仮面ライダー鎧武外伝・仮面ライダー斬月×戦姫絶唱シンフォギア 作:クロウド、
「済まないな、皆。付き合わせてしまった」
「いえ、こっちが勝手についてきたわけですし」
「そういうことだから気にすんなよ、兄貴」
貴虎の申し訳無さそうな言葉に未来と奏が答える。
ある日、貴虎はある墓の掃除に来ていた。そこへ、話を聞きつけた奏、翼、響、クリス、未来がついてきたのだ。
「しかし、アンタも物好きだよな。自分を裏切った人間の墓を作って、それを掃除に来るなんて」
「おいっ、雪音!」
クリスの無遠慮な言葉に翼が注意をするが、彼女も本心ではクリスとは同じ思いだった。
墓に刻まれている名は―――『戦極凌馬』。貴虎と同じくこの世界に飛ばされた、かつて貴虎と理想を語り合った戦友であり、自身を裏切り世界を大混乱に追いやった大罪人。
そんな人間の墓を、よりにもよって裏切られた本人が掃除に来ているなど……笑い話にもならない。
「―――自分でもそう思うさ。それでもかつては背中を合わせた男だ。これくらいはしないとな」
道は違えてしまったが彼のドライバーがなければ人類はなんの抵抗もできずオーバーロードに蹂躙されるのみだっただろう。そのことに関しては心の底から感謝している。
「ふ〜ん。まっ、貴虎がいいならそれでいいんじゃないか」
貴虎の返答にクリスは呆れた様子で答えた。
「でも、マリアさんたちにも声をかけなくてよかったんですか?」
響の質問は最もだった。貴虎が二課を拠点としていたように凌馬はF.I.Sを拠点としていた。貴虎のように装者との関係は良好ではなかったが。
「彼女たちは……凌馬にいい感情を持っていないだろう、連れてきても不快にさせるだけだ」
「―――そうでもなさそうだけど?」
奏の言葉に貴虎は彼女が見ている方向を見る、そこには、
「あら?」
「皆さん!」
「……こんにちは」
「デース!」
マリア、セレナ、調、切歌の元F.I.Sの装者達がいた。マリアの手にある花束からして、貴虎達と同じ理由ということは明らかだった。
「意外だな、君たちからここに来るとは」
「……あんな人でも元仲間でセレナやマムの命の恩人だもの」
「………今でも嫌いだけど」
「同感デース!」
「調さん!切歌さん!」
マリアは含みのある笑みを浮かべ花束を墓に供え、不謹慎な調と切歌の言葉にセレナが注意を飛ばす。
「ふっ、あいつは嫌われる程度が丁度いいのかもしれないな」
貴虎は四人の中の凌馬の人物像に笑みをこぼしながら
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―――それは浮上してきたフロンティアに向かっていたときのことだ。フロンティアの縁、シンフォギアを纏って向かう翼達と、サクラハリケーンで突っ走る貴虎を赤いエネルギーの矢が狙い撃ちされる。
「狙撃だとッ!?」
「この攻撃は……!」
貴虎達が止まると、彼らの目の前に赤いアームズを纏ったデュークが現れる。
「凌馬……!」
「流石だね、貴虎。神獣鏡を止めるとは。まぁ、ヘルヘイムの力は魔に属するものじゃないから君になら止められると思っていたが」
ゲネシスドライバーのロックシードを閉じ変身を解除した戦極凌馬が微笑を浮かべながら貴虎に話しかける。そして、響を背負った調をその視界に入れる。
「おやおや、本当に調君もそっちについたのか。」
「プロフェッサー……。」
「いやぁ、非常に残念だよ……まぁ、君がいなくなっても計画に支障はないから構わないんだけどね」
「―――お前たちは先に行け」
ドラゴンフルーツエナジーロックシードを構えながら貴虎に視線を向ける、調は勿論、他の装者たちは眼中にないとでも言いたげだ。それに答えるように貴虎もスーツの上着を翻し、腰のドライバーを晒し、ゲネシスコアを装着してロックシードを構え翼達にいう。
「だけどっ!」
「いいから行くんだ!」
反論しようとした響の声を貴虎が有無を言わさずかき消した。
「響、ここは兄貴の問題だ」
「行くぞ、立花」
「―――はい。貴虎さん、先に行ってます!」
奏と翼が響を諭すと、四人は凌馬の隣を素通りし先に進んでいく。装者に興味のない凌馬はそれを無視する。
「―――決着をつけよう、凌馬」
「因縁の対決だね、友よ」
二人はロックシードのスイッチにかけた指に力を込める。
「変身」
《ドラゴンフルーツエナジー!》
「変身」
《メロン!》
《メロンエナジー……!》
互いにロックシードを解錠し、ドライバーに嵌め込む。頭上にはアームズが出現する。
《ロック・オン!》《ロック・オン!》
