【完結】我思う、故に我有り:再演   作:黒山羊

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クリスマスもやっぱりイチャイチャ回です。


女三人よれば着物の噂をする

「エヴァ各機、シンクロ率100%、リミッター無事に作動中です」

「良かった。……シンクロ率が高すぎて困るなんて、うれしい悲鳴ね」

「でも良いんですか、先輩? リミッターの解除スイッチをインテリアにつけちゃって」

「いざという時にリミッターがあったから負けました、じゃ話にならないもの。パイロットが『意図せずシンクロし過ぎる』事への予防であって、枷をかけたいわけでは無いの」

 

そうマヤに告げて、コーヒーを啜るリツコ。

 

エヴァの定期シンクロテストは、最近各チルドレンの数値が高まりすぎた事で半ば形骸化しているが、フィードバックを元に制御ソフトを改修したりといった細やかな技術的進歩の為に、依然として週に一度は必ず実施されている。

 

そして、それ故にこそ、バイオグラフの変化で、リツコは察してしまった。

 

————シンジ君とアスカ、しちゃったのね。まぁ遅かれ早かれだったでしょうけど。

 

そんな言葉は当然潔癖症なマヤの居る前で吐けるわけもなく、リツコの心に秘められる。

 

もちろんそれが重要な事なら、リツコも告げただろう。制御されていない性行為だった場合には、妊娠でパイロットが1名使えなくなるなんてこともあり得るからだ。

 

だがしかし、サキエルが見守っている事を知っているリツコからすれば、その心配は無意味だと断言できる。

 

故に彼女は冷静に2人のバイタルとシンクロ率の相関を記録したうえで『問題なし』と記載して、先程の気づきは頭の片隅へと追いやったのだった。

 

 

* * * * * *

 

 

「世間はもうすぐ修学旅行って時期に、なんで訓練やってるのかしらねアタシ達」

「しゅー……?????」

「は? レイ、アンタ修学旅行知らないの? 学校行事の」

「知らない」

「えー……? シンジは?」

「小6で日光東照宮に行ったよ。栃木の方の神社なんだけど、キラキラしてて綺麗だった」

「うんうん。そういう回答が普通よね。ってことはレイは……」

「小学校は行ったことないし、中学校もほとんど行ってないもの」

「……よっし。レイ、シンジ、使徒全部倒したら旅行に行くわよ」

「沖縄とか?」

「日本のリゾートだっけ? 良いわね! 給料もたんまりあるんだしたまにはパーッと遊ばなきゃ!」

「旅行……家を離れて他の土地に行く事……何故するの?」

「んー、旅先で色々な物事を見ると世界が広がる、みたいな感じだと思うよ」

「色々なとこには色々な人が居るってことよ」

「わからない」

「行けば分かるわよ」

「なら行く」

 

そんな会話を交わすレイとアスカ達。一応中学生な筈の彼等は、学校に通わなくなって久しい。

 

とはいえアスカは大卒の学士様だし、シンジとレイも時間がある時にサキエルとアスカが勉強を見ているので学力的には問題ないのだが、学校行事などとは縁がない。

 

だからこそ、先程の修学旅行の話になるわけなのだが。

 

「そうだ。訓練用のプール借りて遊ぶわよ! せっかく常夏の日本に来たんだし泳がなきゃね!」

「げ」

「げ、って何よシンジ……あ。泳げないの? ……レイは?」

「泳ぐのは好き」

「……じゃ、シンジの水泳訓練も兼ねてって事で」

「ええええぇ……」

「何よ? 可愛い彼女と妹分が手取り足取り教えてあげるっていうのに不満なの?」

「恥ずかしいし……」

「そう思うなら、早く泳げるようにならなきゃね! 海に行って泳げませんじゃ、人前でもっと恥ずかしい事になるわよ?」

「……ははは。うん、そうかも。……よろしく、アスカ」

「じゃあまずは水着買いに行くわよ! ミサトとリツコに頼むにしても、プールの予約取れるのは明日以降でしょ」

「げげ」

「逃がさないからね?」

「…………イキマス」

 

がっちりと腕を組まれ、ムニッと柔らかい拘束に無力化されたシンジは、水着ショッピングという嬉し恥ずかしイベントに巻き込まれるのだった。

 

 

* * * * * *

 

 

「シンジ、これとかどう?」

「え。……ほぼ紐じゃないかな、それ……流石にどうかと……」

「ふぅん。じゃあこっちは?」

「えっと……」

「よし、モノキニに大きめフリルか……。レイ、この条件で探すわよ」

「えええええ!? 今の反応で何を察されたの僕!?」

「……シンジ、私とアスカがコレを着ているのを想像してたから」

「ぼ、煩悩が読み取られてる……! ……待って凄く恥ずかしいんだけど」

「大丈夫。普段はそこまで読めないわ。シンジのさっきのは凄く強い感情だったから」

「……レイ、それトドメになってるわよ」

「す、凄く強い感情……うぅ……」

 

スケベ心を読み取られて赤面するシンジは、穴があったら入りたいという感情を剥き出しにして轟沈。

 

凹む彼だが、しかしその受難は終わらない。

 

デザインの違うフリルモノキニをそれぞれ持ってきたアスカとレイを相手に、水着と彼女達を見比べさせられ、その度にどんなに表情を隠しても『良いな』と思った方が寸分の狂いなく選ばれるのだ。

 

そうして女性陣が熟慮とシンジ式判定法を重ねた末に水着を選んだかと思えば、今度はシンジの水着の吟味が始まる。

 

————いや普通に黒のハーフパンツ型で良いよね?

 

というシンジの男子的意見は黙殺された上に、今度はシンジが『アスカの強い思念』を察して赤面する事態に。

 

レイがふざけてブーメランやスリングショットを持ってきたり、アスカがそれを着たシンジを想像して悶々とした挙句に独占欲を発動させて却下した結果、最終的にラッシュガードとレギンスにサーフパンツを合わせた露出ゼロスタイルに肌を封印されることが決定したシンジ。

 

コレでようやく終わりか、と期待するシンジだが、アスカがこっそりレイが持ってきたスリングショットとブーメランをお買い上げしているのを察知し、『独占』欲だもんね……と力ない納得をして、真っ白な灰の如く力尽きるのだった。

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