紅美鈴がリリなのの世界に迷い込んだようです(仮) 作:照明弾P@ハーメルン
謎の毛玉の怪物が襲ってきたのを返り討ちにし、目の前でヘンテコな杖を持った少女が使い魔?のフェレットと一緒に怪物を封印して、お互いに漸くお話が出来そうになったときだった。
何処からか、謎の音が聞こえてくる。私は何の音か不思議に思っていると、向かい合っていた少女が慌てながら私の手を取って言った。
「と、とりあえず…一緒に来てください!」
「あ、はい。」
フェレットを抱えた少女が一生懸命この場から離れようとするのを、私は不思議に思いながら着いていくのでした。
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「美鈴さん。さっきはジュエルシードの封印に協力してくれて、ありがとうございました。」
「美鈴さん、すっごくかっこ良かったの!」
「いやぁ…。なのはちゃんにユーノ君も凄かったよ。」
現在、私こと
あの場から逃げた私となのはちゃんは、とある公園でお互いに自己紹介をした。勿論、私の事に関しては誤魔化した。まだこの世界の情報も集まってもいないのに、自分の情報だけ開示するのは私にメリットがない。それに、なのはちゃんには悪いが、まだ幼い彼女からは有力な情報など得られないだろう。とりあえずは、話のできそうな相手に会うことが必要だった。
そこで私は、自分は観光でこの地に来た者で、この辺りに疎く、気がついたらお金を掏られしまい困っているので、なのはちゃんの両親にお話をさせてもらえないか頼んでみた。
勿論、なのはちゃんは快く返事を返してくれ、現在に至るのだ。
ちなみに、高町家までの道のりの間に、私は『なのはちゃんがフェレットを抱えて夜道を一人で歩いているところを、保護した人』というように打ち合わせを行い、お互いにあの毛玉の事はなのはちゃんの両親には秘密にする事などを話し、軽く談笑をしてなのはちゃんの家に着くと、そこには十代後半の男女が玄関前にいた。
「なのは!こんな遅くに何処いって…あの、失礼ですが貴女は。」
玄関前に居た男の人がこっちに近付いてくる。どうやらなのはちゃんの家族らしい。
遅く帰ってきたなのはを心配しながら、見知らぬ私に警戒をしているようだ。
「私は、紅美鈴といいます。実は彼女が一人で夜道を歩いていたので、なにかあったら家族の方が心配するかと思い、こうして家まで着いていってあげた次第です。」
「そうでしたか。俺は高町恭也と言います。妹のなのはがお世話になりました。」
「いえいえ。おきになさらずに。」
そういって、なのはのお兄さんの高町恭也さんが私にお礼を言う。私はそんな彼に応えたとき、実に微かだが、とあるにおいに気がついた。
私が恭也さんからあるにおいに気がついた時、なのはちゃんはというと、どうやら彼女の姉らしき人に軽くしかられた後、腕に抱えていたフェレットのユーノ君の件でお姉さんが盛り上がり、家の中に連れて行くのを追いかけて家の中にはいってしまったようだ。つまり、この場には、私と恭也さんの二人だけなのだった。
「こら!なのはに美由紀…全く、すみません美鈴さん。」
「構いませんよ。それより恭也さん、一つ聞きたい事があるんですがいいですか?」
「聞きたい事ですか?応えられる限りなら。」
そう応える恭也さんに私はでは、と彼の耳元に顔を近づけて、囁き声で質問を投げかけました。
「…貴方から、あるにおいがしたんです。それも、吸血鬼の。」
「ッ!?」
私の言葉に、恭也さんの全身が強張ります。きっと驚愕しているでしょう。その結果から、この地に吸血鬼が居るのはほぼ間違いないとわかります。私はそのまま質問を続けました。
「…においからして貴方は吸血鬼ではないですから…この地に吸血鬼がいるんですよね?」
「っ……それは。」
私の言葉に、恭也さんの言葉はどんどん歯切れが悪くなります。きっと、思い浮かばないながらも、この場をどうにかしようと必死になにか考えているんでしょう。でも、私としては変に考えて時間を掛けられるのは嫌なので、彼にこう言いました。