そして、カッティングブレードとシーボルコンプレッサーを使ってロックシードを開く。
《ソーダァ……!ドラゴンエナジー・アームズ!》
《ソイヤッ!ミックス!メロン・アームズ!天下・御免!ジンバーメロン!ハハァー!》
凌馬はアーマードライダーデューク・ドラゴンエナジー・アームズに高虎はアーマードライダー斬月・ジンバーメロン・アームズに変身すると互いに赤い弓、創生弓『ソニックアロー』を構える。
「「…………。」」
互いの間に重い沈黙が流れる。相手の間合いに入らないようにゆっくりと横に歩く。
―――そして、どちらが出したかわからないザッと言う力強い踏み込みの音が響いた瞬間、静寂は終わる。
「はあああぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
双方がソニックアローを振り上げ雄叫びを上げながら間合いを詰めようと駆け出す。
「はあっ!」
「ふんっ!」
互いの刃が交差する音が響き渡る。
「―――例え、
確かにゲネシスコアをつけた戦極ドライバーでゲネシスドライバーを倒せた例はシグルドの一回のみ、それも変身者であるシドがゲネシスライダーの中で最も実力が低かったというのが大きい。
「それはどうかな……!」
だが貴虎はマスクの下で不敵な笑みを浮かべた。
刃が弾かれあうと斬月とデュークは互いの肩に刃を押し当て、振り抜く。
「ぐぅ!」
「くっ!」
火花が散り、互いが衝撃で地面に倒れると転がり今度は距離をとって弓を引く。
「「はぁ!」」
互いが同時に放った矢を回避する。立ち上がり、並走しながら相手を狙う。斬月は連射でデュークを狙い、デュークは斬月を一撃で鎮めるようとチャージして強力な矢を放つ。そして、デュークがソニックアローを上空に向けて放つ。
「はぁ!」
上空に打たれた矢が空中でドラゴンフルーツの形を取り、分裂して雨のように降り注いでいく『ソニックボレー』を放つ。斬月はジンバーメロンの能力である、電磁バリアを展開しそれを防ぐ。
「電磁バリアか、面倒だね。だが、そんなものはこのアームズの前には無力でしかない」
《ロック・オン!》
デュークはドライバーのロックシードをソニックアローにセットし弓を引いてエネルギーをチャージする。
「ッ!」
《ロック・オン!》
それに対抗して斬月もメロンエナジーロックシードを外し、ソニックアローにセットしてエネルギーをチャージする。
《ドラゴンフルーツエナジー!》
《メロンエナジー!》
ーーー同時に発射された矢は二人の中間でぶつかり合うが、竜のオーラを纏うデュークの矢が斬月の矢を押し返す。
「くっ!」
「言っただろう?そんなものは無意味だと」
咄嗟に電磁バリアを展開するが、デュークの冷たい言葉と共にそれすらも突き破り竜の矢が斬月に直撃した。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」
ソニックアローが手を離れ斬月は基本フォームのメロンアームズへとパワーダウンしてしまう。膝を付きながらも斬月―――貴虎は近づいてくるデュークを、凌馬を睨みつける。
「―――なぜだ、凌馬!なぜあんな男の手下に成り下がった!?」
「手下になった覚えはないさ。互いに互いを利用しあってるだけのこと。君にわかってもらおうなんて思ってないさ、神になるチャンスを捨てた君のような愚かな男にはね!?」
「凌馬……!」
そしてついに斬月の目の前まできたデュークはソニックアローを振り上げる。
「―――コレでお別れだ……貴虎ぁ!!」
「ッ!」
しかし、ソニックアローを振り抜かれる前に斬月は腰の無双セイバーを抜き装填された六発の弾丸を一気にデュークめがけて放った。
「なにっ!?」
「はああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
デュークが怯んだ瞬間、斬月はメロンアームズになったときに現れたアームズウェポン、メロンディフェンダーの先端の刃『ハサイシン』でデュークの腹部に刺突を見舞う。
「ぐぅっ!!」
完全に油断していたデュークは予想外な一撃に後退る。
「―――あまり俺を舐めるなよ、凌馬っ!!」
立ち上がりながら貴虎らしくない激情のこもった言葉を放つ斬月。
「―――っ、流石だ。貴虎、だけど、そろそろ決着をつけよう」
「―――あぁ、そのつもりだ」
互いにドライバーに手を当てる。デュークはシボールコンプレッサーを二回、斬月はカッティングブレードを三回下ろす。
《ソーダァ……!ドラゴンエナジー・スパーキング!》
《ソイヤッ!メロン・スパーキング!》
