ハイスクールD×D 碧の断罪者   作:まるきゅー

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さあ、『彼』と「彼」の力の一端が見れますよ。

では、どうぞ。


ゆるやかに

暴力の世界というものがある。

 

力こそが全ての、弱肉強食どころか強肉強食の過酷な世界でのみ生きる人外クラスの連中が住まう世界で、悪魔、堕天使、天使の三大勢力に加え、古今東西のあらゆる神話勢力からも忌み嫌われ、忌避され、恐怖される『人間』たちが集う人外境。

 

冥界でも天界でも無く、神界でもない。人間界にのみ根を張る彼らは、様々な組織や集団に属している事が多い。

 

その中でも特に、主だって強力で危険で、同じ暴力の世界の住人からさえ忌み嫌われる十三の組織がある。

 

圧倒的な戦闘能力を誇る《殺し名》七名、あらゆる戦闘を拒否する非戦闘集団である《呪い名》六名。

 

殺し名、序列第一位。《殺し屋》更級(さらしな)禍劇団。

 

殺し名、序列第二位。《暗殺者》葛籠(つづら)集。

 

殺し名、序列第三位。《殺人鬼》玖賀(くが)一族。

 

殺し名、序列第四位。《始末番》薄氷(うすらい)連隊。

 

殺し名、序列第五位。《虐殺師》差森(たがもり)司令室。

 

殺し名、序列第六位。《掃除人》神吹(かみぶき)正忌庁。

 

殺し名、序列第七位。《死神》風凪(かざなぎ)探査官。

 

呪い名、序列第一位。《操想術師》更科(さらとが)診療所。

 

呪い名、序列第二位。《武器職人》九十九(つくも)商家。

 

呪い名、序列第三位。《病毒遣い》薄明(はくめい)旅団。

 

呪い名、序列第四位。《飼育員》嗣森(つぐもり)訓練場。

 

呪い名、序列第五位。《死配人》墜吹(ついぶき)製作陣。

 

呪い名、序列第六位。《予言者》仇凪(あだなぎ)徒党。

 

他とは一線を画し、比類すらおこがましい程の力を持つ彼らは、まさしく「人間」という種の中でも飛び切りの実力を備えた集団だ。

 

だが、常識を埒外とする彼らでさえも、足下にも及ばない馬鹿げた力を持つ人物がいる。

 

その名は多岐に渡り、その異名は数多あり、その伝説は留まらず、その力は際限が無い。

 

曰く「最強」。曰く「無敵」。曰く「無敗」。曰く「必勝」。曰く「頂点」。

 

《人類最上》、六色伊式。

 

彼に関する武勇伝は数多く存在し、その全てが非常識という言葉では計り知れない程に常軌を逸する。

 

「アンチ・マテリアル・ライフルの直撃を喰らっても平気だった」、「RPGを十発連続で撃ち込まれても傷一つ無かった」、「海に落とした腕時計を深海まで探しにいって回収してきた」、「スカイツリーから飛び降りても無傷だった」ーーーなどなど。

 

限界や制限といった概念から、程遠い逆位置に存在する人間、それが六色伊式なのだ。

 

そして余談だが、彼を少しでも知る人間は、口を揃えて彼をこう評価する。

 

ーーーーーー「気の短い核兵器」、と。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

影から影へ、隠から隠へ、裏から裏へ。

途切れる事無く火薬を詰め込み、途絶える事無く炸薬を撃つ。

丸を描いて線を引き、

円を描いて点を打ち、

球を描いて道を穿つ。

刃の貴兄に大刀を、銃の貴兄は弾丸を。

卑屈なぼくから、素敵な二人へ、最大級の加護があれ。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

学生服に学帽という時代錯誤も甚だしい衣装に身を包んでいる男ーーー烏丸鈍色(からすま にびいろ)は、困惑していた。

 

否、焦燥と恐怖と、生命の危機に直面していた。

 

原因は、今目の前にいる、ガラの悪い若者にあった。

 

