【完結】我思う、故に我有り:再演   作:黒山羊

107 / 107
お久しぶりです。ちょっとだけおまけをば。


ハッピーウエディング?

「ミサト、貴女いつまでそうしてモジモジしているつもり? ぶっつけ本番上等の作戦課長様はどこに行っちゃったのかしら?」

「んなこと言ったってぇ……」

「貴女が『心細い』っていうから日付を合わせてあげたのよ? これ以上の手助けは流石に出来ないわ。覚悟を決めなさいな」

「そうなんだけどぉ……」

 

「おぉい、葛城、りっちゃん、俺たちまだ入っちゃダメかい?」

「もういいわよリョウちゃん。埒が開かないから」

「ちょっちまってぇ!?」

 

そんなミサトのか細い叫びを無視するように開けられた扉。その向こうから現れたのは、純白のタキシードに身を包んだ加持リョウジと、『使徒仮面』の紋を入れた紋付き袴のルイス・秋江。

 

そして、それを迎え入れたリツコは黒無垢に身を包んで髪を結い、鏡台の前でヴェールに閉じこもるミサトは純白のウエディングドレスを身に纏っていた。

 

時に新世紀3年。ミサトと加持、リツコとサキエルはとうの昔に入籍しているものの、色々と落ち着いてきた事でようやく『合同披露宴』を行う運びとなったのである。

 

が、32歳になって子供の様に『恥ずかしいからイヤ』と駄々を捏ねているのが、加持・葛城両家の愛でたい日を迎えることになった新婦のミサトなのだった。

 

「いやぁ、2人とも綺麗だな。お姫様みたいだ」

「リョウちゃん、そこは『2人とも』じゃない方が良いわよ?」

「そうかい?」

「加持君にとって今日の主役は葛城さんであるべきだからね。僕のりっちゃんはいつも通り世界一可愛いとして、加持君にとっては葛城さんがそうだろう?」

「そりゃそうだ。……似合ってるから頭抱えてないでこっち向いてくれよ、ミサト」

「————ッ。……そうよね。私は今日主役なんだからエスコートしてもらうわよ加持!」

「お、その調子その調子。……さて、それじゃあ皆待ってるだろうし、そろそろ行こうか」

「ははは、加持君存外緊張してるね? ブライズメイドが迎えにきてくれる手筈だろう?」

「————そうだった。いやぁ、葛城のこと笑えないな俺も。……まぁ、似たもの夫婦って事で仲良く待とうぜ、葛城」

 

そんなセリフと共に差し出される加持の腕にそっと手を添えるミサトと、静々とルイスに寄り添うリツコ。洋風と和風のダブル披露宴は、あくまで披露宴。

 

神前での誓いやらはカットした2組の幸せ夫婦は、招待客の待つ宴会場に直行するスタイルを今回採用している。

 

そして今回のブライズメイドを務めるアスカ、レイ、マリのチルドレン3人娘が揃いのドレスに身を包んで控室を訪れば、間もなく式の始まりというわけだ。

 

「にゃっはー。いやぁ、綺麗だねぇお二人さん。今日ばかりはアスカ姫よりお姫様してるにゃあ」

「ええ。葛城一尉も赤木博士もお姫様みたい。とても綺麗」

「そうね。……あ、加持さんもルイスもばっちり決まってるわよ? でも今日はやっぱり女の子の晴れ舞台って感じよね」

 

異口同音にミサトとリツコを褒めそやす少女達。だがそんな軽口を叩きつつも、ちゃんとミサトのドレスの裾を捌き、ベールを掲げて歩行を補助する彼女達は、今日この日を楽しみにしていた者達の筆頭でもある。

 

そんな少女達に連れられた先の宴会場で司会を務めるのはシンジとカヲル。

 

着込んだ礼服もあっていつもより大人びて見える2人の少年。だが見た目だけで無く、そつなく司会を熟す様は、実際に彼らが『大人』になったのだと示している。

 

「では皆さま、新郎新婦の入場を是非盛大な拍手でお迎えください!」

 

そんなシンジの声と共に、万雷の拍手を以って迎えられた2組の夫婦は、彼らにとって最も良き日を実現すべく、夢の舞台に歩み出るのであった。

 

 

* * * * * *

 

 

ナイフがマゴロクエクスターミネートソードの複製だったり、ケーキの盛り付けに『スイカ』が使われていたりとなかなか愉快なケーキ入刀を済ませて、豪華なコース料理が賓客に振る舞われ始めてしばらく。

 

宴の場に必要不可欠と言っても良い『余興』のトップバッターを担ったのは、シンジのチェロ、カヲルのピアノ、青葉のギターを伴奏にマヤとルイがデュエットする『愛を込めて花束を』。

 

曲の後に行われた花束贈呈の際に感極まったマヤが涙ぐみ、釣られてリツコが涙ぐんでしまったのは、平時ではなかなか見られない一幕だったのは間違い無いだろう。

 

それに続くのは、作戦課の日向マコトが企画した、スタッフからのビデオメッセージ。

 

