遊戯王に転生したら何か百合ハーレムになった   作:雹衣

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今回かなり短め
デュエル無し


第3話

「え、記憶喪失ですか?」

「え、えぇ……」

 

 俺の言葉にナオミがポカンという表現が見事に当てはまる表情になる。そうだよね~そういう表情になっちゃうよね……と頭の中でこの捏造設定に頭を痛めながらも、話を続ける。

 

「実は全然分からないの。名前とか、出身地とか……」

「え、じゃあ住む場所とかは」

「あ、それは有る。目が覚めた時に居た部屋で、自分の部屋か分からないけど」

「は、はあ……?」

 

 ナオミに不信と不安の目を向けられ、一瞬たじろぐ。が、ナオミの表情が急に何か思い付いたような表情に変わる。

 

「そうだ!お姉さん、PDAは持っていますか?」

「PDA?」

「はい!えっとこんな形の機械なんですけど……」

 

 そう言いながらナオミが取り出したのは俺がスーツケースの中で見掛けた棒状の機械だった。長さは手からちょっとはみ出るくらいで、細い。俺は頭の中でかなり持ちやすそう……なんて感想を抱いた。

 

「このPDAには個人のプロフィールも入っていて身分証明も出来るんです」

 

 そう言いながら、棒の側面に付いている小さなボタンを押す。すると棒から横にゲームの画面ようなものだけが浮いて現れる。何というかSFとかでよく見る、宙に浮く画面である。

 それをナオミは指で触ってラクラクと操作していき、「はい」と俺に見せてくる。画面には「大庭ナオミ」という名前から誕生日、住所、デュエルの戦績等、大事な情報がはっきりと書かれていた。

 

「これをお姉さんが持っていれば名前とか分かるし、アタシと連絡が取れるんですけど……」

「それなら確か部屋に有ったわ」

 

 あの棒状の機械にはこんな機能が有ったのか。あれを使えば俺の名前なんかが分かる……神様はしっかりと考えてくれていたみたいだ。

 なんて俺に前々から感謝と罵倒をされている神様に頭の中で少し謝るとナオミが急に椅子から立ち上がる。

 

「じゃあ、今からお姉さんの部屋に行きましょう!」

「え?」

 

 急に何を言っているのだろうかこの子は。俺がナオミの発言に思わず目を丸くしていると更に彼女が言葉を付け足してくる。

 

「お姉さんの部屋にPDAが有るんですよね?ならそこに行けば良いんですよ!」

「まあ、そうでしょうけど……」

 

 自分の名前はそうすれば判明する……だが何故俺の部屋に一緒に入るという結論になるのだろうか。知り合ったばかりなのに色々階段を飛び越え過ぎではないか?

 それに俺の部屋はデッキを作る時に出したカードが放置されていたはずだ……その中には「No.56 ゴールド・ラット」みたいなエクシーズモンスターが放置されている。これを見られるのは色々マズい。

 

「家はここからだと少し遠いし。ナオミちゃんは一緒に来ない方が良いかな~」

「え?でもそれじゃお姉さんと連絡取れなくなるし」

「大丈夫!明日の昼頃にまた私がこの辺りに居るから!」

 

 俺が焦りながらナオミに話すと、「は、はあ」と戸惑いながらも彼女納得してくれた。

 

「じゃあ、ここで待ってて下さいね。明日来ますから」

「う、うん、約束だよ?」

「はい!」

 

 俺とまた会えることが嬉しいかのように、彼女は蔓延の笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、ナオミとはしばらくとサ店で会話をした後に別れ、俺はネオドミノシティを歩いていた。サ店に居るときにナオミからショッピングモールなどの場所を聞いた(ナオミが一緒に行こうとしたが遠慮しました)ので俺は一度下見ようと向かっている。

 空はそろそろ日が落ち掛けており、夕焼けが見える……急がないと。昔の俺ならまだしも今の俺は女だ。変な事件には巻き込まれたらこの体じゃ対処は難しそうだ。

 

「良し……大体場所は分かったかな?」

 

 

 俺はナオミに教えてもらった場所を一通り周り、適当に買い物をした。買ったのはインスタントラーメンばかり。財布の中が笑えない位金が無いのでしょうがない。どうにかしてお金を稼がないと……掛けデュエルとかあるのかな?

 なんて思いながら帰る転生後初の帰路。予想以上の問題の多さに頭を痛めていると俺は誰かからの視線を感じた。

 

「……?」

 

 辺りを見渡すが、俺を見ている人影は無い。

 

「気のせいか?」

 

 180度近く違う新しい暮らしで頭が神経質になって居るのかもしれない。俺はそう結論づける事にし、再び家を目指して歩き出した。

 

「……イレギュラー発見」

 

 残念ながらその時、俺を見つめる目に気づく事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~っと」

 

 誰もいない部屋に俺は挨拶をしながら入る。どっかで「自宅に人が居なくてもまるで人が居るかのように振る舞え」って元の世界の犯罪対策に有ったのを思い出し、俺は実行してみることにした。……先程の視線は気のせいだろうけど、何か有ってからでは遅いのだ。

 

「取り敢えず自分の名前だよね……」

 

 俺は部屋の真ん中に散らばったままのカードの山を横目に見ながらスーツケースの中を覗く。

 そこに有ったのは先程ナオミに見せてもらったのと同じ、バトンを小さくしたような白い棒状の機械。PDAが有った。

 

「ど、どこで電源を入れるんだろ……」

 

 見たことのない機械に四苦八苦すること約10分。俺は何とか電源を入れることに成功し、自分のプロフィールを見ることが出来た。その時の名前は

 

「再道ユウ?」

 

 名字は「サイドウ」と言うのだろうか?何というか……かなり適当な名前というか、そのまんまというか。

 やっぱり神様は適当に転生させたようだ。そしてこの宛ての無い新人生のこれからを思い、思わずため息が1つ出てしまった。

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