鈍色はある仕事を受けて、この街にて活動をしていた荒事屋だ。金を貰って争い事に参加し、手を貸す事で生計を立てている傭兵紛いのプレイヤーだ。

 

一応暴力の世界の住人ではあるものの、まだ実績も経験も無い素人同然の扱いをされてきた。だが、この仕事を完遂させれば、自身の名が大きく売れる事を、鈍色は確信していた。

 

彼の雇い主によれば、『上手く事が運べば、魔王や神にも劣らぬ地位につける』らしい。自前で雇い主の事を調べたが、どうやらそれだけの計画はあるのは間違いなかった。

 

暴力の世界という、いつ死ぬか分からない場所で名を上げる為に、鈍色はこの仕事を受領した。

 

「だ、だが………こんなふざけた、人間がいるなど」

 

聞いていない。そう言う前に、眼前の伊式が動いた。

 

予備動作無しの跳躍で、軽々と十メートルを越える高度にまで跳び上がった彼は、みしいッ、と右の拳を握り締め、

 

「ーーーーーー《星砕き》」

 

力任せにぶん殴った。

 

躱せたのは奇跡だった。受け身の事など忘れ、ただその場から離れる為だけに前へ転がり飛んだ。

 

刹那、背後から星を砕いたかのような破壊音と、背中から暴烈な衝撃の余波が吹き荒れた。

 

常識外の威力を秘めた右ストレートは、公園の舗装を易々と打ち砕き、その先の地を抉り、その奥(・・・)にまで風穴を開けていた。

 

隕石でも衝突したかのような惨劇を目の当たりにし、鈍色にかつてない戦慄が走る。

 

ーーーこいつは、何だ(・・)

 

ーーー人間なのか?

 

「く、う………ふ、不明瞭」

 

恐怖で震える膝に力を入れ、何とか立ち上がった鈍色は、人外としか思えぬ暴力を振るう伊式に問いを投げた。

 

「不可解、不理解、不確実。貴様、何者だ。此方側の(・・・・)住人なのか、否か。いやーーーそもそも人間なのか」

 

「あぁ?んなの見りゃわかんだろおっさん。人間だよ人間。紛うことなき、な」

 

心外、といった風に肩を竦める伊式。余裕ぶったその態度と立ち振る舞いから、鈍色は彼を漸く『一般人』から『排除対象』へと認識を改める。

 

学生服の内側に仕舞われている短銃身式散弾銃(ソウドオフ・ショットガン)に右手を添え、にやにやと笑いながら此方を見据えている伊式の動きを注視する。

 

(僅かな隙を突き、一気に近づき、そこにショットガンの零距離射撃を撃ち込む。暗殺用の改良拳銃では貫けぬ程に頑強な肉体であろうと、極近距離戦において真価を発揮するソウドオフ・ショットガンの直撃ならば、容易く殺せる筈ーーー)

 

ーーーそう、それが普通(・・)だ。

 

伊式はこれまでに、鈍色から五発の弾丸を眉間に喰らっている。尋常ならざるスピードで、かつ猛然と襲いかかる伊式に対して、それだけの数の鉛玉を撃ち込んだ鈍色の実力も相当なものだが、しかし実際は伊式に毛ほどのダメージも与えられてはいない。

 

「…………なぁ、」

 

と、そこで。

 

件の伊式が、変わらずの笑みを浮かべたまま口を開いた。

 

そこを見逃さず、鈍色は躍動する。

 

「ーーーーーーッッ!!」

 

一歩で数メートルの距離を掻き消し、二歩目で伊式の懐に入り、三歩目でショットガンの銃身を、開きかけたその口腔に無理矢理ねじ込む。

 

そして、間髪入れずに射撃する。

 

ずがんッ(・・・・)!!、と。重厚に過ぎる発砲音が公園に響き渡り、散弾の高い破壊力を口の中に直接叩き込まれた伊式が吹っ飛ぶ。

 

仰け反り返り、台風に巻き込まれた紙切れのようにもんどり打ちながら地に倒れた伊式は、ピクリとも動かずに寝そべったままだ。

 

いや、ただ普通に、死んだだけなのかもしれないがーーー。

 