仕事中の凛々しいミサトの姿や、真剣な表情でコーヒー片手に黙々と書類を捌く加持の姿。そして実験中のクールなリツコの振る舞いや、チルドレンと1対5の格闘訓練を熟すルイスの姿を編集しつつ、部下からのメッセージを込めた力作は、随分と見応えのある内容だった。

 

そして、続いて行われたのは新郎新婦への祝辞。

 

それを務めるのは、少しばかり意外な人物『達』であった。

 

「————葛城博士に連れられて、ちょっと不機嫌そうに歩いていたミサトちゃん。ナオコ先輩の後をついて歩いていたシャイなりっちゃん。2人が今日、こうして幸せな花嫁姿を見せてくれているのはなんだか夢の様で、エヴァの中から活躍を見ていた私達としても、子供時代の2人を知る私達としても、とても感慨深く思います」

 

などとスピーチをしているのは、ミサトやリツコと同年代にしか見えない2人の女性。

 

————碇ユイと惣流・キョウコ・ツェッペリン。

 

エヴァ初号機からゲンドウ共々サルベージされた2人の天才博士達が祝辞を述べているのである。

 

まぁたしかに、ゼーレに深く関わっていたユイは少女時代のミサトやリツコを当然知っているし、キョウコも同様だ。

 

色々気まずいらしいゲンドウはこの場に居ないものの、彼女達が祝辞を述べるのは一応筋の上では間違ってはいない。

 

だがそうは言っても、ちょっとした浦島太郎になっているせいでキョウコとユイが幼少のミサトやリツコを語るのはシュールな絵面というしかなかった。

 

そんな、ちょっとカオスながらも楽しい披露宴の後。

 

2組のカップルがそれぞれハネムーンへと旅立った事でしばしネルフから課長職が不在となった事で、ネルフの内部は少々いつもと異なる空気感となったのは、余談とするべきだろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

エヴァ体験系(作者:栄光)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

主人公は2000年代初頭、二次創作ブームの終わりごろにエヴァFFを愛読していた少年の一人だった。▼そして時は流れ2020年、成人して就職もして原作知識もおぼろげになった頃、男は“憑依体験”をする。▼『アラサー元自衛官リーマン』がシンジ君に憑依ってマジかよ!▼ミリタリー・自衛隊ネタで贈るエヴァンゲリオンファン・フィクションです。▼◆注意◆▼ベースは旧テレビ版の…


総合評価:20074/評価:8.77/完結:45話/更新日時:2021年03月21日(日) 10:09 小説情報

旧世紀エヴァンゲリオン(作者:黒山羊)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

トウジ「この中に1人、昭和の特撮主人公みたいな奴がおる」▼シンジ「何ッ! 誰なんだそいつは」▼トウジ「お前や!」▼みたいなトンチキSSです


総合評価:14728/評価:8.85/連載:46話/更新日時:2022年02月14日(月) 12:30 小説情報

中学二年で死ぬから美少女とフラグ立てたらTSした原作主人公だった件について(作者:re:753)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

新世紀エヴァンゲリオンの世界に転生したモブ、三上シンジは転校生である美少女を気まぐれで助ける。彼は原作知識があり、エヴァの世界がどうなるか知っていたのだった。▼残り少ない青春を助けた美少女と過ごそうと思っていた中学二年生、彼は助けた少女が原作主人公のTSした姿だと気づく。▼そして彼は気づいていない、少女の孤独をなくしてくれた存在への依存具合を。▼これはそんな…


総合評価:38336/評価:8.79/連載:45話/更新日時:2024年10月20日(日) 12:00 小説情報

まごころを、ぼくに(作者:赤坂緑語)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

「あれ、もしかして……僕ってかわいい?」▼幼少期、とある出来事によって究極の自己愛に目覚めた碇シンジ少年が、自分がちやほやされるためにエヴァに乗り、使徒をフルボッコにしていく物語。▼※過度なナルシシズムは丁寧に隠すが美徳とする。▼※覚醒したシンジ少年は両親の遺伝子を余すことなく有効活用することとする。▼


総合評価:17718/評価:9.05/連載:23話/更新日時:2023年08月22日(火) 20:00 小説情報

【本編完結】サツマンゲリオン ~ 碇シンジが預けられた先が少しだけ特殊だった県/件(作者:◆QgkJwfXtqk)(原作:新世紀エヴァンゲリオン)

 はじまるよ~▼ はじまるよ~▼ 狂都では無い場所にシンジを預けた家があったのが運の尽き__▼ 誰の?▼ ゲンドー の▼ シンジ君のキメ台詞はいつも通りです▼ 逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ!(泣こかい飛ぼかい、泣こよかひっとべ!)▼ うん▼ 大きな変化は無い▼ イイネ?(グルグル目▼ ストレス発散で割と適当に書いていますので、不定期更新でする☆▼ 後、LA…


総合評価:13878/評価:8.85/完結:125話/更新日時:2025年10月13日(月) 21:21 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>