「信じなくてもいいですけど…私の主人も、吸血鬼なんです。だから、ご挨拶くらいはしたいんですが…。」
「!……わかった。少し待っていてくれ。準備してくる。」
「ええ。かまいませんよ。」
どうやら、私の一言が有効に働いたようです。恭也さんは私をこの地の吸血鬼の所へ案内してくれるそうです。…まぁ、彼としてはそう簡単に会わせてはくれないようですが。
この恭也さんですが、どうやら何かやっているようです。しかもそれなりに強いようです。私に準備してくるといって背を向けた時に殺気ほどではないにしろ、敵意を放ってきてましたから。きっと一悶着おこす為の準備でもあるようです。
……まぁ、あの程度なら余裕ですけど。
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玄関に戻った俺、高町恭也は、急いで父の士郎の元へ足を運んだ。
「父さん。」
静かに、しかし素早くリビングに向かい、なのはにお願いをされている父、士郎の元に駆け寄る。
「ん。どうした恭也。そんな血相をして。」
父の言葉に、俺ははっと自分の頬に手をあてる。どうやら、自分でも気づかない内に随分と表情が強張っていたようだ。他のみんなも俺の表情を見て不安げな表情をみせる。
俺は軽く頬を揉んでほぐし、勤めて普段の表情で父へ言った。
「ああ。実はなのはを送ってきてくれた人が、父さんに聞きたい事があるって。」
「そうか。それじゃ待たせてはいけないな。なのは、ペットの件はまた後でな。」
父はそういってリビングを出て俺についてきてくれた。なのはも今はフェレットを抱え暴走する美由紀を止める為に此方にはこないようだ。俺はリビングにいる皆には決して聞こえないように、小さな声で父に伝える事をいう。
「父さん、なのはを送ってくれた人は、忍達の秘密を知ってるみたいなんだ。」
「…なんだって?」
声を荒げはしなかったが、話を聞いた父も驚きを隠せなかった。当然だ。いくら忍達が吸血鬼の部類に入るとしても、その血はとても薄まっていて、殆ど普通の人間とかわりない。なのに、あの女性は微かなにおいだけで忍達のことに気づき、こうして尋ねてきている。
「…兎に角、まずは話をきこう。…恭也は一応、玄関にある小太刀は持っておきなさい。」
「ああ。わかったよ父さん。」
父の言葉に従い、俺は玄関の傘立てに隠してある小太刀を手にとって玄関前で外履きに履き替える。俺と父はお互いに頷き、父が玄関に手をかけた瞬間だった。
「「ッ!」」
玄関を開けた瞬間、俺と父が外で待つ彼女の手刀によって心臓を抉られて倒れる未来を見た。否、
つまりそれは彼女からの警告だった。「つまらない真似をするなら…。」と、彼女が俺と父に絞って放った殺気が、もし行動を起こしたときの結末を語っていた。
それは、俺と父の二人を合わせても、彼女との力の差が圧倒的にあることを表していた。
「……恭也。やはり小太刀は置いていこう。」
「あ、ああ。」
父の言葉に俺は我に帰った。気がつけば、彼女の殺気に当てられ、棒立ちになっていたようだ。父は冷や汗をかいてはいたが、呆然とはしなかったようだ。俺は父に言われるまま、小太刀を傘立てに戻し、父が玄関を開け、一緒に家の外へ出た。
「理解して貰えたようで、よかったです。」
「…ええ。十分理解しました。」
お互いに顔を合わせ、彼女は笑顔で言い、父は酷く疲れた様子で応えた。
「恭也が貴女の望む場所までお連れします。それでいいですか?」
「はい。よろしくお願いしますね。恭也さん。」
「ああ。わかった。」
そういって、俺と父は、彼女になにも反抗する事も出来ず、要求に応じる事しかできなかった。
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あの後、私はなのはちゃんとお別れし、今は彼女の兄の恭也さんに、この地の吸血鬼の下へ案内して貰っています。いやぁ、玄関前で殺気だってたから面倒に成るかと思いましたが、SE・TTO・KU出来て良かった。せっかくこの地で初めての知り合いの家族をやってしまうなんて嫌ですしね!