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」

 

荒い呼吸を繰り返しながら、何とか息を整える鈍色。自分でも想像以上に精神的に追い詰められていたらしい。

 

「は、はは、はあ………流石に、散弾銃は耐えられんようだな」

 

当然。どこの世界にショットガンの零距離射撃を真っ正面から喰らって生きている奴がいるのか。いるのだとしたら是非とも顔を拝みたいものだ。

 

そう内心で勝利の余韻を味わいながら、鈍色は目の前で倒れ伏した少年について思案する。

 

(どうやら、一般人であったようだが………人払いの結界を抜けていた所から察するに、どうやら何かしらの力を持った人物か。確か、『神器(セイクリッド・ギア)』なる能力が人間には宿ると、雇い主が言っていたが…………)

 

「無為。考えても栓無き事か」

 

そう呟き、その場を立ち去ろうとしたその瞬間。

 

 

 

 

「ーーーーーーなぁに殺した気になって、マイホームに帰ろうとしてんだよ中年」

 

 

 

 

またもや背後から聞こえたその声に、ピタリと足が止まる。

 

止まる。

 

止まってしまった。

 

「あー痛え………ショットガンってこんなに痛いんだな。まるで蚊に刺されたような気分(・・・・・・・・・・・・・・)だぜ。おい中年、お前、殺人は犯罪なんだぞ。法律って知らねーのかよ、ほーりつ。ぶっ殺すぞ」

 

ゆらり(・・・)と。

 

生き返った屍のように緩慢な動きで、しかし溢れ出る莫大な力を内包した動きで、六色伊式が立ち上がった。

 

「ば、馬鹿な………!!」

 

鈍色は叫ぶ。

 

「否定!有り得んーーーショットガンの直撃を口内に喰らって死なぬというなら、貴様な如何様にすれば生き絶えるというのか!それだけの鉛玉を浴びているのだから、さっさと()ねば良かろうが!!」

 

「ああ?どうやったら死ぬか?んなのーーー死ぬ時に死ぬだけだろ」

 

馬鹿じゃねーのかアンタ。

 

そう嘲り、右肩をぐるんぐるんと回しながら、一歩一歩で近づいてくる伊式。

 

拳銃でも死なず、散弾銃でも傷一つ無い。

 

およそ人間とは断じ難いふざけたスペックを有する彼に対し、鈍色ができる事は最早無かった。

 

「ていうかお前ーーー身のこなしからして、暴力の世界の住人だろう?だっつーのに、銃器なんかを使うとか素人同然じゃねーかよ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。そんな使い物にならない武器で武装した気になってっから、モブキャラ扱いされて死ぬんだよ」

 

「ぼ、暴力の世界だとーーー貴様、まさか此方側だと言うのか!」

 

「ああ?俺をしらねぇとか、モグリじゃねーのお前」

 

やれやれ、といった風に頭を振る彼は、腰に手を当て、胸に手を添え、堂々と、誰に憚る事もなく、鈍色どころか世界に対して宣告するかのように大仰に答えた。

 

 

 

 

「知らねーんだったら覚えとけ。最強無敵に不敗必勝。快刀乱麻に一刀両断、文武両道に隙は無し。智勇兼備で眉目秀麗。定石常道常識平凡平坦平均が大っ嫌いのーーー《人類最上》の人間、六色伊式だ」

 

 

 

 

 

これ程までに唯我独尊に過ぎる自己紹介はかつてあっただろうか。

 

よく透き通る若者らしい溌剌とした声音で、高らかに己の存在を晒した伊式に対し、鈍色は眼前の少年が如何な化物なのかを、事ここに至って漸く知った。

 

曰く、「不死身」。

 

曰く、「無双」。

 

曰く、「天災」。

 

曰く、「人類の極致」。

 

人間という種を、とことんにまで突き詰めた結果の、一つの答え。

 

人間という種を、限界以上に昇華させた末に起こる、一つの応え。

 

人類の可能性の最果て、その向こう側(・・・・)に手を伸ばした解答。誰よりも上に存在し、誰よりも高みに存在し、自らの居る場所を強制的に、登場人物(・・・・)が並び立つ『舞台』へと変えてしまう埒外の中の埒外。

 

《断罪の碧》ーーーーーー六色伊式!

