんだぜ?」

そして今回もだ。

『なるほどね...』

「迷惑だったか?」

『そうだなオレはかなり迷惑だ。

でも、悪いとは思ってない。』

「じゃあ、最後まで付き合ってくれよ。

オレの自己満足にさ...」

『最初からそのつもりだ。』

クロサキは部屋の電気を消した。

戻るつもりの無い部屋を後にする。

 

『オレはお前で、お前はオレなんだからよ。』

「フッ...じゃあいっちょ世界救ってきますか。」

 




というわけで、次回から本格的にクライマックスだ!!
頑張って考えなくちゃ...
感想もいつも通りお待ちしてます!!
それではまた次回!サラダバー!!

恒例の雑談コーナー
1.”始めました”
この度Twitterを開設しました。
といっても他の人ほど慣れてはいないので、結構手付かずになるかも...
よろしければフォローしていただくと幸いです
名前はそのままなのでVekter@アイギスで調べればたぶん出ます。

2.”次回作”
さてそろそろ次回作を考えなくてはなりませんね。
活動報告で初期案を掲載しております。
ぜひ皆さんの意見もお聞かせください。
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