ロックシードのエネルギーがそれぞれに武器の刃がそれぞれのアームズの色に染めていく。そして、刃が完全に染まると、
「凌馬ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「貴虎ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」
―――互いに駆け出す。
走る途中、斬月はメロンディフェンダーを投げつけるが、デュークはそれを物ともせず切り飛ばし眼前に迫る刃を迎え撃つ。
「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」
「うおぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
―――緑と赤の刃が交差した。
「「………………。」」
しばしの静寂、先に膝をついたのは
「うっ……!」
―――斬月だった。
だが、
「ぐうっ!」
彼の刃はデュークの腹部に突き刺さっていた。
「―――俺の勝ちだ、凌馬……!」
無双セイバーを引き抜くと凄まじい火花とともにデュークの変身が解除された。
血が流れる腹部を押さえながら後退る、凌馬。だが、敗北したにもかかわらず凌馬の口に浮かんでいたのは―――満足そうな笑みだった
「やっぱり、君は凄いな……貴虎。流石は僕が…一度は見込んだ男だ」
「凌馬、お前まさか最初から……」
「馬鹿……言うなよ。君との決着をつけたかったのは本心だ。……僕が一度は神にしようとした男を僕自身が倒したかった。ただそれだけだ」
口から血を流しながらも力を振り絞ってゲネシスドライバーを外し、懐から取り出したなにかとともに貴虎に投げ渡す。
「ほら……戦利品だ。受け取りなよ」
渡されたのはUSBメモリと―――ギアペンダントだった。
「これは……。」
「甘ったれた理想論を振りかざす君のことだ、どうせ……彼女たちも救うと言うに、決まっている。そのために……ガハッ、絶対に必要なものだ」
フロンティアの縁に向かって後ずさりながら笑う、凌馬に貴虎の思考は疑問でいっぱいだった。
「なぜだ凌馬!?お前は、俺を……!?」
「―――ハハハ、自分でも理解に苦しむよ、僕は君を見限った、なのになんでこんななんの得にもならないことを……まぁ、元々ウェルのことは見限るつもりだったし、彼の作戦はあまりにも見苦しかったからね―――だけど、そうだな……強いて、理由をあげるなら」
凌馬は貴虎を見据え、一言こういった。
「―――僕の才能を初めて認めてくれた人間が君だったからかな」
その言葉を最後に凌馬はフロンティアの縁から海に落ちていった。
「凌馬っ!」
正気に戻った貴虎が慌てて駆け出し縁から下を見るが、既に凌馬の姿はそこにはなかった。
「……凌馬ぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
貴虎の叫びがフロンティアに響いた。
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その後、戦極ドライバーでデュークに変身し生き延びていた凌馬がウェルの手によって月に射出されそうになったナスターシャを救ったが、代わりに月に衝突した凌馬は今度こそ息を引き取った。この墓は貴虎が弦十郎に頼み作ってもらった彼の墓だ。
凌馬が渡したUSBメモリの中身はナスターシャの治療におけるレポートとファイル、時限式の装者のためのLINKERのレシピ、そして、ギアペンダントは5年前のネフィリム暴走の際に凌馬がセレナのアガートラムの破片から作ったもう一つのアガートラムだった。
さすがはロックシードとドライバーを生み出した天才だ、理論を知るだけでそれを再現してしまった。
「そろそろ行こう」
「そうね」
貴虎がそう言うと面々がその場をあとにする準備をする。
「全員、このあとは時間はあるか?付き合わせてしまったお詫びに昼食でも奢ろう」
「いいんデスか!?」
「あぁ」
「やったー!」
「響、はしたないよ?」
「はしゃぐな、バカ!」
「……私、メロンパフェが食べたい」
「月読、なぜ私を見てそれを言うんだ?」
そんなにぎやかなやり取りをしながら、貴虎達は凌馬の墓をあとにする。
「…………。」
貴虎は少し離れたところで凌馬の墓を振り返る。
(凌馬、俺はお前が残してくれた力で必ずこの世界を守る。たとえそれが、お前の意思でなくてもだ)
―――貴虎は心のなかで亡き友にそう誓い守るべき少女達の背中を追った。
最後はいい人風にした凌馬さん。
感想、待っとります。あっ、評価もね