 

「な、何故、そんな、大物が、こんな辺境の街にーーー」

 

「ああ?辺境とか言うな辺境とか。いい街だろうがよ、ここ」

 

右肩の回転を再開させながら、ついに鈍色の目と鼻の先にまで接近した伊式。

 

鈍色はそれに、目の前に存在する彼に、心臓を鷲掴みにされたかのように動けない。

 

動けない。

 

「まあーーーどうも俺のエロ友を殺ったのはお前じゃなさそうだし、てめえには俺の話を聞かなかった罪として」

 

ーーーデコピンの罰を与える。

 

「で、デコピンーーー」

 

「指弾きだと甘く見んなよ?いっとう最弱の力でやるとはいえ、行うのが()だからなーーー百メートルかそんぐらいは、覚悟しろよ?」

 

一体何が百メートルなのか、それを語らずに、凄惨な三日月型の笑みを浮かべながら、足が竦んで動けない鈍色の額にデコピンの構えを取り。

 

「ーーー《岩砕き》」

 

岩をも破壊する、常識を外界に叩き出す威力のデコピンが炸裂した。

 

鈍色は問答無用に吹っ飛び、まるでそれ単体で弾丸と化したかのように錐揉みしながら、公園の敷地を越え、その先にあるビルの窓ガラスを叩き割り、更に勢いのまま反対側の窓ガラスからビルを貫き、漸く地面に落下した。

 

奇しくも、否、恐らくは狙ったのだろうが、宣言通りに『百メートル』ぴったりに吹っ飛んだ。

 

周辺一体に人払いの結界が張ってなければ大事(おおごと)になっただろうが、鈍色も一応は裏側の世界に生きるプレイヤーなのだから、そういったフィールドの作成はしてあるだろうと、伊式は後処理や事後処理などをせずに、戦闘の余波でまた別の場所に転がってしまった一誠などにも目をくれずに、公園から立ち去った。

 

「やーれやれ、『あいつ』だけでもこの街のプレイヤーの濃度は濃過ぎるってのに、これ以上高めんなっての……………動いたら腹減ったな、さっさと家に帰って飯にしよう」

 

喉が渇いたから水を飲みに公園に立ち寄った。

 

本来の目的を忘れて、公園をめちゃくちゃに荒らして壊した彼は、のんびりと帰路を歩む。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

伊式が公園を去り、既に自宅であるボロアパートに到着した頃。

 

烏丸鈍色は、額を中心に全身を苛む痛覚とショックに、ギリギリのラインで堪えながら、ビルとビルの間に出来てある入り組んだ路地裏を、壁伝いに歩いていた。

 

いやーーー。

 

正しくは、引き摺り彷徨ってーーーだろうか。

 

「く、がはっ………はっ、ぐぅ………」

 

血反吐を撒き散らしながら、大分深まった場所で、ずりずりと倒れるようにビル壁に背中を預けながら座り込む。

 

汚れているとか、地面に放ったらかしにされてある油やよく分からない腐臭が漂う液体やゴミ類なども気にならない程に、鈍色が伊式から受けたダメージは甚大の一言に尽きた。

 

「危険………そうだ、奴は危険だ……………まずは、雇い主と、連絡を取って、例の教会で、一度合流しなくてはーーー」

 

うわごとのようにブツブツと呟きながら、学生服を弄り、スマートフォンを取り出す鈍色。

 

改造してあるそれの三重ロックを、蟻の歩みのようにのろのろと解除し、耳に当て雇い主に通話する。

 

だが、しかし。一向に繋がらない。

 

それどころか、コール音さえ鳴らないーーー。

 

「戯け………携帯電話としての役割すら果たせんのか……!?」

 

コール音すら鳴らない通話機器に、苛々が募った彼は、耳に当てていたそれを目の前に持っていき、

 

 

 

 

