黒雪姫「・・・・・遅い。」
黒雪姫は呟いた。
零途と再開した次の日。
今日は休みなので、ニコとパドに会いに行くであろう零途と、偶然を装ってニコとパドがいる店まで一緒に行こうと思ったのだが。
零途の家から店までの道で待ち始めて、1時間。
零途の姿はない。
帰ろうかと思ったが、二年ぶりに会ったのだ。
もう少し零途と一緒にいたいという、思いの方が強い。
黒雪姫は、もう少し待つことにした。
────────────────────────
その頃、零途は。
チユリ「いままで何処にいたのよ!!!」
零途「親の事情で大阪にいた。」
タクム「嘘だね。大阪は、チユと隅々まで探したよ。」
零途「あれ?これってデジャヴ?」
ファーストフード店で、ニコとパドに会おうと二人がいる店に行っている所を、偶然会った、チユリとタクムに黒雪姫と同じ質問を投げられていた。
タクム「で、何処にいたんだい?」
零途「秘密だ。」
チユリ「嘘を言っておいて、秘密だなんて、通用しないわよ。」
チユリが零途を睨む。
零途「まあまあ、そんなに睨むなって。久し振りに会ったんだ。積もる話をしようじゃないか。」
チユリ「・・・わかった。」
チユリは睨むのを止め、笑顔で零途に言った。
チユリ「お昼ご飯奢ってくれたらね。」
零途「・・・ここでだからな。」
────────────────────────
黒雪姫「・・・・・・・・。」
零途を待ち始めて一時間半。
黒雪姫は待つのを止め、零途に怒りを覚えながら、歩きだした。
────────────────────────
ピンポーン
黒雪姫が、家のインターホンを鳴らす。
黒雪姫の前にあるのは、零途の家だ。
まだ家を出ていないと思ったのか、零途の家まで零途を呼びに来ていたのだ。
インターホンを鳴らすが、応答はない。
寝ていても、何回も鳴らせば起きると思ったが、応答がない事から、零途はもう家を出ているらしい。
零途を待ち伏せしようと、黒雪姫はニコとパドがいる店へ向かった。
────────────────────────
チユリ、タクムと別れた零途は、ニコとパドに会うため、二人がいる店に向かった。
家を出たのは、11時。
今は3時なので、結構話し込んでしまった。
零途は、歩くスピードを早めた。
────────────────────────
零途は、今ニコとパド。
二人がいる店の前にいた。
店の中では、女子がいかにも好きそうなスイーツが並んでいる。
二人に会えば、確実に黒雪姫、チユリとタクムと同じ質問をされる事だろう。
零途は深呼吸をして冷静になり、覚悟を決めて、店に入った。
店に入ると、多くの女性客がスイーツを食べていた。
そこで零途は周りを見渡してある人物を探す。
その人物を見つけ、零途は声をかけた。
零途「おい、パド。」
零途の声に、メイド服のパドは振り返り、零途を見て驚いたように目を見開いた。
しかし、すぐに無表情に戻り零途の手を引いて店の奥へ向かった。
────────────────────────
ニコ「おい零途。お前何処にいた。」
予想していた質問がニコの口から出てくる。
その横には、パドが座っている。
零途「大阪にいた。」
パド「大阪は皆で探した。」
この返答も、予想通りである。
零途「秘密だ。」
ニコ「そんなのが通用するとでも思ってんのか?」
ニコがクリームの付いたフォークを向けながら零途を睨む。
零途「今は、まだ話せないけど、いつか必ず話す。」
ニコ「本当だろうな?」
零途「ああ。」
ニコ「・・・・・わかった。今は勘弁しといてやる。」
そういうと、ニコはフォークを皿に置き、零途に笑顔を向けた。
ニコ「パフェ奢ってくれたらな!!」
零途「またこのパターンか。」
零途は頭を抱えた。
その瞬間、部屋のドアが勢いよく開いた。
振り向くと、そこには明らかに不機嫌そうな黒雪姫が。
黒雪姫「・・・・おい。」
零途「な、なんですか?」
思わず敬語になってしまう。
黒雪姫「何故ここにいる。」
零途「な、何故って。ニコとパドに会いに来たんだよ。」
黒雪姫「・・・私が待っていたのも知らずに・・。」
黒雪姫が呟く。声が小さいため、零途には聞こえていない。
黒雪姫「零途君。パフェを奢ってくれ。」
零途「何故に!?」
黒雪姫「心配させた罰だ!!」
零途「理不尽だあああ!!!!」
零途は叫んだ。