「着いたぞ。此処だ。」
「へぇ~…。」
そんな訳で、吸血鬼の住まう邸に到着。規模は紅魔館よりは随分小さいが、この地で建てられてる家と比べると、かなりの規模の邸のようだ。私達が来るのを事前に知っていたのか、門前に到着と同時に、門がひとりでに開く。恭也さんは無言で門を潜るので、私もそれに習う。
恭也さんが邸のドアを開け、邸に入り込む。その動きにぎこちなさはない所から、この地の吸血鬼と恭也さんは知己なのかもしれない。そんな事を思いながら邸に入ると、メイドを左右に侍らせた女性がいた。そして、私の鼻が彼女から主人と同じにおいを感じる。
「夜遅くに悪いな、忍。例の彼女を連れてきた。」
「構わないわよ、恭也。ありがとう。」
恭也さんに忍と呼ばれた彼女と目が合い、お互いに軽く会釈をしてから話に入った。
「初めまして。私は月村家当主の月村忍と言います。この二人は私に仕えるメイドのノエルにファイン。」
忍さんの紹介を受けたメイドさんが会釈をするので此方も返す。忍さんはそんな私に微笑みかけながら続ける。
「貴女が恭也に言った通り、私はこの地を監理する吸血鬼です。…それで、貴女は一体何者なのですか?」
「丁寧な紹介ありがとうございます。私の名は紅美鈴。ヴラド・ツェペシュの末裔たるスカーレット家当主、吸血鬼、レミリア・スカーレット様にお仕えする従者に御座います。」
私は深く頭を下げながら、自己紹介をする。勿論、相手に失礼の無いように。幾ら異世界であっても、私はお嬢様に仕えている身、失礼があってはお嬢様に申し訳が立たない。
「お顔を上げてください美鈴さん。スカーレット家……申し訳ありません。私は最近になって当主を継いだ若輩者。あまり他の夜の一族について知らない事が多いのです。」
「いえ、おきになさらず。この世界では決してしる事の出来ぬ名ですから。」
忍さんの謝罪の言葉に従い、顔を上げた後に、応える。私の返答に不思議を思ったのか、忍さんは首を傾げながら尋ねる。
「…決して知る事の出来ないというのはどういうことなのでしょうか?」
「はい。これから話すことは恐らく荒唐無稽な話だと思われるでしょうが、信じて下さると助かります。」
そういって、私は忍さんとついでだが恭也さんにこれまでの経緯を話した。本来は自分が幻想郷という地で生活していた事。とある不幸でこの地に来てしまい元の世界に帰る方法を探している事。
話を聞いた二人は難しい表情をしていたが、
「なる程…美鈴さんのお話、私は信じますわ。」
「忍!…彼女がいうなら、俺も信じよう。」
どうやら恭也さんはあれだが、忍さんには信じてもらえたようだ。
「それで美鈴さん。貴女は他に、私に何かお願いしたいのはないですか?まさか自己紹介の為だけに来た訳ではないのでしょう?」
「忍さんが聡明で助かります。…実はこの地に暫く留まって、元の世界に帰る方法を調べたいので、滞在する場所を融通して欲しいのです。」
「なる程。美鈴さんは従者でしたね?ではこの邸で私の妹の面倒を見て貰えませんか?部屋は用意しますので。」
「お世話になります忍さん、いえ忍お嬢様。」
と、忍さんとの交渉を経て、私はこの地に滞在拠点を得る事が出来たのでした。
※7/23…余分な改行の削除。及び誤字修正。