真っ二つに切断されたスマートフォンを目撃した。

 

 

 

 

「なっ………!?」

 

体中を蝕むダメージも忘れ、弾かれたように携帯電話を手放し、その場から一気に飛び退く。

 

そこで漸く、鈍色は路地裏の更に奥深くから、何者かが近づいてきている事を知覚した。

 

顔立ちはよく見えないが、恐らくは先の六色伊式と然程変わらぬような、少年と青年の中間辺りの男子のようだ。

 

青いノースリーブのシャツに、暗い紺色のジーンズ。水色のリストバンドを両手首に。

 

黒いブーツに、無造作に伸びた黒髪を色眼鏡で掻き上げるようにして固定し、溌剌とした黒の瞳を備えている。

 

「なあーーーちょいと道を聞きたいんだけどよ」

 

水色の少年は言う。

 

「ああ勘違いしないでくれ。俺は別にアンタに人生の道や徳とかを聞きたいわけじゃあ無い。少しばかり、深いトコにまで来ちまったみたいでよ。大通りまでの帰り道、教えてくれねえか?」

 

「……………沈黙。貴様の事情など、知る所では無い」

 

若々しい声で話しかけてくる水色の少年に、鈍色は心底から震え上がらせるつもりで、低く厚みのある、殺気を込めた声で応じた。

 

苛々ーーーである。

 

《人類最上》が相手だったとはいえ、彼はついさっき、仕事を派手に失敗してきたばっかりなのだ。

 

「再言。貴様の事情など、知らん。警告。もしもそこから近づいてきた場合、殺す」

 

しかし、常人では縮み上がり、卒倒するレベルの脅しも、水色の少年には全く効かなかった。

 

「って言われてもなぁ………これじゃあおちおち飯も食えない。なあ、人を助けると思ってさあーーーって、うん?おいアンタ、怪我してんじゃあねえか。ちょっと見せてみろよ。俺、傷とか治すの得意なんだーーー」

 

そう言って。

 

一歩。彼に近づいた少年に対し、鈍色は一瞬で肉薄する。

 

(宣言はした。警告はした。恨むなら、自分を恨めよ、一般人ーーー)

 

手には、先の伊式戦でも使用したソウドオフ・ショットガン。両手に構え、少年の腹部から内臓を微塵に引き裂いてやるーーーそんな、殺人の考えをしながら接近した彼に、果たして、《水色》の少年の言葉は聞こえていただろうか。

 

「やれやれーーーこれだから素人のプレイヤーは嫌いなんだ。まあ、仕方ない。敵対者には容赦はしない。それが『俺ら』のやり方だ。惨めったらしく殺してやる」

 

両手をポケットに突っ込んだ少年は、薄く三日月型に裂かれた笑みを浮かべ、言った。

 

 

 

 

「殺して崩して引き裂いて、廻して遊んでーーーーーー捨ててやる」

 

 

 

 

瞬間、鈍色の肉体がバラバラになった(・・・・・・・)

 

「悪くも思わないがよーーーアンタの意図は、ここで切れる」

 

頭部が、胸部が、腹部が、肩が、腕が手が指が腰が尻が脚が足が、次々と順番待ち通りに規則正しく、等しく輪切り状になって、断割された。

 

烏丸鈍色は、最早、何も言わない。

 

言えない。

 

そもそも口すらもーーーバラバラに、されてしまっているのだから。

 

「ったく、裏側の住人なら、俺の顔ぐらいは知っとけっての。しかも、たかが(・・・)銃器程度で武装した気になってやがるしよーーー」

 

たった今、一人の人間を惨殺したとは思えない程に気楽そうに呟いた水色は、ゆったりと路地裏を歩いていく。

 

彼の名前は、玖賀出流(くがいずる)

 

常識外の戦闘技能を持つ《殺し名》の中でも、最も忌み嫌われ、避けられる集団。

 

序列第三位《殺人鬼》。玖賀一族。

 

その、族長である。

 

 




いかがでしたか?二人とも三日月型の笑みとか怖いですね。

感想、御意見、いつでも歓迎です。
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